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「……い、おい、起きろ!」
「あれ……?」
男の怒号で目が覚める。
最悪の目覚めだ。
目の前には、親友の顔。
見飽きたむさ苦しい顔があった。
「やあやあ、杭葉」
「やぁ、ではない。いつまで寝てるんだ、お前は」
「いいだろ、こんな天気のいい日に昼寝をしない道理はないさ」
「……任務だ、俺達が指名されている」
そう言って、杭葉は手を差し伸べて来て。
私はその手をとった。
「それなら仕方がない。行こうか、杭葉」
「だから、俺はさっきからそう言っている」
ーーーー呪術高専1年教室ーーーー
我らが1年教室で待つように杭葉に言われ、教室に入る。
呪術師という人種の稀少性もあり、私達の学年は2人だけ、のはずなんだが。
「君は誰だい?」
「…………」
目の前には、1人の男子。
勿論、誰と聞くのだから、知らない人物だった。
彼は私の質問には答えず、黙ったまま。
その上、杭葉は補助監督を連れに行ってしまった。
ふむ、困ったな。
「……今回の任務に必要な人物?」
「…………」
「それとも護衛対象?」
「…………」
喋らない。
さてはて、どうしたものか。
「よし、殴り倒すか」
「…………」
そんな小粋なジョークにも無反応。
早く来てくれ、杭葉。
そんなこんなで10分が経過して、やっと杭葉が教室に戻ってきた。
「すまん、遅れた」
「遅い!!」
「……あぁ、もう会っていたか」
「それはそれは、10分間も見知らぬ話さぬ男ときっちり一緒にいたさ」
「それは悪かったよ」
心にもない謝罪をする杭葉。
さては自分の方が等級が高いから、調子に乗っているな?
「二級術師風情が調子に乗るなよ」
「三級は黙っていろ」
「ぐっ!?」
自分で掘った墓穴につまづいた私を放置したまま、杭葉は彼に話しかける。
「今回、あなたをこの2人で護衛いたします」
「…………」
「ムダムダ、どうせ何も喋らないよ」
「…………」
名前も何も知らぬまま、私と杭葉は彼の護衛をすることになったのだった。
ーーーーF県T村 共同墓地ーーーー
新幹線で一時間半。
車で一時間半。
計三時間の長旅を経て、私達はとある墓地にやってきていた。
なんの変哲もない墓地。
とりあえず辺りに呪霊がいないかどうかを確認してしまうのは、呪術師の悲しい性である。
「で、こんなド田舎まで何しに来たわけ?」
「…………」
「まーた、無視かよ」
そろそろ慣れてきた。
こいつに話しかけるだけ時間のムダだ。
「…………」
と心のなかで毒づいていると、急に彼は立ち止まった。
ん?
なんだ?
「…………」
「俺達はここで待っていますので」
杭葉の声が聞こえているのか分からないが、再び彼は歩き出す。
そこからは階段になっていて、ここから少し見上げたところに彼が目的とする墓地はあるようであった。
「おい、杭葉」
「なんだ」
「説明」
ここまで詳しい話も聞かずに着いてきてやったのだ。
そろそろ説明があってもいいだろう。
私の心中を察したようで、杭葉はため息を吐きながらも話し始める。
「俺も詳しいことは聞いてない」
「はぁ?」
「柳沼を通して話があってな。あの彼を護衛しろとの話だ。それ以上は俺も知らん」
柳沼というのは我らが担任。
いつもそっちから話が来る。
「おいおい、それだけの情報で任務を承諾したのかい?」
「……仕方がないだろう、上層部から直々の命令だそうだ」
上層部?
無口な彼はそんなに重要な人物なのか?
