嵐の夜に飛び立とう   作:月山ぜんまい

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 52、帰還

   52、帰還

 

 『左目(スコルピオ)』の≪観測≫の視界のタグによると、男は念能力者であった。まあタグ無しでも雰囲気で何となく判別はつく。

 

 不意打ちではなく、正面から向かってくるところを見ると、

 

 一、能力が不意打ちに向かない。

 

 二、不意打ちしないことが能力の条件になっている。

 

 三、性格的なもの。

 

 四、その他。

 

 と、いくつか考えられる。

 

 見た感じ神経質そうだから、二かな?何か嵌め技(はめわざ)とかだろう。『(バルゴ)』の危機感知は反応していないので、三、のプライドの高い馬鹿バージョンかもしれない。素の感覚でも余り危機感は無い。

 

 二、三歩前に出ると、椅子の男がきっちり革手袋をはめた手で、鷹揚にゆっくりと拍手をして話しはじめた。

 

 「・・・良くここまでたどり着いたものだ、こんな派手な襲撃は久しぶりだよ。

 依頼者を教えてくれたら苦しまずに殺してあげよう、どうかな?」

 

 感じるオーラ量はまあまあ、佇まいから武の練度はお察し。念ありきのキャラだな、そこさえ崩せば殺せる。控えている十人の銃手達は、椅子の男を信頼しているのか、落ち着いたものだ。

 

 「・・・ボスは二階か」

 

 男を無視して標的の位置を≪把握≫で確認する。

 

 「チッ、お喋りする余裕も無いのか、野良犬め!」

 

 椅子の男が手を振ると、十人の銃手が一斉に発砲し、直後に額を撃ち抜かれて全員が死亡した。

 

 お約束の、≪奇怪≫による銃弾投げ返しだ。

 

 あまりの早業に誰も避けられない。椅子の男も何が起こったのか解っていないようだ。ポカンとしている。やはり能力だけの男だな。

 

 抵抗が無くなったのでさらに椅子男に近づこうとして数歩、男まであと五メートル。≪結界≫の危機感知が反応した。

 

 ていうか、≪観測≫を通して見る"凝"の視界には、先ほど現れてからまんま丸見え。

 

 簡単に言うと巨大かまくらのような半透明なドームが、椅子男を中心に五メートルほどの範囲で鳥篭のように展開されている。

 

 ドームには

 

【オーラ生成物、強度(中)、"隠"発動中】

 

 のタグが付いていた。

 

 "隠"が掛けられているという事は、本来は怪しんで"凝"をしなければ気が付かない障害物なのだろう。

 

 近寄ったことで≪観測≫の視界に新たなタグが現れ、男の座る『椅子』に補足するように付けられた。

 

 【オーラ生成物・"隠"発動中】

 

 「なるほど、椅子・・・具現化系か」

 

 察するところあの椅子がこのドームの(コア)ってところか。

 

 「おや、気がついたかい?良く勉強してるねぇ、でも君の放出系"発"で僕の

 

 『パズルの檻(ブロック・チャンバー)

 

 を破るのは無理だね、早めに諦める事をお勧めする」

 

 ニヤニヤ嗤う男の言葉と共に、目の前のドームに付いたタグから【"隠"発動中】の文字が消え、生身でもその半透明な大きく丸い構造物が見えるようになった。

 

 肩をすくめる様子がうざい。

 

 やっぱトラップ系だったか。条件は、自身は椅子から動かず相手が近づく事かな?

