ソードアート・オンライン フェイタルバレットー切札の弾丸ー   作:トライダー

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 バザルト・ジョー再び

 

 

 

 

 

 

 

「こいっ……こいっ…………よっしゃあ!!!」

 

「やったーなのです!!マスターは最高です!」

 

 カラカラカラッと回る赤と黒のルーレットその中を小さい玉が転がり赤い枠へと入る。

 その瞬間を見届けたリョウは大きくガッツポーズをし、アイも歓喜の声を上げながらリョウへと抱きつく。

 

 リョウ達はGGOでは珍しく煌びやかな金色に囲まれた娯楽店、カジノへと来ていた。

 カジノではLUK(幸運)のステータスは役に立たず、己のリアルラックの高さだけで勝負する事になるのだが……

 

「ほ、本当に勝っちゃうなんて……」

 

 類い稀ない幸運による連勝。それをそばで見ていたクレハは喜ぶどころか軽く引いていた。

 最初リョウはあまり乗り気ではなく、クレハに無理矢理連れてこられる形で来ていた。

 彼の経験上、カプセルトイや流行りのカードなどと言った物のレア物は一度として当たった経験が無い為カジノの類は苦手でクレハのプレイを後ろで見ていた。

 

『か、勝てない……』

 

『クレハ、これ以上はやめておいた方が良いのです』

 

『わ、分かってるけど……でもぉ〜』

 

『でもじゃ無いのです!これ以上は大赤字です!』

 

 ハッキリ言ってクレハはボロ負けであった。最初こそは調子が良かったのだが、回数が増えるに連れ敗北が重なる。

 最初の栄光を忘れられずムキになったクレハは、2人が止めるのも聞かず次々とお金を注ぎ込んでしまっていた。

 

『じゃあリョウ、最後にあんたがやってみたら?』

 

『だから勝てないって』

 

『別に良いわよ、どうせ残り一枚だし』

 

『そうか?なら……』

 

 流石にアイに怒られ冷静さを取り戻したクレハ。

 負けても良い、そこまで言われ気軽にスロットにコインを投与し、適当にボタンを押していく。

 

『お?』

 

『おお!!』

 

『えええっ!!!』

 

 カシャッと止まり真っ赤な7が三つ揃う、さっきまでクレハが喉から手が出るほど欲しがっていたスリーセブン。

 コインの所持数が一瞬で百を超える。

 

『んだよ増えちまったな、全部注ぎ込むか』

 

『ちょ、ちょっと待って!少し冷静に……』

 

 クレハが止まる間も無く全額を注ぎ込みスロットを回す、すると再び赤い7が三つ揃う。

 

『おっ!』

 

『おおっ!!』

 

『えええええっ!?!?』

 

 コインの所持数が一万を超え簡単にクレハの最初の所持数を上回る。

 これ以上はスロットでは消費し切れなくなりスロットからルーレットへと移動して現在に至る。

 

 しかしルーレットに変わってもリョウの幸運は続き一万、100万、そして今1億クレジットへと到達した。

 

「っしゃおらーっ!!!」

 

「流石マスターなのです!」

 

「ぬわはっはっはっ!!もっと褒めても良いんだぜ?」

 

「マスターは最高です、カッコいいのです、チョロいのです!でもそんな所が大好きなのでーす!」

 

「そうだろそうだろ!はっはっはー!!!」

 

「恥ずかしいからやめなさい二人とも!」

 

 調子に乗り椅子の上でバカ笑いをするリョウとそれを純粋に褒め称えるアイ、そんな騒がしい二人は他のプレイヤーの注目の的になっていた。

 

「おい、あれって噂のニュービーじゃねぇか?」

 

「ああ、確か初日にアファシスを手に入れたって奴だろ?」

 

「信じられねぇよな、チートでも使ってるんじゃねぇか?」

 

「運営が動いてないなら無実じゃね?」

 

「んなもんバレないようにどうにかしてやってるに決まってるだろ、じゃなきゃあんな幸運続く訳ねぇって」

 

