ソードアート・オンライン フェイタルバレットー切札の弾丸ー 作:トライダー
お正月をゆっくり休みましたので投稿を再開していきます。
応援してくれる人や楽しみにしてくださる人の為にも自分が面白いと思うお話を書いていこうと思います。
今年もよろしお願いします。
カッ、カッ、カッ……
石でできた階段を複数の靴の音が軽い音を鳴らし遺跡内に響く。
「リョ、リョウ……もう少しゆっくり……」
「ああ悪い悪い、ほらもう少し寄りな」
「う、うんありがとう……」
薄暗く人気も無い、外からの風の音が不気味な笑い声のように聞こえて来る、遺跡が放つ雰囲気に怯えているクレハへ身を寄せ安心させる。
「おー!お熱いねぇ! 私も抱きついちゃおうかしら〜?」
「うっせ、近づくなピトフーイ! エムにでも抱きついてろ!」
「嫌よこの木偶の坊暑苦しいもの」
「むぅ……」
そんな光景を真横で見ているピトフーイが二人に抱き着こうとするのを追い払う。
否定されたエムはバツが悪そうにしている。
「珍しく女の人に辛辣ねぇ……」
「あんなの女として扱えるかよ。昔遭遇した時に会った熊を思い出すわ」
「あんたがそこまで言うなんて怖い
「……………」
『あんたのせいで!せっかくの良いムードが台無しじゃ無いのぉっ!!!』
『ぬおぉっ!??!』
エムは先程戦った彼女を思い出す。
せっかく勇気を出したのにも関わらず二人っきりの時間を邪魔された事に怒り鬼の形相で向かってくる彼女の姿。
その姿は機嫌の悪いピトフーイにも負けない程恐ろしくエムは手も足も出なかった。
「?どうかしましたエムさん?」
「いや……何でも」
クレハも負けないぐらい怖いと言ってやりたかったが、その言葉は飲み込む、彼は空気の読める男であった。
現在リョウたちはピトフーイに遺跡内の案内を頼み進んでいる。
「つか本当に見た事があるのか?噂の骸骨男を」
「ええ、前にこのダンジョンの奥で見かけたの。攻撃仕掛けようとしたら煙のように逃げられちゃったのよね〜」
「逃げられた? ならそいつは殺しを目的にしてる訳じゃ無いのか?」
「そうなのよ〜全くガッカリだったわ、せっかく《デス》のエクストラスキルの手掛かりを手に入れられると思ったのに〜」
ピトフーイの表情は心から残念そうだった、しかしそれは勝てなかった事では無く死ななかった事に対してのようだ。
「お前そんなの欲しいのか? んなスキル手に入れてもしょうがないだろ?」
「え〜何でぇ? そのスキルを手に入れたら本物の殺し合いが出来るじゃない! 殺して殺されての本当の『デスゲーム』がっ!」
彼女は再び狂気に満ちた笑顔をみせる、その頬は酔っているかのように赤らめ熱っていた。
「なぁエム、コイツ頭おかしいのか?」
「……否定はしない、ピトはいわゆる破壊衝動と殺人衝動に囚われている、他人に与えるだけで無く自分が受けることもな……」
「タチの悪い女だな、そんなんで日常生活送れてんのかよ」
「最近までは仕事やGGOに没頭していて収まっていたんだが、少し前に《ラフィン・コフィン》の話を聞いてな」
「《ラフィン・コフィン》?……確かSAO内の殺人集団だったか?」
リョウは仕事の途中警察関係者から聞いたことを思い出す、SAO内のに存在する殺人ギルドで何十人と言うプレイヤーが犠牲になっている。
しかし殺したのはあくまでナーヴギアであると結論が出た事で逮捕が出来ず全員が無罪となっている。
「それからのあいつは少し暴走気味なんだ、お前に負けて少し収まったがな」
「あれでか?」
「昨日まではもっと酷かった……」
「マジか……」
不気味な笑い声をあげているピトフーイ、あれでマシだとしたら普段どれだけいかれてるのかリョウは想像もしたく無かった。
⭐︎
「この辺りよ!」
先頭を歩いていたピトフーイが足を止めアピールするように手を広げながら此方へと振り向く。
