Fate/violent emotion   作:896

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#1 ランサー

ルーマニアにて赤と黒の陣営に分かれ聖杯大戦が行われた。結果として首謀者である黒の陣営である千年樹の一族の長であるダーニック・ユグドミレニアは死亡。冬木の大聖杯は消失。千年樹は衰退し、魔術協会も被害を被った。だが、世界では規模の差は変われど聖杯戦争は行われており、ユグドミレニアの負の遺産とも言えよう。

 

そんな中、魔術師達の間でこんな噂が流れ始めた。“日本の地方都市で亜種聖杯戦争が行われる”と言う物だ。あくまで噂であり一般人なら眉唾物、都市伝説だなんだと切り捨てる話であろう。だが根元を目指す魔術師に取っては一蹴出来る話ではない。時計塔の現代魔術科に所属しているアリシアも例外ではなかった。

 

現在、彼女は現代魔術科のロードであるエルメロイⅡ世の元を訪れていた。

 

「・・・アリシア嬢、悪い事は言わない。

聖杯戦争は危険だ。」

 

「いえ、参加します。気持ちは変わりません。」と金色の長い髪を揺らしアリシアは答えた。

 

はぁ、と溜息を吐き、エルメロイⅡ世はコーヒーを啜った。

 

「まぁ…無理には止めないとも。だが何かあったら連絡をくれ。出来る限り援助をしよう。」

 

「エルメロイ先生…ありがとうございます!いってきますね‼︎」と言うが早いかアリシアは部屋を出て行ってしまった。

 

「・・・すまない、コーヒーをもう一杯頼めるかな。」と後ろに立っていたグレイに声をかけた。

 

「はい!少々お待ち下さいね。」と言うとグレイは台所に向かって行った。

 

「日本の黒羽市か…彼女が無事に帰って来ると良いが…」そのことを考えると頭痛がするエルメロイⅡ世であった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ココが黒羽市ね。情報であった通りの地方都市と言った感じね。」心地良い風を感じながらアリシアは電車を降りた。

 

「さて、ホテルに行きますか!」と頬を叩き自分を鼓舞するアリシアなのであった。

 

駅から出るといくつかの高層ビルやデパートが立ち並んでいる。駅周辺のエリアは交通便が良いが駅から離れると住宅街が広がっており公園や図書館、学校と言った公共施設が点在しているのが黒羽市だ。

 

アリシアは駅からバスに乗り、閑静な住宅街である赤神町へと向かった。赤神町は黒羽市の中でも上質な霊脈が存在している。それを利用するのは勿論、此度の聖杯戦争に置いての中心となるであろう場所に居を置こうという考えもあったからである。

 

(亜種聖杯戦争は本来の聖杯戦争と違いイレギュラーが特に発生しやすいとされてるから細心の注意は払わないとね。)

 

そんな風に自分の右手に出来た令呪を見ながら物思いに耽っているとバスは赤神町へ着いた。虚を突かれたアリシアは慌ててバスから降りると自分の工房とする為に借りた一軒家へと向かった。

 

そこは2階建の家だった。バス停やスーパーなどと近いために選んだのだ。

 

一息つく間もなく家に着くやいなや自分の拠点とするための最低限持ってきていた生活用品や食品を棚に入れたり、結界を張るなどの支度を終える頃には陽が落ちていた。

 

「さて、と。召喚をしようかしら…」と言いながらアリシアは部屋のリビングに術式を描き始めた。

 

 

「ーーー告げる。

  汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

  聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。」

 

触媒は詩篇の断片だ。

 

「誓いを此処に。

  我は常世総ての善と成る者、

  我は常世総ての悪を敷く者。」

 

術式が段々と光を放ち始めた。

 

「汝三大の言霊を纏う七天、

  抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

術式が輝き、魔力の渦を起こしアリシアは目を閉じた。

アリシアが目を開けるとサーヴァントは召喚されていた。

 

その男は中世ヨーロッパ風の洒脱な衣装を羽織り、茶色のズボンを履いていた。目を引くのはその髪の色であり赤茶色をした髪に中折れ帽を被っていた。無精髭という訳ではないが剃っていないのが少々目立ちくたびれた印象を受ける。

 

男は自分の周囲をしげしげと見渡し、リビングにある棚や机を色々な角度から見ておりアリシアを気に留める様子も無いようだった。

 

その様子を見た、アリシアはムッとしながら「あの!貴方が私のサーヴァントですか?」と言葉の節々を荒げながら自分が召喚したサーヴァントに話しかけた。

 

「あぁ…申し訳ない。貴方が私のマスターか?」とサーヴァントは答えた。

 

「まぁ…別に良いわよ。貴方の真名とクラスは?」

 

サーヴァントは顎に手を当てながら思案しているようでマスターであるアリシアの周りをグルグルと周り観察している。

 

「な、なんなのよ⁈私をそういう目で見ている訳⁈」と顔を赤らめながらアリシアは言うがそれに気を留めることもなくサーヴァントはぶつぶつ呟きながら思案している。

 

「ふむ…あぁ、すまない。私は考え事をしていると周りが見えなくなるようだ。マスター、貴方と名前は?」

 

「アリシアよ。時計塔の現代魔術科に属してる。」

 

「了解した。アリシア、君が名乗ったからには私も名乗るのが道理という物だ。」とサーヴァントは顎に手を当てながらニヤリと笑って言葉を続けた。

 

「ランサー、シェイクスピア。よろしく頼むよ?マスター、貴殿は最弱のサーヴァントを呼び寄せた。誇るが良い‼︎」

 

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