「そうでも無いんじゃないか?ほら見てみろよ」

 

 その幸運ぶりを見て妬ましい視線をぶつける他プレイヤーがもう一度リョウの方を見てみると

 

「ギャー!全部失った!!!」

 

「何やってんのあんたはー!!!」

 

「流石マスター。潔いのです!」

 

 先程まであった1億クレジット分のコインが一枚を残してディーラーに持って行かれてしまった。

 他のプレイヤー達はまたかと言った表情でもう見向きもしていない、と言うのもリョウはかれこれ一時間程こんな展開が続いている。

 一枚のコインから始まり、一億総等稼いだあと調子に乗って大破産、既に10回以上繰り返され最初は皆驚いて盛り上がっていたがとっくに飽きてしまっていた。

 

「道化だな……」

 

「ああ、道化だ……」

 

 哀れな道化の姿に嫉妬どころか哀れみの視線へと変わっていた。

 

 

 

 

     ⭐︎

 

 

 

「はぁ……何とか元を取り戻せたな……」

 

 結局その一枚を使いクレハが元々所持していたコイン分を取り戻す事ができ、そこで終了する事にした。

 

「三時間やってプラマイゼロか……ドッと疲れた……」

 

「あんたはギャンブルさせちゃ駄目な人間ってのが分かって良かったわ……」

 

「俺もそう思う……もう二度とやらねぇ」

 

「見てる分には楽しかったのです♪」

 

 リョウは調子に乗るとブレーキが一切効かなく

 もう少しだけやっても良かったとは思うが少しでも勝つと調子に乗って止まらなくなると考え思い止まった。

 

「お客様、少しよろしいでしょうか?」

 

 カジノを出ようとしたリョウ達へと話しかけたのは青いロングヘアの背の高い女性、丁寧な口調と機械的な姿勢からアファシスである事がわかる。

 彼女はアファシスタイプB。タイプAより戦闘能力は低いが高い演算能力を持っておりGGO内の店員や受付などと言った形でプレイヤーをサポートする。

 カジノにいる彼女は言うならメダルや賞品の交換、そしてイカサマ防止などが仕事。

 

「やぁバニーちゃん♪俺に何か用?デートのお誘いならこれからでも……いででででっ!!」

 

 アファシスではあるが見た目はリョウ好みの背の高めのスレンダーなお姉さん、しかもカジノの雰囲気に合わせるためかバニースーツの格好。

 そんな彼女にリョウがメロメロにならない筈がなく、今にも口説こうとしている彼の耳をクレハが引っ張って止める。

 

「デレデレしない。全く……それで何かしら? 言っておくけどイカサマなんかしてないわよ?」

 

「いえ、そちらのリョウ様が実績を達成されたのでその事をお伝えに来ました」

 

「お〜いてて、実績?……って何?」

 

「条件を達成すると取得できる隠し要素みたいなものよ。このタイミングだと隠しイベントかしら?」

 

「こちらをどうぞ」

 

 そう言うと彼女は手に持っていた宝石などを入れるような上品なトレーをリョウの前に突き出す。

 そこには一枚の黒いメダルが乗っていた。

 

「何だこりゃ?」

 

 カジノで使う二色のチップ、黒を基調にして所々紫色が入っており真ん中には同じく紫色でJと描かれている。

 さっきまで使っていたメダルとは明らかに違う異質なものを不思議そうに手に取る。

 その瞬間目の前にウィンドウが出現する。

 

「うわっ!?ビックリした」

 

「はい、登録完了しました。条件達成XTRAスキルを解放します、おめでとうございます」

 

「え、エクストラスキル!?」

 

 タイプBの言葉に驚いたクレハが割り込むように出現したウィンドウを覗き込む。

『XTRA NO.10《ジョーカー》を解放』

 短くそれだけが書かれていた。

 

「す、凄いのですマスター!」

 

「そうなのか?」

 

「そうですよ、だって…モガっ!?」

 

「しー!ここじゃ目立つわ早く行きましょ……」

 

