ーーーー秋葉原駅ーーーー
僕が呪霊を取り込んだ1週間後。
帳を下ろした秋葉原にて、僕と彼女はもう一度顔を合わせた。
「や」
黒野堀明。
僕にカレーソースを作ってくれたいいギャル。
デニムのスカートと白のオフショルダー。
……いや、呪詛師退治の格好ではないし、この場所にそぐわないことこの上ない。
「きぐーじゃん」
「ああ、うん」
今回ここに集められた理由を考えると奇遇でもなんでもないが。
「長月ちゃん、この方は?」
と僕に声をかけた黒野堀さんを見て、訊ねる紡ちゃん。
「あぁ、少し前に僕が呪霊を取り込むのに立ち会ってくれた人」
「ん、よろー」
スマホをいじりながらそう言う黒野堀さん。
悪い人ではないんだろうが、この感じだから誤解されるんだろうな。
なんて、人付き合いの苦手な僕が言えた義理はないけど。
「えぇと、よろしくお願いします……」
「んー」
辺りを見ると、少し離れたところに針倉術師。
変な形の眼鏡をかけた男性と一緒に何かを話している。
スーツ姿のその男性は、こちらをチラリと見て軽く会釈をした。
それにこちらもお辞儀を返す。
「……紡ちゃん、あれは?」
「あぁ、一級術師の七海さんですね」
軽薄が服を着て歩いているような針倉術師とは対照的な印象を受ける。
しっかりした大人の雰囲気。
なにやら二人は険悪な様子だった。
「……あまり仲は良くないようですよ。私も詳しくは知りませんが」
「そっか」
正直あまり興味はない。
関係性云々よりも今は顔と術式を一致させるので精一杯だ。
なにせ今回は、二人の呪詛師との戦闘が僕の仕事なのだ。
ーーーー回想ーーーー
「『膿腕』に紡ちゃんの『呪言』は効かない」
「だから、紡ちゃんは長野桜に当てる」
合理的ではある。
だけど、それはあまりにもリスクが高い。
「相手の真意も実力も分からない以上ーー」
「あー、はいはい。その辺は折り込み済みだよ、私をあまり舐めないでほしいねぇ」
「…………」
僕の言葉を遮って、手をヒラヒラと振る針倉術師。
「さすがに他にも応援は要請してあるよ。一級が1人に準一級が2人と二級1人、あとは私と君たち2人」
「合計7人、ですか」
呪詛師2人に対しては過剰戦力。
なら……いいか。
「長野桜には、一級術師と準一級2人、そして、紡ちゃん」
「『膿腕』には、私と二級1人」
勝手だが合理的といえば合理的な割り振り。
って、あれ?
「僕が入ってないのは……」
「ん? あぁ、君は囮だからね」
囮。
つまり、どちらにも参加しないってことか?
そんな僕の予想は悉く外れて、
「長月ちゃんはどっちにも参加してくれればいいよ」
「戦局を見て、適当にね」
無茶苦茶なことを言われた。
経験の浅い三級術師に戦局を見ろとか……。
ーーーーーーーー
「これならどちらかに配置された方がよかった」
ボソリと呟く僕に、黒野堀さんが声をかけてくる。
「まー、かったるいし、早めに切り上げよ」
「……あぁ」
そう言うと彼女は大通りの方に向かっていった。
確か彼女は対『膿腕』のグループだったはず。
針倉術師も駅を出て大通りへ向かっていたから、打ち合わせでもするのだろう。
かったるくても仕事はする。
その姿を見て、この間彼女がそう話していたのを思い出した。
ーーブブッーー
「!」
不意にスマホが震えた。
画面を見ると、メッセージが一件来ている。
送り主は針倉術師の他に来ている2人の準一級のうちの1人。
策敵ができる呪術師だという話だった。
その彼からメッセージが来たということは……。
「……来たってことか」
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呪詛師の呪力感知
長野桜 日比谷線ホーム
膿腕 大通り神田駅方面より
各員持ち場へ
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そのメッセージで全員が動き出した。
秋葉原駅から日比谷線ホームへ七海術師や紡ちゃん、2人の準一級。
恐らく大通りにはもう針倉術師と黒野堀さんが待機しているだろう。
さて、僕はどうするか……。
「…………とりあえず『毒蟲』で策敵でもするか」
正直、呪力はある程度残してはおきたい。
まだ『呪霊操術』を使いこなせていない僕には、呪霊自身での呪力の自己補完は難しい。
僕に入り込んでいるかもしれない奴の存在も無視できない。
だから、策敵ができるという準一級の術師に任せていたけど、戦闘に入ったなら話は別だ。
フリーで動ける僕がある程度『毒蟲』で策敵をーー
ーーブーッブーッーー
再度感じた震動に掌印を結ぶのを中断する。
また何かの情報かと思い、画面を見れば、長野桜を迎え撃つために日比谷線のホームへ向かった紡ちゃんの名前がそこにはあった。
「はい」
すぐに通話に応じて、用件をーー
「準一級術師2名が裏切りましたっ! あのメッセージは嘘偽りですっ」
「は!?」
「長野桜と『膿腕』は、秋葉原駅の長月ちゃんの近くに来ているかもーー
ーープツンッーー
通話が唐突に切れる。
画面には圏外の表示。
……合流しなくては。
スマホをしまうと同時に、紡ちゃんではない声が無人のはずの秋葉原駅に響く。
「久しぶりじゃ、菅谷長月」
戦局を見て動け。
そのタイミングは想定よりもずっと早く来てしまったらしい。
僕の前には、2人の呪詛師が立ち塞がっていた。
「最悪だな……」
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次作でもアンケートとってますが、主要キャラ落書き(デフォルメ絵)してもいいですか? ※未経験者なので雰囲気だけ伝わればよいものとする
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よい・やってみせよ
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完結したんだからNG
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いや、むしろ私が書こう(有能絵師)