Historia~彼女を救う彼女の物語~   作:瞬く陰と陽

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ロ・ロ・ロ・ロシアン・ルーレット

素早く動きながら巧みに己の姿を掴ませないオセロット。

 

リロードの僅かな隙を突き反撃を試みるスネーク。

 

『逃がしはせんぞぉ!』

 

一丁を撃ちきるとすぐさまもう一丁に持ち替えて隙を消してくる。

 

(…なるほど…学習している。)

 

声には出さず若者を褒めるスネーク。

 

 

二丁の弾倉が空になった。

 

薬莢を排し、新しく弾を込める。

無防備なその瞬間にオセロットは震えた。

 

 

『不思議だ、この緊張感!

 

 マグチェンジではとうてい味わえない。』

 

その身体を駆け巡るスリルという麻薬に。

 

 

『リロードタイムが

 

 こんなにも息吹を!!!』

 

自身の内側にある本能の目覚め(歓喜)を。

 

 

(大した奴だ。…だが若いな。)

 

抱いた感想とは裏腹に彼自身まだ30歳にもなってはいなかったが。

にやりと笑ったスネークが崖際に堂々とその身を晒す。

 

「えぇ?!スネーク?!」

 

思わず叫んだ紫苑に自信満々に親指を立てて返すスネーク。

 

(あ、カッコいい…って違う‼)

 

『早撃ち対決だ!』

 

山猫部隊が囃し立てる。

その言葉にオセロットは目を輝かせる。

 

 

『これだ!

 

 

 これでこそ決闘!』

 

 

(男って…ホント…バカばっか…)

 

あきれ果てる紫苑の目の前。

 

一瞬の静寂、

 

『グゥッ!?』

 

経験の差、紙一重で軍配はスネークに上がった。

膝をついたオセロット。

それを黙ってみている山猫部隊ではない

 

『隊長!!助太刀します!!』

 

と叫びスネークを銃撃、さらに土を巻きあげオセロットの姿を隠してしまった。

山猫部隊の横槍に思わず紫苑がいきり立つ。

 

「なぁ?!卑怯者ぉ!!」

 

叫ぶ紫苑とは対照的にスネークは想定内だったのか銃撃はかわしていたがオセロットの行方を見失ってしまった。

 

一旦身を隠そうにも跳弾の使い手であるオセロットはそれを許してはくれない。

 

たまりかねた紫苑は素早く近くの木に登り出した。

高い木の上から見下ろすと決闘場が一望でき、こちらを見上げるスネークとオセロットを確認できた。

 

 

「スネーク!!あそこ!!」

 

オセロットを指差す紫苑に山猫部隊の面々が銃口を向けるが、

 

 

『やめろ!!シオンに手を出したら只では済まさないぞ!!』

 

 

オセロットのとてつもない怒声に怯んだのか山猫部隊は大人しく退き下がった。

 

闘争における高揚感が全身を包んだオセロットにはこの程度はダメージにもならない。

むしろ体を駆け巡る脳内麻薬(アドレナリン)が彼を突き動かす。

 

『俺のリロードは革命(レボリューション)だ!』

 

その目にもとまらぬ再装填の早業は、紛れもなく革命的な速さだった。

 

 

 

 

巨大なクレバスを挟み対峙するスネークとオセロット。

 

 

そこに招かれざる客、無数の蜂が介入してきた。

 

 

『くそ!!見つかったか!!』

 

 

小さな暗殺者たち()の脅威に阿鼻叫喚に包まれる戦場。

それは木の上にいた紫苑も例外ではなかった。

 

 

「きゃあ!?」

 

 

 

悲鳴と共にバランスを崩し木の上から落ちる紫苑。

 

その終着点には大きく口を開けるクレバス。

 

 

『『シオン!!』』

 

二人の声が重なりオセロットはその手を、スネークはその身をクレバスに差し出した。

 

深い闇に吸い込まれた二人を見送ると苦虫を噛み潰した顔をしたオセロットはその場を立ち去るしかなかった。

 