「お、おい待てよクレハ!」

 

 大きな声で喋ろうとするアイの口を塞ぎあたりを見る、元々騒いでいたおかげか特に誰かが気にしている様子はない、リョウ為はモガモガ言っているアイを引きずるようにカジノを後にした。

 

 

 

    ⭐︎

 

 

 

「エクストラスキル!? 凄いじゃ無い!」

 

「しー!ツェリスカさん声が大きいですよ!」

 

「ご、ごめんなさい、でも本当なの?」

 

「本当です!ほらリョウ」

 

「ズズ……ん?ああ、ほら」

 

「〜♪」

 

 途中で会ったツェリスカと共に人気の無い喫茶店で先程の話をする、普段落ち着いた態度の彼女すら驚いた表情を見せる。

 アイと一緒に呑気にジュースを飲んでいるリョウはクレハに言われ自分のステータスを表示させる。

 そこには先程のエクストラスキルが載っている。

 

「ほ、本当だわ……凄い……」

 

「そんなに珍しい物なのか?」

 

「珍しいなんて物じゃ無いわ。エクストラスキルは持ってる人が少な過ぎてユニークスキルとも言われているぐらいなんだから」

 

「そうね。他のゲームにもよるけどGGOに存在するエクストラスキルは26個、単純に高難易度なダンジョンやクエストを達成すれば良いわけでもなく、その全てが取得条件が不明なの」

 

「不明って……ツェリスカは社員だろ?なら分かるんじゃ無いのか?」

 

 辺りに誰もいない事を確認すると彼女の耳元で声を小さくしながら聞いてみる。

 しかしいくらプログラマーでも、全てがわかるわけじゃ無い。しかもツェリスカが言うにはエクストラスキルについては謎が多いらしい。

 GGOではSAOサーバで自立制御していた《カーディナルシステム》 を利用して作られたVRMMORPGの作成・制御用フリーソフトである《ザ・シード》が使われている。

 

「ん〜プログラム関係は得意じゃないが……ようはSAOとGGOは根っこの所では同じ物って事か?」

 

「似たシステムを流用してるって意味ではそうね、そしてザ・シードは周りの情報を取り込んで成長するの」

 

「成長って……」

 

「?、どうしましたマスター?」

 

 成長するプログラムと聞いて幸せそうにジュースを飲んでいるアイの方を見る。

 

「ええ、アファシスのAIもザ・シードが基準となっているわ。エクストラスキルはある日突然プログラムとして存在していたのがわかったの、恐らくザ・シードを経由してSAOのプログラムがこちらに流れ込んで来たんじゃないかって話になったわ」

 

「……それって危険じゃ無いのか?『あの』SAOだろ?」

 

「ええ、殆ど弄らず流れて来たプログラムをそのまま使おうとして反対する意見も多かったわ、わたしもその一人。でも結局上層部が勝手に決定して賛成意見のプログラマーのみで作られたの、だからエクストラスキルのプログラムには関わっていないわ」

 

「なるほどな」

 

「まぁ条件を知っていたからと言って簡単に取得できる物でも無いわ、現にリョウも運良く取れただけでしょ?」

 

「まぁそうだな。やっぱ俺って幸運の女神に愛されてるんだな〜、いや〜モテる男は辛いぜ」

 

「よく言うわよ、見なさいよこの取得条件」

 

 帽子を弄りながら調子に乗っているリョウにウィンドウを飛ばす。

 

「ん?『取得条件:カジノで10億クレジット分の大破産をする事』………何じゃこりゃ!?」

 

「何が運がいいよ、運が最悪じゃ無いと取得出来ないじゃ無いの!」

 

 10億クレジット、現金では1000億円にも該当する事になる、トッププレイヤーでも普通に稼ぐには何年も掛かる金額だ。

 しかもそれを全て失う必要があるという中々の難易度だ、普通にプレイしていればまず気付かないだろう。

 

「リョウそんなに負けたの?大丈夫?」

 

「大丈夫大丈夫、その分勝ちもしたし……」

 

