ソードアート・オンライン フェイタルバレットー切札の弾丸ー 作:トライダー
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「ねぇ今暇? 良かったらオレと……」
「ごめんなさい約束があるの」
腕を組み短くそう伝える取っ掛かりを与えないようにハッキリと冷たく。
拒絶を感じ取ってくれたのかナンパ男は去って行く。
「ふぅ……」
深いため息を吐く、これで三度目だ。
後ろの手摺りに腰掛け彼が来るのを待っていると、ふと大きな鏡が自分の姿を映し出しているのが目に入った。
GGOを始めたばかりの頃、このアバターがあまり好きでは無かった。
自分でも可愛いとは思う、でも私が求めていたのはもっと強そうなキャラ、友人に止められていなかったら売っていただろう。
そのせいかさっき見たいに何度も誘われた事がある、時に直球に、時に遠回しにそれを私は全て断って来た。
たかが見た目だけで近づいて来るような男はごめんだったからだ。
『デートしないか?』
でも彼にそう言われた時私は自然とOKを出していた、自分でも驚くぐらい素直にそして素早く。
心が温まるのを感じた、あの時私の心は確かに喜んでいた。
もしかしたら私は……
(………リョウは私をどう思っているのかしら?)
クレハやツェリスカとは違い私は子供だ。
アバターだけで無く今年高校に入った16歳、対してリョウは確か20歳、彼が私を子供扱いするのも無理は無い。
でもデートの誘いをくれた以上少しは
「あのすいません、ちょっと聞きたいことがーー」
(はぁ……)
中性的な声が聞こえる、
これで四度目だ、私はため息を吐きながら声の方を振り向いた。
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数分間のコンバート設定を終えると眩い光に包まれ、光が収まると同時にゆっくりと目を開く。
視界に広がるのは茶色と灰色の多い街並み
「ALOとは大分違うな。殺し合いに特化した世界というわけか」
色合いが少なくプレイヤーも厳ついアバターが多く一人一人が殺気立っている、オレが今まで過ごして来た世界とは真逆の印象だった。
とは言ってもこう言う世界にはこの世界なりの良いところがある、菊岡の依頼させなければ純粋に楽しみたかったのだが
「さて、まずは名を売ってデスガンに目を付けてもらわないと」
その為にはこの世界の事をよく知る必要がある、何処かでベテランのプレイヤーに教えを乞いたいところだが問題もある。
それは既にこの見渡す中にもデスガンがいる可能性がある事だ、確か菊岡の話ではデスガンは男のプレイヤーなのは確定だった筈。
「なら出来る事なら女性のプレイヤーに話を……ん?」
とにかく歩き出そうとした時、真隣の大きな鏡に目が行った。
背中まで滑らかに伸びている長い黒髪、透き通るような白い肌に大きい瞳をしたこの世界に似合わない可愛らしい顔をした少女の姿。
笑ったり手を振ったりしてみる、鏡の少女はオレと全く同じ動きをする。
「なんじゃこりゃあ!!これが……オレ? せめてもうちょっとソルジャーっぽくさ……」
「おお!そのアバターF1300番系でしょ!レアだねー!それ滅多に出ないんだよ。ねえお姉さん2メガクレジット出すからさ、アカウントごと売らない?」
「お姉さん?」
慌てて自分の体を弄る。
感触はちゃんと男のものだった、どうやら女の子になってしまったと言うわけでは無く、少女っぽいアバターの男らしい。
これだけ筋肉悠々な男が多い世界でこんなアバターを引いてしまうのは運が良いのか悪いのか……
「悪いけど俺男なんだ……」
「じゃあそれM9000番系かい!?それなら4……いや5メガ出す!売ってくれ。是非売ってくれ!」
「えっとこれ初期キャラじゃなくてコンバートなんだ。ちょっと金には変えられない」
アバターが変わったとは言えALOで皆と共に育てて来た大事なアバターだ、お金以上に大事な思い出が詰まっている。
「そっかあ……」
「悪いね、じゃあ」
「気が変わったら連絡してくれよ」
商人らしき男が去っていくのを見届けた後あたりを見渡す、すると水色の髪の小柄なプレイヤーが目に入る。
背丈から考えて女性プレイヤーだろう、好都合だと思ったオレはその人へと話し掛ける。
「あのすいません、ちょっと聞きたいことが……」
「何?」
短く冷たい返事、明らかに不機嫌な声が返って来る。
(しまった、ナンパだと思われたか?)
