嵐の夜に飛び立とう   作:月山ぜんまい

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 33、ストーカーと嫌われもの

   33、ストーカーと嫌われもの

 

 おっさんと私。組んでいた腕は離れたが互いに背中合わせで床に座り込み、まさかこうなるとはと驚きを込めて振り返ると、丁度同じようにびっくりして振り返ったおっさんと目が合った。

 分厚いテーブルが砕け散ったのだから、二人の間にはトン単位の力が掛かっていたのは間違いない。自動車の衝突事故に巻き込まれたようなものだ。

 人型種(ひとがたしゅ)二人分の重量なんて、軽く吹っ飛ばされる。何事もなく済んだのは、二人の頑丈さと運動能力が有ったからだ。

 

 「ふっ、くっくっくっ・・・」

 

 なんか、この一連の顛末が可笑しくなって笑いを抑えることが出来ず、声を上げて笑ってしまった。

 

 見ていたおっさんも初めは低く、やがて腹を抱えて笑い始めた。

 

 周りの女性陣は唖然としている。

 

 

 

 「あいつにはホトホト困っているんだ」

 

 農夫改め『魔獣』のゴリムだと、おっさんは名乗った。

 

 仲良くなったゴリムと私は、家の前まで引っ張って来たベンチに並んで腰掛け、敷地の端に置かれた樽を眺めながら中の小猿の話をしている。

 

 信用してくれたのか、女性陣もゴリムも本来の『魔獣』の姿で、四体の幼い『魔獣』(仔ゴリラ)も一緒に辺りで(くつろ)いでいる。

 

 何でか、誘った訳でも無いのだが仔ゴリラの内の一体がゴリムと私の間に潜り込んで来て座っている。時折二人の膝をペシペシ叩いて楽しそうだ。

 メンタルもサイズも二歳児位か?騒がれないように適当にあやす。

 

 

 「困る?」

 

 私の≪観測≫の視界には、小猿に

 

 【オーラ生成物、念獣】

 

 のタグが付いている。

 

 威嚇されながら少し近づいてみると、小猿の正体は生物ではなく念獣だった。

 

 しかし、ゴリムが対処できないほどの厄介者には見えない。

 

 「ああ、見てろ・・・」

 

 ゴリムはひょいと手を伸ばして足元から小石を拾い、オーラを込めると軽い調子で投げた。

 

 凄まじい速度で飛ばされた飛礫はあっさり小猿の頭部を粉砕し、突き抜けて地面に土埃をあげた。

 

 「なっ!」

 

 せっかくのモフモフが、とつい声が出てしまう。

 

 「慌てるな、見ていれば解る」

 

 ゴリムに動揺は無い。

 

 「えっ?」

 

 二人が見ている前で煙の如く飛び散った小猿の頭蓋が、録画の逆回しのような早さで一瞬で再生する。

 小猿は歯を剥き出して、ちょっと怒っている。

 

 「・・・誰かの念能力による攻撃なのか?」

 

 この近辺に彼らと私以外のオーラ持ちは居ない。それなのにゴリムを困らせる念獣がここにいるという事は、何者か敵対的な念能力者が遠距離からこの場に干渉している事になる。

 原作にも敵に取り憑いて悪さをするタイプの念能力は有った。

 一度取り憑くと距離を空けても効果が持続する呪いのような厄介なヤツだ。

 

 「そんな感じなんだが、ちょっと違う」

 

 ゴリムは二人の間に挟まった仔ゴリラをそっと抱き上げ私の膝に乗せると其の頭を軽く撫で、立ち上がって小猿の樽に近づいて行った。

 

 厳しい表情を崩さないゴリムとは対照的に、小猿は飛び跳ねて喜んでいる。私の時とは大分違う。

 

 ゴリムは一度振り返り、小猿と自分が両方私の視界に入っているのを確認し、小猿とジッと視線を合わせる。

 

 見ているゴリムに射すくめられたように小猿は樽の中で動きを止め数秒の(のち)、ぶつかる二人の視線の中間、ゴリムの眼前に何か飾りの着いた薄い板のようなものがオーラの揺らぎと共に顕れた。

 

 その板に、

 

 【オーラ生成物、不明】

 

 のタグが着く。

 