 

 男はこの展開に慣れているのかポケットからハンカチを取り出し、外した眼鏡を拭きはじめた。

 

 銃手が殺られたのも、此方が何か放出系の"発"で攻撃したと思っているらしい。『(バルゴ)』が大暴れしていたのを見ていなかったのか?いや、見えなかったのか。知識だけが有っても意味はないのだなぁ、と少し哀れに思う。

 

 余裕ぶりたいのは分かるが、ここは目をそらさず"凝"一択だろう。楽な相手とばかり戦っているからそうなる。私も気をつけよう。

 

 『掴み弾く十万の軍勢(エンプレス・クラウン)』の髪が伸びる長さは現在二十四メートル。

 そこから髪を切り離して飛ばしたり何かを投げたりは出来るが、オーラの変化系能力賦与による斬撃攻撃はその範囲に限られる。

 

 玄関ホールに固い金属音のような音が何度か響き、椅子男を取り囲むドーム状の防壁が衝撃を受けて光って見えた。敵と認識し、『掴み弾く十万の軍勢(エンプレス・クラウン)』の『斬撃髪』が放たれ、防がれたのだ。強度(中)、けっこう固い。

 

 男は、嬉しそうにニヤついている。

 

 『(バルゴ)』の攻撃が効かない事は織り込み済みだ。

 

 『掴み弾く十万の軍勢(エンプレス・クラウン)』の威力は、一般人(パンピー)を捌く位なら余裕でこなせるだけのスペックが有る。

 

 しかし、一次権能≪結界≫の影響もあって、どちらかと言うとパラメーターを防衛主体(いのちだいじに)に振っているので、主攻とするには少し(やわ)い。

 

 でも、気にしな~い。

 

 ()まれば便利な効果を発揮するけど、ハイランクの敵との実戦で使用するには余りに完成度が低すぎる。それが『早出し(ファストムーブ)』のちょっと残念な実像。色々不足していても、それはそう言うものなのだ。

 

 造ると権能の成長が遅れるので、私は必要な四コだけに限定したのだけど、それ以外にも念獣達に請われて造った変な能力が何個かある。今まで使ったのは一個だけ(『星の生まれるところ(インフィニティ・テンペスト)』)。

 他を使う機会は有るのだろうか。

 

 

 

 この椅子男の"発"には一目で解る致命的な欠陥が在るが、防御力はまあまあ高い。

 

 ドームは、外側だけじゃなく内部構造にも【オーラ生成物】のタグが付いていて、じっと見つめて構造解析が進むとみるみる内にタグが増えてゆく。

 一辺三十センチ弱の立方体が四つ繋がって一つのブロックを作っていること。

 繋り方は凸型、ジグザグ、直線、L型の四種類有り、丁度テトリスのブロックに似ていることが分かった。

 

 確かにパズルっぽい。

 

 パズルは多層化されていて、椅子男にたどり着くまでに外側のパズルをいくつも解き続けなければならない構造のようだ。

 

 普通の念能力者なら"凝"をして攻略のヒントを探し、虫のようなオーラの光がブロックの中をフワフワと幾つも飛び回っているのを見つけるのだろう。≪観測≫の有る私には、最初から見えている。こちらの虫のような発光体には【オーラ生成物、"隠"発動中】のタグが付いている。

 

 現在、ブロックは裸眼で見えるが、オーラの羽虫は"凝"をしないと見えない。

 

 試しに光が居るブロックを軽く叩くと、ブロックが消えた。何個か消した後で間違うとブロックが復活した。復活するブロックはランダムのようだ。光の周囲四つ分ぐらいが光の範囲になるため、ブロック消しは間違いやすく出来ている。

 

 ≪観測≫の視界には、椅子男の元まで延々と三十センチ厚さのパズルの壁が続き、光の数が徐々に減って動き回る速度がどんどん速くなる仕様が透けて見える。

 

 『斬撃髪』に紛れて『衝撃の制圧圏(バースト・ヘヴン)』の『衝撃余波(プッシュジャブ)』を放ってみたが、やはりブロックに阻まれた。声が届いていたので、衝撃ならば行けるかと思ったが、そう甘くない。

 

 この"発"は、攻撃の為にパズルを解きながら近づくと、どんどん難易度が高くなって脱出をブロックに阻まれ、最終的にブロックの檻に閉じ込められてしまう。と言うコンセプトだろう。時間制限でブロックの一斉復活等も有りそうだ。

 

