【完結】戦姫絶唱シンフォギア ~キミに決めた!~ 作:カンさん
伝説の力を持つアカシア・クローン達に苦戦するサンジェルマン達。しかし彼女達には秘策があった。
それは二代目が彼女に託した──アダム・スフィア。
埒外の魔力の塊を手に、サンジェルマン達は、イグニス達は、新たな力を得る。
第九話「墜落無双」
プレラーティは、カイオーガの放つ水の砲撃を避けながら翼とコマチに言う。
自分達がアレを倒すと。
「できるのか!?」
「できるワケだ──あの時、限界を超えたジル達なら!」
アダムの黄金錬成を防ぐ際、イグニス達アカシア・クローンはその力を次のステップへと進めていた。
サンジェルマンが創り上げた彼らと、プレラーティ主導の元創り上げたラピス・フィロソフィカスの相性は抜群──否、良すぎた。
故に、彼らにラピスの力を注ぎ込む事は一種の賭けであり、下手をすれば暴走していた可能性があった。
しかし。
「こういうのはガラではないワケだが──絆の力、というものだ」
プレラーティは、あの戦いの後ラピスとイグニス達を調べ、彼らの進化ができた理由をそう評した。
そして此処にはアダム・スフィアという莫大な魔力がある。
サンジェルマンから三分の一受け取って居た彼女は──その魔力をスペルキャスターに注ぎ込み、ファウストローブに循環される魔力を制御装置に。そして、そのまま不浄を払う魔力を、相棒へと送り届ける。
絆を経て至る究極の力──その名は。
「ジル、メガシンカをするワケだ!!」
「ダネ!!」
それは、マリアが持つ力と同じ力。
ジルは、フシギダネから最終進化形態のその先へと一気に進化する。
フシギバナの時よりも巨体になり、その身にある力は本来苦手とする熱や寒さを耐える鉄壁の守りとなる。
「バナァァアアアアア!!」
プレラーティとの絆により、メガフシギバナへと至ったジルが雄叫びを上げ──一つの技を繰り出す。
「バナ──バァアナッ!」
「──! これは」
いち早く気づいたのは、空を飛ぶ翼だった。
痛いくらいに叩きつけてきて大粒の大雨が徐々に収まり、雨雲が消え、太陽が顔を覗かせる。
そして濡れていた体が一気に乾く程の強い日差しが戦場を包み込んだ。
「ブイ!!」
コマチが晴れた! と叫び、カイオーガが戸惑うようにひと鳴きする。
己の力が、雨を降らす力が阻害されるばかりから上書きされた事に驚いていた。そんな事ができるのは、自分と対の力を持つ存在だけかと思っていた。
現に、コマチが何度にほんばれをしても発動しなかった。
つまり、今のジルには伝説に匹敵する力を持っているという事。
「過去に語られた伝説、確かに強力なワケだ。天候を支配する等、正直驚いていた──だが」
けん玉型のスペルキャスターを突き付けて、プレラーティが叫ぶ。
「我々は日夜研究し、そして日々強くなっているワケだ! 語り継げられた御伽程度越えられるなくて、何が錬金術師だ!」
理想を追い求めるが為に、彼女達は負けていられない。負けている暇はない。
「ジル──ソーラービームだ!」
「バァア──ナァアッ!!」
太陽光を浴びて即時放たれた光線は──カイオーガに確かなダメージを与えた。
◆
「カメちゃん、メガシンカ」
カリオストロもまた、アダム・スフィアの力を使って相棒に究極の力を授ける。
ゼニガメ、カメール、カメックスの姿を経由し、メガカメックスへとなるカメちゃん。
両肩の大筒が一つへと統合され、全てを粉砕する砲身がルギアへと狙い定める。
「それじゃあカメちゃん──一発気持ち良いの出しちゃいなさい!」
「──カメェエエエ!!」
背中の砲身に黒く輝くエネルギーが装填され、狙い定めたルギアに向けて解き放つ。
ルギアはいつものようにサイコキネシスで攻撃を防ごうとし──弾丸はルギアの力を受け付けず、そのまま直撃した。
「……!」
何が起きたのか、理解できないルギア。
しかし、その身に感じるダメージにより直ぐに気付く。
先ほどカメちゃんが放ったのは──悪タイプの技である悪の波導。そして、エスパーの技は……悪タイプには無効。
故に、操る事ができずに直撃した。
加えて、メガカメックスの特性はメガランチャー。その特性は、波導系統の技を強化する。
「水、格闘、龍、悪──メインはこれだけど」
カリオストロの言葉に同調する様に、カメちゃんは両腕に追加された砲身を構える。
そして──。
「うちのカメちゃんは器用だから、どんどん弱点突いちゃうんだから」
左腕の砲身からは冷凍ビーム、右腕からはラスターカノンを放った。
二つの攻撃は直撃し、ルギアが悲鳴を上げる。
「さぁカメちゃん、どんどん行っちゃって!」
カリオストロの声に応えるようにしてカメちゃんは次々と技を放ち。
「調、アタシ達も!」
「うん、切ちゃん」
切歌と調も続くようにしてそれぞれ攻撃を開始した。
◆
「──」
ボールとアダムスフィアの力を装填したスペルキャスターを見て──サンジェルマンは遠い日の記憶を思い出していた。
──なんで、お母さんを助けてくれなかったの!?