奥へと進んだ事で遺跡はより暗くなっていた。
俺は両光剣を取り出しスイッチを入れ灯りの代わりにする、クレハ達もライトを取り出し周りを照らす。
「……広いなボス部屋か?」
細い二つの橋、その真ん中に円状の開けたフィールド。
それはかなり広く闘技場のようにも見える、橋の下はライトの光を呑み込む程の深淵が広がっていた。
「深いわね……落下ダメージが無いとはいえ落ちたら即死判定でしょうね……」
「ああ、気をつけて進もう」
「だな」
俺が先頭を歩きそのすぐ後ろをクレハが、次にピトフーイその後ろにエムという陣形で一人分の橋を渡る。
敵の奇襲を警戒しながらゆっくりと歩く、しかし予想に反して攻撃は全く来ない。
そうこうしているうちに闘技場部分へと辿り着く、来たことのあるエム達は俺達以上に不思議そうにしている。
「妙だな……前にピトと来た時は両サイドの足場からエネミーの襲撃があったんだが……」
「そうそう、しかもボスがクソ強くて何度も死にかけたわね!アッハッハ!」
(嘘をついている様子は無い、二人の話を聞く限り敵の出てくるトラップがあったのか? ならそれが反応しないと言うことは……)
「キャーーー!!?」
「!! クレハっ!?」
思考を巡らせていると突然背後から悲鳴が聞こえ振り向くととそこには尻餅をついているクレハの姿、俺は直ぐに彼女へと駆け寄る。
「どうした? 何かあったのか?」
「が……骸骨が……」
「え?」
クレハが震えながら指を刺した方には彼女言う通り骸骨が、しかし人間では無く巨大な爬虫類の物、目的の骸骨男では無いようだ。
「なんだよただのモンスターの死体じゃねぇか、驚かすなよ」
「しょ、しょうがないでしょ!いきなりで怖かったんだから!」
「悪い悪い、ほら捕まりな」
特に外傷らしいものも無くただ驚いただけのようだ、俺は笑いながらクレハに手を貸し助け起こす。
遅れてピトフーイとエムもやって来る、しかしその表情は気が緩まった俺たちとは真逆のものであった。
「こ、コイツは!!……」
「ん?どうしたエム?」
「コイツは《スカルドラゴン》このダンジョンの
「なにっ!?」
何故トラップが作動しなかったのか、何故攻撃が来ないのか理由は単純だった、
俺たちは直ぐに4人で背を向け合い周りを索敵する。
(改めてライトで照らすと確かに戦闘の跡が見える、2人から聞いた話では出入りしたプレイヤーは居ないはず……)
先程聞いた話だがピトフーイ達は遺跡へやって来たプレイヤーを狙う為昨日一日中入り口付近を張り込んでいたようだがそれらしい人物は居なかったらしい。
だがボスモンスターの骨の体からは、戦闘の後だと教えるように僅かに煙が立ち上っている。
(着弾した弾丸が摩擦によって煙を出しているのか、それに僅かに硝煙の匂いもする、今さっきまで戦闘があった証拠だ……)
つまり誰も入っていない筈のダンジョンで先程まで誰かが戦いボスモンスターを倒した事になる。
先程ピトフーイが使った光学迷彩を使った可能性もあるが、ただダンジョンへ入るのにそんな物を使用する理由が分からない。
後考えられるのは一つ、リョウは噂の骸骨の姿をした亡霊のことを思い出す。
他の3人も同じ事を思ったのか全員が強張った表情で辺りを見回す、あのピトフーイですら口を開かず探ることに集中している。
「エム、アンタの索敵スキルで分からないの?」
「ずっとやっている、しかしオレたち以外には誰も居ない……」
「アンタのスキルで探られないとなると、もう移動しちゃったのかしら?」
「4人がかりで探ってこれだもんねどうするリョウ?……リョウ?」
「え?……あ、ああ……」
繰り返し名前を呼ばれようやく気付く、クレハが不思議そうに俺の方を覗き見てるが正直余裕が無い。
ドクンッ!!!ドクンッ!!!ドクンッ!!!ドクンッ!!!
