56、火
「ここもか・・・・見事に燃え落ちてるなぁ」
翌日、私は早朝の修練を終えて市場での食事後にスラムに来た。
今は近くにいた子供に案内させ、火事場を回っている。
「・・・ここでも死人が出てるのか?」
なんか増えて、いつの間にか七人になった子供が揃って頷く。最初は一人だった。
放火があったのは全部で五ヵ所。その全てで死傷者が出ている。
スラムでは、家族や知りあい同士で身を寄せあって暮らしているのが普通だ。入れ替りが頻繁で住むに適さない空家も多い。
無差別ではなく、明らかに人を狙った放火。
犯人は大分イカれてる。
未だ焦げ臭い匂いの残る一番新しい現場では、近所の住人による片付け作業が既に始まっている。
「・・・酷いもんでしょう」
邪魔にならない場所から状況確認していると、様子見に来たらしいウォルターが隣に立って話しかけてきた。
現場の周囲には同じスラムの野次馬が集まって噂話をしている。彼らも不安なのだ。
案内役の子供達は、全員に飴玉(大)を一つづつやって解散させてある。今は皆最前列でほっぺたを膨らませて片付けを眺めている。
「・・・ああ、そうだな」
気配は隠していないので、スラムの野次馬達も片付け作業中の住人も、ミカゲが来ているのには気づいている。
惹き付けられるように誰もが視線をチラチラと此方に向けて様子を窺う。
しかし、ウォルター以外に声を掛けてくるものはいない。
短期間に名を売ったミカゲの異名は、既にそう安くはないのだ。パンピーでは気後れがする。
女達は、ちょっと頬を染めて綺麗なものを見れた事を喜び、男達も生で噂の有名人を見れたことに興奮し、隣にいる誰かに小声で話している。
その全てを≪観測≫と≪把握≫でぼんやりと認識しているが、私の意識はそこには無い。
今の私の
私は少々困惑し、胸に抱えたピートのモフモフの背中や頭を撫でながら今日得られた情報を吟味していた。
毎日一緒に風呂に入っているピートの毛皮は、常に
・・・どういうことだ?
ピートは私の左腕に腰掛けて
元々ピートのおやつ用なので構わないのだが、割るのは私の役目だ。最初の一個は自分で試したが歯が立たず、無理だった。可愛い。
ピートは飴も好きだけど、子供達に配った残りの飴はウォルターに土産としてあげたのでもう無い。
私の集めた事前の情報によると、
放火は全て深夜に起きている。
昨夜まで目撃者は、いない。
火の回りが異様に早く、付けられた火は暫くの間なぜか消せない。
事件は先週から起こっていて、二回目以降は見回りも頻繁に行われているのに、それを嘲笑うかのようにこのところ連日起きている。
放火が起きているのはスラムだけで、仲間内での事件として警邏は動かない。
スラムを根城にしているチンピラグループは皆ピリピリしていて、怪しそうな者は誰彼構わず小突き回しているが、成果は何もない。
昨夜、目撃者かどうか解らないが、現場近くの通行人が路上で生きたまま燃やされていて、複数人が悲鳴を聞いている。
・・・怪しさ天こ盛り。
怨霊とかの祟りで無いことは、最初の現場ですぐに解った。
『
≪覚醒≫は、オーラの痕跡を匂いとして感知する探索系の権能。
すなわち、この放火事件は念能力者の『炎熱』系"発"によるものだ。
そして、昨日のバッハの『試し』の時の『消えた見張り』と違って、今回はオーラで出来た分身のようなオーラ体ではなく本人が犯行を犯している為、同じ『
しかも、何処に居るかも既に判明している。
・・・しかし、でも何で?
・・・・・何で、協専ハンターがこんな何の意味も無い事を?