 もしかするとパズルは囮で、パズルが展開されている領域内に入ったら其れでゲームオーバー。名前が『パズルの檻(ブロック・チャンバー)』だから、中心部迄たどり着くと、椅子を残して入れ替わりで本人は脱出する機能とか有りそう。

 

 何らかのトリガーが有って、発動すると領域内にブロックが復活して中に閉じ込められた人間を押し潰す系じゃないかと思う。多少あやふやだが≪天眼≫にそんな未来が見える。チラ見なら眼の潤みも最小限になると、最近気がついた。

 

 

 勝ち筋はいくつも見えている。≪観測≫と≪天眼≫と≪奇怪≫に任せればパズルを全解きして逃げ出す前に椅子男を殺す事も出来そうだけど、ギミックが解ったらもう何か面倒なだけだ。萎える。

 

 

 「あ~ちょっと良いか?」

 

 私は、この勘違い野郎に序でに聞きたい事が有ったのを思い出した。

 

 「何かな、今さら助けてくれは聞けないよ」

 

 椅子男は、自信満々だ。

 

 「いや、一つ聞きたいんだが、ここの組織は十一年ほど前に人体収集家のオークションでクルタ族の子供の『緋の眼』その他の部位を売り払って大金を稼いだ組織に間違いないか?」

 

 ここで確かめられたら手間が省けてラッキーだ。こいつはおそらく、自分の"発"が攻略出来なくて追い詰められて行く相手との会話に愉悦を感じる、ねじまがった嗜虐趣味の持ち主だろう。会話には応じるはずだ。

 

 「そんな話か、『緋の眼』が目的なら諦めることだね。持ち込んだのはボスの馴染みのハンターだったらしいが、見つけたのは町中で偶然だったそうだよ、残念ながらクルタ族の隠れ里を押さえている訳じゃ無いらしい」

 

 ニヤニヤと笑いながら男が話す。

 

 「まあ私は、数年前に雇われた新参者だから当時の経緯には詳しくないけどね」

 

 私の目的が『緋の眼』の手掛かり探しだと考えたようだ。

 

 やはり『クルタの子』をバラ売りしたのはここの組織で間違い無さそうだ、確認できて良かった。

 

 やはり基本殲滅で問題無しだな。

 

 「良いことを聴いた。お礼に殺す前にお前に少しレクチャーしてやろう」

 

 もっと、斬ったそばから切れ目が消えるほどの超速再生とか、ブロックをゼリー状にして衝撃吸収とか、突っ込んだブロック内の空間がランダムに繋がってるとか、そういう凝ったギミックが欲しいところだな。うん。

 

 「ほう、何か特別な攻略法を見つけたのかい?」

 

 椅子男の余裕はまだ崩れない。

 

 「お前の"発"は、基本的な部分が絶望的に間違っている。

 たとえ『念』であっても何らかの嵌め技で相手に条件を踏ませない限り、絶対に壊せない壁、何でも切れる剣等は創れないんだ。現実世界に矛盾は存在し得ない。どんな設定で構築していても、能力が噛み合ってしまえば弱い方が負ける」

 

 私は、『(バルゴ)』から一房の髪を借り、自分で切断の変化系オーラを多目に纏わせて一振りし、ドームの端っこ三分の一ほどを(かぶら)か何かのように切り飛ばした。

 

 「師匠に注意されなかったのか?こういうトラップ系能力ならば、タテホコの関係にならないように巧妙に仕掛けなくちゃ相手によっては力業で攻略される事を」

 

 椅子男が眼を見開き、驚愕している。

 

 見ての通り、この"発"は、格下にしか通用しない欠陥品なのだ。試しに、と思って≪消滅≫を乗せた『斬撃髪』を一振りしたら、何の感触も無くパズルドームごと椅子男の首が飛んでしまった。

 

 「あっ!・・・まぁいっか」

 

 私は、話の途中でぶった切った(話と首)事を少し申し訳なく思いながら、広がって行く椅子男の血溜りの上を通って階段を上り始めた。

 戦闘中は基本≪甲殻≫の上から降りないので、今回も私の足は何も踏まず汚れは着かない。

 

