Fate/violent emotion   作:896

9 / 14
#9 バーサーカー

「クソッ…クソッ!何で俺がこんな目に!」

神経質そうな針金のように細い男。マグナス=ユグドミレニアは罵倒をしながらヨタヨタと下水道を歩いていた。

 

「“八枚舌”のダーニックがなんだ…クソッ!しくじりやがって!お陰でユグドミレニアは没落したッ!」と苛立ちを隠さず頭を掻く。

 

「だが、だが…俺には令呪があるんだ。」と自らの右手の甲に浮かぶ令呪をウットリと眺める。

 

「俺には!才能が!あるんだ!」と叫びながら召喚の準備をし始める。

 

「ーーー告げる!

  汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

  聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。」

 

 「誓いを此処に。

  我は常世総ての善と成る者、

  我は常世総ての悪を敷く者。

 

  汝三大の言霊を纏う七天、

  抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

 

詠唱を終え、下水道内を光が眩く照らす。

マグナスの前には1人の男が立っていた。

 

身長は180ぐらいと大柄で和装の男だ。背中には大きな瓢箪を背負っている。

 

「お前が俺のサーヴァントだな?真名はなんだ?どんな英霊だ?」と興奮気味に話しかけるが彼が反応する要素もない。

 

「クソッ…無視してる訳じゃねぇな…そもそも認識してねぇのか?」と愚痴を零しながら自らのサーヴァントのステータスを確認する為に魔術を使用する。

 

「クラスはバーサーカーか…魔力が足りない俺では心許ないな…真名とパラメータを…」

 

バーサーカーの情報を見たマグナスは驚愕の余り、一時呼吸をするのを忘れていた。

 

ワナワナと震えながら自らのサーヴァントを見ながら思わず声を零した。

 

「なんだコイツ…正規の英霊なのか?」

 

「筋力A 耐久B 敏捷B 魔力B 幸運E…⁈バーサーカーは本来弱い英霊を強化するためだろ…」

 

(ーーコイツなら勝てる)

 

マグナスはそう確信しほくそ笑んだ。

 

「ふはは…はははは!俺がユグドミレニアの次期当主だ!」とマグナスはヒステリックに笑った。

 

バーサーカーは虚ろな目で虚空を見上げながら背中に背負った瓢箪の掴み、中に入った酒をぐびぐびと呑んでいた。

 

「魔力が問題か…ふふ、ふふふ…一杯いるじゃないかこの町に…」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

集いしサーヴァントは7騎。

これより聖杯戦争を開始する。

全ては我々の計画通り。

主の願いを達成するのだ。

全ては神のみぞ知る。

ーー否定。

我らがシナリオこそ物語の結末なり。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

[赤神町 逢仁高校屋上]

教員である絹川昭博は職員室でこっくり、こっくりと舵を漕いでいた。7月の終わり、夏休みのため生徒達は学校にはいない。今夜の夜勤の担当は彼だけであり、他の教員もいないのだ。がくりと崩れ、机に額をぶつける。

 

「あぁ…痛え。夜勤は俺だけだしサッサとクーラーをかけて、布団に潜り込むか。」

 

時計を見ると7時であり、陽はそろそろ落ちようとしている。生徒もこんな時間には来ないだろう。サッサッと夏にやるべき仕事を今のうちに終わらせてしまおう。そう思い仕事は再開する。

 

彼が床に着いたのは9時ごろであった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

0時を回った頃、校庭にはカウボーイハットを被った人影が佇んでいた。ライダーである。彼はヴィクターの指示により自ら校庭に姿を晒すことで敵のサーヴァントと一騎討ちをさせようと言うからである。

 

(一騎討ちか…愚作だな。騎士道などはよくわからないが場合によっては引くのもアリ、か。)

 

ライダーは一騎討ちを行うにしても必ず横槍が入ると考えていた。その為、混乱に乗じて逃走。敵のサーヴァントの情報さえ手に入れば御の字だと考えていた。

 

(どうにも俺とマスターの相性は悪いらしい)

 

月を見つめながら煙草を吸っていた。

 

「おや誰だい、アンタ?」

 

ライダーが声を投げかけたのはバーサーカーであった。ライダーと向かい合うように立っている。あいも変わらず虚構を見つめている。

 

「・・・俺のことを認識していない、か。」

ライダーはそう呟きつつ、2本目の煙草を吸い始めるがいつでも行動出来るようにバーサーカーから目を離さない。

 

《さぁ!バーサーカー!お前の力を見せつけろ!》とマグナスは念話でバーサーカーに命令をくだした瞬間、彼はライダーに向かって躍りかかった。

 

ーー今宵、聖杯戦争の幕が上がる!

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。