嵐の夜に飛び立とう   作:月山ぜんまい

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 40、人里

   40、人里

 

 「私もちゃんと伝わるか解らないので、ここからは見えているものとして喋りますね。」

 

 どうやら彼女はピートの元の飼い主。製作者であるらしい。太ったおっさんじゃなくて良かった。セミロングの淡い金髪、少し線が細いが、なかなか かわいい。

 

 どうやら美少女(わく)は師匠では無く、ペットの前の持ち主らしい。モフモフ談義をしたかったが、 もうお亡くなりになっている。

 

 「この『記憶の窓』は初めて『開示せよ(ステータスオープン)』を使用した一回目にしか開きません。二回目以降は無いのでちょっとだけ話を聞いてください」

 

 少女が、居住まいを正した。

 

 「まず、ピートとの念獣保有契約ありがとうございます」

 

 少女が座ったままペコリと頭を下げた。

 

 「ピートの能力等はこの後ご覧になることが出来るので割愛します。この『記憶の窓』には数分間しか記録しておけないので、手短にお話ししなくてはならない事があります」

 

 少女は私に向かって話しているように見えるが、おそらくカメラ代りになっているのはピートだろう。

 

 「それは、ピートの名前のことです」

 

 なにかを思い出すように視線を逸らしながら、少女は語る。

 

 「新しい契約者さんも、新たな仲間(ペット)には自分の好みの名前を付けたいと思われるでしょう、しかし残念ながらピートの名前は変更できません。

 理由は、ピートの生まれた経緯にあります」

 

 癖なのか、右の拳を軽く振りながら話している。たまに、指が一本立つ。

 

 「今回、契約の能力を作るにあたって変更しようとしたのですが、私にも変えられませんでした」

 

 少女は又、頭を下げた。

 

 「この記録は、せめてその理由をお知らせしてお詫びするためのものです。

 必要ないと思われた方はピートに『必要ない』と告げていただければ、直ちに『記憶の窓』は閉じ、以後開くことはありません」

 

 数秒の間。

 

 ガイダンスの可否を問うためだろう。私は、もちろん聞く。

 

 「そもそも私が初めてピート()()の存在に気づいたのは三歳の頃でした。」

 

 少女は、少し微笑んで話し始めた。

 

 「生まれつき身体が弱く病気がちだった私は、幼い頃から一人でベッドに居ることが常でした。

 そして、いつの頃からか空想の友達を相手に話しかけて、寂しさを紛らわせるようになっていました」

 

 少女は、画面の外から一冊の古びた絵本を取り出した。

 

 「これが、初代ピートさんです」

 

 掲げた絵本の表紙には、額にハートのマークがある白黒ツートンの猫が、大きく描かれている。タイトルは『白い黒猫ピートの冒険』。

 絵本に見えるが、時代的に絵本はまだ無い筈だから、画集に文字を付けたような、絵解(えと)き本の一種だと思う。 元の、気に入った物語を絵本の形にした手書きの一品物だろう。

 

 「はじめは、本の中のピートさんを想像して()()()遊びをしていたのですが、いつのまにか実在のピートさんと遊ぶようになっていました。幼かった事もあり、その境目ははっきりしません。

 正体不明の実在ピートさんの事はその後すぐ発覚し、いろいろあって念獣らしいと分かり、最終的に保護者が雇ったプロハンターの訓練を定期的に受ける事になりました。

 暫くして、一定のコントロールが利くようになってから細かい能力を設定して、今のピートさんになりました」

 

 今度は小さな額縁付きの絵を取り出し、自分と白黒ツートンの猫がほほ寄せあって笑う細密画(ミニアチュール)を見せた。

 

 「名前変更不能の件を私の念の師に相談したところ、名前と能力が余りにも密に関連していると、そういう事が起こるみたいです。念能力では、よく有る事だそうですが」

 

 少女は、というわけで名前の変更が出来ないのは仕様と思ってほしい。と言い、最後に深く頭を下げた。

 

 もう終わりかと思ったが、映像はまだ続く。

 

 「最後に、おまけとしてピートさんの新しい契約者さんに何か残そうと思ったのですが・・・

 お金では味気ないですし、普通の人と違う人生を送る念能力の持ち主に何を送ったら喜んで貰えるかじっくり考えて、いっそのこと拠点となる隠れ家を(のこ)す事にしました。」

 

 ひとさし指を立てた少女が、とんでもない事をさらりと言った。

 

 「ピートさんの七つの能力に掛けて数は七つ」

 

 ・・・しかも増えた。

 

 少女の口からV5の国名と都市名、カキン帝国の都市名が告げられた。合計六つ。

 

