呪詛師殺しの僕(完)   作:藍沢カナリヤ

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第52話 無常ー壱ー

ーーーー呪術高専寮前ーーーー

 

 

家入さんから外出の許可が出てから2日。

わたしは集合場所の寮の前で待っていた。

同行者がいるって話だけど……。

 

 

「?」

 

 

キョロキョロと周りを見渡していると、寮から1人の女の人が出てきた。

ここで生活している時に、何度か見かけた人だ。

眼鏡をかけたポニーテールの人。

スタイルもよくて、わたしよりずっと大人っぽい。

あの人……かな?

 

 

「…………」

 

「…………ん?」

 

「!」

 

 

わたしの隣まで来たその人は、顔を覗き込んでくる。

え、えっと……。

 

 

「オマエか? 例の呪詛師の妹って奴は」

 

【はい!】

 

 

家入さんからアドバイスをもらったように、ホワイトボードに返事を書き、その人に見せる。

声を出せないというのは事前に聞いていたみたいで、そのことには触れずに話を進める。

 

 

「…………」

 

【なんですか?】

 

「いや、思ってたより……」

 

「?」

 

「なんでもねぇよ」

 

 

その人は、少しバツが悪そうに頭をくしゃりとかいた。

と、そこでコソコソと話し声が聞こえた。

周りを見渡すと、いた。

2人……ん、え?

えぇぇぇぇ!?

 

 

【あの!】

 

「ん? なんだよ」

 

【パンダ!!】

 

 

指をさす。

そうなのです。

物陰から隠れるようにこちらを見て、コソコソと話している人物とパンダ物。

……パンダ物?

いや、とにかくパンダがそこにはいた。

 

 

「おい、真希。小さな女の子を脅かすなよ」

 

 

しゃべった!?

 

 

「脅かしてなんてねぇよ。そっちこそコソコソ隠れて何してやがったんだ」

 

「おかか!」

 

「そうだそうだ、俺たちは今来たところだ~」

 

「嘘つけ」

 

「……って、おい」

 

「!」

 

 

パンダがしゃべったことに驚きすぎてた。

我に返ると、さっきの女の人がわたしに話しかけてきていた。

 

 

「今回、オマエを私ら3人で護衛する。自己紹介は歩きながらでいいな」

 

「っ」

 

 

コクリと頷き、わたしたちは歩き出しました。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

ここの校地はかなり広いらしく、外に出るまでに自己紹介も終わった。

わたしの前を歩く2人。

女の人は禪院真希さん。

『呪具』の使い手。

男の人は狗巻棘さん。

『呪言』?の使う呪術師で、さっきからなぜかおにぎりの具でしかしゃべってない。

そして、わたしの隣を歩くパンダさん。

他の2人のことを紹介してくれたのはパンダさんで、なんとなく一番話しやすそうな雰囲気を感じるパンダさんだった。

ちなみに、パンダさん自身のことはパンダっていう説明だけ。

ともかくそんな3人に連れられて歩く。

 

 

「それで、どこに行くんだ?」

 

「俺たちは聞いてないからな」

 

「しゃけ」

 

 

3人の視線がわたしに集まる。

えぇと……。

たしか家入さんから聞いた話だと、都内にわたしを逃がしてくれた『無常』って人が隠れ家にしてた場所があるみたいで。

 

 

「なるほど。そこに行って情報を少しでも集めようってわけか」

 

【はい】

 

「小学生にしては中々考えてるじゃねぇか」

 

「しゃけしゃけ」

 

「…………」

 

 

そう言って、真希さんに褒められる。

だけど、1つ気になることが……。

 

 

【わたし、中学生です】

 

 

ホワイトボードに書き込んで3人に見せる。

3年生ですが?