 角度的に板の表面は見えないが、そう危険なものではないようだ。≪結界≫の危機感知は反応せず、嫌な感じも無い。

 ゴリムも、慌てることなく此方を振り向いて私の驚きを確認し、慣れたようすで手を振って板をくしゃりと潰し、消してしまった。意外に脆い物のようだ。

 

 明らかにガッカリしている小猿を置いて、ゴリムがベンチに戻って来た。

 

 「見たか?」

 

 私から仔ゴリラを受け取り、自分の膝に乗せて元の位置に座る。

 

 「見たが・・・あれは何なんだ?」

 

 「あれは契約書だ」

 

 「・・・けいやくしょ?取引をしたり雇ったり雇われたりする時に署名する、あの契約書か?」

 

 「そうだ」

 

 ・・・念能力と契約書。

 

 嫌な予感しかしない。

 

 「誰か厄介な念能力者に契約を迫られてるって事か?」

 

 隷属系か強制系か、何か行動や思考を制限するための前提条件である可能性が極めて高い。

 

 これは、ファニーな見た目と違って意外に根が深いのかもしれん。

 

 今の私が気配も感じ取れないほど遠方から仕掛けているとすると、相当練り込まれた念能力だ。

 

 困っているのに有効な対策を取れないのは、既に何らかの術中に填まっているのか。

 

 「厄介は厄介なんだが・・・」

 

 ゴリムが、煮え切らない態度で身体を左右に揺すって仔ゴリラをあやしながら、片足で器用に耳の後ろを掻く。

 切羽詰まっているしては真剣味が足りない。

 

 「違うのか?」

 

 どうもはっきりしない。

 

 「近いが・・・・問題は、契約を断ろうにも其の方法が見つからない事でなぁ」

 

 何かを思い出しているのか、目が遠い。

 

 「実際に側であの契約書を見れば色々解るんだが、チビモンキーはえらい人間嫌いで人が近くに居るとオーラの電撃を飛ばしやがるんだ。まぁ死にゃしないんだが」

 

 ゴリムは、小猿の事をチビモンキーと呼んでいるらしい。

 チビモンキーを睨むゴリムから詳しく話を聞いてゆく。

 

「・・・最初に奴を見かけたのはシュマの町での事だった・・・・」

 

 シュマは、近隣の国の港町だと言う。

 

 ゴリムは以前から家族を森に残して定期的に町へ買い物や情報収集に出掛けていたのだと言う。

 小猿を見かけたのもその時で、路地奥から木箱に入って通りを横切る人間を見ていたそうだ。

 

 道行く人は、見かけても特に誰も気にしていなかったらしい。大きな町で飼えなくなったペットが捨てられるのは、別に珍しい事ではない。

 

 そして彼が前を横切る。

 

 人間に擬態し、他の人達と同じように路地の前を通り過ぎるゴリムを見つけると、何故か小猿は箱から出て後を付いてきていたようで、気がつくと後ろに居たらしい。

 

 ゴリムも最初は只の捨てられたサルのペットだと思って気にしていなかった。

 威嚇して追い払おうとしたり運動能力で撒こうとしたりしたが果たせず、どうもおかしいと気づいた時点であの契約書を出された。

 

 勿論、余りに怪しすぎて契約など論外。しかし、何故か小猿はゴリムに執着して一向に諦めてくれない。

 

 情報を集めようと方々に手を回し、操り手を誘きだし調べようと何度か町から離れ、小猿を倒そうと再三直接攻撃を仕掛けてみたが、どれも上手く行かない。

 

 結局、最も参考になったのは件の契約書を細かく検分したその内容だった。

 

 契約書には小猿の存在の経緯が記されているらしい。

 

 其れを纏めると、とある具現化系の念能力者が自分の創った念獣が自分の死後その活動を止め消え去るのを惜しんだ。

 

 他のオーラ持ちの念能力者に代わりにその飼主と言うか所有者になって欲しいと継承の仕組み(契約書)を念獣に組み込んだ。

 

 念能力使用のキャパシティーは継承者負担にならない模様。

 

 という、一見ごく平和的なものだった。

 

 簡単に言うと、ペット(念獣)の相続依頼?。

 

 「・・・えっ、そういう問題なの?」

 

 

 確かに可愛いけど、可愛いけど其れはどうなんだ?

