裏主人公、初登場
オーズ大好きです
そして主人公にチート付与
すべては生き残るため
英雄の纏う覇気に当てられたオセロットが怯む。
老人が兵士に連れていかれても身動きができない。
これでは借りてきた猫だ。
『勝手な真似はするな
奴は我々コブラ部隊が処理する。』
ザ・ボスに突き返されたリボルバーはシリンダーとセンターピンが取り外されていた。
格の違いを見せつけられたオセロットは何も言えず、
悔しそうにその場を立ち去った
それを見送ったあと雷の男がザ・ボスに尋ねる。
『CIAの犬は片付いたのか?』
『…ザ・ペインがやられた。』
その顔にほんの少し、ほんの少しだけ寂しさを紫苑は感じた。
『なんだと!』
怒り狂った男が暴れる。
その暴力的な肉体から繰り出される拳は頑丈なはずのコンクリートの壁に突き刺さり深い爪痕を残した。
『ガキとはいえやはりザ・ボスの弟子だな。
フルシチョフが裏で手を引いているかもしれん。
早いほうがいい。
最終試験の前に消してくれ。』
男の言葉に一度目を閉じるとその顔は
『大丈夫だ。彼らに任せる。』
振り返ったザ・ボスの目線の先にはひとりでに動き出す車いすに乗った老人。
『ザ・フィアー、任せたわ。』
ザ・ボスの言葉に呼応して車いすの後ろ、
何もなかったはずの空間に不気味な男が突然現れた。
男は奇声を一言発すると飛び上がり、
驚くべきことに水面を駆け抜けていった。
残された車いすの老人を見下ろした男がつぶやく。
『このじいさん、ずっと寝てるが大丈夫か?』
『余命のエネルギーは戦場のみに使う。
ジ・エンドは普段死んでいる。
時が来れば目覚める。』
雷鳴が轟く。
『そして奴は…ジ・エンドだ。』
雨が降りだす。
「…泣いてる…」
私は知っている…この雨の正体を。
『ザ・ソロー?いるの?』
呟く女性はまるで少女のようだった。
『おやおや~♪そんなに雨に濡れちゃ風邪引いちゃいますよ~♪』
後ろからかけられた楽しげな声に僅かな苛立ちを滲ませザ・ボスは振り返る。
そこには寝起きの跳ねた髪を指でいじりながらヘラヘラと笑う白衣の男が立っていた。
『あれま?なんか怒ってますぅ~?
ボクの
人を虚仮にするような態度を崩さずザ・ボスの回りをふらふらと歩き回る男。
『あ~!!ひょっとしてソロー君との逢い引きを邪魔しちゃったからとか♪』
何かを閃いた様な大げさな仕草でザ・ボスの顔を覗き込んだ途端、
男の眉間にはザ・ボスの愛銃、パトリオットが突きつけられていた。
『悪ふざけはその辺にしろ、ザ・グリード…。』
並みの兵士では立っていることも出来ない英雄の殺気を浴びながらも、
ザ・グリードは軟派な態度は崩さない。
『ボクは君のことでふざけたことはないよザ・ジョイ♪
にへらと笑う男は真っ直ぐザ・ボスを見つめている。
その言葉には答えず踵を返したザ・ボスは倉庫へと消えていった。
その姿をひらひらと手を振りながら見送った男がつぶやく。
『ボクはね…欲しいものは何でも手に入れる…
君も…「-君-も」ね♪フフフ…』
最後の言葉はまるで自分に言われたように感じた紫苑は思わずスネークの腕を抱きしめてしまった。
雨はいつのまにか止んでいた。
コブラ部隊7人目の男、
無垢なる欲望 ザ・グリードとの邂逅である。
倉庫内に侵入した二人は巡回する兵士達の目を掻い潜ると、食糧庫に身を隠していた。
束の間の休息に紫苑がスネークに即席ラーメンを振る舞っている。
その美味さにスネークがうち震えるなか、浮かない顔の紫苑にスネークが問いかける。
「ダイジョウブカ?」
「
スネークの言葉を遮るように間髪入れず、
紫苑はザ・ボスの事を聞いた。
(なんとなく気付いてた。
でも、スネークの口から聞きたい。彼女の事を。)
無言で即席ラーメンを完食したスネークは静かに話し出す。
10年の間二人は共に戦った。
いずれとも言えぬ奇妙で強固な関係。
そして訪れた…
突然の裏切り。
『俺にザ・ボスを殺せるだろうか…。』
思わず漏れたスネークの弱音に紫苑がその頭を抱き締める。
「私、あの人を救いたい。あなたと一緒に…。」
沈黙の時間が流れるなか、ふと白衣の男について紫苑がスネークに尋ねる。
難しい顔をしたスネークが無線でシギントという人に連絡を取った後教えてくれた。
『あの男、ザ・グリードのことはよくは分らない。
コブラ部隊の開発担当の科学軍人だということだが…
それがどうかしたのか?』
問いかけるスネークには何でもないと答えた。
(初対面のはずなのに…
彼の事を知っている…
でも靄が掛かった様に思い出せない…気になるなぁ。)
運命の歯車がまた一つ…
~~~~~~
束の間の休息を終えた二人は慎重に食糧庫を抜け出すとジャングルのさき、研究所にたどり着く。
しかしその扉は固く閉ざされていた。突破口を見出そうとしたスネークが無線でヒントを探る。
「シオン、マツリデトビラハアクカ?」
「は?
