ーーーー石木町 菅谷家ーーーー
「心中お察しいたします」
補助監督の佐木さんが、長月ちゃんのおばあさんにそう伝えていた。
長月ちゃんが容疑者として追われている。
ここに連絡をしてくる可能性があるから、刑事である我々がここで張り込んでいる。
そんな設定で、私はここにいます。
「……まさかお嬢ちゃんが刑事だったとは」
「あ……はい」
「若いのに優秀なんだねぇ」
「…………」
おばあさんの笑顔を直視できずに、私は俯きました。
「それにしても、長月が人殺し……なんの冗談だい?」
「冗談ではなく、本当に私共の同僚が殺害されております」
「ふぅむ」
堅物と評判の佐木さんがおばあさんにそう返しました。
まったく話が通じない、と肩を竦めるおばあさん。
そこでおばあさんは私に話を振る。
「お嬢ちゃんはどう思う?」
「……え?」
どう思う……?
なにが……?
「長月が人を殺すかどうか、だよ」
「っ、私は……その……」
私は見ている。
長月ちゃんが蟲使いの呪詛師を殺した姿を。
……いえ、呪詛師は例外ですよね。
「……私は、長月ちゃんが人を殺したとは……」
「狗巻さん」
「っ」
佐木さんに釘を刺される。
余計なことは言うなということでしょう。
「まったく……女の子の発言を遮るなんて、あんたいい上司じゃないね」
「…………構いません。私の仕事はここで連絡を待つだけですので」
「心中お察ししてないじゃないか」
皮肉を言うおばあさん。
「……長月ちゃん」
ポツリと彼女の名前がこぼれる。
それを見るおばあさんと視線を合わせることは、今の私にはできませんでした。
ーーーー下水道ーーーー
「どこに向かってるわけ?」
『無常』に連れられ、僕は下水道を進んでいた。
田舎にそんな広い下水道はない。
一応申し訳程度の通路はあるから、まだマシだけど。
「隠れ家じゃよ。この間、儂の仙台のマンションは坊主共に破壊されてしまったからのぅ」
あそことは全く比べ物にならんが。
そんな皮肉を『無常』は口にした。
いや、そもそも僕を拉致したのが悪いんだろう。
「にしたって、お主も相当じゃの。人殺し、と言われていたが」
「っ……僕はやってない」
たしかに針倉術師は僕が攻撃した。
だけど……いや、それは言い訳か。
「……針倉術師を殺したのは確かに僕、なんだろう」
「ん? あの坊主は生きておるぞ」
「は? なんて?」
思わず聞き直してしまった。
彼女は、彼は生きていると言葉を返す。
それはまだ高専に紛れ込んでいる彼女の部下による情報だそうだ。
針倉術師は死んでいない。
その事実に少し心が軽くなる。
よかった、生きていてくれた……って、あれ?
じゃあ、有島術師はなんで僕を人殺しだって言ったんだ?
「補助監督が1人死んだそうじゃ。たしか、牧とかいったか」
「! 牧さんが……」
「その遺体からお主の『毒蟲』の残穢が残っていたそうじゃ」
「…………」
ショックはある。
だが、それ以上に混乱している。
一体どういうことだ?
針倉術師のことで人殺しと呼ばれるなら話は分かる。
だけど、針倉術師は生きていて、死んだのは牧さんという。
勿論、牧さんを殺したっていうのは全く心当たりがない。
何が起きてるんだ……?
「……そろそろ着く。その梯子を上に上がるぞ」
僕の思考を断ち切るように、声をかけられる。
彼女の言うように、目の前に梯子が見えた。
どんな隠れ家に連れていかれるのか分からないが、今は利用するしかない。
もし何かが起こっているなら、僕はそれを知らなくてはならない。
そのまま上へ登ると、そこは氷川市の川沿いだった。
こんなところに繋がっていたのか。
「…………さて、この辺でよいか」
ん?
彼女の隠れ家に連れていかれるんじゃなかった?
そんな疑問に答えるように、
「闇より出でて闇より黒くその穢れを禊ぎ祓え」
「っ、『帳』!?」
その場から離れようとしてももう遅かった。
『帳』はすぐに河川敷を覆っていく。
「やっぱり……僕を嵌めたわけか」
「いやいや、隠れ家に着く前の軽い運動じゃよ」
「これから呪霊を誘き寄せる。それらをすべて祓い、取り込め」
本当にこの人は何をしようとしてる。
そんなことをしたら、僕の手札が増えるだけで、彼女が僕を殺そうとしているならーー
「あぁ、障害となるじゃろうな。だが、儂の計画にはお主の成長は必須」
「お主には極ノ番『うずまき』を使えるようになってもらう」
ーーーー呪術高専地下 霊安室ーーーー
「ふむ」
家入硝子は首を傾げていた。
目の前には菅谷長月に殺害されたという補助監督・牧の遺体があり、その解剖を終えたところだった。
菅谷長月が人を殺すはずがない。
そんなことは彼女は考えない。
どんな呪術師も呪詛師になり得る可能性があるのは、彼女自身痛感していたからだ。
だから、牧の遺体から『毒蟲』と思しき残穢があることには何も違和感はない。
だが、
「なんというか……妙な残穢だな」
蟲の呪霊に襲われたのならば、それは遺体の表面に残るはずだ。
それが目の前の遺体の中にまで、痕跡は残っていた。
喰い破られた、と言われればそれまでだが。
それでも、直感派の彼女には気になる事象であった。
だから、すぐに彼女はスマホをもち、電話をかけた。
「やぁ、七海。少し仕事を受けてくれないか…………あぁ、ある人物を探ってほしい」
「針倉優誠」
根拠は、彼女の直感。
ただそれだけ。
電話口で、七海はしばらく沈黙した後、それを承諾した。
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次作でもアンケートとってますが、主要キャラ落書き(デフォルメ絵)してもいいですか? ※未経験者なので雰囲気だけ伝わればよいものとする
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よい・やってみせよ
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完結したんだからNG
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いや、むしろ私が書こう(有能絵師)