呪詛師殺しの僕(完)   作:藍沢カナリヤ

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第34話 仮住ー壱ー

ーーーー仙台市 仙台駅前ーーーー

 

 

4人での任務。

それはいつか中断された『両面宿儺の指』の回収だった。

指があるという仙台へ赴いたんだが、

 

 

「なぜ僕は1人になってるんだ……」

 

 

仮にも4日前まで拐われてたんだけど、僕……。

その辺り、あの人も適当だ。

黒野堀さんもこっちでしか売っていない限定品を買いに行くとかで別行動だし。

もう1人は……。

 

 

「呪霊使いなんかと2人でいられるかよ」

 

 

そう言い残し、どこかへ消えた。

協調性の欠片もないメンバーである。

まぁ、かく言う僕も自分の予定を済まそうとしていたから、人のことは言えないんだけど。

 

 

「不動産屋……初めてくるな」

 

 

仙台駅前のある不動産屋の前に立つ僕。

今、紡ちゃんのところには戻りにくい。

だからと言って、高専にいつまでもいるのは嫌だ。

なら、仮でいいから自分の暮らすところを探そうという算段だった。

ある程度任務もこなして、貯金もある。

それにここなら実家にもそれなりに近いし。

 

 

「……問題は未成年に部屋を貸してくれるところがあるか、か」

 

 

ポツリと呟いて僕は不動産屋の扉をくぐった。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「成人されていない方にはちょっと……」

 

 

カウンター越しの男性はそう言った。

まぁ、そりゃそうだよな。

1人で不動産屋を訪れる女子高生なんて、家出かそれに準ずるものに決まっている。

そんなのに部屋は貸せない。

 

 

「せめて保護者と一緒なら話は別だけど」

 

「…………」

 

 

保護者、か。

なんならここでばあちゃんに電話をしてーー

 

 

 

「それなら呪術師が一緒ならどうですかね」

 

 

 

僕と不動産屋の男性の話に割り込むように、僕の後ろから割り込んでくる声。

この不愉快な声は、

 

 

「……針倉術師」

 

「やぁやぁ、奇遇だねぇ。長月ちゃんもお部屋探しかい?」

 

 

そう言って、彼は僕の隣の席に座った。

勿論それを怪訝な目で見る男性。

まぁ、そりゃそうだ。

 

 

「あれ? もしかして話通ってない?」

 

「…………は、はぁ」

 

「おーい、店長! 店長!」

 

「ち、ちょっとお客様っ!?」

 

 

迷惑なことこの上ない。

目の前の男性には同情する。

 

少しして、店の奥から年配の男性が小走りでやってきた。

どうやら店長らしく、針倉術師の顔を見て、すぐに僕と針倉術師は店の奥の事務所らしき場所に通された。

 

 

「…………こんなに早くに来ていただけるとは思いませんで」

 

「まぁまぁ、こんなところで話してても埒があきませんからね。早速、紹介してくださいよ」

 

「は、はい」

 

 

正直、話に置いてけぼりを食らっているんだが……。

そうして流されるまま、僕は店長の運転する車に乗せられて、どこかへと向かうことになった。

 

 

ーーーー仙台市郊外ーーーー

 

 

 

「で、ここは……?」

 

「ん? お化け屋敷」

 

 

と雑な説明をされる。

目の前にあるのは一軒家。

そこまで築年数も経っていないように見えるここがお化け屋敷……?