(なんだ……? 集中すればする程心臓が痛いぐらいに跳ねる……こんな事は初めてだ……)
索敵範囲を広げる為ハイパーセンスを発動するがそれが寧ろ焦りを生む。
現実で銃を突き付けられた時よりも強く激しく高鳴っている、アミュスフィアの安全装置が警告を出す程の心拍数に頭が回らなくなる。
「と、とにかく戦闘体制を……」
『ここで何をしている』
「「「「っ!?」」」」
突如聞こえたエフェクトの掛かった低い声に全員が同時に自分の背後を振り向く。
索敵範囲を上げる為全員が前方に進み出来た空間の隙間にその男は居た。
「が、骸骨男!?」
驚いたクレハが悲鳴混じりに見たまんまの名称を叫ぶ。
俺とエムの中間ぐらいの長身の男、黒いスーツに白い帽子とスカーフ、そして何より目立つ灰色の骸骨の仮面、コイツが噂の《骸骨男》で間違い無いだろう。
「い、いつの間に……」
探索スキル、ハイパーセンス、気配の察知の三重がけの索敵にも関わらず全く気付かないうちに背後を取られていた。
たとえゲーム上のスキルを誤魔化せてもシステム外スキルの他二つを避けてここまで来るのは不可能な筈。
仮面のせいか表情が読めない上に手袋をしていて肌の色すら分からない。
鼓動の激しさがより増す、裏の仕事をしていてもこれ程の緊張感は味わった事が無い。
……コイツは強い
「ひゃはっ!」
「っピト!?」
俺が思考を巡らせていると再び狂気に満ちた瞳を輝やせたピトフーイがステルベインを構え骸骨男へと突っ込んで行く。
骸骨男は今俺の方を向いておりピトフーイの動きは死角になっている。
防御不能の不意打ち、その刃が骸骨男の首を捉えるのを全員が想像していただろう。
『フンッ!』
「なっ!?ガハッ!」
「ピト!!」
しかし骸骨男は最小限の動きでステルベインを避けるとガラ空きの横っ腹に掌底を叩き込む。
カウンター気味に深く入った一撃にピトフーイは大きく吹っ飛び地面を転がる。
「ピト! うおぉっ!!」
「く、このぉっ!!」
「止めろ!2人とも!」
ピトフーイをやられた事で怒ったエムとクレハがほぼ同時に射撃を仕掛ける。
距離は10メートルも無い、しかし2方向からの十字砲火にも関わらず骸骨男には擦りもしない。
別段早い訳では無い、だがまるで銃弾の動きが分かっているかのように無駄のない動きで避けエムへと距離を詰める。
『トォッ!』
「ごほっ!!……」
拳の届く距離へとやって来た骸骨男は腰に拳を構え捻り込みながら拳を突き出す、手袋をはめた黒い手が深々と突き刺さる。
空手の正拳突き、しかも無駄の無い洗練されたフォーム、格闘技の経験のある者ならその美しさに今の俺と同じように惚れ惚れするだろう。
一撃必殺の正拳突き、その威力は凄まじく190センチを超えるエムの巨体を大きく吹き飛ばす。
溝内への強烈な一撃にエムは気を失ってしまったようだ。
そして懐から拳銃を取り出しクレハへと向ける。
「くっ!」
その様子を見たクレハは得意のスピードで勝負しようと速度を上げる、闇風とも渡り合ったスピードで骸骨男を撹乱しようとする。
『フッ……』
「え?、きゃぁ!?」
「クレハ!!」
バレットラインを避けた筈のクレハの両膝が撃ち抜かれる、当のクレハも何が起きたのか分からずものすごい勢いで地面を転がる。
クレハを助けようとコルト・パイソンを引き抜こうとしたがそれよりも早く骸骨男の銃弾は俺の帽子を撃ち抜いた。
銃痕を付けた帽子がゆっくりと落ちる、その感覚に体が動かなくなる。
早撃ちには自信があった、しかしこの男はその数段上をいく。
何故ラインが見えているクレハが撃ち抜かれるのか理由は簡単だ、バレットラインを見て避けようとする方向を先読みし避けた方向へ弾丸を撃ち込むただそれだけだ。
