ーーーーF県 I町 百五沢ダムーーーー
「ここ?」
「情報によるとな」
シャーロットと有島は、菅谷長月の目撃情報があったという場所に来ていた。
巨大なダム。
その周辺には橋が何本かあり、そのうちの1つが自殺の名所になっているとのことだった。
土地神や呪霊を集めているのならば、ここはぴったりなのだろう。
有島はそれを感じていた。
「おー、高いなぁ」
「ここから飛べば楽に死ねるだろうよ」
「ヒトバライは?」
「してある」
「仕事が早いね! 頼りにしてるよ!」
「…………」
有島とシャーロットが組むのは、この任務で2回目であった。
1回目は呪霊狩り。
有島が二級に上がる任務で組んだことがあり、その時から彼女は一級呪術師であった。
年齢は分からないが、その頃から姿はあまり変わってないように有島は感じていた。
熟練の呪術師。
それが彼女の印象である。
「おーい、アイ?」
「……名前で呼ぶな」
「? アイはアイでしょ?」
「……チッ」
シャーロットから視線を外す。
同時にその人物の姿が有島の視界に入った。
「…………」
一度殺し損ねた人間。
白髪の呪詛師。
「菅谷長月ッ」
「…………」
100m先の彼女に向け、有島は走り出す。
「アイ! 止まれ!」
「見つけ次第殺せ、だろうがッ!!」
「…………来い、呪霊共」
有島の『抜刀』。
それに対して、彼女は下級呪霊を盾にした。
両断され、消滅する呪霊。
だが、また湧いてくる。
「チッ」
弱い呪霊。
だが、どうにも数が多く、祓い切れない。
そう判断した有島は、一歩引く。
「おい!」
「ハイハーイ!」
有島と入れ換わるように、シャーロットが前に出る。
彼女は丸腰。
使うのは、その拳のみ。
「お、らぁぁっ!!」
ーーバギバギバギバギッーー
拳に纏わせた呪力で、目の前の呪霊を祓う。
下級呪霊とはいえ、一撃。
「…………呪力のみでこれか」
「お? 近くで見るとなかなかにカワイイじゃないか。オネーサン好みだよ」
長月とシャーロットの距離は二歩分。
詰めれば確実に相手を殺せる距離で、シャーロットは立ち止まっていた。
「いや、ツムギとのヤクソクでさ。キミを連れ戻すって言っちゃったもんだからね~」
「紡と……?」
「そ。あの娘、キミの無実を証明するって張り切ってるよ~」
「…………」
「だから、こっちにおいで」
そう言って手を差し出すシャーロット。
長月はその手を取らず、彼女と言葉を交わす。
「……針倉優誠は生きているか?」
「ん? まだ意識が戻らないようだよ」
「そうか」
「それだけ聞ければ十分だ」
ーーゾゾゾッーー
またも集まる呪霊。
先ほどの低級の群れではなく、二級以上が五体。
それをーー
ーーパァァァァンッーー
「まずは一匹!」
蹴りを放ち、呪霊の上半身を吹き飛ばすシャーロット。
続けて、逆足でもう一体、今度は下半身を破壊する。
「簡単に祓ってくれる……」
「じゃなきゃ一級にはなれないのさ!」
会話をしながらもさらに一体を撃破し、シャーロットは彼女に向き直る。
圧倒的な強度。
それに加えて、準一級もいる。
「ゴラァッ!!」
ーースパッーー
有島の一閃で、一体の首を跳ねた。
残りは一体だけ。
「……一級、ここまで化物とはな」
残り一体の陰に隠れる長月。
だが、それも、
「無駄だァッ!!」
ーーブンッーー
有島の『抜刀』により倒された。
「…………ここまでか」
「お、カンネンした?」
長月は両手を挙げ、目を瞑る。
「これ以上は無駄だからな」
「ムダ?」
「あぁ」
怪訝な顔をするシャーロット。
何かが変だ。
感じ取っていた。
「…………おい」
「っ!」
「学習しねぇなァ、このガキがッ!!」
ーーブンッーー
守るものがいなくなった長月に、有島の刀が迫る。
「アイ!」
シャーロットの制止は聞かない。
呪霊使いを殺す。
その一心で彼は『抜刀』で長月の首をーー
ーースパァァァンッーー
ーー跳ねた。
「アイ! 何てことをしたんだ!」
「あぁ? 見つけ次第殺すのが俺達の任務だろうが」
「あぁ、もう……ツムギにどう説明したらいいんだよぉ……」
シャーロットは頭を抱えて、長月の胴体に駆け寄る。
それを見ていた有島はため息を吐き、そこで気付いた。
「こいつはッ!?」
死んだはずの菅谷長月。
それから香ってくる、甘い、花の焼けるような匂い。
一度嗅いだことのあるその匂いはーー
「シャーロットッ!!」
ーーバキィィィッーー
彼女の名前を叫んでももう遅い。
音に反応した時には、長月の胴体が動き、シャーロットを殴り飛ばしていた。
「ッ、こいつ、あの時のッ!」
『抜刀』の構え。
だが、それよりも速く、胴体は有島に蹴りを見舞う。
「がっ!?」
その蹴りは有島の頭を捉え、彼の意識を刈り取った。
薄れゆく意識の中、有島の耳にはその声が聞こえていた。
菅谷長月のものではない声。
「術師は十分引き離した……後はどうにかせい、長月」
ーーーー菅谷家 跡地ーーーー
「…………」
彼女はその場所で手を合わせていた。
弔い。
そんな意味を込めた合掌なのだろう。
けれど、僕にとって、それは意味のない行為にしか見えない。
「久しぶり、『紡』ちゃん」
「殺しに来たよ」
僕は今日、大切な人の仇を討つ。
ーーーーーーーー
次作でもアンケートとってますが、主要キャラ落書き(デフォルメ絵)してもいいですか? ※未経験者なので雰囲気だけ伝わればよいものとする
-
よい・やってみせよ
-
完結したんだからNG
-
いや、むしろ私が書こう(有能絵師)