 どうもギミック系は苦手だ。はしょりたくなる。良くないな。次はきっちり戦って経験値を稼ごう。こう弱い相手ばかりだと、自分が強いとか勘違いしそうになるな。うん。

 

 背後で眼鏡が床に落ちて、割れる音がした。

 

 

 

 階段を上り、コーナー毎に陰から襲い掛かってくる者達を『(バルゴ)』が曲り角(コーナー)ごと輪切りにしながらボスの居る部屋を目指す。

 

 なんか、歩く以外やること無くて暇なせいで出た私の鼻唄に、ピートが鳴き声を合わせてくれる。ちょっと楽しい。

 

 こうして見るとピート(小鳥)の柄は白黒ツートンのせいで特徴的な褐色の色味が無く、顔周りの差し色が無ければシマエナガよりも白みの多いハクセキレイに模様が近いような気がする。ふわふわで嘴が小さく、手に乗った重さはミニトマトよりもまだ軽い。性格はサルの時よりも少しアクティブだ。ちょこまかしている。可愛い。

 

 ボス部屋を目指して敵を倒しながら進むって言うと、なんかRPGっぽい。

 

 

 「・・・おいお前、そこで止まれ!」

 

 おや、ボス部屋前の通路に番人発見。

 

 「チェアマンのヤツ、高い金取って散々偉そうにしてたくせにガキ一人止められねえのかよ、だからハンターなんか雇うのは反対だったんだ!」

 

 え、あいつハンターだったの?

 

 協会の?

 

 弱すぎない?

 

 名前がそのまんますぎない?

 

 あれでハンター試験通ったの?

 

 いや待て、よゐこのみんな、ハンターにも色々いるのだ。

 

 でもそうか、あの程度の実力でハンターとしてやって行けるのか。ハンターもピンキリだな。

 

 しかし、こいつも念能力者だよ。中にももう一人いる。居るところには居るんだなあ。

 

 念の知識が有るかどうかは兎も角、ある一定以上の階層の者は、超常の力の持ち主を雇える状況に有ると言う事か。

 

 念能力者相手だと常人は何の役にも立たないから、知ってりゃ高額報酬払ってでも側に置いとこうとするのが当たり前だよな。

 ここみたいに金があって暴力を生業にしていれば、居て当然だ。

 

 私は、男の言葉を無視して足を進める。

 

 「チッ、なめやがって」

 

 立ち姿からすると、この男は椅子の男よりは身体を鍛えている。だがオーラはあの男よりも少ないし、制御も甘い。

 

 こいつも未熟者だ。

 

 男が両手のナイフを振ると、斬撃の性質を持った念弾がナイフの刃のような形になって飛んできた。

 

 具現化系か?

 

 大した速度ではない。

 

 「・・・は?」

 

 男の動きが止まる。

 

 斬撃念弾が、私に当たるはるか前で撃墜され消えた。いつものように『(バルゴ)』が打ち落としたのだが、男には見えていない。その程度の相手ということだ。

 

 私がやっても良かったが、その前に『(バルゴ)』が≪結界≫の自動防御で打ち落としてしまった。

 

 せっかく隙だらけになったからと、初動の解らない歩法で男の間合いに入り、変化系オーラの斬撃属性を乗せた手刀で首を切り落とす。やはり念能力者の戦闘の基本は格闘戦だ。ちゃんと鍛えてないと、反応速度の差で瞬殺される。

 

 又つまらぬものを・・・今回は切りまくりで行くと決めているのだった。

 

 手に付いた微量の血を≪消滅≫で消し、何か張り紙の在るボス部屋のドアをノックした。

 

 返事は無い。

 

 ドアノブに触れようとすると、≪結界≫の危機感知が発動した。

 

 ボスは能力者じゃないけど、どうやら最後に残った側近は、なかなか腕の良い念能力者らしい。

 

 ドアに貼られた場違いな貼り紙が目に入るのだが・・・読めない。

 