──カ、カゲェ……。
──嫌い! イグニスなんか嫌い! どっか行っちゃえ!
「……果たして、この力は私に応えてくれるのだろうか」
サンジェルマンの呟きに、肩に乗っているイグニスが首を傾げる。
それを彼女は優しい顔つきで撫で──覚悟を決める。
「──資格が無くとも、私は進まなければならない。……イグニス、力を貸してくれるか?」
「カゲ!」
サンジェルマンの問い掛けに、イグニスは元気よく応えた。
それに彼女は笑みを浮かべ──相棒にさらなる進化する為の力を授ける。
「イグニス──メガシンカだ!」
「カゲ!!!」
過程を飛ばし、最終進化を超えた進化を為すイグニス。
翼を広げ、炎が灯った尾を振り回し、雄叫びを上げる。すると、日差しが強くなり、ジリジリとイベルタルの肌を照り付ける。
イグニスは、メガリザードンYに進化した。
メガリザードンYの特性ひでりにより、周囲一帯の日差しを普段よりも強くさせた。
そして日差しが強い時、アカシアの炎の力は威力を上げる。
つまり──この戦場に居るクリスとイグニスは、その力を普段以上に苛烈に強く発揮させる事ができる。
「イグニス、だいもんじ!」
「グオオオオオオ!!」
太陽の力で威力を増した大文字が放たれ、
「わたしも……!」
クリスもまたライフルから炎のレーザーをイベルタルに向けて解き放ち──二つの炎は、イベルタルを焼く。
「──!」
痛みに悶えるイベルタルの声を聞き、サンジェルマンは顔を顰める。
姿は変われど、その力が伝説級であれど──苦しみもがいている声を聞き間違えない。
今回進撃している伝説級のアカシア・クローンは、三体共レプリカタイプだ。
つまり救うには倒すしかない。
故に、サンジェルマンは──怒りを胸に、必ず倒すと誓う。
「行くぞイグニス──彼を救うんだ!」
「ギュオオオ!!」
イグニスが吠え、クリスの弾丸が唸り──サンジェルマン達は、否他の戦場の錬金術師達と装者達は、アカシア・クローンを確実に追い詰めて行った。
◆
「さて、そろそろ第二段階に進みましょうか」
フローティングキャリア。かつてバルベルデが使用した存在してはいけない兵器……その兄弟艦「SFC1番艦 アリアス」。
その甲板に立つウェルは、三つの戦場を見て呟いた。当然隣の響は反応を示さない。
「ステルスを解除してください──釣りの時間です」
「ああ」
ウェルの指示に従い、側に控えていた錬金術師が戦艦を操作する。すると、今のいままで姿を消していた巨大戦艦が、その威容さを白日の元に晒す──日本上空にて。
『緊急事態だ! 敵と思われる戦艦が日本上空に現れた!』
『司令! あの戦艦からガングニールの反応もあります!』
敵が何を──響に何をさせようとしているのかは分からないが、碌でもない事は確かだった。
伝説級を押しているが撃破するには時間がかかる。かといってこのままでは──。
「アメノハバキリ! 先行しろ! お前が一番速いワケだ!」
「──! しかし……!」
「──ブイ!」
迷いを見せる翼の肩からコマチが飛び降り、プレラーティの肩の上に乗る。
「光彦?」
「ブイブイ──ブイ!」
コマチは言う。響を助けてくれと。
そして自分は此処に残ると──肩の上に居ては、翼が全力で飛べない為に。
「桜餅コンビも行ってきなさい! 響ちゃんも厄介だけど、あの戦艦もめんどくさいわよ!」
翼同様に、切歌たちもカリオストロに背中を押されていた。
「誰が桜餅コンビデスか! ……でも」
「此処を離れて大丈夫なの?」
しかし、伝説を相手にメガシンカしているイグニス達が居るとはいえ、戦力を分散しても良いのかと心配する装者達。
それをサンジェルマンが叱咤する。
「侮るな! 此処で勇み足しても状況は悪化するのみ──自分たちの仲間だろう? 救ってこい」
錬金術師達の言葉に、装者達は──彼女達の覚悟を尊重し、強く頷いた。
分かった、と。
