【完結】戦姫絶唱シンフォギア ~キミに決めた!~   作:カンさん

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繋ぐこの◾️には――◾️を◾️す力がある


第七部 戦姫絶唱シンフォギア 想出のフリューゲル編
第一話「遥か彼方星が音楽となった彼の日」


「──システムオールグリーン。月遺跡の起動を確認。ネットワークジャマー……正常稼働……!」

 

 片腕を失い、血を流しながら男はその場に崩れ落ちる。

 最後の力を振り絞り仰向けになると、乱れた呼吸を繰り返し、霞む視界の中、虚空を見つめる。

 

「まだ、そこに居るのか……? アカシア……」

「──うん。ここに居るよエンキ」

 

 ふわりと彼の前に現れるのは、人から神へと至った孤独の獣──アカシア。

 アカシアは幻獣ミュウの姿でエンキの側に寄ると、彼にそっと触れる。

 そして心底申し訳なさそうにし、彼に謝った。

 

「……ごめんね、こんな事になって。やっぱりボクは──」

「──それ以上言うな。怒るぞ」

 

 後悔に濡れたアカシアの言葉は、エンキの言葉によって遮られた。

 それ以上の言葉は許さないと──これまでの友との時間を否定させないと。

 エンキの想いを汲み、アカシアは謝罪の言葉を呑み込んだ。

 しばらく沈黙が続き、アカシアはモニターを……バラルの呪詛を発動させた月遺跡を見て呟く。

 

「これで時間が稼がれたね」

「ああ──頼むぞアカシア。彼女との約束を違えるな」

「──うん。例え記憶を失おうとも、必ず見つけてみせるよ」

 

 二人は一つの約束をした。

 その約束が果たされるのは、はたして何年後──いや、何千年後だろうか。

 それでもアカシアは強い決意を胸に、エンキに強く頷いた。

 

 エンキが強く咳き込み、血が吐き出される。

 もう、終わりの時間が近い。

 

「お別れだね……」

「ああ……アカシア、もしフィーネに会ったら」

 

 そこまで言って、しかしエンキは被りを振る。

 

「いや……何でもない。お前はお前の仕事をしてくれ」

「わかった──じゃあ、お願いだエンキ」

「……っ!」

 

 エンキは、死ぬ直前とても辛そうにし、そして──。

 

「──死んでくれ、アカシア」

 

 心の底から──そう祈った。

 

「──」

 

 アカシアは粒子と化し、エンキの前から消え──めのまえが まっくら に なった。

 

 

 第一話「遥か彼方星が音楽となった彼の日」

 

 

「──ブイ」

 

 ふと、目が覚めた。

 それと同時に先ほどまで見ていた夢を……忘れてしまった。

 

「ブ〜イ?」

 

 んー、なんだろうこの感覚……絶対に夢を見ていたと確信できるのに、その夢を覚えていないという、こうモニョっとした感覚……。

 魚を食べた時に歯の間に挟まったような、買い物して会計する時にあと一円あったらピッタリ出せるのに出せない時とか、そんなスッキリしない感覚がする。

 

「コマチ?」

 

 俺が起きた事に気が付いたのか、上から覗き込んで来る響ちゃん。

 優しい手つきで俺を撫でていてくれたのか、何となく背中あたりが温かく心地良い。お礼の意味と何でもないよという気持ちを込めて響ちゃんの手にスリスリと頬擦りすると、ピャイッと引っ込められてしまった……照れ屋な性格! 

 

「ひ、響……」

「……何?」

「そろそろ交代──」

「──やだ」

 

 そう言って響ちゃんは俺を抱えて、クリスちゃんからふいっと顔を背ける。それにブチッと切れたのは──奏さんと翼さん。

 

「テメェずるいぞ響!」

「そうだそうだ! 早くその温かいのくれ!」

「……」

 

 体を震わせている二人の言葉にしかし響ちゃんは応えず。

 その光景を見て三人は、寒さから来る震えだけではなく怒りにより体を震わせた。

 

 ──現在、俺たちは南極に来ている。

 何故俺たちがこんな所に居るのか。それは一週間前に遡る。

 