 

 

「それはなんというかすまん」

 

 

パンダさんに謝られる。

……そんなにちんちくりんかなぁ、わたし。

 

 

ーーーー都内 マンション跡地ーーーー

 

 

都内23区内にあるとある高層マンション。

少し前までは個人が所有するものだったという話だけれど、今は解体中のようで、安全のために囲いに覆われていた。

 

 

「入るぞ」

 

【勝手に入ってもいいんですか?】

 

「許可は日下部が取ってるはずだ」

 

 

囲いの中へ勝手に入ろうとする真希さんたちにそう訊ねると、パンダさんがそう答えた。

後から聞いたことだけど、クサカベっていうのは先生の名前みたい。

それにしても、先生のことを呼び捨てって……もしかして、不良なのかな?

 

 

「おい」

 

「しゃけ、高菜」

 

 

真希さんと棘さんが突然前に出る。

隣にいるパンダさんを見上げると、呪霊の気配がすると教えてくれた。

 

 

【大丈夫なんですか?】

 

「あぁ、俺たちは呪術師だからな。心配するな」

 

 

俺たちから離れるなよ。

そう言うパンダさんの言葉に頷く。

 

 

「来るぞ!」

 

 

『かイラんバンでェェぇぇス』

『オスそわけデすヨォ』

『いっテキマぁす』

『アそびにキタよぉォォ』

 

 

「っ」

 

 

意味は分かるけど、ノイズのかかったような音を発する呪霊。

聞いた瞬間に嫌悪感が沸き上がってくる。

気持ち悪くなる。

 

 

「っ」

 

 

思わず目をつぶり、耳を塞ごうとする。

けれど、前から、真希さんの声が聞こえてくる。

 

 

「大丈夫だ、すぐ祓う」

 

 

つられて目を開けると、

 

 

「『吹き飛べ(フキトベ)』」

 

「らぁっ」

ーーズバァァンッーー

 

「おいおい、真希、こっちに漏れてるぞ」

 

「うるせぇ、数が多いんだよ」

ーーズバッーー

 

 

軽々と、呪霊を祓っていく真希さんたち。

すごい……。

1分も経った頃には、目の前の呪霊はすべて祓われていた。

 

 

「ふぅ……こんなもんか」

 

 

すごい。

あんなに数がいたのに……。

この一瞬で倒したのかぁ。

 

 

「しゃけ」

 

「?」

 

 

わたしに目線を合わせるようにしゃがんだ棘さんが何かを言ってくる。

けど、何を言いたいかは分からない。

えぇと……?

 

 

「大丈夫か、だとさ」

 

「棘は優しいからなぁ」

 

【お二人は棘さんがなんて言ってるか分かるんですか?】

 

「まぁな、1年半も一緒にいればわかるもんだ」

 

 

そういうものなんだ。

 

 

「しかし……酷い匂いだ……甘い、花の焼けるような匂い」

 

 

真希さんの言う通りだ。

3人が呪霊を倒す前はしなかった匂いがする。

甘い匂い。

 

 

「…………この先に数体それなりの奴がいるな」

 

「しゃけ、明太子」

 

「まぁ、そっちは俺と棘だけでも十分だろ。だから、真希は……」

 

 

そう言って、パンダさんはわたしの方を見る。

正確には、わたしと真希さんのことを見た。

 

 

「おい、パンダ。まさか……」

 

「こりゃあ、報告にもあった『反魂香』ってやつだろ。急がないとまた呪霊が集まってくる」

 

「はぁぁぁ……」

 

 

真希さんは深いため息を吐く。

 

 

「行くぞ」

 

「??」

 

「この先にそれなりの呪霊がいる。そっちはこいつらに任せて、例の呪詛師の手がかりを探す」

 

「!」

 

 

でも、とホワイトボードに書くよりも先に、真希さんに手を引かれ、わたしは走り出した。

 

 

ーーーーーーーー

次作でもアンケートとってますが、主要キャラ落書き(デフォルメ絵)してもいいですか? ※未経験者なので雰囲気だけ伝わればよいものとする

  • よい・やってみせよ
  • 完結したんだからNG
  • いや、むしろ私が書こう(有能絵師)
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