嵐の夜に飛び立とう   作:月山ぜんまい

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 6、“発“発動、四月~八月

   6、“発“発動、四月~八月

 

 おはよう諸君。

 お、念獣達も三体になって諸君と呼んでも可笑しくない数になってきたな、けっこうけっこう。

 『(ピスケス)』も他の二体も消耗はしているが、まだ行けそうだ。

 現状はあれだ、魔法で回復しながら毒の沼地を歩いているようなモノだな。休めばちょっとMPが回復するので又歩く。

 何とか頑張って渡りきるとしよう。

 

 では、四体目は『右足』だから与える能力は移動系、≪瞬転≫と、発展能力として≪転移≫。

 名前は四月だから『アリエス』。

 牡羊座、イメージは子羊、目を離すと消える知的だが直情的な鉄砲玉系元気っ子、性別不肖、迷子ではない。

 

 能力はいわゆるテレポート、≪瞬転≫が速度と回数重視の短距離専門で≪転移≫が移動のための遠距離型。

 不馴れで距離を稼げなくても、数をこなして間合いを外し姿をくらます。

 

 説明不要の定番だが、それだけに汎用性の高さは折り紙つき。

 脱出=テレポートでしょう。

 

 逃げるは恥だが役に立つ。

 まさしく、その通り。

 

 では、作成!

 

 ・・・・・十九時間後。

 

 『右足(アリエス)』完成。

 

 何かちょっとダルさがあるな・・・。

 

 まぁいいや、おやすみなさい。

 

 

 

 

 おはよう諸君、地上は青葉が目に眩しい季節だが、地下には全く関係無いねえ。

 ・・・それに、眼はまだ無かったねえ。

 念獣のみんなの苦笑的お返事を温かく受けとったところで、早速行こう。

 

 五番目は『左足』、移動系。

 

 五月だから名前は『タウラス』。

 牡牛座、猛牛が地にしっかり足を着いて不動の頑健さを示すイメージ。

 『右足』と続いたのは偶然。

 

 付与能力は、≪甲殻≫と発展能力≪隔壁(かくへき)≫。

 

 ≪甲殻≫は身体の周囲、主に足の裏に念の小さな甲板、ブロックを作って、宙を歩く為の能力。

 地面に一切の痕跡を残さない移動が可能になる。

 追跡対策は万全に。

 慣れれば厚さや形も弄れるし、おそらく空も歩ける。空中歩行で電球交換も楽々。落下対策にもなる。

 

 元ネタは、フィクションによく在る手品師や怪盗の強化ガラスを用いた空中浮遊。

 

 ≪隔壁≫は、身体の周囲に作成するブロックを更に強化して防壁とし、立ってるだけで全周囲防御を可能にするための能力。 

 

 基本的にブロックは不動で、作ったその場から動かせない為、普段使いの装甲鎧には出来ない。

 それでも目に見えないし、慣れたらトラップ化も可能・・・たぶん。

 

 傘がわりにはならないが、雨宿りからバズーカ砲まで、壁の向こうに在って欲しいモノを、強制的に壁の向こうに追いやる能力。

 強キャラムーブ、行けるか?

 

 期待を込めて、作成と育成、行ってみよう!

 

 ・・・・・二十時間後。

 

 『左足(タウラス)』完成。

 

 実感はないが、これで両足が揃った事になる。遺伝子ベースだが、バランスがおかしくない程度に、ちょっぴり長くしてくれるよう念獣達には伝えてある。

 あくまでも格闘戦対策としてだ。

 

 ・・・ちょっとくらい夢や希望が混ざっても良いよね。

 

 じゃ、おやすみなさい・・・・。

 

 

 

 

 おはよう諸君、この挨拶も段々板について来たかな・・・六体目の前にちょっと待て・・・待てよ・・・何だこれ?

 

 今、五体の念獣達との繋がりを、身体の各所から感じる。

 生身の身体の方は仮死状態で感覚が無いのに、念獣達の成り代わった部位には動かせないながらも意識が通っていて、変な感じだ。

 それと共に、私の()()()()にも念獣達の意識がずらりと並んでいるのを感じとれる。

 まるで自分の部屋に、お気に入りの丸っこいぬいぐるみが一列に並べてあるかのような感じだ。

 

 ふわふわした微妙に個性のある気配が、私の意識世界に、複数同居している(現在五体)。

 

 集中して感覚的感触を調べた結果、念の基本的なシステムとしての、オーラ供給、操作の為の念獣支配以外に、おそらく、私の念獣達の基本能力の内の『我らは一人』と『自分を磨け』が関わっているらしい。

 

 共有能力と高みを目指す条件付けが合わさって、念獣達相互に緩い操作系のネットワークが構築されているらしく、主人格である私も、なぜかそれに含まれてしまっているらしい。

 

 本来私の意識の中に沈んでいるはずの念獣達の意思が現れているのは、私に対する操作系の強制力の微かな表れと思われる。

 