 あれは、錬金術師協会の二代目から聞かされた──アダムの目的についてだ。

 

 

 ◆

 

 

「──棺」

『そう、棺だ』

 

 SONG本部の発令室にて、弦十郎達は装者と交えて二代目からアダムの目的について聞かされていた。

 アダムの目的──それは、南極で浮上する棺の破壊。

 

「神の力を得て──いや、神殺しの力を持つ響を使って為そうとするということは……まさか」

『流石に聡いな、勇者よ。そう君の想像通りにあの中には居るんだ──先史文明期の神が』

 

 その言葉に全員が言葉を呑む。

 神の力の凄まじさは身を以て経験している。

 シンフォギアで受け止めきれない大火力。神殺しと七つの旋律以外ではたちまち回復する力。そして現存する物理学を真っ向から否定する──埒外物理。

 その力を持つ存在が南極に出現する。

 

『あのお方はその棺の中の神を利用するのではなく破壊を選んだ──恐れから。その事から伺い知れる、その存在の強大さを』

 

 アダムはアカシアを救う為にヒトをヒトでは無くそうとしていた。その過程で、その棺にいる“何か”を、その神を邪魔だと判断したのだろう。

 二代目の語る内容に、装者達の顔が強張る。

 

『調べなくてはならない、その神について』

「ああ、そうだな」

 

 SONGの上層部は既に指令を出している。

 南極にて棺の調査、と。

 神の力を野放しにしてはならない。そう判断したのだろう。もしくは──。

 

『サンジェルマン達も同行して貰う。戦力的にね』

「お上からのアレはそういう事だったのか──了解した」

 

 再び錬金術師協会とSONGの共同戦線が構築される。

 任務開始までの一週間、各自準備をおこたらないようにと弦十郎から指示が出され──。

 

 

 ◆

 

 

 そして現在に至るって訳だ。

 南極は寒いからね。シンフォギアを纏うまではどうしても寒い。だから響ちゃんは俺を手放したくないし、奏さん達は俺を欲する。

 へ、人気者は辛いぜ……。

 

『情け無い事しないでそこの四人』

 

 こちらのヘリの中の様子を通信越しに把握していたのか、無線機越しにマリアの声が響く。

 聞くに耐えかねたのか、戒める言葉が紡がれる。

 うんうん。流石はマリア。優等生。学校で成績優秀者として選ばれて先生たちに好かれるだけはある。

 でもね……。

 

「湯たんぽに言われてもね」

『何か言った!?』

 

 ボソッと呟いた響の言葉にマリアが強く反応を示す。

 恐らくだけど今のマリアの顔は赤く染まっているだろう。図星から。

 何故って? それは……。

 

『マリアあったかいデース!』

『子どもは温かい』

『姉さんの抱き心地最高……』

 

 うん、無線機越しのマリア以外の言葉でどうなっているか分かるわ。

 まぁ、つまりはそういう事だ。

 自分の扱いに不満なのかマリアは文句を言っていたけど、暴れたらヘリが墜落する為おとなしくせざるを得ない。

 

『う~……』

 

 かわいいの塊かよ。

 

『まったく……呑気な連中なワケダ』

 

 そんな俺たちのやり取りにあきれた声を出すのは、助っ人のプレラーティさん。

 無線機越しにため息を吐かれた。

 

『でも敵に臆してガチガチに固まるよりはマシよね?』

『ゼニゼニ!』

 

 カリオストロさんが微笑ましそうにそう言い、カメちゃんも同意するように鳴いた。

 ちなみにサンジェルマンさんも彼女たちと同じヘリに乗っている。あっちはイグニスが居るからあったかいんだろうな……。

 

『──着いたぞ。そして』

 

 サンジェルマンさんの凛とした声が響くと同時に──ヘリが揺れる。

 

『──っ』

 

 全員立ち上がり、ヘリの扉を開く。

 そして南極の氷の下から現れた其れを見て息をのむ。

 

「あれが──棺」

 

 呆然と響ちゃんが呟くが、みんな同じ気持ちだろう。

 現れた其れは棺は、棺というにはあまりにも大きく、そして──物騒だった。

 棺から放たれた光は、南極の白雲を吹き飛ばし、澄んだ青空を露にさせる。

 これから俺たちはあれを止めなくてはならない──。

 

