Fate/violent emotion   作:896

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#5 妖館の主人

時は遡りライダーが召喚される前に戻る。

アーチャーは森を駆けていた、彼の右手の甲には令呪が薄く輝いていた。背後からは自分を召喚した魔術師が追って来ている。

 

(マズイな…私が単独行動のスキルを持っているからと言っても魔力の供給が絶たれている状態で全力を出すのは無理だ。)

 

アーチャーは右手に光る令呪を一瞥すると自嘲気味に笑った。

 

「令呪なんぞ盗む物ではなかったかな…だが、ココで捕まっては一族の名が泣くという物だ!」

自分を奮い立たせ木から木へと飛び移る。

 

「逃さぬぞ、アーチャー‼︎」と魔術師が言うと空中を舞うアーチャーに向けてガンドを放った。

 

「何ッ⁈」アーチャーは回避しようと空中で身体を捻った。急所に当たらなかったものの足に被弾をしたアーチャーはバランスを崩しゴロゴロと転げ落ちた。

 

「追い付いたぞ、アーチャー!どのような手を使い私の令呪を奪ったかわからんが…使い魔の癖に付け上がったな‼︎」と魔術師は地面に横たわるアーチャーを空中から見下ろした。

 

(ここまでか…)彼が死を覚悟した時

 

「貴殿大丈夫か?」とアーチャーに声をかける人影が現れた。月光によって光り輝く色素の抜けた髪に生気を感じさせない白い肌、幼さを残す声、全身を黒いロリータで着飾った少女であった。

 

「なんだ?この子供は?どこから現れた?」と魔術師は忌々しそうに呟いた。

 

「まぁ、いいお前はココで死ぬのだからな!」と魔術師は言うが早いがガンドを

放った。

 

アーチャーは「危ない‼︎」と言うと怪我をしている足を物ともせず少女を抱き抱えるように避けようとした。

 

「遅い‼︎」

 

瞬間、アーチャーと少女にガンドが炸裂、臓物を雷が焼き、その威力によって骨をも残さず四散した。

ーーはずであった。強固な魔術障壁によって魔術師が放ったガンドは防がれた。

 

少女はアーチャーの顔をペチペチと触りながら「何が危ない‼︎、だ。お主、足を負傷しているぞ。人を気遣う前に自分の身体を気遣ったらどうだ?」と言った。

 

アーチャーは目を見開きながら「お嬢さん…君が防いだのかね?」と尋ねた。

 

「当たり前だ。それ以外に何があるのだ?コレでも魔術師ぞ。」と悪戯っ子のように笑い、アーチャーの目を見た。

 

「さて、お主は中々“好い男”のようだ。さて、『妾の庭』に入り込んだ邪魔者には退出頂こう…」と少女が言うと彼女の眼は翡翠色に光り始めた。

 

「ぐっ…なんだコレは⁈」と叫んだ魔術師の方を見てみると彼は体中を植物の蔓のような物で覆われていた。

 

「お主は妾の庭の養分となれ。」少女がそう言うと蔓はグンと引き締まり、魔術師はか細い声を上げ圧死した。蔓の束からはポタポタと血が滴り落ちている。

 

そうじゃ、と少女がアーチャーの腕から降り立ち、スカートの裾を持ち上げならお辞儀をした。

 

「妾の名は“とどめき”この妖館の主じゃ。歓迎するぞ、御客人。」とニカッと笑った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

とどめきと名乗る少女に連れられ、アーチャーは妖館の中に入った。外から見ると寂れて蔓が這っていたが中に入ると手入れがされていた。応接室にアーチャーは通され、とどめきは紅茶を取ってくると言いソファーに座るよう勧めた。

 

アーチャーは暖炉の上に置かれた陶器をしげしげと眺めていた。

 

「おや、陶器に興味があるのか?」ととどめきはソファーに座りながらも暖炉の上の陶器を注視するアーチャーに言った。

 

「失礼…美術品には何かと縁がございましてね。」とアーチャーは恥ずかしそうに言った。

 

「良い良い…さて、紅茶が冷めてしまう。」と言うと彼女は紅茶を淹れ始めた。

 

紅茶を淹れ終え、アーチャーの前に差し出すと彼女は目を細めながら「貴殿、何故妾の庭にいた?そして何故追われている?」と言った。

 

彼女は虚言を許さないと言うような気迫であったためアーチャーは一呼吸置いてから聖杯戦争について語り始めた。

 

アーチャーの話を一通り聞き終えるととどめきは紅茶を少し飲み、コップを置いた。

 

「聖杯戦争…か。聞いたことがないのう…

アーチャー、あの男は貴殿のマスターなのであろう?マスターが死んだのにも関わらず何故、現界出来ている?」

 

「それは私の能力でね…令呪を盗ませてもらったんだ。」とアーチャーははにかみながら自分の右手にある令呪を見せた。

 

「ーーその令呪、妾にくれないか?」

 

「・・・ミス.とどめき。私は貴方を聖杯戦争に巻き込みたくない。」とアーチャーは低い声で言った。

 

「マスター、とやらがいなかったらアーチャーはお前は消えるのだろう?妾はそれが嫌だ。」ととどめきは言った。

 

「それに妾1人でこの妖館で暮らすのは少々寂しいものがある。痛いけな少女を放置して置くのは心苦しいのではないか?『怪盗紳士』殿?」

 

はぁ、と長い溜息をアーチャーは吐くと「どこで気付いた?」と尋ねた。

 

「なんとなく、だ。それよりもアーチャー、その聖杯とやらを手に入れたいのだろう?」

 

「勿論だ。『怪盗紳士』として聖杯は手に入れなければならない。よろしく頼むよ、マスター。」

 

「クフッ♪妾よろしく頼むぞ、我がサーヴァント、アーチャー 『アルセーヌ・ルパン』よ‼︎」

 

ーーーそして夜は更けていく…

 

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