嵐の夜に飛び立とう   作:月山ぜんまい

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 3、アイディア

   3、アイディア

 

 ・・・・・よし、発想を変えよう。

 傷を癒し回復させるんじゃなくて、SFのサイボーグのように、新しく造ってくっ付けよう。

 幸い、私の念の適性は具現化系、物を造り出すのは得意分野だ。

 

 まず・・・まず、サイボーグは無理だな、細かい構造とか電子回路とか無理スジ過ぎる。あと、自分で言うのもなんだが、一ヶ所ずつ造るには、欠損箇所が多すぎる。

 でも、方向性は合ってる。

 ただ、もっと自分に、いや、念に相性の良いシステムを構築しないと。

 ・・・錬金術師風に、大きめのホムンクルスを造って、ロボと操縦者の様に、中に収まるのはどうだろう?ホムンクルスの中で保護されて、ゆっくり回復していく。ちょっと標本っぽいが有りか?

 ・・・いや、一発勝負で人間一つ造り出すのは無謀だな。時間も技量もたりん。

 

 時間は3日、いや恐らく2日少々、技量もおそらく、やっと“発“が作れる様になったばかり。イメージし辛いものや、高度なもの、確認や予備知識が必要な物は全てNG・・・・・詰んでね?

 

 まだだ、まだやれる(空元気)!

 

 アイディアが有っても、リソースが不足。社会人なら何度も経験するシチュエーション。こういうのは、リーダーが、担当者集めてブレストすると、わりかし直ぐ解決する。メンツが有能で、カス上司が混ざってなければ、だが。

 今は私一人だから、一人でアイディア出しするしか無いが、考え続ける事が重要だ。考え続ける事によって、答えの方向性を絞ってゆく。

 ミスる度、現状を確認し、正解への道を探る。

 大抵の場合、答えはすぐ目の前にあって、目に見えていないだけだったりする。

 

 青い鳥は、意外と近くにいる。

 

 居ないと困るから、そう信じる事にする。

 

 ・・・と言うわけで、もう一度確認。

 

 念は、所謂流行りのゲーム的なSFやFTよりも、童話やホラーのような、人間の根源的欲求により近いほうが、馴染みが良いような気がする。

 心の底に、得体の知れない怪物がいて、気まぐれに宿主のねがいを叶えている様な感じだろうか?

 ・・・・ちょっと怖い考えに嵌まりかけてる気がするが、ここは作中世界のフレーバーだと思って敢えて無視しよう。

 ホラーは現状お腹いっぱいだ。もう結構。

 

 落ち着いて最初から・・・・

 

 イド・・・・じゃない、能力的な自分の素養、それを、落ち着いて確かめる。

 

 ・・・・・

 

 原点・・・

 

 念・・・

 

 四大行・・・

 

 水見式・・・・・・

 

 ・・・・・・・・・卵?

 

 卵・・・念で、卵と言えば念獣?・・・

 

 まてよ、まてよ・・・もし、各部位に擬態出来る念獣を、それぞれ産み出せれば・・・いや、それだと、人体の複雑系を模倣するのは難しい・・・iPS細胞的な万能細胞ならともかく。

 

 ・・・・・!

 

 自分の細胞を元に、細胞サイズの念獣を造る能力にすればいい!

 どんな部位にも成長させられる万能細胞の念獣!

 姿形はこの際どうでもいい、どうせ細胞サイズで肉眼ではみえないし。

 小さければ、オーラやキャパシティーの負担も軽くなるはず、少なくともイメージは楽になる。別に本当に細胞サイズじゃなくたって良いわけだしな。要は、万能細胞の能力を持った極小の念獣であればいい。

 戦闘能力は、初めの細胞の段階で遺伝子的に組み込む。ある程度汎用性のある能力にすれば、最初は弱くても、最終的には役に立つ。・・・・部位毎に、別の色んな能力を与えれば、対応力が増してかなり強化されるが・・・成長は遅れるか。

 成長を遅らせて、大器晩成型にしないと、キャパオーバーになって、ショボイ能力で終わる可能性が高い。

 十以上の全不足部位に、全部念獣を付けて、その上、全念獣に個別の能力を与える。

 こんな重い“発“最初から十全に機能するとは思えん。基本的な部分は兎も角“発“としてモノになるのは、ずいぶん先だろう。

 それに、系統別の相性があるか・・・・

 いや、クルタの絶対時間を使えば無視できる。しかも、念獣を造る時だけ使えば、もしかすると、リスク無しで全系統百パーセント使える念獣を誕生させられるかも!

 

 ・・・・・これ、最初のうちは、激弱になるんじゃ。

 原作主人公が、初めて作った“発“の練習で、飛ばした念弾が、ひょろひょろと数メートル飛んでポトリと落ちたのを、何故か、おもいだした。

 

 後は、無くした部位数と、それに対応した念獣の数、各部位に与える個別能力と、全体に与える将来性を見越した能力。

 そして、肝になる制約と誓約だ。

 

 ・・・まだ、結構多い。

 

 だが、方向性は決まった。テンション上げて行くぜ!