「──行くよ、コマチ」

 

 ギアペンダントを握りしめた響ちゃんが俺に呼び掛ける。

 

「──ブイ!」

 

 俺はぴょんっと響ちゃんの肩に乗り──彼女はそのまま飛び降りた。

 

「Balwisyall nescell gungnir tron」

 

 そして、胸の歌を唄い──纏うのは拳槍ガングニールのシンフォギア。

 

「Croitzal ronzell gungnir zizzl」

「Imyuteus amenohabakiri tron」

「Killter Ichaival tron」

「Granzizel bilfen gungnir zizzl」

「Seilien coffin airget-lamh tron」

「Various shul shagana tron」

「Zeios igalima raizen tron」

 

 響ちゃんに続くように奏さん達も胸の歌を唄い、それぞれのシンフォギアを纏い、サンジェルマンさん達も肩に相棒を乗せてファウストローブを展開。

 そんな俺たちの力を感じ取ったのか、棺がこちらに顔を向けて光線を放とうとエネルギーを貯めているのが見えた。空中で無防備な状態を狙っているのだろうけど……。

 あれを防ぐのは──俺たちの仕事だ! 

 

 俺は、響ちゃんの肩から離れて──手を伸ばす。

 響ちゃんもこっちを見据えて──俺の伸ばした手をしっかりと握り締めた。

 瞬間、俺たちは光に包まれた。

 

「──融合!」

「──ブイ!」

 

 俺と響ちゃんが一つになる。

 

「──進化!」

『──ブゥラッ!!』

 

 ギアに搭載された奇跡の力が、月の光を呼び起こす。

 

「この手に踏み越える過去を!!」

 

 そして纏うのは闇と獣の力。その暴力的な力を以て、過去を振り切る強さを仲間を守る強さへと変える。

 その力の名は──。

 

「──ガングニィィィイイイイルッ!!!!」

 

 ──ガングニール・アカシッククロニクル。

 ──タイプ・ワイルドビースト。

 

 

 ◆

 

 主を守るため、棺が取った行動は迎撃。

 アカシア以外の存在を消し去るべく棺は光線を放ち、しかし黒い波動によって打ち消される。

 光線が霧散し開けた視線の先には、漆黒のギアと黒く染まったマフラーを揺らす──奇跡を手にした神殺しの響。

 

 ──敵の脅威度を上方修正。

 

 棺が響に狙いを定めると同時に──波導の勇者が空を蹴り一瞬で懐に入る。

 

「──響だけに気を取られるなんて、舐めすぎよ」

 

 マリアは既に波導の力にて大人の姿となっている。

 握りしめた拳が解き放たれる。

 瞬間──棺の巨体が浮いた。加えて、殴られた箇所が凹む。

 生半可な力では傷つかない棺があっさりと。

 

『──!?!?』

 

 ──理解不能理解不能。

 ──敵の脅威度を修正。特記戦力と登録。

 

 ここに来て棺は身の危険をはっきりと認識した。

 全身から突起物を生やし、射出。

 突起物は空を舞う小型のピットとなり、埒外物理の光線を放ち対象を凍らせる緑色の炎を吐き出す。

 しかし──アカシアの力は神の力。

 

「──はっ!」

 

 雷槍を振るい、攻撃を弾く奏。

 棺の埒外物理の攻撃を物ともしていなかった。

 彼女だけではない。他の装者達も攻撃を弾いている。

 その光景を見ながら、サンジェルマンが呟く。

 

「アカシアの力があれば、神の力を防ぐ事はできる──だが」

 

 神相手に攻撃を通すには、響とコマチのように融合する程にアカシアの力を大量に保有しなければならない。それができなかった為に、前の戦いでは破壊神となった響を相手に七つの旋律を用いた。

 そして、この棺は単純に硬い。しかし神の力によるダメージを無かったことにする力はない。

 ならば──錬金術師の力も役に立つ。

 サンジェルマンがスペルキャスターを構え、カリオストロ、プレラーティを同様に構える。

 

