ーーーーシャーロット 高専付近参道ーーーー
ナガツキがやったという遺体の状況を聞きに、ツムギとショーコに会いにいった帰りのこと。
遺体からはスガヤナガツキの呪力が残っていたこと。
それからショーコが少し気になっていること。
そんな話をしていたらいつの間にか日が暮れていた。
ショーコもなにかしら掴んでいるようだったけど、まだ確信がないようだった。
ナナミも動いてると教えてくれたから、そのうち何かしら情報は入ってくるとは思う。
結局、遅い時間になったから、ツムギと少し遅めのディナーを食べて高専に帰るところだったんだけど……。
ふとそれを感じ取る。
「…………ツムギ」
「はい?」
「ちょっと先に行ってて」
ツムギにそう促すと、
「先に行かれると困るな」
物陰から彼女は姿を現した。
スガヤナガツキ。
ツムギの友達。
「……長月ちゃん」
「僕が今からその女を殺すのを、紡ちゃんには見届けてもらわなければいけないから」
「!」
ナガツキはそう言ってワタシを指差す。
フーン。
舐められたものね。
「ワタシを殺す、ね」
「あぁ」
「ま、まってください、長月ちゃん! 私は長月ちゃんと戦う気は……」
「……ツムギ、ムダだよ」
「え?」
「ナガツキは本気みたい。少し下がってな」
ツムギを少し下がらせた後、重心を落とし、構える。
この間合いなら飛び道具のあるナガツキが有利。
「『毒蟲』」
ーーゾゾゾゾッーー
霧のような無数の蟲。
なるほど。
これがツムギから聞いていた『毒蟲』か。
「はぁぁっ!!」
呪力を込め、殴る。
「無駄だ。この蟲は呪力をーー」
ーーパァァァンッーー
「!」
予想通り。
肉体だけでなく呪力まで喰らう蟲だと、ツムギに聞いていたから出来たこと。
「ムダ? な~にが?」
「……やはり一級は別格か」
ーーゾゾゾゾッーー
またこっちに向かってくる蟲たち。
けど、何度やっても同じこと!
「はぁぁっ!!」
ーーパァァァンッーー
呪力を込めたパンチ。
もちろん呪力は喰われる。
けど、その後、ワタシの呪力は爆ぜる。
ワタシの術式は『破裂』。
呪力を破裂させることができる。
それだけ。
ただそれも一度見せたナガツキには想定内だったらしく、爆ぜた煙に乗じて彼女が姿を現す。
「『蟲纏・一刀』」
蟲を纏わせた手刀。
流石にそれを素手では受けられない。
だったらーー
ーービリッーー
ーーキュッーー
「一瞬で服を破って受けたのか」
「そゆこと!」
手刀の周りの蟲は、ナガツキの手に巻きつけた服の切れ端に集まる。
やっぱり蟲に意思はない。
呪力のあるものに触れると自動で喰らいつく。
そんな術式だね。
「さ、歯をクイシバレ!」
「っ、『蟲纏』」
ーーバギィィィィッーー
そのままナガツキは吹き飛んだ。
たぶんワタシの呪力も爆ぜたから、アバラ何本かは折れてるだろうけど……。
「……しんでないヨネ?」
恐る恐るナガツキに近づく。
グッタリと動かない。
「……あぁ」
ーーゾゾゾゾゾッーー
ヤッパリ!
ナガツキからまたも蟲。
って、なんだろ?
『呪霊操術』は手数が強みのはず。
『毒蟲』が通じないなら違う呪霊を使えばいいはず。
なのに、なんでそれしか使わない?
「『毒蟲』しか使わないのは他が必要ないからだ。一瞬隙があればよい」
「? なにをーー」
黒い蟲に囲まれたままゆっくりとナガツキは立ち上がる。
そして、右手の人差し指と中指のみを立て、唱えた。
「『領域展開』」
ーーーー紡視点ーーーー
目の前でシャーロットさんが蟲に包まれた。
蟲に囲まれたくらいなら問題はありません。
けれど、問題はーー
「『領域展開』……?」
長月ちゃんはそう口にしました。
何かの間違いかと思った。
けれど、現に、
「これは……『領域』……しかも、長月ちゃんの呪力です」
そこまで長月ちゃんは進化していた。
私への憎しみで……?