判明した犯人の
初めは何かの陽動とかスラムに隠れた誰かのあぶり出しとかを疑った。
例の『死獣』探し以外に何か仕事を請け負ってるとかね。
しかし同じ奴に、チンピラから女子供と昨夜は通行人まで無差別に焼かれている。これはおかしい。
更に、犯人の位置取りから火を着ける以外の意図が見えない。あまつさえ、放火後にちょっと離れて燃える様子を観察していた節まである。
・・・もしかして、本物の単なる
厳しい試験を乗り越えたハンターだからといって、まともな人間性を有しているとは限らない。
このあいだの、
常軌を逸した能力を持つハンター達、念能力者達は少なからず常軌を逸した部分を持つ者がほとんどだ。それが法や社会の枠組に収まるかどうかは、多分に本人の資質に左右される。
原作主人公もけっこうアレだったし。そのツレは職業暗殺者の一族だった。
好んで人を殺めるほどおかしいのは全員か、それとも犯人のみか・・・
・・・昨日会ったバッハは、割とまともに見えたんだが。
「・・・いや、問題はそこじゃないな」
結局は、ヤるかどうかだ。
「何か言ったか?」
まだ隣にいたウォルターが、私の独り言に反応した。
「いや、何でもない・・・面倒な事件だと思ってな」
適当に誤魔化す。
「そうだな。段々派手になっているから、犯人がスラム外に手を出すのも時間の問題だ」
ウォルターが妥当な見解を述べた。そう言えば昨夜は通行人も焼死している。
「・・・そう思うか?」
余り手を突っ込みたく無いが・・・
「そうなってからでは遅いのに、警邏隊の連中はこっちの言うことを聞きやしない!」
そうなってからだと遅いか・・・
これ以上関わると、『地方のちょっと強い使い手』というスタンスを越えて、ハンター協会に情報が流れすぎるから出来れば避けたかったんだが・・・
この時代、人権意識などほぼ存在しない。弱いものは搾取されて当然だし、それを疑問に思う者もいない。税をまともに納めていないスラムの住人が勝手に造ったバラックで何人死のうが、領主も官吏も気にもしないだろう。
もしかするとハンター協会も。
そして恐らくは、その構成員も。
・・・前世の価値観かもしれないけど、そういうのって何だかちょっとムカつく。
バッハの強さはそれなり程度だったが、他の面子はどうだろう。
嫌な流れだ。
けど。
ま、好きに生きると決めたんだ。
厄介事は正面から叩き潰す方が楽しいし、王道で分かりやすいやり方だろう。
顔を上げて行こう。
歩むなら。
心踊る方へ。
常軌を逸しているのは状況か?それとも私か?
力はつけた。強さは原作基準でそこそこ。
誰が相手でも、逃げるための努力は既に終わっている。
たとえこの街を去ることになっても、私という人間の基礎情報は既に
その念能力の傾向を含めて、『クルタ族』としての私が裏で動くための表側『ミカゲ』の人物像と情報は、この時代の人間社会に血肉をもって刻印されている。私の姿であれば、人里から離れて隠れ住む必要も無い。
「・・・そうだな、私も心当たりに声を掛けてみよう」
それでも先ずは話し合いから。穏便に済むならその方が楽だし。
「・・・よろしく頼む」
ウォルターは真摯に状況を憂いている。相変わらずスラムの誰より
『緑美楼』の用心棒稼業を弟子のベイツに任せ、深夜の見回りにも飛び入りで加わっているらしい。犯人と出くわして死なせるのは惜しい。
それに、手を出す理由が、無くも無いんだよなぁ・・・
胡桃も無くなったし、ピートは危ないから家に戻って置いてこようとしたが、
「
と、叫びと共に後ろ頭に張り付いて動かなくなった。
しょうがないから連れて行く。
一人、いやピートと二人で火事場を離れて歩き出し、港湾区画にある旅行客用のちょっと上等な宿を目指す。
先週朝食を食べた同じ宿だ。
そこに、バッハと仲間達がまだ泊まっているのだ。
実は今も≪観測≫のマップ機能に彼らの現在地がマーキングされていて、リアルタイムに場所を表示している。実を言うと私にも何で場所を特定出来るのかさっぱり解らない。念獣に聞いてみたが、マップ機能を発動するときに一緒に精査するらしい事がぼんやり判明したけだ。
どこまでも追いかけられる訳ではないが、街中くらいなら余裕。
どうでも良いんだが、念獣のやることが年々高度になってきて説明されても解らない場合が多くなってきてるような・・・気のせいか?