 

~~~~~~

 

 

暗闇の中で私を呼ぶ声がする。

 

「紫苑、朽葉流の基礎であり極意はその呼吸法にある。

 

 気を集め、肉体を強化し、己の身すら焦がしかねない‐鬼の業火‐を制御する。

 

 完全にこの呼吸法を会得すれば死さえも超越出来るんだ。

 

 

 忘れるな、紫苑。」

 

 

 

懐かしい兄の言葉。この言葉の数日後、長兄(九頭文治)は私達の前から姿を消した。

 

次兄はしばらく荒れていたが私を悲しませまいと側にいてくれた。

 

‐ミレニオン‐という組織に属したという長兄からの手紙が来るまでは。

 

 

 

「すまねぇ…俺はあのくそ兄貴を赦せねぇ…。

 

 直接文句を言わなきゃ気が済まねぇんだ!!

 

 お前には俺が知る朽葉流の全てを伝えてある。

 

 紫苑、必ずあのくそ兄貴を捕まえて帰って来る…

 

 

 それまで待っていてくれ。」

 

怒りに震える次兄(九頭十二)はそう言って家を出ていった。

 

しばらくして消息の途絶えた二人の、友人だという外国人が訪ねてきた。

 

 

 

 

二人は死んだ

 

 

 

 

到底信じられるわけはない。

 

職務中の事故だとその男は言い、賠償金として紫苑が数回は人生を送れそうな金を置いて消えたこともその時の紫苑にはどうでもよかった。

 

 

それからは朽葉流の鍛練をただ繰り返すのみ。

 

二人の友人、ガリーノ・クレアーレ・コルシオネは何度か訪ねてきたが全て無視した。

 

 

その内彼は来なくなった。

 

 

 

 

そしてあの夢が始まった。

 

 

 

 

 

体を暖かな感覚が包む。懐かしい思い出が遠退いていく…

 

 

 

『シオン!!目を覚ませ!!シオン!!』

 

 

ゆっくりとその瞼を持ち上げると僅かにスネークの姿が映る。

 

 

『無事か!?見たところ怪我はないが痛むところはないか?』

 

自身を案ずる男の優しさに思わず抱きついていた。

不意をつかれたがしっかりと抱き留めたスネークは紫苑の無事に心底安堵したようだった。

 

 

 

互いの無事を確かめたあと立ち上がった二人は暗い洞窟内を進んでいく。

 

意外にも先に暗闇になれた紫苑が先導するように進んでいくと明るい空間に出ることができた。

 

 

 

 

 

そこは幻想的な湖だった。

 

思わず見惚れる紫苑の耳に無粋な侵入者(無数の蜂)が現れた。

 

 

『飛び込め!!シオン!!』

 

 

声と共に素早く水中へと避難した二人、なんとか岸辺に上がると蜂が人の輪郭を象っていく。

 

『ようやく捉えたぞ。』

 

無数の蜂の中から男が涌き出てきた。

 

 

『我等は、ザ・ボスの息子達。』

 

 

その巨体に見会わぬ軽快な動きで身を翻す。

 

『俺はザ・ペイン。

 

 おまえにこの世で最高の痛み(ペイン)をやろう。』

 

 

周囲に散っていた蜂たちがザ・ペインの両腕に集まった。

 

『いくぞっ!』

 

 

‐ミセテヤレ…オマエノチカラヲ…‐

 

‐キザンデヤレ…クタバリュウヲ…‐

 

 

今、力が目覚める。

 

 

~~~~~~

 

 

『そんなものか?』

 

素早く相手に向かって引き金を引いたスネークだがザ・ペインの纏った蜂の鎧に阻まれて銃弾が通らない。

 

チッと舌打ちをしたスネークは先程から紫苑の気配がしないことに気付く。

 

「こっちよ!!」

 

背後から声をかけられたペインが驚いて振り返る。

 

と同時に襲った朽葉流・砲砕の衝撃に蜂の鎧が消し飛ぶ。

 

 

『ッ!!なんだとッ!!蜂がッ…』

 

 

鎧で自身へのダメージは少ないもののその姿を表したペイン。

 

「今よ!!スネーク!!」

 

叫ぶ紫苑に呼応するように再び引き金を引くスネーク。

 

放たれた銃弾は確実にペインの肉体へその爪痕を残している。

 

呻き声をあげ膝をつこうとするペイン。

しかし気合い一閃、顔を覆うマスクを脱ぎ捨てると異様に膨れ上がった素顔をさらした。

そのあまりの風貌に怯んだ紫苑に向けて体内から蜂を打ち出した。

 

『シオンッ!!』

 

鋭く叫ぶスネークに身を翻し交わす紫苑は二振りの木刀を構えてペインを見据える。

 

「朽葉流を嘗めないでッ!!」

 

力強く啖呵を切る紫苑、その背中には青白い焔が立ち上る。

 

 

『…ッ!!小娘がッ!!最高の痛みを味わえ!』

 

 

苛立ったように蜂をけしかけるペインだが彼の思惑通りにはいかせまいとスネークが牽制の銃撃を行う。

 

『小癪な真似をっ!トミーガン!』

 

再度蜂の鎧を纏い強力な連射力を持つトミーガンで銃撃を行うペインに姿勢を低くしながら走り回り照準を合わさせない紫苑。

 