いくら何でももう少し声の掛け方を考えるべきだったか、このまま逃げられるのは痛い、どうしようか……
「……どうしたの?このゲームは初めて?」
(あれ?)
しかしその女の子はオレの姿を見た瞬間微笑むと優しく声をかける。
「どこに行きたいの?」
「え?あ……えっと……その……」
(やばい……確実に女の子だと勘違いしてる。うーん……)
恐らくオレの格好を見て同性の初心者だと思ったのだろう、オレにとってはありがたい事だがこんな純粋な目をしている彼女を騙すのは心が痛い。
「はい、初めてなんです。どこか安い武器屋さんと、あと総督府っていうところに行きたいんですが」
とは言えこちらもこのチャンスを見逃したく無い、オレは心を鬼にしそして己のプライドを投げ捨て持てる全力で猫撫で声を出した。
この子には悪いけど暫く誤解したままでいてもらおう。
「うーん、少し遠いわね。案内してあげたいのはやまやまなんだけど、私も人と待ち合わせしてるから……」
(マジかよ……)
こんな恥ずかしいことをしておきながら逃げられるわけにはいかない。
「あの、そこを何とか……」
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(よし、まず第一段階は成功だな)
少し離れたの物陰に隠れ二人のやり取りを見る。
この場所はニュービーが最初にやって来る場所なのは経験済みだ。
だから此処で待っていればあの少年がやって来るのは分かっていた。
シノンとの待ち合わせ場所を此処にした理由は二つ。
一つは初心者としてやって来た彼をベテランである彼女と出会わせる為。
(菊岡さんに接触は控えるように言われてるが、ある程度は知り合っておかないとな)
もう一つは俺が彼と接触するきっかけの為だ。
俺の方から接触するのは不自然だ、最悪彼の警戒心を強めてしまう恐れがある。
そこで俺は考えた、初心者の彼はまず近くのプレイヤーに話を聞くはずそれをシノンに任せた。
そしてその彼女と約束している俺が接触すると言う間接的になら自然な形で彼との接触が可能になる。
「よぉ!シノンちゃん〜!待った?」
「遅いわよリョウ」
「…………」
黒い長髪の少年が俺を見た瞬間、探るような目で見てくる。
デスガンが男だと言う事は知っているだろうから当然だろう。
(流石にそう簡単に警戒は解かないか……仕方ない、少し道化を演じてやるか)
「いや〜ごめんごめん。さっきそこでスッゲエ美人に声掛けられちゃってさー、いや〜モテる男は辛いわ〜アッハッハ!」
「(イラッ)」
「お!何その子シノンの友達?その服はニュービーかな?」
「えっと……はい」
「結構可愛いじゃん!良かったらお兄さんが手取り足取りお教えしましょうか?」
「あ、あはははっ……」
少年の手を取り、自分でもわざとらしいぐらいキザに振る舞う。
(流石にコイツがデスガンて事は無いよな……)
少年の瞳から警戒心が薄れているのが分かる、自分が探している殺人鬼が流石にこんな男とは考えないだろう。
(ったく、何が悲しくて男を口説かないといけないんだよ……)
M9000番系とは言え中身は男、特に俺は声や喋り方で内面がわかる分精神へのダメージがデカくなる。
菊岡さんに報酬の上乗せでも頼もうか、そう考えていると左耳に激痛が走る。
「いででででっ!!」
「人の事無視して何しているのかしら?」
「し、シノンちゃん?!ごめんごめん!無視した訳じゃ無くて!」
「約束の相手ほったらかして別の女の子口説くなんて良い度胸ねぇ」
「いででででっ!!く、口説いてる訳じゃなくてだねぇ。こう言う路頭に迷っているニュービーを助けてやるのが俺たちの……」
「もう知らないわ。行きましょう案内してあげる」
「え?あ、ああ……」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ!シノンちゃ〜ん!」
怒ったシノンが少年を連れて行く背中を追いかける、第二段階の俺と少年の接触は一応成功のようだ。
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「そう言えば自己紹介がまだだったわね、私はシノン。このバカはリョウ、別に忘れて良いわよ」