現在、五人ともまだ宿に居るらしい。
最悪、もし連中と本格的に敵対したらどうするかって事だけど。
・・・・・面倒臭いから全員消すか。
犯罪者の仲間ってことで、問答無用で全員死亡ってことにしちゃおう。何なら行方不明でもいい。時代的に珍しくはなかろう。死体は消せるし。
最悪のパターンとして、生き残りが私の事を逆恨みして協会に戻ってから賞金首として世界手配にしたりすると、動きづらくなる。
彼らと完全に揉めた場合の最終ラインは其処にしよう。その方が私が平和だ。多分世界も。私、本来存在しないはずだし。
ま、何か想定外の事が起きて本当にヤバければ全部ほっぽって逃げるんだけどね。
港湾区画の煩わしい騒ぎから離れた海岸沿いの片隅にその宿はある。
手入れされた庭園と馬車用のロータリーを横目に瀟洒な宿の裏手に回る。
やりあう可能性がある以上、
裏庭は、馬房や馬塲のスペースと申し訳程度に整地された広場に分けられていた。
私は、空き地にポツンと置かれたベンチに座り、何をするでもなく只消していた気配を解き放ち、軽く"練"のオーラを纏って存在感を増す。
今の私がオーラを纏っていれば、ただそれだけで近くに居る一般人なら息苦しい重圧を感じるだろう。そんな気配を彼等が感じ取れない訳はないのだ。
すぐさま、相手の行動に変化が出た。
流石腕利き。
普通、念能力者は腕が立てば立つほど気配を隠す。実力が高ければ高いほど存在感は増し、常人の中に埋没するのが難しくなるからだ。
今回は、それを逆手に取った。
せっかくバッハを上手く誤魔化したのに無駄になるが、交渉内容的に一定の実力が在ることを示しておかないと、嘗められて相手にしてもらえないだろうから其処は諦める。
「・・・あんたかよ、呼び出しにしちゃ穏やかじゃないな?」
出てきたのは当のバッハだった。部屋着らしいラフな格好だ。怪訝そうな顔をしている。
「すまんな、少し厄介な事件に巻き込まれて、交渉に来たんだ・・・残りのお仲間も一緒に聞いて欲しいんだが呼べるか?」
立ち上がって話す。ピートは肩に。
ピクリと目元が動き、知ってんのかよ!と言いたげに顔が険しくなる。
「・・・・ここは私の街で、あんた方は余所者だ。そちらが私を調べるよりも、私がそちらを調べる方が容易なのは当然だろう?」
私は、隠しから・・・いや、正確には念獣達に頼み込んだ四つの『
『
から、何時もの顔石の杖を取り出し、くるりと回して目の前の地面に突いた。
『
最初はティッシュボックス一つ分ほどしか容量がなくてガッカリしたけど、その後徐々に増え、今は前世の庭に置くタイプの市販の物置小屋ほどである。中には色々入ってる。例によって発動すると光るのだが、光るのはポッケの中だけなので、取り出す所を見られなければ大丈夫。
今回も、一見背中に回していた杖を前に持ってきただけに見えるよう偽装する。それに、そうしないと、なんか妙な具現化系に見えてしまう。
「・・・まあそうだよな、今呼んでくる」
バッハは、あっさり了解して宿に下がった。どうやら彼らは最上階をワンフロア借りきっているらしい。流石ハンター。金あるなぁ。
さあ、始まる。
さあ、世界を楽しもう。
さあ、其れを始めよう。
「はじめまして、私はクロンドルだ」
五人集まると、中央の偉丈夫が抑制の利いた声で名乗った。上質だがラフな服。腰に装飾付きのブロードソードを吊っている。
「アーシアよ」
おっとりした美女。額にヒンディーのようなメイク。
「ビョドーじゃ」
禿げた爺さん。ローブ姿。