注意を引く紫苑に合わせ攻撃を行うスネーク。

 

ペインがスネークに蜂を差し向ければ紫苑が走りより斬撃を繰り出す。

 

 

『フンッ!!かかったなッ!!』

 

 

斬撃を紙一重でかわしたペインはその鎧の蜂で紫苑を包み込んだ。

 

『シオンッ!!』

 

思わず叫ぶスネーク、

 

 

 

「朽葉流…飢牙飢‐ががかつ‐ッ!!」

 

 

瞬時に強烈な竜巻と共に巻き上げられた蜂は炎上。

 

燃え落ちた蜂がまるで火の雨のように周囲に降り注ぐ。

 

『スネーク!!今よ!!』

 

『うおぉぉぉッ!!』

 

放たれた銃弾は真っ直ぐにペインへと突き刺さる。

今度こそ膝をついたペイン。

 

 

 

 

 

『この感覚!

 

 

 …この痛み(ペイン)!!

 

 

 

 

 この痛み(ペイン)だ!!!』

 

 

 

 

譫言のように呟くその姿にスネークがいち早く危険を予知する。

 

 

 

『ッ!!シオンッ!!来い!!』

 

「スネークッ!!」

 

両手を広げ呼び寄せるスネークに向かい、助走をつけ飛び込む紫苑。

 

その勢いを殺さぬまま倒れこむように水中へと二人が逃げ込んだ瞬間、

 

 

 

断末魔の叫びと共にペインが爆散した。

 

 

 

 

 

蜂の舞い落ちる湖に静寂が戻った。

 

 

 

 

 

『私、戦う。』

 

 

地底湖を後にした二人がマングローブリンを目指す途中、

ふと呟く紫苑に目を向けたスネーク。

 

 

「私もスネークを守りたい!!」

 

真っ直ぐなその瞳を見つめ返したスネークはその肩に手を置く。

僅かな時間にある程度の日本語を習得していたスネークはその言葉の意味と、

 

その眼の強い意志に眩しそうに目を細めた。

 

(可愛いものだ。…だが強いな。この子は…)

 

 

『…良いセンスだ。だが無茶はするなよ。』

 

 

見つめ会う二人はどちらからともなく笑い出した。

 

 

(兄さん達がいなくなって、

 

 朽葉流しか私に無くって、

 

 

 

 どうして自分がこの世界に存在しているのか分らなかった。

 

 そんな私が(雨の男)に呼ばれた理由はきっと…

 

 この人と出会うためだったんだ!!)

 

 

 

 

 

 

マングローブ林を潜り抜けた二人は倉庫らしき場所へたどり着いた。

 

双眼鏡で様子をうかがうスネーク。

その隣でスネークの肩越しに同じように様子を窺う紫苑。

まるで動物の親子のような奇妙な光景だった。

 

 

紫苑にははっきりとはわからなかったがどうやら誰かが揉めているようだ。

 

そこに一組の男女が現れる、女の顔を見たスネークが息を呑んだ気配がした。

大男が女性に電撃を加えたとき紫苑にもその理由がわかった。

 

「ッ!!えモガッッ!?」

 

素早くスネークに口を押さえられたため声は音にはならなかった。

さらに女性(タチアナ)に加えられた暴虐に紫苑から蒼い怒り(鬼の業火)がゆらりと立ち上ぼりかける。

 

『押さえろ…シオン。』

 

上からかけられる警告に目を閉じ従う紫苑だが聞き覚えのある声にまた目を見開いた。

 

『待て    売国奴。

 

 

 お前の運を試してやろう。

 

 

 よく見ておけっ!』

 

 

 

オセロットが老人に向けてロシアンルーレットを3丁のリボルバーで始めるのを見て奥歯を噛み締める紫苑。

 

 

 

『まだ運があるようだ…』

 

一際高く宙を舞ったシングル・アクション・アーミー。

 

 

だがそれは持ち主の手には戻らなかった。

 

 

まさに電光石火、

 

オセロットの眼前、

 

奪い去られたリボルバーはその弾丸を跳弾の恐れのない水中へと吐き出していた。

 

 

 

 

『  戦場で運を当てにするな。  』

 

 

 

 

 

白いコンバットスーツに身を包んだ伝説の兵士。

 

 

「  …あれが…  」

 

 

スネークの愛する(女性)

 

 

「  …あれが…  」

 

 

私を呼んだ人(雨の男)の言った

 

 

「  …あれが…  」

 

 

 

     THE・BOSS(彼女)




メインヒロイン登場


おそらく私の人生の中で唯一無二


生涯最高の女性として君臨し続けるお方
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