(俺もAGI型対策に何度かやった事がある……だが出来ても片足だけ、しかしあの男はクレハの
本来足というものは頭以上に撃ちづらいのだ、頭以上に細く高速で動くからだ疲れる事のないGGOでは尚更困難になる。
AGI型でしかも細脚のクレハ相手にそんな事は俺も出来ない、間違いない銃の腕前は俺以上だ。
骸骨男の凄まじい攻めに三人とも気を失っている、骸骨男はそんなクレハへと照準を合わせる。
撃たれたら死……そんな噂を信じてる訳じゃ無い、しかしこの胸の高鳴りが信憑性を生み出す。
「うぉらぁっ!!」
『ム……』
死角から両光剣を投げ飛ばす、骸骨男は当たり前のように回避するが目的であるクレハへのヘイトをこちらへ持って来る事には成功したようだ。
『震えてるのは止めか? たが得物を手放すとはな』
(手放したんじゃ無い、
俺は両拳を強く握りしめる、その力に皮の手袋がググッと音を鳴らす。
コイツは強い、間違い無く今まで戦った中で最強だろう。
俺以上に早く正確な射撃、様子見などしている余裕は無い、最初から全力で行くべきだ。
全身に気合を入れながらも力み過ぎないようにリラックスし精神を集中させる。
骸骨男の言う通り未知の感覚に恐怖を覚えていた、しかしクレハを殺させる訳には行かない、そう思えば震えなんて一瞬で止まる。
すると先程まで五月蝿かった鼓動が鎮まっていく、ふと腕を見てみると紫色のオーラが溢れ出し全身を包んで行くのが分かる。
エクストラスキル《ジョーカー》が発動したのだ。
(また勝手に発動しやがった……でも今はありがたい!!)
自分の中に力と共に自信がみなぎるのが分かる、俺が軽く睨みつけると流石の骸骨男と警戒したのか拳を構える。
「おらっ!」
素早いステップインで距離を詰め左の拳を突き出す、骸骨男は右腕で受け止めるがその力に後方へ押される。
凄まじい威力だやはり能力はステータスの上昇らしい、しかも前にジョーのオッサンと戦った時よりも上昇値が上がっているのが自分でも分かる。
俺は手応えを感じながらも追撃をやめない。
「おらっ!うおっらぁっ!!」
『…………』
アッパー気味の右ボディブローを左腕で防ぎ、距離が空いた所へ叩き込んだ蹴りを腕を十字に組み防ぐが、やはり威力を殺しきれず後退している。
攻撃の手を休めず攻め続ける、パンチだけで無く蹴りのバリエーションも増やし手数を増やす。
(く……コイツ硬い!)
しかし骸骨男の防御は巧く完全にでは無くとも防がれクリーンヒットが一度も無い。
そう言えば昔師匠に聞いた事がある、空手の真髄とは攻撃では無く防御だと。
恐らく空手をベースにした戦い方それも実戦に慣れた者の動きだ、この強さの理由はそれだろう。
だがこの男の防御の高さはそれだけでは無い。
(なんだコイツの硬さは……まるで鋼鉄を殴ってるような)
仮面のせいで表情は分からないがこれだけ殴り続けているのに苦しんでいる様子が一つもない。
「うぉらぁっ!!」
渾身の右ストレートを片腕で防ぐ、しかし無言、ポーカーフェイスなどでは無く本当に効いている様子がない。
プロテクターの類を付けておらず明らかに骨まで届いているのにジョーカーによって強化された筈のこちらの拳の方が痛身を感じて来ている。
(このままじゃジリ貧か……なら強力な一撃に勝負を賭ける!)
前にオッサンにぶつけた全力の一撃を思い出す。
左手で二の腕を掴み全神経を右腕に集中させる、すると体を纏うオーラが右拳へと集まり強い輝きを放つ。
これだけのエネルギーならあの骸骨男の防御だって貫くだろう、それにこの技なら防御は関係ない。
俺は拳を握る力を強くし骸骨男へと向かって行く。
(チャンスだ!)