 「最後の場所は秘密です、ヒントは歴史のある小さな国。探してみてください。

 隠れ家の有る町の中に入ったら、ピートさんに『とまり木は何処にある』と聞いて下さい。その町に拠点があれば案内してくれるでしょう」

 

 ピートさんに意地悪していると、教えてもらえないかもしれない。と悪戯っぽく笑い、映像は終わった。

 

 意外と濃ゆい少女だった。

 

 おまけで付いてきた拠点の件は後まわし。ただのショボい穴ぐらかもしれないし、信用できるかも不明で、判断材料も少ない。

 ま、ちょっとワクワクはするが。

 

 

 画像が消えても開かれた巻き紙は残り、ピートの状態と七つの能力について、解説が載っていた。

 

 

 念能力名:『永遠不滅の私の友達(アイ・ウイッシュ)

 

 友達名:『ピート』 

 

 契約者:[ミカゲ]

 

  状態:[良好]

 

  能力:

 

 1、[不縛(エグジット)

 

 能力名『出口はいつも其処にある(フェアリーリング・エグジット)

 

 誰にも捕らえられない妖精が使う魔法の輪をモチーフにした能力。円を描くか作り出す事で発動。非物質化して拘束を脱する。自分のみ。

 

 

 2、[変化(コレクション)

 

 能力名『愛しき七つの子供たち(フワフワ・モフモフ・コレクション)

 

 フワモフの生き物に変化する能力。ピートが見て触れた生き物が対象。七種までストック可能。基本の姿である『猫』以外は入れ替え可能。

 

 3、[不死(イモータル)

 

 能力名『不滅の誓い(イモータル・テスタメント)

 

 創造者の願いを叶える為の能力。精神は念によって不壊化され、肉体が破壊されても即座に復活する。

 

 4、[名付(ネームド)

 

 能力名『真名標示(オリジナル・ネームド)

 

 真の姿が、揺るがぬ信念と誇りを持った黒い白猫であることの顕示。自分のハウスに名前がプリントされる。

 

 5、[電撃(スパーク)

 

 能力名『不埒なやからに刹那の光(パラライズ・スパーク)

 

 非力な爪と牙以外の、唯一の攻撃手段。

 麻痺効果有り。精孔解放効果付与可能。

 ※絶対気絶(アブソリュート・スタン)効果取得。

 

 6、[吸収(ドレイン)

 

 能力名『命を糧に紡がれる(ミニマム・オーラ・ドレイン)

 

 契約している主人からオーラを譲渡してもらって、存在を維持する。主人が未契約状態の時は、自分よりも小さい生き物を『電撃(スパーク)』によって精孔解放状態にし、そのオーラを吸収する。

 

 7、[契約(コントラクト)

 

 能力名『その手を取るは輩(ともがら)なり(コントラクト・チェイン)

 

 次代のピートの主人を決定する。その為の契約書を候補者に提示する。契約に必要な情報を提示する。契約後、ピートの情報を提示する。

 

 

 詳細情報を求めれば、もっと細かく調べる事も可能なようだったが、一瞥して軽く覗くに留める。

 

 これから長い付き合いになるのだから、今急いで知る必要は無い。

 

 [電撃(スパーク)]の解説に『効果取得』の文字が有った。今回『ヌエ』から学習(ラーニング)したらしい。元は多分絶対死亡(アブソリュート・デス)だったのが絶対気絶(アブソリュート・スタン)に変わったのは、ピートの個性による変質か?一応これも事象干渉系の『現実改編』攻撃だったので確認したが、≪調律≫がある私には効かなかった。

 

 

 待ちきれず、翌朝陽が上るとすぐにゴリムの秘湯を後にした。

 

 ピートとじゃれ合い、今後の事を話しながら山岳の木々の上を軽快に渡って行く。

 地形を無視して進んだので、やがては崖の上に出てしまう。想定通りだ。

 眼下には川が流れ、まだ見えない先に町がある。

 

 「もうゴリムも居ないし、町まで飛んで行こうと思うんだけど、ピートは鳥になれるか?」

 

 両の手を身体の脇でパタパタと動かして見せ、鳥の羽ばたきを真似て[変化(コレクション)]の使用を促す。

 

 「キィ!」

 

 (かたわ)らにいたピートは、最初怪訝そうだったが、分かったと言うようにひと声鳴いて、姿を変えた。

 

 「お!・・・おぉぉぉふ・・・」

 

 ピートは、問題なく鳥に変わったが、想定とちょっと違う。

 

 「ピートさん、可愛いけど、めちゃくちゃ可愛いけどそれはペンギンだ。水の中を泳ぐヤツ。

 もっと、空を飛べるようなのは無いのか?」

 

 目の前でペンギンに変身したピートが、「キュ?」と翼をバタつかせて二、三歩歩き首をかしげる。破壊力抜群でモフラー的衝撃が大きすぎ、ちょっとタンマと言って少しモフらせて貰った。(至福)

