ーーーーF県 石木町ーーーー
紡ちゃんに連絡をとろう。
そう決めた僕は、早速彼女にメッセージを送っていた。
ただ、仙台市内で秘密裏に落ち合うのは、土地勘のない僕にとっては難しい。
だから、自分の地元まで帰ってきていた。
途中、追手らしき呪術師の姿は見かけたが、呪力を限界まで絞り出して一般人と大して変わらない呪力量になったのが幸いしたのか、どうにか電車を乗り継ぎ帰ってこれた。
「久しぶり……というにはそこまで経っていないか」
僕が紡ちゃんに出会って、呪術の世界に入り込んだのが5月だから、たかだか2ヶ月。
ただ、その日々はかなり濃かった。
殺されかけたり、この世のものと思えないものを口にしたり。
それに、人を殺めたり。
「…………」
罪悪感は、正直薄い。
他人で悪人。
そんな人を手にかけたところで……。
「っ」
不意に紡ちゃんのあの姿がフラッシュバックする。
壊れたように笑いながら『才羽』を殺した彼女の姿。
「いや……今は止めよう」
それは棚に上げておく。
母親のことも、だ。
自分の思考を断ち切るように、スマホに目をやる。
今は午前10時半少し前。
もうすぐ彼女を呼び出した時刻になる。
場所は町にあるチェーン店のスーパーの中。
ここなら追手が来たとしても、人目があるから下手に襲ってこれないだろう。
そう踏んでのことだった。
「…………紡ちゃん、来るかな」
菓子売場で時間を潰す。
懐かしい卵形のチョコレート菓子を手に取ったところで、声をかけられた。
「あの……」
「!」
そちらへ振り返ると、すぐ隣に男の子が僕を見上げていた。
子供は苦手なんだけど……。
「……なに?」
「あの、これ……渡してって言われた」
そう言って、男の子は僕に紙切れを渡してきた。
とりあえずありがとうとだけ言葉を返し、その紙切れを見る。
「外で待ってます」
それだけが書かれていた。
彼女だと気付き、僕はスーパーの外へ歩き出す。
2つの出入口のうち西側の方へ。
このスーパー自体そこまで大きくはないから、紡ちゃんがどっちにいたとしても問題ないだろう。
「紡ちゃんは……」
外へ出てすぐに辺りを見回す。
そして、目が合う。
「あっ」
「……よう、呪霊使いの人殺し」
最悪の人物ーー有島術師と。
……まずい。
やはりというか、この人も僕の追手の1人。
マスク姿の彼が刀を構えたまま走ってくる。
ヤバい!?
っていうか、周りの人はなんでこんな危険人物に反応しないんだ!?
「『毒蟲』ッ」
ーーゾゾゾゾッーー
蟲を飛ばす。
だが、相手は準一級。
それにも対応してくる。
「一回やっただろうよ、それは」
ーーシン・陰流 抜刀『不知火』ーー
まるで火が搔き消えるように、蟲が散っていく。
「それに、俺の前で呪霊使いやがったな」
「っ!」
一度抜いた刀を再び鞘に戻し、こちらへ再度向かってくる有島術師。
彼との距離は約50メートル。
くっ、本当は呪力を残しておきたかったけど、仕方ない。
掌印を結び、呪力を込める。
「来い、『惑夢蝶』!」
「………………え?」
術式が発動しない!?
呪力量は足りてるはずなのに!
……いや、考えるな。
今は思考よりも反応しろ!
このままじゃーー
「報いを受けろ、呪霊使い」
ーーーーブンッーーーー
「っ」
確実に斬られる。
そう覚悟して、呪力を身体中に張り巡らせていた僕に、覚悟していた痛みは来なかった。
「…………あれ……?」
恐る恐る目を開ける。
目の前にあったのは予想もしていなかった光景だった。
それは、刀を降った有島術師とその前に立つ男の子。
あの子はさっき僕に手紙を渡した子だ。
「おい」
「こんにちは、おじさん。ボク、お手紙ちゃんと渡したよ」
「……ガキ、お前何者だ、あぁっ!?」
有島術師にとっても、僕にとってもイレギュラーな存在。
後から聞いた話だが、このスーパーの周りには『帳』が下ろされていたようだった。
この『帳』は、一般人が入ってくるのを防ぎ、僕の認識を狂わせる効果をもったもの。
だから、スーパーの中に人がいないことは勿論、それを僕は認知できていなかったという。
つまり、人気がないところを避けたつもりで、僕は待ち伏せされ、人気のない場所に誘導されていたというわけだ。
そんな中、『帳』の内側にいて、僕を外へ呼び寄せた男の子。
有島術師の刀を受けて……いや、刀で腕を斬られている少年の正体を、僕は何となくだけど悟っていた。
「……お姉ちゃんを苛めちゃダメだよ、おじさん」
「あぁっ!?」
そう言って、少年は上着のポケットから何かを取り出した。
そして、
「そんなに呪霊が好きなら、好きなだけ相手してもらうといいよ」
少年は赤い色をした『それ』を有島術師に投げつけた。
煙と共に『それ』は破裂し、辺りを煙で満たす。
その一瞬で、僕は少年に連れられ、その場を脱出した。
ーーーー石木小学校内ーーーー
今度こそ人目につく場所ーー平日の小学校の校舎内で、僕は掴まれていた少年の手を振り払った。
そして、訊ねる。
「なんのつもり?」
その質問に、少年はにっこりと笑い、首を傾げる。
あの出来事の後でなければ、誤魔化されていただろうけど、今は流石にそうはいかない。
「ここに逃げ込んだ理由? ここなら、流石にあのおじさんも襲ってこれないでしょ?」
「そうじゃない」
「……じゃあ、お姉ちゃんを助けたこと?」
少年の言葉に黙って頷く。
なぜ僕を助けたのか、なんのつもりで……?
「なんでだと思う?」
「…………計画のため?」
「フッ、ご名答じゃ」
口調が変わった。
聞いたことのある古風なもの。
そうだ。
少年の姿をしてはいるが、彼女はーー
「『無常』」
その名を口にした途端に、姿が変わる。
少年の姿から長野桜の姿へ。
「その術式……」
「ん? あぁ、言ってなかったか。儂の『変身』は人間の一部を取り込めば、その人間になれる。そういうものじゃよ」
術式の開示。
それで思い至る。
前に補助監督や鈴木が殺されたのは、彼女の『変身』に利用されたってことか。
「…………さっきの男の子も殺したってわけか」
「ん? いやいや、あれは幼い頃の『才羽』じゃ。流石に儂も小さな童を殺すようなことはせんよ。たぶんな」
「………………」
「とかく、菅谷長月。呪術師から追われているそうじゃな」
頷く。
「ならば、儂と来るといい」
「は?」
「儂はまだお主を殺されるわけにはいかん。お主は当面の安全を確保できる。儂は菅谷長月という手札を手元に置いておける」
「…………」
「悪い話ではあるまい」
その申し出に、僕はーー
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次作でもアンケートとってますが、主要キャラ落書き(デフォルメ絵)してもいいですか? ※未経験者なので雰囲気だけ伝わればよいものとする
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よい・やってみせよ
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完結したんだからNG
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いや、むしろ私が書こう(有能絵師)