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呪霊狩りは至極簡単なものであった。
等級としては三級程度で、私でも十分祓うことができた。
正直な話、呪霊を祓うよりも、これから東京へ戻るために車で長時間移動する方がストレスに感じている。
「呪霊も祓い終わったし、どこか旅館でも泊まるとしようぜ。そうだな、温泉旅館がいい」
「あ、あの……」
「まだ終わりじゃないだろうが」
杭葉の言葉に、彼も頷いていた。
仕方がない。
温泉旅館には勿論泊まるとして。
他ならぬ同級生のためだ。もう少し働くとしようか。
「君のお姉さんが目撃されたのはどこだい?」
その質問に杭葉がまた任務の詳細を見ていないのかと言わんばかりの視線を向けてくる。
無視して話を続けよう。
「えぇと、たしか……古い空き家があるらしくて」
「空き家?」
「はい。そこに僕の姉らしき人が入っていくのを、村の人が何回も目撃している、ということみたいです」
写真もあるようで。
そう言って渡されたのはピンボケ写真。
「これが君の姉?」
「……分かりません」
まぁ、当然といえば当然か。
9年も経っていたら、人の外見など簡単に変わる。
小学5年生が成人するほどの年月。
当時7歳だった彼も今や立派な高校1年生だ。
姉の容姿もそりゃあ変わる。分かるわけもないだろう。
「…………ふむ」
「あ、あの……」
どうもキナ臭い。
上層部の彼に対する執着めいたものを感じる。
両親が呪霊に殺された少年を保護する。
これはまぁ、分かる。
だが、彼の護衛を任務とすることも、彼の姉の情報を仕入れていることも、上層部がそれをする理由が見当たらない。
すると、何かの罠か?何のために?
「おい」
「…………」
考え出すとキリがない。
ならば、どうする?
いやいや、今さら自分に問う必要もない。
答えは簡単だ。
「君はどうしたい?」
「え?」
「私はここで止めてもいいと思っているよ。正直、私には関係ないからね」
「!」
「けれど、君にとっては無関係ではないはずだ。唯一の肉親が生きているかもしれないんだからねぇ」
「だから、判断は君に任せよう。君はどうしたい?」
ここでそれを聞くのは、愚問だっただろうね。
彼はもう決めているはずだ。
呪術高専に入った瞬間に、彼はもう選んでいるのだから。
「僕はーー」
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「ここかい?」
徒歩で移動すること20分。
村の外れにその空き家はあった。
ド田舎な上、こんな昼間でも人通りもなく、周囲を木々で覆われた場所にあるのだ。
「隠れ家には丁度いい訳か」
私の言いたいことを代弁する杭葉。
しかし……。
「今からここに入るのか」
「どうかしました?」
「……いやはや、私は虫が苦手なんだよねぇ」
杭葉のそれは勿論だが、普通に虫も嫌だ。
ここに来る途中だって嫌なことこの上なかった。
「杭葉、君が先人切って入ってくれないかな」
「……最初からそのつもりだ」
そう言うと、杭葉は歩を進める。
流石、二級術師様だ。
三級術師の私とは違うねぇ。
「さて、杭葉が安全を確認してくれるようだし、私達もそれに続くとしよう」
「はい」
ーーーー空き家玄関ーーーー
森の中にある家ということもあり、昼間とはいえ中は想像以上に暗かった。
呪霊の一匹や二匹なら憑いていそうな雰囲気だ。
玄関は空いていた。
「杭葉、どうだい?」
「分からんが、少なくとも現時点で呪霊の反応はない」
「人の気配もないね」
見たところ廊下には埃が被っており、長い間ここの廊下を通る人間はいないだろうことが分かる。
これは……。
「情報はガセか」
「……そう、みたいですね」
彼も杭葉も、人が生活している様子がないことを理解したようだ。
そのまま踵を返し、そこを出ようとする。
だが、不意に呪力を感じた。
「杭葉!」
「あぁ」
彼もそれを感じ取ったのだろう。
『毒蟲』を放ち、臨戦態勢に入った。
私も呪力を拳に込める。
呪力からして、恐らくそこまで等級は高くない。
2人で十分だろうが、
「2人とも……もしかして……?」
彼を守りながらか……大丈夫か?
この数日で、呪力を使う感覚は少し教えた。
とはいえ、彼はまだ呪術高専に入ったばかりで、呪霊を祓うどころか呪霊から身を守る術も持っていない。
呪霊が見えて、呪力もあるのだから、何らかの術式もあるとは思うけれど……。
「まずはこの家を出る。異論はないな、杭葉」
「あぁ、珍しく同意見だ」
彼にも合図をして、家から出る。
そこで、
ーーパァァンッーー
私は撃ち抜かれた。
「な!?」
「何者だ」
辺りを見渡しても何もいない。
いや、それより私が今すべきなのは……。
「…………っ」
「出血が……!?」
「呪力は、感じない。あの音……っ、凶器は拳銃だろうね」
撃たれたのは腹。
思ったよりも出血が多く、恐らく撃たれた箇所が悪い。
まずいねぇ、これは。
「杭葉」
「……なんだ」
「呪霊と私を撃った相手。相手するならどっちだい?」
「ちょっ!? 動いたらっ」
「大丈夫さ。このくらいじゃあ人間は死なない」
「…………」
心配そうに私を見る彼と辺りを警戒し続けている杭葉。
このままこの状態が続くと、最悪私が死に、彼と杭葉だけで呪霊と襲撃者を相手することになる。
襲撃者が何人いるかも分からないこの状況で、それは2人の生存率を大きく下げることを意味する。
ならば、
「おーい、襲撃者の方! 降参だ」
「私とここにいる大男は、君にもしくは君たちには攻撃しない。だから、姿を見せて目的を教えてくれないかい?」
普通の人間ならば出てこないだろう。
だが、私たちを狙っているのだ。
恐らくだが、
「これは『縛り』だと思ってくれて構わない」
「おい!!」
杭葉が大声を出すが、構いはしない。
相手が呪詛師ならば、この『縛り』で出てこないはずはないだろう。
向こうは姿を見せて目的を教えるだけ。
こちらは襲撃者を攻撃しない。
襲撃者の目的がもし私達の殺害だとして、この『縛り』では私達を殺害することを禁じていないのだから。
ここまで襲撃者に有利な『縛り』もあるまい。
少しして、私達の左側の草むらが揺れた。
そして、襲撃者が現れる。
「え? なんで……?」
「お前……」
2人の反応も無理はない。
私も痛みと出血で朦朧としていなければ、驚き慌てふためいていたに違いない。
「やぁやぁ……やっぱり心配で来てくれていたんですねぇ」
「柳沼先生」
「………………クソガキが」
彼女は苦虫を噛み潰したような表情で、私達の目の前に姿を現した。
銃口は未だ私を捉えている。
目的はなんですか?
そう聞くと、彼女は短く答える。
「針倉優誠とそれに加担する人間の抹殺」
「……それだけだ」
どこか苛立ったような、けれど温度のない声。
いつもの彼女らしくはない。
まぁ、上層部からの命令なんだろう。
守れと言ったり、殺せと言ったり。
言うことが変わる上司をもつと大変だねぇ。
「というわけで、針倉」
「死んでくれ」
彼女の言葉と共に、その銃口から銃弾は放たれた。
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次作でもアンケートとってますが、主要キャラ落書き(デフォルメ絵)してもいいですか? ※未経験者なので雰囲気だけ伝わればよいものとする
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よい・やってみせよ
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完結したんだからNG
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いや、むしろ私が書こう(有能絵師)