「調子に乗ってその分負けてプラスマイナスゼロ、運が良いのか悪いのか分からないわね」

 

「まぁ最終的にスキルを手に入れてるから幸運なんでしょうけど……とんでもない難易度ね、同じ会社の社員として恥ずかしいわ」

 

 知らなかったとは言え、明らかに取得させる気が無い難易度にツェリスカは頭を抱える。

 

「ていうかこんなプログラムが勝手に流れて来るなんて大変だろ?」

 

「そうなのよ! なのに上司はSAOのシステムを組み込む事に前向き!しかもその作業は殆どプログラマーに投げっぱなしでたまに手伝おうとすると邪魔しかしない! 給料を上げれば社員がついて来ると思ってるのかも知れないけどちゃんと休みが無いとそのお金を使う事が出来ないわよ! そのくせ手柄や表彰される時はいつもいつも自分の手柄のように………」

 

「よしよし、分かってるツェリスカは頑張ってるよ」

 

 地雷を踏んだかのように不満と愚痴が溢れ出すツェリスカをリョウが慰める。

 リアルを明かしてからと言うもののこうやって甘える事が増えた、もし彼女に憧れている者が見たらガッカリするかも知れないがリョウとしてはそんな弱さを見せる彼女を可愛く思っている。

 

「もうギャンブルは辞めておくか……でも勿体無いな〜、あそこのバニーちゃん可愛かったのに……」

 

「むぅ、わたしじゃ不満?」

 

「いやいやツェリスカに不満は無いけど、可愛い子とは何人とでもお知り合いになって……でででででっ!!!痛い!ツェリスカ痛いって!!」

 

 子供のように拗ねた様子でリョウの太ももを撫でるが、リョウのデリカシーの無い言葉に怒ったのか今度は思いっきりつねる。

 

「いででででっ!!!クレハ!アイ!助けてー!!」

 

「レイちゃんこっちも飲んでみる?」

 

「ありがとうなのです、クレハも飲んでください!」

 

「ありがとう♪」

 

 痛みに二人に助けを求めるが、クレハとアイはそんなリョウを無視して飲み物の交換をしていた。

 

 

 

     ⭐︎

 

 

 

「いててて、酷い目にあった……」

 

「あんたがバカなこと言ってるからでしょうが」

 

 ツェリスカさんに解放された足を摩っているリョウにきつい言葉をかける、厳しいかも知れないがはっきり言って自業自得だ。

 

「クレハの言う通りなのです! 第一タイプXのわたしが居るのにタイプBにデレデレするなんてぇ!」

 

「え〜だってアイはガキっぽいし……」

 

「むぅ!そんな事無いのです!わたしだって大人のレディなのですぅ!!」

 

「はん、そういうセリフは背をあと30センチ伸ばしてから言いな」

 

「むぅ〜っ!」

 

 怒ったレイちゃんが両手を振りまわしリョウへ向かって行くがおでこを押さえつけられ空振りに終わっている。

 

(でもレイちゃんって確かに背は低いけど身体の方は結構……)

 

 子供っぽい言動と背丈から分かりずらいがレイちゃんのスタイルは結構良い、もしかしたらツェリスカさんにも負けないかも。

 自分の体を見下ろしてみる、実はリアルよりも少しだけスタイルが良くなっている、しかしそれでも二人と比べて小さいような……

 

 ま、まぁ大事なのはバランスだし……リョウは女の子を身体で判断するタイプじゃ無いし……その代わり顔で判断するけど……だから別に気にして無いし……うん

 

 

 

 

      ⭐︎

 

 

 

「ふぃ〜♪」

 

「ほらほら怒らない怒らない……ん?クレハなにブツブツ言って「久しぶりだねリョウくん」……あん?」

 

 怒っていたアイを膝の上に乗せ宥めるリョウへと見覚えのあるプレイヤーが話しかけて来る。

 その顔を見た瞬間リョウは嫌そうな顔へと変わる。

 

「うげっイツキ……何しに来やがった!」

 