ーーゾワッーー
「っ!?」
思考を中断するように感じた悪寒。
これは呪霊の気配。
「杭葉!」
「分かっている。行くぞ」
私と杭葉は彼が向かった石段を駆け上がった。
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そこには呪霊がいた。
腰を抜かした彼のすぐ目の前で、彼を見下ろすような形で。
「…………あ、あぁぁぁっ」
彼は身体を丸め、ガタガタと震えている。
無理もないか。
「俺が行く」
「あぁ、頼む」
杭葉の言葉に頷き、私は彼の安全を確保しに回る。
杭葉の方はすぐに呪霊の懐に入る。
「『毒蟲』」
ーーゾゾゾゾゾッーー
杭葉の『毒蟲』は操る距離を縮めれば縮めるほど強度が増す。
見たところこの呪霊はそこまで等級は高くない。
すぐに片がつくだろう。
それより今はーー
「大丈夫かい?」
「……はぁ……はぁ……うっ、おえっ」
嘔吐する彼の方が心配だ。
落ち着くように、背中を撫でる。
少しして落ち着いたのか、彼はゆっくりと身体を起こした。
杭葉も終わったようで、私達の元へ寄ってくる。
「落ち着いたようだね」
「…………」
「おいおい、さっきまで話してくれていたのにだんまりかい?」
「おい……」
「………………すみません、でした」
やっと聞けた彼の第一声は、謝罪であった。
「それは私の膝に吐いたことに対してかな?」
「…………」
杭葉が私に茶化すのも大概にしろという視線を送ってくる。
まったくもう半年も経つのだから、私のことを理解しても良さそうなのにな。
「僕は……呪いが見えます」
「だろうな。死の危険があるならともかく、さっきの呪霊は人を呪い殺せる力は高くない」
「…………呪いが見えるようになったのは、7歳の頃。両親が殺されてからです」
それから呪いが見えるようになり、身寄りのない彼は呪術界のとある家に引き取られたという。
そこでは厄介者扱いをされ、生活していたという。
「それは不憫な境遇だねぇ」
「……今回の墓参りはその家族の墓参りという訳か」
「…………はい」
なるほど。
「なぁ、お前は何かしたのか?」
「……え?」
気になったことを口にする。
なにかしたのか、と。
「おい」
「何かって……」
「何かは何かさ。さっきから聞いてたら被害者面で気にくわないんだよねぇ」
まぁまぁ。
呪霊に殺された、それは確かに可哀想だ。
だが、こいつの言動を見てると、どうにもイラつく。
「僕は可哀想だ、って思い込んでるだろ?」
「っ」
その顔は図星だな。
「現状を受け入れ、仕方がないと意見を言わず」
「そんな奴に同情なんてするかよ」
嘲笑する。
それに対して、彼は、
「っ、そんなの……僕の気持ちなんてッ!!」
そう言って掴み掛かってくる。
おぉ、いいじゃないか。
「感情出せるじゃないか」
「なっ」
掴み掛かられながらも、チラリと杭葉を見る。
彼は目を瞑っていた。
勝手にしろ、ということかな。
ふふっ、なんだ、やはり杭葉も私のこと分かっているじゃないか。
「なぁ……呪霊に家族を殺されたのが、君だけだと思ったら大間違いだ」
「え……?」
「私もそうなんだよ。私の両親も当の昔に殺されているんだ。呪霊に目の前で腸を引き摺り出されてね」
思い出したくもない記憶。
しかし、今でも鮮明に思い出せる記憶だ。
あの頃は酷かった。
寝ても覚めても思い出すものだから自死することすら考えた。
けれどーー
「私は両親を殺した呪霊を祓うために」
「そして、この世から呪霊を抹消するために呪術師になった」
だから、君だけが不幸なのではない。
不幸だから何もできない訳ではない。
「もう一度聞こう。君は何かをしたのか?」
「…………」
答えは分かり切っている。
その上でこれを聞こう。
「君、呪術師に興味はあるかい?」
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これが私ーー針倉優誠と、その運命を変えた呪術師『
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次作でもアンケートとってますが、主要キャラ落書き(デフォルメ絵)してもいいですか? ※未経験者なので雰囲気だけ伝わればよいものとする
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よい・やってみせよ
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完結したんだからNG
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いや、むしろ私が書こう(有能絵師)