ーーーー菅谷家跡地ーーーー
9月30日。
結論から言うと、霞は見つからず、無常も戻らなかった。
ただその代わり、僕は呼び出されていた。
『紡』ちゃんに。
「久しぶり、『紡』ちゃん」
「…………」
僕の言葉に『彼女』は答えない。
けれど、『紡』ちゃんからは言葉よりも明確なものが伝わってくる。
殺意。
やっとその気になったということか。
「……『紡』ちゃん」
「アハッ」
「!?」
違う。
これはあの時のーー
ーースッーー
一瞬で視界から消える。
気付けば、『彼女』は僕の足元にいた。
術式ではない。
呪力による純粋な脚力強化か。
「っ、『毒蟲』」
ーーゾゾゾゾッーー
咄嗟に蟲を展開する。
「喰らえ」
蟲の壁。
それに構わず、突っ込んでくる。
だけど、それも想定内だ。
『蟲纏』を既に発動し、蟲の鎧を纏っている。
これならば、
ーーバキッーー
「ぐっ」
腹部への蹴りをもらってしまう。
予想以上の衝撃。
呪力は蟲が喰らったはず……。
なら、これは本人の膂力か。
例の殺人衝動の人格が『彼女』のリミッターを外してるのかもしれない。
後ろに跳んだことで攻撃の衝撃は吸収した。
だが、あの攻撃力と機動力は厄介だ。
まずは機動力を奪わせてもらおう。
「『友引腕』」
「アハッ、なにコレ? みえなぁい」
『腕』は彼女の頭に取り憑く。
『腕』自体の耐久力は弱い。
この間も『彼女』には引きちぎられている。
だから、今はその視界を一瞬でも奪えればいい。
そうすれば、
「来い『
これを使える。
H村の影踏峠で手に入れた『影踏地蔵』。
影を踏んだ人間の動きを止める呪霊。
加えて、
「『毒蟲』」
ーーゾゾゾゾゾゾッーー
さっきの蟲とは違う。
今度は『彼女』を喰い殺すつもりで放つ。
「アハハッ」
だが、それにも構わず彼女は笑う。
蟲が『彼女』の体を喰らっていく。
……いや、違う。
喰らっているのは、
「体の周りの呪力」
よく見れば、体の周りを薄い呪力の膜が覆っていた。
蟲がそれを喰らうと同時に、次の膜を張っているんだ。
呪力操作の技術が格段に上がっている。
なら、単純な力で押し切ればいい。
こっちには手数がある。
「『雪鬼』……叩き潰せ」
『影踏地蔵』の術式で動けない『彼女』に向けて放ったのは、北の方で取り込んだ鬼の呪霊。
術式はもたないが、純粋な膂力は僕の手持ちの中でもトップクラスだ。
呪力消費が激しく、『影踏地蔵』は解除せざるをえないが、これならば、
『ゴォォォォォオオ』
「アハハッ、スゴイスゴイッ」
『紡』ちゃんは『雪鬼』と組み合った。
倍はあろうかという体格の『雪鬼』に押され、『彼女』は少しずつ後退している。
当たり前か。
このまま押し切ってーー
ーーゾワッーー
「っ」
ーーーーーーーー
狗巻紡がシャーロットに修行をつけてもらったのは1ヶ月だけ。
その中で、彼女は呪力操作を学び、物にした。
まだまだだと評してはいたが、シャーロットはその実力を認めていた。
ただ、もう一歩吹っ切れていない。
その原因は戦う相手ーー長月に対する思いがあったからだ。
長月を信じる心が彼女の一歩を遠ざけていた。
だが、今の彼女にはそれがない。
純粋に長月を殺す。
その思いで拳を振るった。
ーーーーーーーー
瞬間、光が爆ぜた。
黒い雷鳴。
ーーバチバチバチバチッーー
『
いつか針倉術師から聞いたことがある。
呪力と打撃との誤差が極限まで短くなった瞬間に空間が歪み、その呪力が黒く光る。
通常の2.5乗の威力をもつそれは、『彼女』を完全に抑え込んでいたはずの『雪鬼』を一撃で祓ってしまった。
「この土壇場で……」
「アハハッ♪ コレ、キモチイイッ♪」
『黒閃』を決めた『彼女』はハイになっている。
これはまずい。
距離を取る。
そのために踵を返そうとして、
「まってよ」
「っ」
止められる。
後ろから首を掴まれ、動けない。
呼吸こそ止まってはいないが、このままだと首の骨を折られ殺される。
「クソ……こんなところで……」
「ころしちゃうね、バイバイ♪」
『彼女』が振りかぶるのが分かる。
拳に纏わせた呪力で、僕を貫くつもりだ。
「まだ、だ……っ」
まだ僕は何も達成していない。
大切な人の仇を討ててない。
嫌だ……。
僕はーー
ーーグシャァァッーー
僕の後ろで、『彼女』の拳が何かを破壊する音がした。
どうにか視線だけでそれが何なのかを確認する。
「は?」
視界の端に見えたそれは胸を貫かれた人間の姿。
僕と『彼女』の間に割り込んだ人物は、
「……霞?」
僕の妹ーー霞だった。
次作でもアンケートとってますが、主要キャラ落書き(デフォルメ絵)してもいいですか? ※未経験者なので雰囲気だけ伝わればよいものとする
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よい・やってみせよ
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完結したんだからNG
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いや、むしろ私が書こう(有能絵師)