 

 「さて行くか」

 

 仕切り直して小さなエナガ(白黒)に変身したピートを連れ、崖から翔ぶ。

 

 徐々に高度を上げ、風を巻き、雲を背負い、≪甲殻≫を踏んで空を行く。念獣だけあって、サイズのわりにピートも速い。遅れず付いてくる。

 

 山岳の森を抜けると、地上のパノラマに小さな村が見える。ゴリムが言っていたトカの村だろう。やっとたどり着いた初の人里だが、ここは迂回する。

 今の私は色々と目立つので、最初に人口の少ない町に現れるのはよろしくない。ルーツはなるべくぼかす方が良い。

 

 高度を千メートル程に上げたので、真上を通っても気付かれる事は無いだろうが、数キロ離れて通りすぎる。地上からでは、小さな点にしか見えないはずだ。

 

 トカの村を越え、街道沿いに幾つかの町をスルーしてなおも進むと、遠くに海が、その縁にゴチャゴチャした大きな街があった。

 

  辺境の港町シュマ。目的地だ。

 

 シュマを確かめた後、少し戻って人目につかないように街道に降りた。港町まで残り十数キロほど。ここからは、怪しまれないようピートと共に春の街道を歩いて進む。後二時間位だろうか、昼過ぎには街に入りたい。

 

 肩にエナガ姿のピートがとまっている。

 

 雀ほどのサイズで尾が長く体長の半分が尾。たしか、柄杓(ひしゃく)()に似ているとエナガと名付けられたはずだ。相変わらずの白黒で、額に小さなハートマークが有る。

 黒みが少し多いが、ピートが変身したのはシマエナガだと思われる。これはこれで可愛らしい。ここまで小さい生き物に変化出来るとは思っていなかったが、小さい鳥特有の愛らしさがある。良い趣味だ。

 

 チチッ、と楽しそうに囀ずるピートに、そろそろ姿を変えてもらう。

 これからこの世界、この時代の常識を身に付けるため、しばらく街で過ごす予定だ。

 街中では、ピートの変身能力を知られないため姿は当面ずっと固定になる。

 エナガはかわいらしいが小さすぎてちょっと危ない。猫に襲われる等、誰かの悪戯や事故で『死なない(イモータル)』が周囲にバレると、色々めんどくさい事になる。

 

 「何でも良いよ」、と言ったらピートは見慣れた小猿の姿になった。

 

 「サルは嫌われてるらしいが港町だ、旅人も多かろうし・・・まあいいか」

 

 私は、小猿ピートを肩に乗せ歩き出した。

 

 山岳地帯を抜け、自然のままの未開拓地を越えると、農地が広がっていた。

 

 普通だ。普通の風景だ。元居た世界と変わらない、でもハンターハンターの世界。

 

 地形に沿った道の脇には背の高い樹が植えられていて、新緑が日陰を作っている。

 

 馬車がすれ違える広い街道には人通りも其れなりに有り、近くの農家のものらしき荷馬車や旅人の姿もちらほら見える。

 

 確認したところ、皆綿や麻の服を着て靴を履き、毛皮を身に付けている者も、ベストくらいだ。

 

 危ない処だった、さっきまでの革の上下に裸足では、文明人の中で酷く浮いただろう。

 今は、自作の革の半ズボンに冬用の膝下までの脛当の付いた長靴を履き、ゴリムに貰った白いシャツを着て、熊革の暖かいベストを身に付けている。

 

 珍しい装いだが、非常識とまでは言われないだろう。もちろん背中にリュック、腰にポーチと鹿角ナイフを身に付けている。

 

 

 意気揚々と歩いていると、背後からゆっくり追い抜いて行った荷馬車が少し先で停まって、御者が声をかけてきた。

 

 「坊や街までだろう、乗ってくかい?」

 

 一頭引きの普通の荷馬車で、板を張っただけの御者台に年配の男女が並んで座っている。私を追い抜くときにちらりと此方に目を向けたのは気づいていた。

 

 後ろからでは腰まで伸びた銀髪しか見えないはず。よく()()だと分かったものだ。ああ、半ズボンか。

 

 話している内容も丸聞こえで、どうやら二人は街で商売をやっている老夫婦で、仕入から帰るところらしい。見かけた子供を街まで一人で歩かせるのはかわいそうだと婦人の方が旦那に声を掛けさせたようだ。

 

 私は、この申し出をありがたく受け、篭が並んだ荷台の端にピートと共に便乗させて貰った。

 

 話し好きで世話焼きの老婦人に情報収集がてら街の話をふると、何故か近所の噂話が始まり、近くの空き家に住み着いた若夫婦の事を延々と聞かされた。ついでに私の事も色々聞かれたが適当にホラを吹いて誤魔化しておいた。