 立ち上がりクレハを隠すようにして威嚇する、タダでさえ嫌いな部類の人間な上前回クレハを傷付けた事がより警戒心を強くさせていた。

 それはツェリスカも同じだ、イツキの声が聞こえた瞬間機嫌が悪くなり彼を睨みつける。

 

「何の用かしら? わたし達が楽しく話していたのが分からないの?空気ぐらい読んでくれないかしら」

 

「そんな怖い顔をしないでよ。今日は前回の事を謝ろうと思ったんだよ」

 

「謝るだぁ?」

 

「クレハくん、前回は悪かったね。少しデリカシーが無さすぎた謝るよ。あの時はどうもイライラしてたみたいでね、許してくれるかな?」

 

「あ、い、いえ! アタシの方にも問題があったと思いますし、別に気にしてません」

 

「そうかい、助かったよ。それとは別に話が有るんだけど……」

 

「よぉう!お前さんら、久しぶりだなっ!」

 

 イツキが何か言おうとした時、真っ赤なバイクが止まり後ろの席から豪快な笑い声と共にバザルト・ジョーが降りて向かって来る。

 

「あ! ジョー久しぶりなのです!」

 

「ようアファシスちゃん♪……おっ!イツキも居るのか」

 

「相変わらず元気だね君は……」

 

「何の用よ!まさかまたレイちゃんを狙って来たの?」

 

 クレハは軽蔑の混ざった瞳でジョー達を睨み付ける。

 と言うのもジョー達はあれから既に3回もリョウ達に勝負を挑んで来ている、その全てで勝利し条件としてレアアイテムを貰ったりしていたがいい加減しつこく感じていた。

 

「まぁまぁ、今日は良い話を持って来たんだよ」

 

「良い話?」

 

「お前さんらオレのスコードローン《バレット・ワークス》に入らないか?」

 

「は? 何だよいきなり」

 

 突然の申し出にリョウとアイは首を傾げている。

 

「お前たちと決闘すること計3回、全部がお前たちの勝利で終わっている。そこで一つ思いついたんだ、そもそも決闘なんてしなくてもリョウがスコードローンに入ったらアファシスちゃんも一緒に来るじゃないかってな!」

 

「うわ最低、アファシス目当てのスカウトって事?」

 

「いやまぁ勿論それも有るけどよ、よくよく考えてみたらお前たちの事は嫌いじゃない。寧ろ決闘を繰り返す毎にお前たちの事を気に入ったんだ。だからいがみ合うより一緒に楽しんだ方が良いって思ったんだよ」

 

「う〜ん、まぁ俺もオッサン達のことは嫌いじゃないしな……」

 

「わたしは嫌かしら。スコードローンに入ったらリョウと一緒に居られる時間が減っちゃうし〜」

 

「よし、辞めとくか」

 

「いや待て待て待て!早いっての! もう少し悩めよ!!」

 

 何度も戦ってはいるがリョウもジョーを気に入っており、正直彼と一緒のチームになる事に抵抗は無い、しかしそのせいで女の子との時間が無くなる方が嫌だった。

 

「ちょっと良いかな?それならボクも君たちを《アルファルド》に誘おうと思ってるんだけどどうかな?」

 

「え、ええ!? い、イツキさんもですか?!」

 

「どう言うつもりかしら? 基本的にスカウトなんてしないあなたが」

 

「君には関係ない事だよ。この二人なら実力も申し分無いし、何より面白そうだからね」

 

「まさか、トップクラスのスコードローン二つに誘われるなんて……どうするのリョウ?」

 

「いや、入らねぇよ。オッサンの方はむさ苦しそうだし、イツキの方はイツキファンの女の子しか居ないし」

 

「ははっ、君らしい断り方だね」

 

 ハッキリと断られ寧ろ喜んでいる様子を見せるイツキ。

 

「そうか……なら決闘を申し込むぜ!」

 

「いや、それいつもの流れじゃねぇない」

 