 

 埋められる前に傷付つけられたのは別にして、几帳面なチンピラアニキが言っていた、消失している部位は十二ヶ所。

 念獣十二体分に纏める。

 最終的には、全体で一つの能力にする。

 

 1、頭皮と髪:髪色は金髪らしい。

 

 2、右眼:眼は、左右別に作る。

 

 3、左眼:多分、両方鳶色。

 

 4、鼻:内部構造まで念獣化する。耳も。

 

 5、両耳:機能的に、一緒にする。

 

 6、右手:残量に関わらず、全交換。

 

 7、左手:同右、両足も。

 

 8、心臓:最重要かと思ってたが・・・

 

 9、肝臓:念獣化、強そう・・・酒に。

 

 10、腎臓:〇HKで観た。結構重要。

 

 11、右足:ちょっと長くしたい。

 

 12、左足:長い方が強い。リーチ的に。

 

 こんなもんだな。

 後の、細かい傷や不足箇所は、何れかに付けた能力で、纏めて回復だ。

 お次は、全念獣に与える共通の能力。

 いろいろ考えた末、能力は四つ。

 

 1、『我らは一人』

 

 念獣達に意識が有っても、主である自分が主体であり、完全なる行動と操作の自由を持つ。やっと拵えた身体が、言う事聞かないなんて、笑えない。

 念獣は、互いに帰属意識のネットワークで繋がり、中心に主が常にいる。

 イエス!ジャイアニズム。ノーハル。

 能力的には、情報と能力の共有化。

 念獣にも、意識はあるはず。

 

 2、『自分を磨け』

 

 念獣達に、主の身体を含めた全体と、念獣個々自身を、より高みへ押し上げたいと理想する本能を宿らせる。

 あと、複数の念獣と自分で、それぞれ修行すれば、修行効率も複数倍に出来るかと思ったが、オーラは全身から溢れるものだったはずなので能力としてイメージしづらかった。

 代わりに逆の発想で、負荷能力、念獣一体毎に、“練“などが最高二倍位まで自由にきつく出来る能力を付けた。

 これで時間当たりの修行効率が上がるはず。十二体で、十二倍?

 

 3、『生身の身体』

 

 基本的に、各部位の念獣に、本来自分が持つ原形、機能、サイズ、美観を、最適化して生身に擬態させ、常時“発“の状態を維持するための能力。

 念の集合体である念獣に、“絶“は難しそうなので、常時“隠“でオーラを誤魔化し続ける能力も含む。

 私のオーラも同じ様に“隠“で隠し、継ぎ目が判らない様に生活する予定。

 

 4、『権能の力』

 

 これから、個別に与える念能力。

 育むべき力。

 

 

 『我らは一人』、『自分を磨け』、『生身の体』、共通の基礎能力三種は、それぞれ互いに影響しあい、念獣個々を成長させる為の情報や手段の獲得、方向性の統一、人間に見えるように化ける、たとえ私が寝てても勝手に強くなったら楽。

 等、とても重要な基本的部分を網羅している。

 尚、『権能の力』も此処に含まれ、基本、能力の成長は念獣任せとする。私は、使いたい時に使うだけ。

 いや、自由にやらせた方が部下も成長するし・・・。

 社長の役目は、汗水垂らす事じゃなく、目標を示すこと(キリッ)!

 

 以上。

 

 

 ここからは、個別の能力を考える所だが、私は、攻撃的能力ばかりを揃えるのは不味いのではないかと思いはじめた。

 むしろ、完全攻撃用の能力は、一つか二つくらいにして、あとは、格闘技を身につけ、フォローの為の便利能力にするべきじゃないだろうか?

 かの、悪名高き『幻影旅団』も、全員強いは強いが、戦闘要員以外に、情報収集や後片付け等、戦闘用以外のメイン能力を持った団員が、複数在席していたはず。

 おまけに私は、恐らく長期に亘ってボッチだろう。

 それなりに強く成るまでの成長の為の時間。クルタ族である事の危険。転生者である事の秘密。何より私がボッチ体質である事によって。

 いやマジで。

 ・・・・・師匠どうしよう、上から降ってこないかな、ラ〇ュタ的に。少女希望。

 

 恐らく、格闘技を身に付けないと、どんな“発“を使えても、反射速度と経験の差で負ける。

 戦い慣れてる奴は、勘も良いし、()()()なんかに、そうそう掛からない。

 理屈はいろいろ有るんだろうが、とりあえず、世界がそうなっている。

 

 例え全てが上手く行っても、私は永く逃げ回る生活が続く事になる。

 もちろん何時かは強くなって狩る側に回るつもりだが、無茶をするつもりはない。

 これはゲームじゃないし、まだ、ここから生きのびられるか判らないが、二度目の死は結構先になる予定だ。

 格闘技は必須、それは決定済、しかし、武術修得を焦らなくても、やれる事はある。

 準備としての基礎体力や柔軟性の向上、逃げ隠れするための隠行術、そして、“発“だ。

 つまり、便利系の“発“には、死なない様に回復し、相手より先に敵を見つけ、追いかける敵から逃れ、見えない不意討ちを防ぎ、攻撃用の“発“が決まるよう補助する能力、そして、未熟な時を稼ぐ力が求められる。

 ・・・数、足りるか?

 

 

 

 と言うわけで、うなれ、私のオタク魂!

 

 ・・・ぶっちゃけ能力なんて、他作品からパクれば、幾らでも思いつく。

 しかし、その部位に収まりが良く要求を満たし、無理のない能力は、意外と限られる。おまけに、全体のバランスも重要だ。

 此処で私は、この身体の元の持ち主に、改めて感謝することになった。

 つまり、なんと言うか、すっげー頭良いのだ。(バカっぽい)

 記憶力が半端なく良くて、一度思いついた事を暫く経っても順序良く思い出せる。

 このスペックが無かったら、こんなにいろいろ細かく考えるのは無理だったし、もっと、行き当たりばったりになっていただろう。

 感謝。

 子供だからだろうか?それとも、クルタ族なら誰でもこうなのか?クルタ族恐るべし。

 私が憑依転生したせいで、ステータスが二人分に為ってるとかならありがたいが、確かめ様がないな、これは。検証とかは後回しだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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