「酷くない!?」
「おれ……んんっ!私は『キリト』って言います」
「キリト……?男っぽい名前ね?」
「うっ……いやそれは……」
ここで性別か偽っている事がバレたらシノンの機嫌が余計に悪くなる可能性がある。
助け舟を出してやるか。
「おいおいシノンちゃん。人の好みにそんな事を言うのはマナー違反ってもんだぜ?」
「それもそうね。でも、あんたに正論言われると腹立つわね」
「今日のシノンはキツイなー。まぁよろしくなキリちゃん」
「き、キリちゃん……まぁはい……」
「ところで総督府へは何しに行くの?」
「えっと、バレットオブバレッツっていうイベントのエントリーに」
「BOBに!?」
少年の発言に驚くシノン、今日始めた初心者がBOBに出場しようとしているのだから当然だろう。
スカルから聞いた情報を菊岡さんと共有しておいた、どうやらちゃんと少年にも伝えていたようだ。
「えっと、今日ゲームを始めたんだよね?」
「はい、それが何か?」
「えっと……その、ちょっとステータスが足りないかも……」
「ああ、レベルなら大丈夫。コンバートなんで他のゲームから能力を引き継いでいるんですよ」
「へえ、そうなんだ……聞いていい?なんでこんな埃っぽくてオイル臭いゲームに来ようと思ったの?」
「今までファンタジー系のゲームばっかりやってたんですけど、たまにはサイバーっぽいのも遊んでみたいなって、銃の戦闘とかもちょっと興味あったし」
「そっか。それでいきなりBOBに出ようだなんて根性あるね。じゃあいろいろ揃ってる大きいマーケットに行こう、すぐそこだから」
「はい!」
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「GGOの武器は大まかに分けて光学銃と実弾銃があってね」
「ええ」
「光学銃は軽量で命中率も高いんだけどプレイヤー用装備の防護フィールドで威力は半減しちゃうの。BOBみたいな対人戦をやるなら実弾銃ね」
「はい」
「さてと、あなたステータスはどんなタイプ?」
「えっと筋力優先、その次が素早さかな」
筋肉と素早さ、典型的なALO型だな。
「ストレングスアジリティ型か。じゃあメインアームはちょっと重めのアサルトライフルかそれとも大口径マシンガンをメインアームにしてサブにハンドガンを持つ中距離戦闘タイプがいいかな……」
「は、はぁ……」
シノンが腕を組み、すらすらと解説するが肝心の少年の目が強張っている。
多分シノンの言っている意味があまり分かっていないのだろう。
と言うかこの様子だと基本的な銃の知識すら無いようだ。
(おいおい菊岡さん、そこまでは聞いてないぞ。こいつは大変そうだな……)
「あれ?あのこれは?」
「ああ、それは光剣よ」
「光剣?」
「光の剣って書いて光剣。正式名はフォトンソードだけど、みんなレーザーブレードとかビームサーベルって適当に呼んでる」
「この世界にも剣があるんですか!?」
「う、うん。でも初心者には難しいと思うけど……」
「良いんじゃないか?」
「リョウ?」
「下手な武器使うよりも手慣れた武器の方がやりやすいもんさ。それに最初のフィーリングってのは大事だしな」
難易度は高いがSTRとAIGが高い彼にはお似合いの武器だ。
それにもともとSAOとALOで猛威を振るったプレイヤーだ、持たせておいて損は無いだろう。
「でもあなたコンバートしたばかりだよね?てことはお金が……」
「そ……そっか。えっと1000クレジットですね……」
「バリバリ初期金額だね。その金額だと小型のレーガンくらいしか買えないかも……実弾系だと中古のリボルバーが買えるかどうか……」
対して光剣の値段は15万クレジット。
光剣って普通に買おうとすると結構高いんだよな、クレハとツェリスカに貰ったけど値段を知って驚いたものだ。
ここは俺の仕事だな。
「それぐらい俺が出すよ、キリちゃん可愛いし!」
「え?本当ですか!助かりますぅ!」
「あんた前も似たような事してクレハに怒られてなかった?」
「良いの良いの!最近でかい仕事が入って懐が潤ってるからな。可愛子ちゃんの為なら痛くも痒くも無いって!」
「お兄さん素敵〜!」
「はっはっはっ!」
「(イラッ)」