 既に何度も繰り返されたやり取りにうんざりしてるクレハ、しかしジョーの表情はいつも以上に真剣だった。

 

「今回はただの決闘じゃねぇ、オレたちバレット・ワークスの意地とプライドを賭けた最後の決闘だ」

 

「最後?」

 

「ああそうだ。今まではお前たちに気を遣ってタイになるように人数を絞っていたが今回はGGO流、スコードローン全員でお前たちに襲い掛かる! お前たちが勝てば二度とちょっかいは出さない、負ければ仲間に入るんだ。どうだ?」

 

「ちょ、ちょっと待ってよ!そっちのスコードローンの人数って確か……」

 

「30人だ」

 

「勝てるわけ無いでしょうが!!」

 

「おいおいクレハ、そもそもGGOは弱肉強食の世界だ。いつまでも相手のチームに気を遣って貰えると思う方が甘いんじゃ無いのか?」

 

「う……それはそうだけど……」

 

「言っておくが断るならこれから何度でも襲わせてもらうぜ、勿論総出でな」

 

 ジョーの言う通り本来GGOとはこう言う世界、寧ろ今まで物量戦に持ち込まなかった事を感謝するところだ。

 GGO歴の長いクレハはそれがよくわかっているからこそ何も言えなくなってしまう。

 

「悔しいけど彼の言う通りよクレハちゃん、そう言う世界を選択したのはわたし達なんだから」

 

「ツェリスカさん……」

 

「安心してわたしも一緒に戦うわ。スコードローンに入っちゃったら一緒に遊ぶ時間が減っちゃうもの〜」

 

「ボクも手を貸そう、君たちを他のスコードローンに渡したく無いからね」

 

「ツェリスカさん、イツキさん……」

 

「勿論そっちの人数も好きにしてくれ、場所は後でメールで送る。スタートは無い、どちらかが引き金を引いた瞬間が始まりの合図だ」

 

 そう言うとジョーは身を翻して去って行った。

 

「どうするのリョウ? 受けるの?」

 

「ま、逃げたらしつこく追いかけて来るだろうしな。奇襲されるよりはこっちの方がまだマシだろう」

 

「でも相手は30人よ、勝てるの?」

 

「数が多くても全員がオッサンと同じ強さじゃ無いさ、ツェリスカも居る、一応イツキもな」

 

「はは、ご期待に応えるよ」

 

「心配しないでクレハちゃん、貴方達は確実に強くなっているわ。一緒に戦えばきっと勝てるわ」

 

「そうですよクレハ!わたしたちが力を合わせれば不可能は無いのです!」

 

「……うん!そうね、よーし頑張りましょう!」

 

 確実に力をつけた自分たち、そしてトッププレイヤーの二人が手を貸してくれるのだ、十分に勝機はある。

 クレハは頬を叩き気合を入れ強く頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

⭐︎




 XTRA スキル

GGOの中に存在するレアスキル。
NO.01〜26まで存在しその効果も取得条件も謎で情報屋すら握っていなく、ほぼ都市伝説レベルになっている。
既に何人も持っている噂もあるが他プレイヤーからの嫉妬やめんどう方を避ける為明かす者はいない。
元々はSAOにあったユニークスキルのプログラムがザ・シードを経由してGGOへと流れ込んだものをそのまま運営が登録したので運営ですら取得条件が分かっていないと言う噂。

 
隠しイベント 大破産

XTRAスキルNO.10を取得する為の条件。
10億クレジット(現実のお金で1億円)もの大金をカジノで稼いだ後、再びカジノで消費する事で達成までされる。
フィールドで10億クレジットを貯めるのはトッププレイヤーでも何年掛かるか分からないレベル、よって手早く達成するにはカジノで勝ちまくりその後全額失うと言ったアホなことをする必要がある。
このイベントを最短で達成するのはよっぽどの道化だろう。

第四部 誰のサイドケースから見たい?

  • キリト
  • アスナ
  • クライン
  • エギル
  • シリカ
  • リズ
  • リーファ
  • シノン
  • ユウキ
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