「──イグニス」

「──カメちゃん」

「──ジル」

 

『──メガシンカ』

 

 サンジェルマンのファウストローブとアカシア・クローン達の姿が変わる。

 絆の力により次のステージへと至った彼女たちは、空を舞う小型の敵の一掃へと向かった。

 

「はっ!」

 

 サンジェルマンの放つ青き竜の弾丸が、次々と敵を喰らい尽くしていく。

 

「──グオオオ!!」

 

 それに続くようにしてイグニスは天候を日差しが強い状態へと変え、威力の上がった炎を吐き出す。

 さらにジルがソーラービームを連射し、カメちゃんは波導弾をばら撒き確実に命中させていく。

 カリオストロも光弾にてサンジェルマンの援護をし、プレラーティは巨大化させたけん玉にて、アカシア・クローンを狙う個体を積極的に迎撃していく。

 

 錬金術師たちが量産型の敵を相手取ってくれた為、装者達は棺本体に集中する。

 

「──っ」

 

 ──QUEEN‛s ABYSS。

 

 クリスが炎のレーザーをブチかます。レーザーが直撃すると、棺を中心に爆炎が巻き起こり足場の氷が蒸発する。氷の下の海へと落ちた棺。すぐさま浮上しようとするが、上から切歌と調が蓋をするように追撃する。

 

「デース!!」

「沈め」

 

 イガリマの斬撃が叩き込まれ、そこから植物の根が張られエネルギーを吸収し、調の流動する銀が上からコーティングされ剥がれないようにする。棺は徐々に動きが鈍くなる躯体を何とか動かして、拘束を解こうとするが解けない。

 

「セレナ!」

「姉さん!」

 

 そこに追撃を仕掛けるのはイヴ姉妹。

 それぞれ拳に波導と妖精の力を纏わせ、胸部の結晶体に叩き込む。

 バキリ……とヒビが入るが、破壊には至らない──しかし。

 

『──はぁあああああああ!!』

 

 二人はギアの出力を上げて拳を突き出し続け──パキンッと音を立てて砕け散る。

 それにより棺は痛みに悶えるかのように咆哮を上げた。

 

「やはり、あそこが弱所!」

「硬い装甲を狙わず、此処を叩けば!」

 

 攻略点を見出した二人は笑顔を浮かべ──次の瞬間、マリアがセレナを抱えてその場を離脱した。すると、先ほどまで二人が居た場所を棺の腕が通り過ぎる。

 どうやら、まだまだ抵抗を続けるらしい。

 

「──だったら!」

 

 タイプ・ワイルドビーストの獣の如き速さで、響が棺の懐に入り込む。

 そして鋭い爪を形成し、棺の腕に裂爪の一撃を叩き込む。

 

「……!」

 

 切断することはできなかったが傷は与えた。

 しかし響の猛攻は止まらない。

 棺の周囲を動き回り、爪による攻撃を何度も何度も叩き込む。

 棺は響に翻弄され、反撃をする前に体勢を崩され、裂傷を負い、その場でたたらを踏む。

 

「──!」

 

 ──防衛、不可能。

 ──戦線離脱を選択。

 

 故に棺は最適解を選ぶ。

 棺は響の攻撃を無視して、海中へと潜り込んだ。

 

「なに!? 逃げた!」

「海の中だと歌えねーからギアの出力が下がっちまう──」

 

 棺の行動を見た翼が驚きの声を上げ、奏はその選択の有効性を評価し。

 

「──響以外ならな」

 

 しかしそれは無意味だと断言した。

 海中に逃げた棺を見て、響は己の力を変質させる。

 

「──融合!」

『ブイ!』

 

 響がコマチと手を繋ぐ。

 

「──進化!」

『──シャワ!』

 

 そして顕現するのは青き力。

 

「この手に優しき清浄を!」

 

 響のギアに呼応するように、大海が揺れ動く。そして……。

 

「──ガングニィィィイイイイルッ!!!!」

 

 ──ガングニール・アカシッククロニクル。

 ──タイプ・ストリームキュア。

 

 水と癒しの力を備えたガングニールを纏い、淡い青に染まった響は棺の後を追うべく海の中に入る。

 

