ーーーーF県 I町 百五沢ダムーーーー
「ここまで刻めば十分だろ」
有島はそう言って、納刀する。
彼の前には切り刻まれた肉塊。
彼自身の体や顔を隠すマスクにも返り血がついていた。
「そこまでやらなくてもいいじゃない?」
「チッ」
「たしかに2人してブッ飛ばされた時はどうしようかと思ったケドサ」
どの口がそんなことを言うのか。
有島は先程の戦いでの彼女の姿を思い出して毒づく。
不意打ちで意識を失った有島とは対照的に、シャーロットはあの一撃で一度ダムに落とされたそうだ。
だが、呪力のみでその落下の衝撃に耐え、すぐに戦線復帰。
呪詛師『無常』を完全に押していた。
「アイを起こしたのは失敗だったかぁ……こんな粉々に切り刻んだらショーコに見てもらえないじゃん」
「知るか」
報告によると『無常』という呪詛師の術式はよく分かっていない。
だが、七海や黒野堀たちからの情報によると、殺しても死んでいなかったということは分かっていた。
「……もう少し刻むか」
有島は元の形が分からなくなったその肉塊を更に切り刻む作業に入った。
それと同時に、シャーロットのスマホの着信音が鳴る。
「お、ツムギ!」
画面を見て、相手が紡であることを理解したシャーロットはすぐに応答を押す。
「ツムギ~、どうしたんだい? 寂しくなってデンワくれたのかなぁ?」
その猫なで声はすぐに真剣なものへと変わる。
「……すぐ戻るよ」
「おい」
「ナガツキがツムギの所へ現れた。ワタシたちも合流するよ」
「……あぁ」
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長月と紡の戦闘が行われた菅谷家。
そこから5kmほど離れたところに彼はいた。
「さてさて、どうしたものかねぇ」
彼自身の呪力感知能力と事前に仕掛けておいたカメラを通して、その戦闘を見ていた彼は悩んでいた。
ここまでの2人の動きは想定内で計画は順調に進んでいる。
だが、
「なんでここで迷うかねぇ、長月ちゃんは」
それに紡の殺人衝動が思ったよりも弱くなっていることも彼を悩ませる種の1つだった。
2人の絆が想定よりも強い。
それを感じていた。
「これからの課題は長月ちゃんを考え直させること」
「それから紡ちゃんの殺人衝動を引き出すこと」
2人が殺し合うように仕向ける。
それが今、彼がしなくてはいけないことだった。
では、どうするか。
長月の方は簡単だ。
手段はもう手の内にある。
問題は、紡の殺人衝動だ。
これを高めて、あの人格を出させるには……。
「……ん?」
「………………こうしよう」
彼の視線の先にはカメラ。
そこには、紡の姿とそこに合流した2人の呪術師の姿が映し出されていた。
ーーーー高専女子寮内ーーーー
夕暮れ時。
私は高専女子寮の一室で、横になっていました。
間借りしているだけなので、ベッドくらいしかない部屋。
流石にそろそろ部屋の明かりをつけないと暗く感じてきました。
けれど、起き上がる気力もない。
「…………すこし、疲れました」
ーーコンコンーー
そんな私の元へ来訪者。
誰でしょうか。
ゆっくりと起き上がって、ドアのところへ。
「はい。どなたですか?」
声をかけると、返ってきたのは聞き覚えのある声。
「ワタシワタシ! 愛しのツムギちゃ~ん」
「…………シャーロットさん」
正直、今は開けたくないですが。
「は~や~く~あ~け~て~」
部屋の前で大声で叫ぶシャーロットさん。
今は高専生は交流戦というものの準備や訓練で忙しいと聞きました。
そんな中でそんな声を出されたらーー
「騒いでる奴誰ッ!? こっちとら投げられ過ぎて体バッキバキで休んでんのよッ!!」
「あぁん!? こっちはアレよ! カワイイ弟子をーー」
「ーーすぐ開けるので、静かにしてくださいっ!」
案の定、いえ、想像以上の怒号に私はすぐドアを開け、シャーロットさんを引き入れました。
今の方には、あとで謝りましょう……。
ため息を吐く私の横で、シャーロットさんは首を傾げていました。
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「それでどうしたんですか」
そう訊ねるとシャーロットさんは、
「ん? いや、帰りに買ってきたケーキをツムギと食べようかと思って」
そう言って、手に持っていた箱を掲げました。
でも、それ……。
「ホールで買ってきたんですか?」
「そ! ツムギ、ケーキ好きでしょ?」
「限度があります……」
ダイジョブダイジョブ。
そう言って笑いながら、プラスチックのフォークを1つ渡してきた。
「たべよ」
「………………はい」
きっとこれもシャーロットさんなりの優しさなんでしょう。
この1ヶ月修行をつけてもらいながら、一緒に生活をしました。
その中で、この人の人柄をなんとなく理解した気がします。
底抜けに明るい、でも、不器用な人。
それに救われた部分も確かにあって。
「それで?」
「はい?」
「どーするの?」
「…………」
これからどうするか。
今日までは正直少し迷いもありました。
でも、今ならーー長月ちゃんと会った今ならハッキリ言えます。
「私はこれから長月ちゃんの無実を晴らします」
「そして、長月ちゃんを連れ戻します」
何があっても。
連れ戻して、今までの生活を2人で取り戻す。
それが私のこれから。
「手伝ってもらえますか」
「ハイハーイ、モチ!」
シャーロットさんは明るく笑った。
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次作でもアンケートとってますが、主要キャラ落書き(デフォルメ絵)してもいいですか? ※未経験者なので雰囲気だけ伝わればよいものとする
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よい・やってみせよ
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完結したんだからNG
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いや、むしろ私が書こう(有能絵師)