体からオーラが無くなった事でチャンスだと感じたのか骸骨男は左の正拳突きを繰り出す。
しかしそれは俺にとって一番得意なパンチ、拳へと突っ込みギリギリで顔をずらし直撃を避け、右腕を巻き付けるようにクロスカウンターの形へと持って行く。
「《ジョーカー・カウンター》っ!!」
完璧なタイミングのカウンター、これならば防御は不可能。
死角から向かってくる拳が骸骨男の顎を捉えようとしている。
しかしその拳が届く事はなかった。
「なにっ!?」
俺のカウンターが当たる瞬間、骸骨男は己の左肘をかち上げ拳の軌道を逸らしカウンターを防いだのだ。
そしてガラ空きとなった溝内へと渾身の正拳突きを叩き込んだ。
『トォッ!』
「ぶはっ!!」
肺と肺の間心臓の近くに黒い拳がメリ込み息が出来なくなる、オーラが無くなり防御が低くなった所をつかれ俺は身体から力が抜け膝を突き倒れ伏す。
「ぐ……馬鹿な……」
カウンターを読んで軌道を逸らす理屈としては理解出来る、しかし実践できる筈がないジョーカーで右腕のパワーは上がっている以上片腕で晒す事など不可能な筈だ。
『読みが甘いな、エクストラスキル
「な……に……?」
意識が朦朧とする中骸骨男を見上げる、すると彼の体から俺と同じ紫のオーラが溢れ出し背後にSの文字が見える。
「その……スキルは……」
『《スカル》それがこのスキルの名だ』
「スカル?……デスじゃ無いのか?……」
『………』
俺の質問に答えず骸骨男は背を向け無言で歩き出す、必死で手を伸ばすが全く届く気配がない。
視界が暗くなって行き強烈な睡魔が俺を襲う、その感覚に逆らう事が出来ず俺の視界は完全に真っ暗になった。
『もう此処には来るな仕事の邪魔だ』
最後にそんな声が聞こえたがそれに返事を返す事は不可能であった。
⭐︎
「……………んあ?」
「リョウ!目が醒めたのね!」
「痛っ!……此処は?ホームか?」
未だ痛む胸をさすり辺りを見回す、現実の事務所によく似ているが少し無骨な金属の壁が目立つ、間違い無く俺たちのスコードローンのホームにある俺の個室だ。
「でもどうやって?」
「先に目を覚ましたアタシ達が運んだのよエムさんに運転してもらって、あのままあの場所に居たらいつボスがリスボーンするか分からないしね」
「そうだったのか……助かったよクレハ、ピトフーイ達は?」
「グロッケンに着いてから別れたわ、貸し一つだって言ってたわよ」
「うげぇ……あの女に貸しか……」
あの嫌な笑顔で言っているのが容易に想像出来る。
貸しか……面倒な事にならなきゃ良いが……
そうしていると扉が開きアルゴとツェリスカが姿を現す。
「お!お兄さん起きたのかい? いや〜びっくりしたヨ、クレハ姉さんが担ぎながら帰って来たんだから」
「本当ね〜でも無事で良かったわ〜」
「アルゴ、ツェリスカ、心配かけたなもう大丈夫だ」
ベッドがら起き上がり体を動かし元気な姿を見せる。
「それでリョウ?何があったのか教えてくれるかしら? 噂の骸骨男と戦ったんでしょ?」
「アタシすぐに気を失っちゃったし気がついた時にはもう居なくて、リョウなら何か知ってるんじゃ無いかと思ったの」
「ああ、確かに骸骨男は居た、だが噂通りとは少し違ったな」
「と言うと?」
「亡霊などでは無く唯のプレイヤーだろうアイツの動きはシステム上の物ではなかったしNPCでも無い筈、仮面も普通に売ってるアクセサリーだしな」
表情や視線を隠す為にああ言う装飾品をつけるプレイヤーは少なくない、その分視界が狭まるがな。
それにあの男の正確な打撃はシステムアシストの格闘で出来るものじゃない、現実で人体の急所を研究し何万回と鍛錬をした者の動きだ。
その証拠に俺たち三人は体力がゼロになっていないにも関わらず気を失ってしまった、ダメージでは無く体へのフィードバックによる衝撃と痛みで気を失ったのだ。
「じゃあそいつに撃たれると死ぬって噂は……」
「ガセだろうなクレハは二発足に受けたが特に問題なさそうだし、何より殺そうと思えばいつでも殺せた筈だ」
ピトフーイとエムへの打撃、クレハの足と俺の帽子への射撃、寧ろ死なさないように極力手加減されていた気分にすらなる。
ただのプレイヤー、殺す気の無い戦い方、そして極め付けは奴のエクストラスキルだ。