 

 得体の知れない念獣だぞ。

 

 継承相手が全て了解している身内でもなければ「ごめんなさい」一択だろう。

 

 話を聞いた私が、ちょっと混乱して聞き返すとゴリムが軽く頷いた。

 

 ゴリムが調べてみると、正体は不明だが確かに元の飼主、と言うか念獣の元の使い手が数年前に死亡している事だけは確認が取れた。

 

 使い手に関するそれ以上の情報は、探り出せなかった。というか少しヤバい方面に繋がっていて、()()()ってやつらしい。

 

 「こいつは所謂(いわゆる)『死者の念』ってヤツとは違うのか?」

 

 これまでに見た『死者の念』とは大分雰囲気が違う。

 だが、小猿も白黒のツートーンカラーで色味はそれっぽい。念獣の元の使役者も死んでいる。

 

 「俺もそうなんじゃないかと思って、そういうのを専門にしてる奴に確認してみた」

 

 知ってたか。と言いたげにゴリムがチラリとこちらを見た。舐めんな。

 

 「結果、別にそういうアレでは無く直接的危険は無いらしい。もしとり憑かれてしまっても恐らく解除は可能と言われたが、さすがに契約(憑かれる)前では無理だと断られた。

 それに、見た目よりも大分強力な念獣で、本格的に憑かれると処理もかなり難儀するって脅かされた」

 

 そうだった、つきまとわれているだけで未だ取り憑いている訳じゃなかった。

 契約後の解決も不可能では無いが、凄い金が掛かるか凄い借りを作るってヤツだな。

 

 『死者の念』の専門家?いや、念による呪い解除の専門家、除念師か?

 

 攻撃しても退治できず、除念も困難。使役者は既に死んでいて解除不能。

 

 ・・・こいつは厄介だ。

 

 「・・・あー、使役者はもう居ないんだろ?何処かに閉じ込めて置くか、攻撃を続けて消耗させれば(じき)に崩壊するんじゃ無いのか」

 

 所謂消耗戦だ。相手に現状以後の補給が無いのだから、再構成か再生か分からんがオーラを使わせ続ければ遅かれ早かれ消耗し尽くして消える。

 

 要は私の『十三原始細胞(ゾディアック・プラスワン)』と一緒だ。

 

 

 

 「まず、閉じ込めるのは無理だ」

 

 なんか、非実体化してすり抜けてしまうので、檻も首輪も意味を成さないと言う。

 

 「・・・オーラを消耗させると・・・フゥ」

 

 ゴリムが一つ溜め息をついた。

 

 「・・・そいつが又一つ問題でな」

 

 ゴリムは女衆の一人に曖昧な指示をして、家の裏手から何かを持って来させる。

 

 見た目、ほぼゴリムと変わらない姿のマッチョゴリラ(女性)が片手にぶら下げて持って来たのは、じたばた動く尻尾を摘ままれた茶色い鼠だった。

 何とか逃げ出そうと暴れているものの、逃走は無理そうだ。

 

 ゴリムは、鼠を受け取ると樽の中の小猿に向かって鼠が死なない程度の力でそっと放り投げた。

 鼠は弧を描いて宙を飛び、樽の中に落ちる直前に小猿に器用にキャッチされた。鼠の大きさは小猿の三割程だ。

 

 直後に鼠は死ぬ事になる。

 

 流石に小猿が飛んできた鼠が怪我をしないよう助けてやったとかメルヘンな事を考えていた訳では無いが、現実は予想を越えてハードだった。

 

 例えば、小猿が鼠を頭から丸かじりにしても私は大して驚かなかっただろう。そんなことは森の中でも普通の事だ。

 

 だが、小猿のやった事にはちょっと意表を突かれた。

 

 小猿は、簡単に言うと()()()()()()()

 

 さっきゴリムが言っていたオーラの電撃を放ったのだ。暴れていた鼠は痺れて動けなくなり、そして変化が起きた。

 

 私達が遠目に見ている前で鼠のオーラが視認出来るほど膨れ上がる。

 

 小猿にオーラで攻撃された事によって、無理矢理『精孔』が開かれ、鼠の生命力がオーラとなって迸り出ているのだ。

 

 このまま放って置かれれば衰弱して死ぬ可能性が高い。上手いこと制御出来れば念能力が使えるのようになるのだが、その鼠に小猿が噛み付いた。

 

 噛み付いたきり動かない。小猿が何をやっているのかと首を傾げていると、スルスルと鼠のオーラが小猿に吸収され消えていった。

 

 

  吸精能力!

