呪詛師殺しの僕(完)   作:藍沢カナリヤ

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第16話 両面宿儺

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6月某日。

宮城県仙台市杉沢第三高校にて。

二級術師・伏黒恵の任務中、同校生徒・虎杖悠仁が特級呪物『両面宿儺の指』を取り込み、『両面宿儺』が受肉した。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

そのことを知らされたのは、『赤マント』の件が終わってから一週間ほどが経ってからだった。

 

 

「『両面宿儺』……?」

 

 

任務に向かう途中の新幹線の中で、僕は隣に座る紡ちゃんにそれを尋ねた。

なんか聞いたことがあるような……。

首をかしげていると、紡ちゃんが答えるよりも先に、後ろの席に座っていた針倉術師が体を座席の上から乗り出してきて答える。

大変行儀が悪く、大人がする行動ではないが……まぁ、聞こう。

 

 

「『両面宿儺』は大昔に実在した最凶最悪呪術師さ。二対の眼に4本の腕をもつ異形の術師」

 

「呪術全盛期だったその時代の呪術師が総力をあげて挑み、敗北した化物。死してなおその遺骸ですら破壊できない、そんな正真正銘の『呪いの王』」

 

 

私たちなんて足下にも及ばない化物だよ。

その気になれば、人間なんて一瞬で滅ぼせるレベルのね。

針倉術師はそう言って笑った。

 

 

「それが受肉……蘇ったってことか」

 

「正解」

 

 

詳しい経緯は分からない。

けれど、そんな化物が蘇ってしまったならーー

 

 

「終わりだ、って思ったかい?」

 

「……はい」

 

 

神妙に頷く。

だが、針倉術師はそれを一笑に付した。

 

 

「その『呪いの王』だけどね、なぜか一人の少年に抑え込まれているらしいよ」

 

「は?」

 

 

なにかの冗談かと思って、紡ちゃんの方を向いても彼女も頷いている。

どうやら本当のことらしい。

 

 

「件の虎杖という少年ですけど、どうやら『両面宿儺』を取り込むことができ、その上で自我を保てる『器』の可能性があるみたいです」

 

「……そんなことがあるんだ」

 

「いえ、普通はないと思いますよ。この件を受けて、本家で『両面宿儺』に関する資料も調べてみましたけど、『彼』の死後そんな存在が現れたって記述は見たことがありません」

 

 

あり得ない存在って訳さ。

だから、上層部も揉めているようだねぇ。

針倉術師は愉快そうにまた笑う。

上層部……いつだったか聞いた呪術界も一枚岩ではないって話か。

 

 

「その少年を秘匿死刑にすべきっていう保守派と指を全部取り込ませてから死刑にすべきって派閥があるらしいです」

 

「針倉さんの情報によれば、全部取り込んでからという意見に押し切られる流れのようですが」

 

 

どちらにしても死刑か。

物騒な話だけど、まぁ、分からないではない。

誰も敵わない『両面宿儺』なんていう化物を宿す少年の存在。

今は制御できているとはいえ、この先それがどうなるかも分からない。

制御できなくなる可能性も考えると、今すぐっていうのも納得はいく話だ。

確かに罪のない少年を殺すっていうのは罪悪感もあるんだろうけど、むしろ指を全部取り込ませてから、って考える方が恐ろしい。

そんな考えの派閥があることに正直驚かされている。

 

 

「あぁ、派閥とは言っても御三家のうちのひとつがそれを主張しているだけ……というよりは約一名か」

 

 

一人?

その人の意見で、コントロールできなくなるリスクを黙殺されるのか。

それほどの人物って一体……。

僕の疑問に先回りして、紡ちゃんが答える。

 

 

「五条悟」

 

「四人しかいない特級呪術師の一人です。虎杖という少年が生かされているのは彼の意見によるものだそうです」

 

 

五条悟。

特級呪術師。

特級というのがどれほどのものかピンとはこないけど。

 

 

「『無下限呪術』や『六眼』、おまけに『領域展開』まで会得している化物」

 

「?」

 

「そうだねぇ、簡単に言えば唯一『両面宿儺』と渡り合える可能性がある現代最強の呪術師ってところかな」

 

「……それは……なるほど」

 

 

その五条なる人物が抑止力となることで、虎杖少年の即死刑を回避したというわけか。

随分リスキーな話だと思ったけど、力量が並外れているなら納得はいく。

 

と、ここまでは前置き。

ここからが本題、僕たちの目的地に関する話だ。

 

 

「……まぁ、その『両面宿儺』については分かったけど、それとこの任務についてはなんの関係が……」

 

「え、長月ちゃん、針倉さんから説明されてないんですか?」

 

 

紡ちゃんの問いかけに頷く。

 

 

「針倉さん」

 

「ん? 説明なんて現地に着いてからでいいだろう?」

 

「よくありません! 任務前にはそれに関する情報を確認するものじゃないですか!」

 

「そう? 私はその辺は適当だけどねぇ」

 

「貴方は適当すぎます!」

 

 

久しぶりに見たなぁ、このやりとり。

なんて変な感想を抱いている

 

 

「しょうがないなぁ、教えておくね」

 

「今回の任務は特級呪物『両面宿儺の指』の回収」

 

「そしてーー」

 

 

 

ーーパァァァンッーー

 

「っ、なに!?」

 

 

突如鳴り響く爆発音。

何が起こったかは分からないけど、座席から立ち上がり、臨戦体勢をとる。

だが、紡ちゃんと針倉術師がそんな僕を制して前に出た。

 

 

「早速来たねぇ」

 

「はい。長月ちゃん、改めて話しておきます」

 

 

 

「今回の任務は『両面宿儺の指』の回収」

 

「そして、貴女の護衛です」

 

 

次作でもアンケートとってますが、主要キャラ落書き(デフォルメ絵)してもいいですか? ※未経験者なので雰囲気だけ伝わればよいものとする

  • よい・やってみせよ
  • 完結したんだからNG
  • いや、むしろ私が書こう(有能絵師)
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