「奴は確かにエクストラスキルを持っていた、たが奴のスキルは《スカル》だデスじゃない」
「スカル?聞いた事があるナ XTRA No.19
「やっぱりか……」
あの男が嘘をついていないのは分かっていた、俺のジョーカーと同じステータスの強化ならカウンターを逸らせたのにも納得がいく。
「とまぁ状況証拠ばかりだが亡霊の噂は完全なガセだと思って良いぜ、もう少し深く調査して欲しいならまた行って来るが……」
「いや、これだけ分かれば十分サ。ありがとうお兄さん」
仕事の報告を終えるとアルゴは笑顔を返してくれる、どうやらリラックスは出来たようだ。
いつもの明るい表情に戻り安心する。
「今回は助かったヨ、報酬はたんまりと送らせてもらうヨ」
「気にすんなよレディの笑顔が見れたんだ、そいつに比べれば報酬なんか要らな……いででででっ!!」
「バカなこと言ってないで貰えるもんは貰っときなさいっ!!」
カッコよく決めようとした俺の耳をクレハが引っ張る。
「いやでも!ここで断るのがハードボイルドってもので……」
「あ"あ"ん"?」
「うっす!何でも無いっす! え〜とこの仕事内容ならですねぇ……」
クレハの眼力には逆らえず商売の話へと変える、やっぱり怒ったクレハは怖い……
「ふふっ仕事の話もひと段落ついたし皆んなで食事にでもしない?」
「お!良いなそれ!アルゴも食っていけよ」
「せっかくだしお邪魔しようかナ」
「おう遠慮すんな!クレハ連れて行ってやってくれ」
頷いたクレハがアルゴを連れパーティ用の一番開けた部屋へと案内する為出て行くと残ったのは俺とツェリスカの2人。
「………なぁツェリスカ、《デス》の事は何か分かったか?」
「ごめんなさいどんなスキルかはまだ、でも一つ分かった事があるわ。エクストラスキルは全部で26個、そしてそれらはアルファベットに対応しているみたいなの」
「アルファベット…… Jokerが10でskullが19確かに当てはまるな……ならDに値するスキルがあるのは本当って事か……」
「それがデスとは限らないけどね、でもわたしとしてはやっぱりGGOでそんな殺しが出来るとは思えないわ。あの事件があってからわたしたちは全力を上げて安全なゲームを作ったつもりだもの、二度とSAOの時のような犠牲者を出さない為に……」
「分かってる、お前がザスカーの仕事にどれだけ真剣に向かってるかはな。俺だってこの世界を気に入ってるんだ、このGGOで死人なんて出ないで欲しいもう少し個人で調べてみるよ」
「お願いするわ、わたしもプログラムの方を調べるわ、何か分かったら伝えるわね」
アルゴの不安は解けたがエクストラスキルの謎はまだ残っている、それにあの骸骨男……いやスカルの事も不可解な事が多い。
『もう此処には来るな仕事の邪魔だ』
最後にスカルが言ったことを思い出す、意識は朦朧としていたがはっきりと覚えている。
(仕事と奴は言っていた、俺と同じように誰かから依頼を受けてあの場所を調査してたのか?)
そもそも奴はどうやってあの遺跡に入ったんだ、入り口はピトフーイ達が見張っていた筈なのに。
まだまだ謎の多いこの一件、俺は依頼とは関係なく個人的に調査を進める事にした。
「あれ?、そう言えばアイのやつはどうした?デイジーと出掛けてるのか?」
今思ったがいつまで経ってもアイがやって来ない、いつもなら真っ先に飛びついて来るのに……
「あー……実はあの2人今少し機嫌が悪いのよ〜」
「え?、俺たちなんかしたか?」
「ん〜わたしたちが何かしたわけじゃ無いけど……無関係でも無いって言うか、実はさっき見た番組でね……」
ツェリスカは俺たちがいない間のホームの話を話してくれた。
XTRA No.19骸骨(スカル)
エクストラスキルの一つ、取得方は不明
能力はステータスの強化、ジョーカーとは違い肉体以上に骨を鋼のように強化する事でSTRとVITを大幅に上昇させる。
しかしそれだけでは無く他にも追加効果が有るらしいが不明、噂では不死身になると言う話も……
第四部 誰のサイドケースから見たい?
-
キリト
-
アスナ
-
クライン
-
エギル
-
シリカ
-
リズ
-
リーファ
-
シノン
-
ユウキ