シノンの視線が痛いがこれも仕事だ仕方ない、つかこの小僧楽しんでやがるな。
光剣を買った後は簡単にサブウェポンのハンドガンと弾薬、グレネードに防具と揃え合計30万程の出費となった。
(結構したな……まぁ別に良いか経費だし、ついでに俺の買った分も追加で加えてやろっと」
「そう言えば銃は撃ったことが無いのよね?」
「あ、はい」
「なら訓練場に行くか、体を慣らしておいた方が良いだろう」
サポートするにあたって彼の実力をある程度知っておいた方が良いだろう、俺たちは地下にある訓練所へと向かった。
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「店で買った銃なら自由に試せるの、撃ち方はわかる?」
「多分……と、意外と軽いな」
「それは強化プラスチックでできてるからね。反動もそんなにないけど最初は両手で撃った方がいいよ、左目も開けてね」
射撃場でシノンからの射撃指南を受ける少年、俺は遠巻きからその腕前を拝見させてもらう。
「あれ?当たんなかった?」
「そんな簡単に当たるわけないじゃない」
「難しいですね……」
一発、二発、次々と的を撃つが全て外れる。
唯一当たったのがマガジンの玉を使い切る最後の一発だけ、それも的の端の方に掠ったのみ。
(おいおい、射撃についてはマジで素人だな……システムアシストがあるからもう少しマシになる筈なのに)
シノンからリロードを教えてもらい撃ち続けるが結局当たったのは二十発中五発だけだ。
(あの銃の腕前でBOBに出場させるのは心配だな……やっぱり『本来の戦法』を見ておくか)
俺は近くに立て掛けてあった訓練用のハンドガンと盾を手に持つと実戦訓練用の広場へと入る。
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「それじゃあ軽く模擬戦でもしてみようか?」
「あ、はい。よろしくお願いします」
リョウと向かい合うように広場へ入ったキリトは光剣のスイッチを入れ構える。
それを見たリョウが銃を向ける、その瞬間赤いラインが出現しキリトの顔を照らす。
「まず俺が銃を向けると赤いラインが君へと伸びてるのが分かるかい?」
「はい、これは?」
「これはバレットラインって言ってな、ようは弾丸が飛んで来る予測線さ。キリちゃんみたいなAIGに振っているプレイヤーはこれに反応して攻撃を避けるんだ」
「なるほど」
普通弾薬が発射されてから避けるなど不可能に近い、そうなると耐久の低いAIG型は不利。
好きなステータス振りでゲームを楽しめる為の救済処置、これがGGOと他のFPSゲームの違いなのだ。
「とにかく俺が攻撃するからキリちゃんはそれを避けながら適当に斬りかかってくれ」
「分かりました」
(とは言えデスガンに出会う前にオレがこの世界でどれぐらい戦えるかを試しておきたい、この人には悪いがそのための腕試しにさせて貰う)
一応は訓練、しかしキリトはこれからデスガンと言う強力な敵と戦う事になる。
ならばこんな所でトッププレイヤーでも無いリョウに苦戦するわけにはいかないと思っていた。
「ふっ!」
「は、速い!?流石ストレングスアジリティ型ね」
リョウが銃を向けるのを合図に駆け出す。
シノンの言う通り駆け出したキリトは10メートルはあった距離を一瞬にして縮める。
「はっ!」
身を屈め盾の死角である右腕側の懐へと入り込むと、そのまま腰から肩へと斬りあげようとする。
「え?」
しかしリョウは素早く体を半転させ盾で受け止める、ぶつかり合った衝撃にガタイの良いリョウの方が後ろへと飛ぶ。
「いてて、伊達にSTRに振ってないな片腕じゃ防ぎ切れないわ」
大袈裟に腕を振り腕の痺れを払うリョウ。
体を慣らすための様子見の一撃、しかし他のゲームで鍛えて来た剣技をあっさりと止められるとは思っていなかった。
「GGOは様子見で勝ち残れる程甘い世界じゃ無いぜ?キリちゃん」
「……へっ!上等!」
再び足に力を入れてリョウへと走り出す。
駆け出すのと同時に銃が向けられバレットラインに照らされ、正面から向かうのを止め左右に撹乱しながらの走りに変える。
その時、銃弾の一発が光剣へと当たり弾かれるのが目に入る。
(光剣は銃弾を弾けるのか……よしっ!)