『ニッポンでは開かない扉の前で祭りをすると扉が開くと言ってたぞ?』
(扉を開けるのに祭り?…天岩戸の事かな…)
「あ~それは伝説…
あ、でもそれなら…」
ふと思いついた紫苑が何の遠慮もなく扉をノックした。
あ、と口を開いたままのスネークの手を引き素早く物陰に身を隠す。
『
仲間だと思ったソ連兵が中から扉を開けた隙に素早く二人が潜り込む。
得意げに笑みを零す紫苑の頭をポンと撫でると二人は見事研究所へと侵入を果たした。
研究所の中は科学者と哨戒する将校がいた。
EVAに渡された服に着替え科学者に変装したスネーク。
しかし紫苑の分は無く一緒に行く訳にもいかない。
結局、紫苑は近くの小部屋に潜伏することにした。
『大人しくしてろよ。』
再び頭を一撫でして奥へと進むスネークと別れた紫苑。
どうやら保管庫らしいそこにはたくさんの書類と何かの試作品らしきものが置かれていた。
(何かスネークの役に立つものはないかなぁ)
と紫苑はその部屋を調べ始めた。
しかし資料は紫苑には理解できないものばかり、そもそもロシア語だ。
試作品もせいぜい葉巻の入ったケースぐらいしかスネークに喜ばれそうなものは無かった。
ふと棚の奥から引っ張り出した木箱。
そこには日本語で‐親愛なる隣人より‐と書かれてあり気になった紫苑はその箱を開けてみた。
中からは数枚の資料と黒い
資料は武器のようなものらしい。
銃に日本刀を取り付けたような設計図があった。
それらの資料を手近にあったバッグに詰め込むと今度は服を取り出してみた。
「なにこれ?全身タイツかウエットスーツかな?」
‐マッテイタ‐
「うえ?!」
思わず飛び上がった紫苑は周囲を見回すが何も見当たらない。
自分の頭のなかに響く声。
紫苑はぎゅっとそのスーツを抱き締めて呆けているとスネークが無事に戻ってきた。
『無事か?…シオン?
どうした、何かあったのか?』
何やら様子のおかしい紫苑に尋ねるスネークだが首をふった。
(気のせいに決まってる…よね…)
そう自分に言い聞かせあわててスーツもバッグにしまいこんだ。
微かに胎動の音がした。
手早く準備を整えた二人は研究所を抜け出すと再びジャングルに足を踏み入れていた。
科学者の逃走防止だろうか、至るところに無数のトラップが仕掛けてある。
スネークの先導のもと慎重にそれらを回避して進む二人。
ZZAAAKKK!
‐クルゾ‐
「ッ!?何ッ!?」
突如自身の頭のなかに響く警告に思わず漏れた声、
さらに風を切って飛来する矢のヴィジョンが脳裏に浮かぶ。
『どうした?』
怪訝な様子のスネークは立ち止まるとこちらを振り替える。
その背後にスネークに向かい真っ直ぐ突き進む矢が見えたとき、
紫苑はスネークを突き飛ばしその身を矢の前に投げ出していた。
「ッ!?っああぁぁ!?」
太ももに突き刺さる矢に悲鳴をあげる紫苑。
『シオン!?』
突然の襲撃に声を荒げながら未だに止まない矢の雨からシオンを守るため、
その小さな体を抱え上げると木の影に身を隠した。
木々を飛び回る見えない敵を感じながら、
シオンを横たえたスネークは戦闘体勢へ移行する。
『シオン!しっかりしろ!』
痛みに顔を歪める紫苑を鼓舞しながらも周囲を見回す。
フハハハハハ!!!!
不快な笑い声が木霊するが、敵の姿は見えない。
中空から現れた奇怪な男は名乗りを上げる。
『俺はザ・フィアー…
その矢にはクロドクシボグモの毒が塗られている。
じきに耐えがたい激痛がそのガキを襲うだろう。
体は麻痺し、息も出来ず、
やがて心臓が止まる。』
シオンに突き刺さる矢に塗られた毒の存在を語り宣告する。
『ボスの教え子よ…
貴様にまだ見たことのない、
本当の
俺の
ゴキっ、ゴキっと鈍い音を立て関節を増やしたザ・フィアーは嗤う。
『さぁ…
~~~~~~
紫苑は朦朧とするなか
(私、死んじゃうの…)
‐シナセハシナイ‐ 声がした
(誰も助けられないの…)
‐チカラヲカソウ‐ 鼓動がした
(あなたは誰?)
‐ヒトツニナロウ‐ 鼓動が重なった
(わたシ、イヤ‐
‐‐ワタシタチハヴェノム‐‐
今、新たな力が脈動する。
~~~~~~
見えない敵にスネークは苦戦していた。
木々を飛び回るザ・フィアーの変則的な動き。
その動きに照準は定まらず、
無数のトラップに動きは制限される。
加えて矢の雨からシオンを護りながらである。
早く戦闘を終わらせなければ矢の毒が全身に回ってしまう恐れもあり焦りが募る。
焦燥感がスネークに致命的な隙を与えてしまった。
トラップの一つを避けきれず連動してきた大木が自身に向かって来るのを見てスネークは目を見張った。
(まずい?!)
しかし突如自身を掬い上げた黒い影により、
空中に放り投げられることになる。
スネークは何とか受け身をとり素早く銃口を向けたがその先にいた影に思わず言葉を失った。
一方、木々を飛び回るザ・フィアーも無粋な乱入者に苛立ちを覚えた。
自身の獲物を横取りしてきたモノへ射殺すような視線を巡らせ、
その奇怪な姿に不快感をさらに募らせる。
真っ黒なスーツは体に張り巡らされている毛細血管のように僅かながら脈動しているようにも見える。
背中に流した黒い長い髪と柔らかな曲線を描く体のラインから女だとわかる。
そしてこの戦場に踏みいることのできる女は一人しかいない。
『ガキィ…なぜ動ける…』
木の上から見下ろすザ・フィアーに乱入者はようやく顔をあげる。
『ガキとはご挨拶ね、蜘蛛おじさん。』