「……!」

 

 棺は、まるで脱皮するかのように装甲を剥がすように調と切歌の拘束を抜け出していた。

 そしてそのまま逃げようとして──海の中に居るにも関わらず歌いながら迫る響に驚く挙動を見せる。

 もしこの棺に感情があるのなら、今感じているのは恐怖しかないだろう。

 棺は、突起物を生やしそれら全てを響に向けて射出し──響の体が溶け、全て回避される。

 

「──!?」

「水の中なら──この力は誰にも負けない!」

 

 海という大きすぎる水と一体化した響は──海を全て蒸発させる力でもないとダメージを受けない。

 響がクンッと人差し指と中指を上へと向けると、棺の周りで渦が発生し、そのまま海面へと押し上げられる。

 押し上げる海流。それが棺を海中から海面へ、海面から空へと追放した! 

 無防備に空中に漂う棺は──いつの間にか、響以外のシンフォギア装者とサンジェルマン達に囲まれていた──エネルギーをチャージした状態で。

 

「──今だ!」

 

 マリアの掛け声と共に、棺に向かって──波導が、妖精の風が、空舞う斬撃が、雷が、炎の弾丸が、レーザーが、魂を刈る鎌が、鉱物化させる弾丸が、光弾が、巨大な鉄球が、竜の息吹が、溶解させる毒が、水流弾が──炸裂した。

 それぞれの攻撃が相乗効果を起こし、大爆発を起こし、その中をタイプ・ワイルドビーストへとタイプチェンジした響が黒い拳を握り締める。

 

「うおおおおおおおおお!!」

 

 そして、そのまま弾丸のように突っ込み──。

 

「ぶち抜けえええええええ!!」

 

 棺の巨体のど真ん中に大きな穴を空け──機能停止に追い込んだ。

 

 

 ◆

 

 

「ひゃ~……シンフォギア、凄まじいゼ」

 

 そして、それを眺める少女が居た。

 彼女の名前はミラアルク。

 とある理由から棺の中に居る神を欲する者である。

 ミラアルクは、倒すには少し面倒だと思っていた棺を圧倒したSONGの手腕に舌を巻きながら──。

 

「なぁ、お前もそう思わないか──キャロル」

「ぐっ……」

 

 自分たちを見つけて強襲してきたキャロルを返り討ちにし、倒れ伏しているキャロルの顔をぐりぐりと踏み弄っていた。

 キャロルは、全身を血濡れにしながら何とか逃れようとし、しかし超常の力により動けずにいる。

 自分を睨むキャロルを「おー、怖いぜ」と言いながら、視線をもう一人の敵に向ける。

 

「お前はどう思う? なぁ、おい?」

「……」

「何か言ったらどうでありますか?」

「っ!」

 

 そのもう一人の敵を拘束している少女、エルザが力を込めると苦悶の声を出すが何も言わず。

 ミラアルクはそれにつまらなそうに鼻を鳴らし。

 

「──戯れはそこまでにしておけ」

「あ、ご主人」

 

 ふわりと頭からローブを被り顔を隠した少女が、ミラアルクとエルザの元に降り立つ。

 その少女を見たミラアルクは彼女を主と仰ぎ、キャロルは自分を負かした相手を強く睨み付けた。

 

(こいつは──何だ!?)

 

 何かしらの術を使っているのか、正しく認識できない。

 だがキャロルは直感でこいつはやばいと理解していた。

 ラピス・フィロソフィカスのファウストローブと完全聖遺物の力をものとしない──そんな存在はあり得ない。

 こんな化け物が存在しているのかと、キャロルは恐怖した。

 

「……」

 

 そして、そんな化け物は遠く離れた地に居る一体の獣を見つめ。

 

「──アカシア」

 

 彼女にしか理解できない感情を込めて、彼の名を呼んだ。 

 

今まで出てきたグループでどれが好き?パート2

  • 博士と最高傑作(ウェルキリカ)
  • 死を灯す永遠の輝き(錬金術師組と相棒達)
  • 陽だまりと太陽(響未来)
  • 雪解けの太陽(響クリス)
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