そうは思ったけれど言われると……なるほど。

目を凝らして見れば、残穢がそこらじゅうにびっしりとこびりついていた。

 

 

「針倉術師、ここ死体でも埋まってるんですか」

 

「フフッ、そんな可愛いものならよかったんだけどねぇ」

 

「?」

 

 

意味深な発言。

死体が可愛い……ねぇ。

 

 

「あ、あの……私は車でお待ちしていてもよろしいですか?」

 

「ん? あぁ、そうだねぇ、除霊してる間は適当に時間を潰しててもらって構わないですよ」

 

「は、はい」

 

 

そう言って僕たちを乗せてきた車に戻る店長。

同時に、

 

 

ーーゴォォォォンッーー

 

 

轟音が辺りに鳴り響く。

その音は彼が乗り込んだ車が爆発した音だった。

 

 

「来たよ、長月ちゃん」

 

 

針倉術師の視線の先にいたのは、呪霊。

しかも、一匹じゃない。

二匹、三匹、どんどん増えていく。

まるで、何かに惹き付けられるように集まってきている。

これはもしかして……いや、恐らくこれが前に聞いてきた例の……。

 

 

「針倉術師」

 

「なんだい?」

 

「この家に『両面宿儺の指』があるってこと?」

 

「フフッ、ご名答」

 

 

ご名答、じゃない。

本当にこの人は重要なことを説明しないな。

今更ながら腹が立ってきた。

だが、この怒りをぶつけるのは後。

今は目の前に集まり続けている呪霊を祓うのが先だ。

 

 

「『毒蟲』」

「『赤マント』」

 

 

掌印を結び、呪霊を呼び出し放つ。

恐らく等級は低い。

このくらいなら問題ないな。

 

 

「いやはや、様になってきたねぇ」

 

「…………」

 

 

軽口を無視して呪霊狩りを続ける。

針倉術師曰く、僕の『呪霊操術』は手数が強みという話だ。

だから、本来であれば低級とはいえ数を取り込んだ方がいいらしい。

だが、正直、あんなまずいものを口に入れたくない。

その結果、今の僕の手札は圧倒的に少なかった。

『毒蟲』、『赤マント』、『惑夢蝶』

そして、詳細の分からない『紫鏡』関係のもの。

幸いどうにかそれでやってこれたけど。

……っていけない。

意識が反れていた。

集中しなくちゃ。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

有島哀が任務先の一軒家に着いたのは、針倉と長月を連れてきた不動産屋の車が爆発したすぐ後であった。

これ以上は恐ろしくて近づけないと言って、彼を降ろしたタクシーの運転手に舌打ちしながらも、彼は任務遂行のため、一軒家に足を向けた。

勿論、そんな彼を監視する視線には気づいている。

 

 

「おい、こそこそ隠れるな、うっとうしい」

 

 

その言葉に観念したのか、物陰から出てきたのは、黒野堀明であった。

 

 

「どうせ楽が裏切って、その兄である俺にも疑いが向いてるんだろ。その監視役がお前って訳か」

 

「んー、ま、そんなとこ」

 

 

軽く肯定し、黒野堀は有島を自身のスマホのカメラで写す。

それを操作し、どこかへその写真を送っているようだった。

 

 

「どこの指示かは知らねぇが、安心しろ。あいつと俺は犬猿の仲だ。あいつが裏切ったなら俺は絶対に裏切らねぇよ」

 

「そ」

 

「……チッ」

 

 

いまいち温度を感じない応答に苛立つ有島。

だが、今の彼には、それの優先順位は低い。

監視をされていようが関係ない。

彼は彼自身の信条にのみ沿って動く。

 

すべての呪いの祓除。

それが彼の信条であり、生きる意味。

目に入るすべての呪霊を憎み、祓うのが、有島哀という男であった。

彼にとっては、術師の支配下にある呪いも、自然発生の呪いも変わらない。

 

 

 

「呪いは皆等しく殺す」

 

 

 

彼はマスクの下でそんな言葉を発した。

その言葉は彼以外には聞こえない。

 

 

ーーーーーーーー

次作でもアンケートとってますが、主要キャラ落書き(デフォルメ絵)してもいいですか? ※未経験者なので雰囲気だけ伝わればよいものとする

  • よい・やってみせよ
  • 完結したんだからNG
  • いや、むしろ私が書こう(有能絵師)
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