「ギムリットっス」
小柄なおっさん。灰色のマントを着けていて服装や装備が解らない。
「そして俺がバッハ、今回のうちのチームはこれで全員だ」
顔見知りのバッハが互いを引き合わせる。
「わざわざの自己紹介痛み入ります。私はここいらじゃ『黒門街』『緑美楼』付き療法士、『黒門のミカゲ』で通ってます」
それっぽく名乗り、軽く頭を下げた。ちょっと黒社会の人っぽいか?敵意は無いヨ。今日の私は定番化したアロハ風のボレロとニッカボッカ風のダボダボパンツ。
「昨日は無理に呼び出して面倒かけちまったからな、ただ宿から出てくるくらいどうということはない。」
バッハが軽く返した。微妙に漂う緊張を解きほぐそうとしているようだ。
「・・・皆様ただ者ならず、本来なら間に人を入れ今夜にも一席設けて正式な顔合わせといきたい所ですが、そうもいかない事態にあいなりました」
一つため息を吐き、彼らが漂わせる緊張を無視して告げる。
「どういう事かね?」
彫りの深い顔の眉をひそめてクロンドル氏が問うた。
「皆様がご存じか知りませんが、最近この街のスラム街で付け火が頻発して起きております」
何人かが、ピクリと反応した。バッハ氏とアーシア女史だ。
「その解決をお手伝い願えないか、と顔を出した次第です」
いたって平静に問いかける。
「それは・・・犯人探しを手伝え、という事かね?」
クロンドル氏が、視線を強くして威嚇ぎみに返してきた。
何か知ってやがるな。
「は?・・・・いやいや違いますよまさか」
私は、思ってもみなかったと、驚きを露に顔の前で童子のように手を左右に振った。
空気が少し弛緩する。
「私は只、皆さんに街から出ていって欲しいだけです」
私の遠慮の無い言葉に、弛緩した空気が一瞬で緊張をはらんだ。
「その、放火犯の老人を連れて」
露骨にビョドーを指し示す。上手く隠して誰も動揺を見せるものはいない。だけどみんな無表情すぎ。
「・・・ホッホッホ、これはこれは、坊ちゃんはこの年寄りが恐ろしい放火魔だとそうおっしゃる」
ビョドーがすっとぼけて
私は、記憶の中にある一枚の手配書を思い出し暗唱する。
「『国際指名手配犯、
連続放火兼殺人犯、ビョドー、
通称、火葬人ビョドー、
生死を問わず、懸賞金、金貨三百枚と銀貨二十枚』、
これ、あんたのことだよねぇ?」
前世の価値で、三千跳んで二万円。
ビョドーを始末したい私の個人的で些細な理由とは、
そういやチェアマンにも金貨百枚の賞金が掛かっていたが、さすがに此方を仕事にするわけにはいかない。手配書があったということは、まだ死んだとは広まってないのだろう。
「・・・・」
ビョドーが胡散臭い笑顔を引っ込めた。
「隠れるのは止めて、出くわした目撃者は燃やすことにしたみたいだけど、当たりが付けば調べる方法は色々在るんだよ・・・」
臭いで解ったのは秘密だ。
「チッ・・・めんどくさいガキだ」
ビョドーの声が低くなりイラつきが混じる。
「そりゃどうも」
私は塩対応を変えず、にこやかに返す。
「俺はな!・・・化物を滅ばすために街一つ燃やし尽くして構わんと言うからクソババァとの契約に乗ってこんなクソッたれな田舎町までちんたらやって来たんだ!」
ビョドーが、顔の髭に覆われていない部分を真っ赤にして語り始めた。あと、一人称が儂から俺になってる。
「ビョドー、よせ!」
バッハが止める。まだ、仲間意識が在るらしい。
「それなのに何だ、化物なんざ影も形も居やしねえ、街は至って平和だから余計な騒動を起こすなだとぉ!