 

 

 『左目(スコルピオ)』の≪観測≫の効果でその顛末を誰よりもはっきりと認識出来た私は、背筋に冷たいモノを感じた。

 

  つまりこれが小猿のオーラが尽きない理由か。

 

 

 ・・・ドン引き。

 

 

 いや、仔ゴリラが小猿に近づくのを止める訳だよ。

 

 その後小猿はオーラを搾り取った鼠の死骸を、樽から出て森まで捨てに行った。

 

 樽から出られないわけでは無いらしい。

 

 あの樽は、元々小猿に投げつけた物だそうだ。名前のペイントは理由不明。

 

 て言うか、鼠自体は食べないのな。やっぱり念獣だからか?

 

 普通、強制的に精孔を開かれても、ある一定の者はオーラを自力で留める事に成功するか、衰弱しても運が良ければ生き延びる。

 しかし、小猿は強制的に吐き出させたオーラを対象が死ぬまで残らず吸い取ってしまった。これは、食事であると同時に攻撃手段でもあるのだ。

 

 「・・・ヤバいな」

 

 やっと、ゴリムがやけに小猿を嫌がる理由に納得が行った。

 

 「だろう・・・」

 

 ゴリムが毒蛇でも見るように小猿を見ている。

 

 殺す、いや消すべきだ。

 

 今の惨劇を見せられて反射的にそう思ってしまったが、一回小猿から視線を外し、少し冷静に考えてみる。

 

 確かに小猿は仔ゴリラにとって脅威だ。ゴリムが嫌がるのも無理はない。

 

 しかしここに見逃せない重大な問題がある。

 

 小猿は、眺めているだけで手がワキワキするほどのモフみ深い()()()()なのだ。

 

 そして、私は勢いだけで無益なモフモフ殺生をするつもりはない。

 

 一見、小猿を殺す──念獣なのだから消すが正しい表現かもしれないが、見た感じ意識が有るようなので、ここは殺すとしよう──のは正しい判断に見えるが、一時の感情に任せるのは性急に過ぎるかもしれない。

 

 念獣の不死性に関する懸念は、『右手(キャンサー)』の≪消滅≫を使えば恐らく抹消可能だ。

 以前に、強力な再生能力や膨大な怨念を抱えた『死者の念』を、なんだか余りに簡単に消去してしまうので、≪消滅≫について『右手(キャンサー)』とじっくり()()()()してみたことがある。

 

 おおよそだが私の理解する処によると、≪消滅≫を使用して対象を消し飛ばす時には、質量のある物質は微細に分解し、同時に消滅される場に存在する()()()()()()()エネルギーの規則性をまっ平にして情報を喪失させ、其れから世界の外に放逐するらしい。

 

 

 意味が解らず何度も確認したのだが、この作用によって何であれその構成情報、構造機能、記憶や記録がきれいさっぱり失われ、切り取られた単なるエネルギーとしてこの世界から放り出される。そうだ。

 

 例えるなら、データがつまったスマホを捨てるのに、只金槌で一打ちするだけではなく、電気炉で入念に溶かし単なる合金と炭素の塊にしてから捨てるような念の入った処理方法でデータ等の復活を完全に不可能にしているのだ。

 

 これは、≪消滅≫の能力を与える時に復活の余地が無いよう、存在抹消、魂初期化をイメージとして組み込んだ結果らしい。

 

 この、ある種の浄化能力によって、≪消滅≫で攻撃された対象は、例え如何なる能力や思考、執着や信念を持っていたとしても攻撃を喰らった段階で、単なる質量()しくはエネルギーとしてこの世界から掻き消される事になる。

 

 想定通りのヤバい能力。

 

 

 情状酌量の余地を探るため、小猿のふるまいについて幾つかゴリムに確認してみる。

 すると、ネコやイヌなどある程度大きい生き物は、例えオーラ電撃で麻痺させても只身を守るだけで、精孔を開かせたり危害を加えたりはしないらしい。襲う生き物に何か基準があるのか?