装者達は、自分たちの最大速度で日本へと向かう。テレポートジェムは、響が居る場所に使ってしまえば、それを察知されて堕とされかけない。
故に飛ぶしか無く、そして一番最初に辿り着いたのは翼で──。
「響! ──な!?」
そこに居た人物に、驚きの表情を浮かべ。
「な、何で、か──」
信じられないと動揺した翼は、目の前に現れた黒く染まった響に反応できずそのまま──。
◆
「あと、もう少しデス!」
「うん……!」
クリスと合流した切歌と調は、目視できる距離までフローティングキャリアへと近付いていた。
翼が先行している筈なのだが、彼女が到着した後から連絡が無い。
三人共、嫌な予感がしつつもそれを口にせず飛び続け──。
──ドゴオオオオオオオオン!!
「──な!?」
突如、フローティングキャリアが爆発し二つに折れる。さらに爆発は続き、赤い炎をその身に包み込むと──最後に大きな爆発を起こして、塵も残さず消えた。
『──そんな』
そして。
『アメノハバキリ──反応喪失』
「──そんな」
友里からの報告を聞いたクリスは──それを認める事ができなかった。
「うそ……嘘だ! 翼は、そんな簡単に──」
頭を横に振り、嘘だと叫び続けるクリス。
「いえ、現実ですよ──残酷なほどにね」
「──な!?」
「お前は!?」
そして、そんな彼女達の背後から聞き慣れた声が響き──振り返る前に背中を強い力で殴打され吹き飛ぶ。
海を跳ね、日本に上陸しても止まらず、最後に辿り着いたのは、崩壊したチフォージュ・シャトー跡地。
「いつつ……」
痛みに耐えながら起き上がった切歌。
しかしすぐにその表情が変わる。
何故なら──目の前に、テレポートジェムを用いて現れたのは……悪のジュエルを使い、黒く染まった響とその横で悪辣な笑みを浮かべるウェルが居たのだから。
「SONGの時から思っていましたが、この力──タイプ・ワイルドスピードは凄まじいですね。暴走の力をアカシアの力で制御する、他のタイプとはまた毛色の違う力。いやはやまったく──まさか、翼さんを一撃で屠るとは」
「──は?」
ウェルの言葉を、調は理解できなかった。
いや、したくなかった……が正しい。
何故なら、今の彼の言葉が真実なら──。
「──ウェル博士!」
「……何でしょう?」
博士ではない、と訂正しなかった。
「何故……そこに居るデスか? 何で翼さんが死んだなんて嘘を──」
「嘘じゃありませんよ? ──仕方ありませんね。分かりやすく教えましょう」
ニヤリとウェルが笑みを浮かべて──調がずっと否定したくて、しかし思い浮かべていた最悪の想定を答えた。
「響さんにファウストローブを着させ、ダイレクトフィードバックシステムで操り、翼さん──いや、マリアさん、奏さん、セレナさんを殺させたのは……僕たちですよ」
ウェルは──しっかりと言葉にして伝えた。
「僕は英雄になる為に──アナタ達を裏切ったのです。いい加減理解してください」
ウェルは調達の敵になったのだと。
喪失へのカウントダウン継続。
アメノハバキリの反応消失。
残りの装者──3人。
今まで出てきたグループでどれが好き?
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雷光のフリューゲル(奏翼光彦)
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翳り寄り添う日陰(響コマチ)
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先史文明期コンビ(フィーネアカシア)
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愛娘に挟まる陰獣(クリスキリカコマチ)
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波導と姉妹(リッくん先輩マリアセレナ)