・・・誰に向かって口を利いてやがる!暇潰しのお遊びでスラムの住人を何人か焼き殺した位でうるさく騒ぎやがって!」
ビョドーは止まらない。
「・・・・なるほど」
それまで黙って聞いていたクロンドル氏が、思案げにちらりとビョドーを見た。
「・・・・」
尚も何か言おうとしたビョドーはピクッとして黙ったが、苛立ちは隠せていない。
「穏便な解決策の提示はありがたいが、此方にも
クロンドル氏が対案を提示した。
「勿論その間、追加の放火事件が起こらないことは確約しよう」
彼は、大分譲歩している積もりなのだろう。
「・・・ほう、では次に彼を見掛けたら頸にしても良いということで?」
私は、おどけて手刀で自分の首を切る真似をする。
「いや、それは認められない!」
クロンドル氏が仰天して異を唱えた。彼の生まれは多分貴種だな。逆らわれることに慣れていない。
「そう言われても、犯罪者が町中を歩いていたら捕縛されるのは当然では?」
バッハと、恐らくは斥候役のギムリット氏からの報告は受けているはずなのに、見た目のせいで私の事をいくらか軽く見ているらしい。
「我々には大義がある、絶対多数を救うために今回はビョドーの力が必要だ、事が終わるまで些細な犠牲には目を瞑っていてもらおう!」
クロンドル氏が、ビョドーを庇うように少し前に出た。
「・・・交渉決裂ってことかな?」
特に気負うこともなく、私は少し首をかしげた。
こりゃダメだ。大義が!とか言っちゃう奴とまともに対話にはならんだろう。
物別れに終わるのも一応想定していた内の一つだ。
後は、放火を我慢できずに必ず脱け出してくるビョドーを始末すれば良いので、楽なパターンだ。
「・・・待て」
なんか、上から目線を隠さなくなってきたクロンドル氏が、別れの挨拶をしようとした私を偉そうに引き留めた。
「何です?」
もう特に話すことも無い。
「思うに君は大分危険なようだ、君を留めておけばこの街に我々の邪魔を出来るものは他に居ないだろう、よって君は暫くの間この宿に拘束させてもらおう」
クロンドル氏が、目を光らせてドヤ顔で馬鹿な事を言い出した。
「・・・・・ほう?」
あ~、言っちゃったよこいつ。
「え~と・・・それだと何人か死人が出ることになりますが、宜しいので?」
私を拘束するとか言い出したクロンドル氏に、肩のピートを撫でながら覚悟を問う。これも想定内なので驚きは特に無い。
「こんな小さな街にいたら解らないかもしれないがね、世界は広いんだよ。君が思うよりね!」
いや、世界て。
クロンドル氏はドヤ顔で戦闘準備に入ったが、周りは同意していない。
「ダメだって!こいつは本当にヤバいんだって言ったろうが!」
バッハが止めようとしている。
「いくらクロンドル卿でもリスクが高いっス、拘束はやめた方が・・・」
ギムリット氏も翻意を促す。
「君達も手伝いたまえ、契約はまだ終わっていないぞ。
『死獣』はまだこれからやって来るかもしれんのだ!殲滅にはビョドーの力がどうしても必要だ、そして彼は放置するには危険過ぎる」
クロンドル氏改めクロンドル卿は険しい顔で戦いの構えを取り、妙なダンスのように大きく腕を開いてそのまま横に一回転して見せる。
まるで謎の武術か個性的なルーティンをしているようだが、≪観測≫の視界に流れる気流のような白い線が見える。
念能力!
変化系か具現化系だ。
それに"隠"。
"隠"で、あの空中に描かれた変な白い線が隠されている。
動きの派手さはあの白い線を描いていることを誤魔化すためか。
どっちにしてもトラップ系又は、トラップ系にも使える念能力。
アーシア女史が後ろに下がり、クロンドル卿の言に、バッハとギムリット氏はしぶしぶ従い、ビョドーは無言でクロンドル卿の陰に隠れた。
一人減って四人、いや思考外に置くのは危険か。五人の内、一人が離れた。
・・・これはもうヤるってことで良いのかな?
「・・・出来れば穏便に済ませたかったのですが仕方ありませんね」
上司のゴリ押しか?ヤダネー・・・気だるげに杖を掴み、間合いをとって少し下がる。どうもクロンドル卿は私を舐めているらしくて、このままだと有利すぎる。
この近い間合いのまま始めると、丸見えの白い線を回避して初撃でクロンドル卿を沈めてしまえる。
それではつまらない。
さて、こっからが本番。世界とやらを見せてもらいましょう。
武術
『円掌拳』
『華神流』
念能力
『気脈術』
『
『
表芸『
裏芸『
『
一月『
二月『
『
三月『
四月『
五月『
六月『
七月『
『
八月『
九月『
『
十月『
『
十一月『
十二月『
『
オマケ『
『