「っ、長月ちゃん! シャーロットさんっ!!」
「やめてくださいっ! お願いですからっ」
『領域』に入ることは出来る。
シャーロットさんからはそう教えてもらいました。
けれど、それを阻むようにその『領域』を『毒蟲』が覆っていて。
ーーザクッーー
ーーザクッーー
『祟り火の小刀』で蟲を燃やし続けても、際限なく湧いてきます。
「やめてっ」
「おねがい……おねがいッ!」
ーーーー『領域』内ーーーー
「『領域展開』か……」
予想外だった。
ツムギから聞いていた話ではそのレベルまでは達していないと思ったから。
でも、ウン。
ワタシの考えは間違ってなかったね。
「キミ、ナガツキじゃないよね」
「………………まぁ、バレるじゃろうな」
口調が変わる。
なるほどね、また騙されちゃったわけか
「『無常』だっけ?」
「あぁ、この間はよくも殺してくれたのぅ、小娘」
「そのセツはドーモ」
ナガツキの姿のままの彼女と話をする。
この間は『毒蟲』を使ってなかったけど……。
「使えるようになったってワケ?」
「儂の術式は取り込んだ人間の術式を使えるようになるものじゃ。まぁ、儂に従うと誓った者限定じゃがな」
「それはナガツキがキミに従っているってことカナ?」
そうであればヤッカイだ。
ツムギにはナガツキを諦めてもらわなきゃならない。
でも、その必要はないみたい。
この『領域』の中で、ワタシと彼女以外にもう一人、人間がいたから。
「この婆さんの『毒蟲』は長月ちゃんのじゃないよ。杭葉秋三という冴えない呪詛師のものだからねぇ」
その声の主。
いつか見たことがあるその男はこの『領域』の中で不敵に笑っていた。
あぁ、知っている。
こいつは、
「針倉優誠」
「おやおや、一級術師様にも知ってもらえてるとは光栄だ」
なるほど。
こいつがすべての黒幕。
恐らくこの『領域』もこの男のものだろう。
「しかし、こんなことをしたらツムギにバレるでしょう?」
「問題ないよ。私の『領域』は長月ちゃんの呪力で作ったからねぇ」
「…………そういう術式なワケネ」
これで繋がってた。
ナガツキが殺したというのは、全部コイツがやっていた。
ナガツキのグランマも同じ理屈でツムギの呪力で殺した。
「後はこれを外のツムギに伝えればいい」
「出れると?」
「『簡易領域』」
「一瞬で……この小娘、やはり中々の術師じゃ」
一瞬で呪力を操作することができなきゃ、ワタシの弱い術式では一級まで上がれない。
そのために練り上げたんだ。
『領域展開』は膨大な呪力量を消費する。
けれど、持久戦は不利だろうな。
だから、術師の針倉を叩く!
「『簡易領域』か。流石に一級なら身につけているか」
「モチ!!」
呪力で強化した脚力で駆け、針倉は今、ワタシの間合いに入った。
「トった!!」
ーーブンッーー
ーーーー紡視点ーーーー
「あっ!!」
長月ちゃんが『領域展開』してから約3分後。
突然、それは消失しました。
現れたのは、ナガツキちゃんとシャーロットさん。
対峙したまま動かない。
「っ、シャーロットさんっ!」
私はすぐに駆け寄った。
長月ちゃんの反撃とか、シャーロットさんの言葉とか。
すべて忘れて私はシャーロットさんの側へ。
「大丈夫ですかっ!?」
「…………」
シャーロットさんは答えない。
その代わり、
ーーブブブブブブブッーー
彼女の頭が激しく震え、
ーーパァァァァァンッーー
爆ぜた。
目の前で、頭が爆ぜ、血飛沫が私の身体中にかかる。
数秒間は何が起こったのか分からなかった。
けれど、すぐに我に返り、崩れ落ちた。
「い、や…………なんで……」
私を強くしてくれたその人は呆気なく死んだ。
私の目の前で、まるで見せしめのように殺された。
「なんで……こんなこと……」
「君が苦しむからだ。君に苦しんで死んでほしいからだ」
「…………なん、で、長月ちゃん……」
「…………」
「しんじて、たのに……なんで、ころしたの…………」
「またね」
何事もなかったかのように。
まるで遊んだ後の別れ際のように彼女はそう言って立ち去った。
「……………………」
眼前に無造作に転がる死体を眺めていると、私の中の何かが声をあげる。
彼女を殺せ、と。
殺したい、と。
「や…………いや……」
彼女は友達なんです。
でもひとごろしだよ?
何かの間違いです。
そんなことはないよ、たしかに目の前でみたじゃない。
でも、違います。
ちがわない、あのこがシャーロットをころしたんだよ。
これもきっと彼女を陥れるためのーー
「ーーみとめなよ、あのこをころしたいんでしょ?」
「…………」
「ころしてふくしゅうをなしとげたい。こみあげるにくしみをぶつけたい。ちがう?」
「…………」
「………………はい」
私は心の中の彼女の言葉に頷いた。
私は、
「菅谷長月を殺す」
「うん、ころそう♪」
次作でもアンケートとってますが、主要キャラ落書き(デフォルメ絵)してもいいですか? ※未経験者なので雰囲気だけ伝わればよいものとする
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よい・やってみせよ
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完結したんだからNG
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いや、むしろ私が書こう(有能絵師)