 

 「・・・ちょっと休憩だ」

 

 無口な旦那が荷馬車を停め、途中の川縁でハムとピクルスのサンドイッチの昼食をごちそうになった。パンを食べたのは、この世界に来てから初めてだ。

 焼きたてでも何でもない全粒粉と塩で作った、ずっしりと噛みごたえの有る普通のパンだ。

 しかし、噛むとしっかり小麦の味がして妙に懐かしかった。

 

 その後、街に着くまで荷台でピートと寝て過ごした。

 多少揺れたが、馬の足音の刻むリズムと春の陽射しが心地よい。腹も満ちたし、幸い風もない。

 

 

 「ふんっ~~っふう」

 

 ゆるゆると一時間ほどで門の前に着くと、大きく伸びをして荷馬車の荷台から飛び降りる。

 

 「何で・・・」

 

 気づいた老夫婦がビックリして見ている。

 

 私は、懲罰のため端正な真顔にちょっと殺気と威圧を込めて二人を睨んだ。

 対象を老夫婦のみに絞っているので、通りすぎる周囲の人達は誰一人恐怖に凍りついた老夫婦に気がつかない。

 

 ごちそうになった先程の昼食の飲みものに、けっこうな量の睡眠薬が入っていたのだ。

 見た瞬間≪観測≫の視界に【ハーブティー、睡眠薬混入(多)】のタグが付いた。

 

 それに、私が前後不覚に眠りこけていると思った二人が、久しぶりに良いカモが引っ掛かったと嬉しげに話していた。

 

 善人老夫婦かと思いきや、年期の入った悪党ペア。これぞハンターハンタークオリティー。

 

 (近々訪ねて行くから、おとなしくしていろ)

 

 二人だけに聞こえるよう、小さく声をかけ、

 

 「・・・乗せてくれてありがとう、助かったよ」

 

 周囲に怪しまれないよう、明るく別れを告げる。二人の住み処はランチ前にさっき聞いておいた。

 

 私は、チビりそうな程ビビっている二人を無視して、歩いて街へと入る。

 

 門を通る人は多く警備の兵士は居ても、よっぽど怪しいか手配されていなければ、別に誰何はされない(話し好きの老婆談)。着替える前だと危なかったカモ。

 

 始末してしまおうかとも思ったが、久しぶりに食べたパンが旨かったので、裏社会の情報収集に利用する、という名目でとりあえずは生かしておくことにした。逃げ出したら追うかどうかはその時決める。

 

 異国情緒漂うレンガ造りの建物が並ぶ大通りをピートと共にゆっくり歩く。

 街中は石畳で舗装され、人通りも多い。

 ただ、車やバイクは無く、窓にはガラスがほとんど無い。

 

 私達は内陸側から入ったので、海まで出ようと街を横断して行く。街の中央付近には大きな商館が立ち並び、誰かの銅像が建てられた広場もあった。

 

 港で、長い航海にも耐えられる大型船が広い港に何隻も並んでいるのを見物し、倉庫だらけの湾岸から離れ、今は街の軽食屋のオープンテラスでお茶とおやつを堪能している。

 香辛料を利かせた生地を揚げた、ドーナツのような菓子が甘くて旨い。時代的に緩いので、小猿のピートがテーブルに座って菓子を旨そうに食べていても、誰にも何も言われない。

 

 色んな意味で通る人の注目を集めながら今夜の宿をどうするか思案していると、目の前を通りすぎた立派な商家の乗用馬車が少し先で停車した。

 またぞろトラブルかと興味深く見ていると、目にも鮮やかな真っ赤なドレスを着た派手な美女が下りてきた。

 

 そのまま軽快な足取りで真っ直ぐ私のテーブル前までやって来ると、私ではなくピートの顔をじっくり確認しはじめる。

 

 「やっぱりピートじゃない!何でここにいるの?」

 

 美女のかぶった帽子の羽が、ふわりと海風に揺れた。

 

 

 

 

 ※)絵本の内容は、白猫一家に生まれた黒猫ピートさんが旅をして冒険する話です。

 世界各国の絵画の模写の片隅に、色んなコスプレをしたピートさんが小さく書かれていて欄外に短い解説があり、冒頭は家族との色違いを理由に家を出るピートさん、最後は農場の女の子の家に居場所を見つけるピートさんがポンチ絵で数カット描かれています。

 どこかの貴族が子供のために製作したオーダーメイド品で、ピートの初代オーナーの保護者はオークションで手に入れました。

 

 

 

 

 




 何とか森から出られました。長かった。

 
 次回以後の予定としては、街での日常とトラブル、そして復讐に動き始める事になります。

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