 

 多分、実在する生き物のコピーだろうが、その動きや所作(しょさ)の可愛いらしさからしても、その纏うオーラからしても、念獣を創った者の匠としてのモフモフ愛に、不健全な歪みや澱みは感じられない。

 

 例え製作者が冴えないおっさんや、コミュ障の太った引きニートだったにしても、少なくとも念獣に掛けた愛情は純粋なものだったのだと思う。

 

 まあ、だからといってゴリムに契約を勧めたりはしないが。

 

 可愛いもの好きが善人とは限らないのがハンター世界クオリティー。

 

 いや、前世でもそうか。

 

 しかし、それだけにモフモフ愛に限っては一貫性が有るのではないかと思う。

 ある程度以上の大きさのものに危害を加えないのは、元々そういう仕様である可能性が想定できる。

 偏見ありきの贔屓目予測。

 

 

 鼠の末路は衝撃的だったが、普通に考えたなら鼠を捕るのは別に悪いことでは無い。寧ろ、農場の猫などはその為に飼われていたりもする。

 それに、基本的にあのオーラ電撃に殺傷能力は殆ど無いらしい。

 

 張り付いていたタグにも

 

 【念能力、電撃(弱)、麻痺効果(弱)、精孔開放(弱)】

 

 となっていた。

 

 吸精能力も念能力者にとっては脅威ではないし、もし契約して小猿のオーナーになってしまえばオーラ供給はオーナーが行う事になるから、吸精能力自体が使用されなくなるだろう。残るのは縫いぐるみのような小猿だけだ。

 

 私の個人的意見では、殺すのはちょっと可愛そうかな、と言う処。

 

 

 「・・・しかし、そもそも何でゴリムに付いて来たんだ?」

 

 小猿の元の主にしても、死んでいたのにゴリムが突き止められなかったんだから、其れなりにツテやコネのある人物だったんだろう。

 なら、継承させる相手だって生前に見繕っておけただろうに。

 そうすればゴリムも、こんな面倒臭い事に巻き込まれないで済んだ。

 

 「それが解ればなぁ・・・」

 

 ゴリムの言に、労苦の実感がにじむ。

 

 私を、ではなくそもそも人間自体を嫌っていると言う話も有った。

 

 それが何故、何時からなのか。

 

 もしかすると、そのせいで予定の人物に継承させる事が出来なかったのかもしれない。

 

 何か秘密でも在るのか?

 

 念獣の元々の主が継承を強制されて、人間に継承出来ないように条件を変更したとか?

 

 ペットの管理者に遺産を任せるのは良く有るパターンだが、誰かが小猿(念獣)を探している様子は無いらしい。

 

 又は、人間とか『魔獣』とか関係無く、継承の条件が厳しくて当面ゴリムしか候補がいなかったとか?

 

 まさか、元々の作成者がゴリラ好きで、ゴリラ顔を好むように設定してあるとかは無いよなぁ?

 

 いや、初対面時には人間の姿だったはず・・・小猿さん意外に感知能力が高い?

 

 

 「・・・済まない、これ以上は考えても何も出そうにない」

 

 思い付いた事は言ってみたが、この程度はゴリムも気がついていて、同意しただけだった。

 

 「気にするな、さすがに一朝一夕で解決の手立てが見つかるとも思ってない。一応もう()()()()()()()()()()し、今でもたいした問題は起きてないからな」

 

 ゴリムは鷹揚に頷くと、大袈裟に肩を竦めて小猿の件を終わらせた。

 

 実際小猿の危険度は実は低い。案外先送りにしているうちに、あっさり解決の目が出るかもしれない。

 

 いざとなれば私が消しても良い。

 

 勿論その事をゴリムに告げるつもりは無いので、タイミングとチャンスが在れば、という事になる。退治には反対だが。

 

 この後夕飯をご馳走になり、気に入られて翌朝の出発が二人連れになった(+小猿)。

 

 どうでもいいが、とりあえず小猿を撫でたい!だが、無理矢理はダメ、絶対!

 

 

 

 

 





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