キリトはジグザグの動きを止めリョウへと真っ直ぐ駆け出す。
勿論バレットラインが放たれるが、キリトはその弾道予測線を更に予測すると最小限の動きで躱し避けきれない弾を光剣で弾き突き進む。
「う、嘘でしょ……!?」
初心者だと侮っていたシノンはその光景を見て驚く。
光剣で銃弾を弾く、システム的には可能な事であり彼女も何度か見てきたが彼の動きはシステム上のものを遥かに超えている。
「はあぁっ!」
「うぐっ!……」
銃弾の中を突き進んできたキリトの渾身の突きを再び盾で防ぐ、しかしその衝撃は先程とは比べ物にならないものでありリョウの顔が苦痛に歪む。
「うおぉっ!」
衝撃を後ろへ逃しながら距離を取ろうとするリョウへと力強くで距離を詰めると、再び剣を振るう。
(このレベルの銃はもう通用しないか……なら!)
訓練用の銃ではもうキリトは止まらないと判断したリョウは、ハンドガンを捨てると盾を持った左腕を掴み両腕の力で剣を受ける。
「はぁ!ぜやっ!はあぁ!」
「おっと、ぐっ!うぐっ……」
両足でどっしりと踏み締め初撃の斬撃を受け止める、動きが止まったのをチャンスと捉えたキリトが放つ連撃を、己のSTRを全開にして堪える。
(成る程……良い太刀筋だ。菊岡さんが推すだけはある。これなら……)
「ぜやあぁっ!!」
キリトの高速の四連撃と共に斬撃が円状に広がり、リョウの持っていた盾が大きく弾き飛ばされ壁へと突き刺さる。
「痛って〜。まいった、降参だ。やるなキリちゃん」
「本当よくやるわね」
シノンが手を叩きキリトへと賞賛を送る、初心者のキリトがここまでやるとは正直思っていなかった。
「しかしいきなり動きが良くなったな。何なんだあの技?」
「ああ、えっと一応《ソードスキル》って事になりますかね?ALOでやっていた動きをそのまま真似してみたんですよ」
《ヴォーパルストライク 》に《バーチカル・スクエア》キリトがSAOでも得意としていた技。
かつてまだソードスキルの無いALOでも同じ事をしたことがある、システムに存在しなくても体が覚えていれば似た技を出せると考えたのだ。
「へえ!ファンタジー世界の技か。案外あなどれないかも」
「いえそれほどでも、しかし軽いな……」
「え?」
「ああ、いや!あはは……」
光剣を背中に添えるキリト、ALO時代での癖でつい鞘に戻そうとしてしまったのを慌てて誤魔化す。
「ああそうだ、訓練達成のご褒美にこれやるよ」
リョウがキリトに手渡したのは、何の変哲もない真っ黒いコンバットナイフだ。
「ナイフ……ですか?でも光剣がありますよ?」
「光剣は光学武器だしエネルギーは有限だ。一応予備に持っておきなよ」
「ありがとうございます、なら遠慮なく」
「左胸に付けておきな、心臓を守るプロテクター代わりにもなるからよ」
「分かりました」
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買い物を終えた私たちはマーケットを出る、もうそろそろ行かないと時間が無い。
「すっかりお世話になっちゃいました。どうもありがとう」
「ううん。女の子のプレイヤーってあんまりいないから」
「そうそう!可愛いは正義ってやつだよキリちゃん」
「…………」
彼女にお礼を言われて調子を良くしているリョウ。
なによデレデレしちゃって、私にはそんな事言わない癖に
「時間もあまり無いし送って行くよ」
「ええ、そうさせて貰うわ」
私はいつものようにバイクに乗ると彼のお腹に手を回す。
「……何でシノンが後ろに乗るんだよ」
「別に良いでしょ、文句あるの?」
「いつも嫌がってる癖に」
「良いから行く!」
「はいはい、ご要望のままにお姫様。キリちゃんはサイドカーの方に乗ってくれ」
「はい、分かりました」
見たところ彼女の年齢は私とあまり変わらないように見えるのに何でこんなに違うのかしら。
(ばーか)
バイク風でかき消されるぐらい小さな声で呟いた。
……髪伸ばそうかな。
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第四部 誰のサイドケースから見たい?
-
キリト
-
アスナ
-
クライン
-
エギル
-
シリカ
-
リズ
-
リーファ
-
シノン
-
ユウキ