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「なんで、ここに?」
短くそう訊ねる。
それに対して、ここにいるはずのない彼ーー針倉は笑う。
「私も長月ちゃんの無実を晴らしにきたのさ。君だってそうだろう?」
「…………」
胡散臭い。
嫌な感じがする。
「私は味方さ。だから、その手にしているスマホに呪力を通すのを止めてほしいんだけれど」
「ムリ」
「なぜ?」
なぜ?
挙げればキリがない。
「調査するのに『帳』を下ろす必要あるわけ?」
「それはほら、呪霊がいたようだからね。一般人の被害を出さないためにも必要じゃないか」
違う。
紡ちゃんから聞いていた彼は、一般人に被害が及ぶことを気にする人間じゃない。
「長月ちゃんの無実を晴らそうとしてるってなんで知ってる?」
「そうだねぇ、紡ちゃんから連絡をもらったんだよ」
違う。
もしそうだとしたら、さっきの電話の時に話してないのは変だし。
「意識混濁だったんじゃなかった?」
「いやいや、ついさっき回復してここに飛んできたってわけだよ」
違う。
そんな人間がこんなに元気なわけない。
それ以上に、
「味方だっていうなら、その殺気どーにかしたら?」
「…………なんのことだい?」
「…………」
「…………」
「…………」
「……はぁ、もうやめだ」
やめだ、と。
針倉はそう言って、味方のフリを止めた。
笑うフリを止めた。
「これ、あんたの仕業ってことでいい?」
「そうだよ」
あっさり認めた。
菅谷ちゃんの家族殺しを。
「これ、長月ちゃんのばあちゃんだってね。最後まで長月ちゃんとその妹の心配してたよ。馬鹿馬鹿しい」
「っ、紡ちゃんの呪力があるのは……」
「私の術式。まさか私の術式が『針灸』と『吸針』だけな訳ないだろう?」
感情が抜け落ちたような表情。
これがホントの針倉優誠。
「補助監督くんを殺したのも……」
「くどいなぁ。私だよ」
「……じゃあ、なぜ菅谷ちゃんに攻撃されたフリなんてしたの」
「あぁ、それはハプニングだ。咄嗟に反転術式を廻したから生きてるが、下手をしたら死んでいたよ」
だが、そのお陰で計画は順調だ。
そう言う彼。
少しだけ見せた暗い笑みに、背筋が凍る。
「……さて、そろそろこの『帳』も報告される頃かな」
「お終いにしよう」
「っ、『落筆呪法・包』」
先制攻撃。
というには、弱いものだけれど。
この人は生け捕りにして高専に突き出す。
そうすればーー
「『針灸』」
ーーパァンッーー
「!」
簡単に破られる。
そんなに甘くはないか。
「こっちは準一級だよ? それで捕まえられると思ったら大間違いだ」
「『落筆呪法・穿』!」
今度は首元に穴を開ける。
それは勿論、反転術式ですぐに回復される。
わかってる。
でも、反転術式は集中力を使うって聞いたことがある。
それを多用させれば、攻撃は来ないはず。
だから、ウチは攻め続ける。
『落筆呪法・穿』
『落筆呪法・穿』
『落筆呪法・穿』
三度、放つ。
胸、腹、喉。
3ヶ所に穴を開けても、回復する。
そう、このまま攻める。
ーージワッーー
「っ、『落筆呪法・穿』」
目から、耳から、鼻から。
どこから血が出ようと関係ない。
脳がフル回転してるのがわかる。
でも、関係ない。
攻め続けるしかないんよ。
『落筆呪法・穿』
『落筆呪法・包』
『落筆呪法・薙』
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「終わりかい?」
「はっ、はぁ……はぁ…………」
頭が割れそう。
それでも、目の前の男は笑っていた。
「ま、だ……『落筆呪法・穿』」
まだ、再生する。
この呪力、どこから……。
「反転術式を廻させ続ければ、いつかは呪力切れを起こす」
「そう思った?」
「……はぁ……はっ……」
まるでウチの心の内を見透かしたように、そんなことを言う。
「私を相手にした人間はみんなそうするからね」
「ただ私の『吸針』には吸った呪力をそのままストックできる性質があってね。それを使えば、自分の呪力を使わなくても、ストック分の呪力を使って攻撃できる」
「こんな風にーーーーねッ!」
ーードスッーー
「がッ!?」
呪力を帯びた蹴り。
うずくまるようにして見た自分のお腹に残る呪力……これは、紡ちゃんのやつ。
なるほど……趣味悪いわ……。
「そっちの呪力はもうないか?」
「ゲホッ……はっ、はぁっ……」
「……ふむ」
「ふっ……ふぅ……っ!」
『落筆呪法・薙』
ーーバシュッーー
渾身の一筆。
けれど、ヤツには届かない。
「……っ」
「これだから呪術師は怖い。終わりだと思っていても、最期に絞り出してくる」
「仕方がない。これ以上、長引くと面倒だ。これで本当に終わりにしよう」
そう言うと、彼は掌印を結んだ。
両手を祈るように組み合わせ、両の小指だけを立てたまま合わせる。
そして、それを発動する。
「『領域展開』ーー『
空間が断絶し、ヤツとウチの周りだけがその空間に飲まれていく。
やがて、完成したのは『領域』。
針で形作られた無数の薊の花。
そして、その茎のように繋がる夥しい数の巨大な針。
闇の中で鈍く輝くそれからは悪意しか感じない。
「『領域展開』を見るのは初めてかい?」
「…………」
「だろうね。これが最初で最期だ」
その言葉と共に、全身に痛みが走る。
痛い。
痛い。
痛い痛い痛い痛い。
倒れ込んだときに、見える自分の足元。
そして、身体中から咲く薊の針花。
それに呪力も身体の力も吸われていく。
徐々に視界が暗くなっていく。
「……ご、め…………」
「謝る必要なんてないさ。どうせ皆死ぬ」
「……ゆっくりお休み、黒野堀ちゃん」
ーーーー記録ーーーー
2018年8月21日。
F県石木町、菅谷長月宅にて、二級呪術師・黒野堀明の遺体が発見された。
遺体からは残穢が検出されており、菅谷長月の呪力であることが判明した。
補助監督・牧荘也の殺害及び準一級呪術師・針倉優誠への攻撃と合わせて、呪詛師・菅谷長月の処刑執行の優先度を上方修正し、準一級呪術師・有島哀及び一級呪術師・シャーロットを処刑執行人とする。
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次作でもアンケートとってますが、主要キャラ落書き(デフォルメ絵)してもいいですか? ※未経験者なので雰囲気だけ伝わればよいものとする
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よい・やってみせよ
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完結したんだからNG
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いや、むしろ私が書こう(有能絵師)