 初めてのパターン。

 

 重厚な造りの分厚い木製のドアに白い紙が(びょう)で留めてある。しかし、書かれた文字にモザイクが掛けられていて判読出来ない。

 

 紙にタグが付いて、

 

 【敵対的"発"の発動条件を感知、現在情報遮断中!】

 

 赤文字で点滅している。

 

 同時に発動した≪天眼≫によると、貼り紙を見た上で条件を満たさずに入室すると、視界も方向感覚もあやふやになって呼吸が出来なくなり、空気中なのに水の中のように溺れるらしい。

 

 意外にヤベエ"発"だ。

 

 しかし、私の念獣達が()()()()()()()()回避してしまった・・・と。

 

 OK!問題無い。『十三原始細胞(ゾディアック・プラスワン)』はそーいう"発"。

 

 切り替えていこう。

 

 

 相手の人数は二人。位置は分かっているので気を取り直し、右肩にピートを乗せたまま殺る気を高め、貼り紙を気にせず入室する。

 

 「・・・邪魔するよ」

 

 声に威圧のオーラをマシマシで込めた。声が届けば影響を受ける。念能力者であっても多少は効果があるだろう。

 

 「うっ、ぐっ・・・」

 

 「これは!・・・ボス!」

 

 威圧をくらって身動きもできないボスと、念能力者である程度耐えられる筈のもう一人が何やら声を上げて呻いている。

 

 威圧の声は側のピートにも響く。しかし心配無用。実はピートには威圧や魅了、恐怖等の精神に対する状態異常は一切効果がない。ピートが元々持つ、『不滅の誓い(イモータル・テスタメント)』と言う能力の『精神の不壊化』に由来するものだと思われる。私もつい最近気がついた。

 

 でかい机の向こうで椅子に座っているのがボスで、隣で立ってられず膝を突いているのが最後の護衛だろう。ガタイも良く、()め技専門というわけでは無さそうだが大した腕ではない。

 

 あれ?念能力者には大して効かないだろうと思ってたのに、まともに立てないほど威圧が刺さってるよ。何で?自慢の"発"がスルーされて動揺した?

 

 あと、今の呻き声でこの膝を突いたおっさんが、私を埋めた兄貴君だと言うことが判明した。

 

 「久しぶり、でいいのかな?実に十一年ぶりだ、また会えて嬉しいよ」

 

 威圧継続中。青い顔で冷や汗をかいて机の上に(うずくま)るように頭を下げたボスと、震えながらもボスを護ろうと動く兄貴君を冷たい眼で見下ろす。

 

 オーラの影響を全く受けていないピートが何をやってんの?とばかりにヒヨヒヨと鳴く。

 

 ようやく顔を上げた二人に見えるのは、右肩のピートを優しく見つめる私の緋色の『左目』だ。既に自在に変化させられるが、怒りを感じる相手が目の前にいると、いつもより変転が容易だ。

 

 「ひ、『緋の眼』!」

 

 「クルタ族なのか!」

 

 ゆっくりと振り向いた私の『右目』が二人の視界に入る。

 

 「う、嘘だ・・・」

 

 「馬鹿な・・・青い!」

 

 右目に青く輝く『蒼緋眼(そうひがん)』。

 

 驚愕する二人に、『右目(ライブラ)』の≪魔眼≫発動。本来の能力ではないが、相手の精神にアクセス。動揺し隙の出来た男達を苦もなく眩惑し制御下に置いて行く。

 

 「・・・私を墓に埋めたのは、良い獲物が又現れるようにとの願掛けだったそうじゃないか」

 

 二人の目は、既に虚ろだ。

 

 

 「ご要望通り(かえ)って来たよ」

 

 

 

 かくして死者は甦り、誓い(ゲッシュ)が彼らを訪れる。

 

 

 

 




 声にはピー音が入るらしい。

 文盲(もんもう)で全く文字が読めなくても、視界に入れば内容が解るように貼り紙には強制認識の効果があったらしい。

 
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