 こちらに伝わって来るのは、まるでクラブ活動のように一緒に高みを目指そうとする念獣達の、期待と応援の微かな熱気のようなものだ。

 

 念獣作成が完了していない今なら、強制的に意識から閉め出し、操作の訴え?を無くす事も可能だが、このまま放置することにした。

 うまくいけば、他者からの操作対策になるし、何より何か、かわいい。

 

 今の、閉じ込められて孤独な自分には、励ましと癒しが必要なのだ。

 

 放置確定。

 

 と言うことで未来に影響しそうな事件をあっさりスルーして六体目の念獣作成、部位は『耳』。

 情報収集用の念獣、位置特定等の精度向上の為、両方揃って一体の念獣になる。 

 頭の中を複雑に通って神経のような糸で繋がっている感じ。 

 

 名前は六月だから、『ジェミニ』。

 

 双子座、双子の二人がそれぞれ聞いた事を互いに話し合い、物事を多角的に捉えるイメージ。

 

 能力は≪把握(はあく)≫、発展能力は≪波動≫。

 

 ≪把握≫は、例え視力が失われても行動に支障が無いように、蝙蝠やイルカ、いやそれ以上に周囲を認識する能力。

 

 種族柄、目は常に狙われるし、『緋の眼』には、変化すると、ちょっと光るという暗闇だと致命的に目立つ特徴が有るので、不利にならないよう眼を閉じる機会もありうる。

 予備プランは常に並行して走らせよう。

 私は主人公ではない(主人公は別にいる)、運を天に任せたら、たぶんすぐ死ぬ。

 策多ければ勝ち、少なければ・・・と、昔の人も言ってます。

 

 索敵に狩猟、上級者なら心音から精神状態を読み取ったり、聞き分けができれば幻も見破れる。

 原作にも、何かそういう人がいた気がする。

 

 ≪波動≫も、攻撃的なアクティブな能力ではない。

 聞き分けた音を念能力で分析して、声や息づかい、背景の振動から相手の性格や能力、嘘や意図を見抜き交渉に役立てる便利系サポート能力。

 頑張れば、もっといろいろ解るかも。

 

 尤も、当面交渉になるほど近づかせる気はないが。

 

 できれば、遠くから強さや念能力の性質、発動まで察知できれば尚良し。

 

 鼻がいいとか、耳がいいとか、若しくは目とか、単品なら結構何処にでもいそう。

 あんまりアドバンテージとか思わない方がいいかもね。むしろそれ込みでカウンター的に対策すべきか。

 

 ・・・あ!どーせなら音〇対策も頼もう。

 あれだ、生きるために〇痴対策は絶対に必要だ!

 

 ・・・・・うむ(念獣達に反応なし)。

 

 間違いない。

 

 

 『(ピスケス)』の時と同じように脳の対象部位にゴニョゴニョしてもらって、絶対音感・・・は無理でも、音楽的素養とか、そういう何かの補助を頼もう。

 うまくいけば、人前で歌うとクスクス笑われる()()が、無くなるかも!

 

 無くなるかも!!

 

 ふっ、人の欲には限りがない。

 

 

 ・・・さて行こう。

 

 ・・・・・十九時間後。

 

 『(ジェミニ)』完成。

 

 眠い・・・だがちょっとずつ増してくるこの嫌なダルさ、これ念能力を使って生き長らえながら、少しずつ消耗している肉体の危険信号と思われる。

 変だなぁ、と思ったら念獣達からお知らせがあった。

 ずっと仮死状態なら大丈夫だが、毎月起きていろいろやってるのが、生身の肉体に負担で、活力的な何かが、少しずつ失われているらしい。鬱な感じのダルさは、そのサイン。

 

 念で延命しても、やっぱ限界は有るよな。

 

 まあでも、あと六歩。

 気合いで毒の沼地をわたりきるぜ。

 

 じゃ、おやすみなさい。

 

 

 

 

 おはよう諸君、なんか地下生活のストレスが凄くてグダグダに成りつつあるが、念獣達に揺るぎなし、引きこもり上等で、推して参る!

 命尽きても其れはそれ。

 

 七体目の念獣、部位は『右手』。

 

 全念獣中、唯一の完全攻撃型能力持ちの念獣。

 上がるぜ!

 

 能力は≪消滅≫、発展能力は≪召喚≫。

 

 ≪消滅≫は、触れた森羅万象(ありとあらゆるもの)を一切の区別無く何処かへ消し飛ばしてしまう能力。

 元ネタは、別作品の某奇妙な冒険に出てくるスタンド能力。

 作品中では、一度も対戦相手に当たる事無く退場した印象の薄い能力だが、当たれば必殺という意味では常軌を逸した強力な能力の一つ。

 勿論、原作のように手を振り回さなくても、触れれば手や指に自在に発動するように修正する。イメージは、何でも削り取る右手の形の異空間の穴。

 ハンターハンター原作中にも、似た能力として、非生物限定だが何でも吸い込む掃除機(吸い込んだ物は何処かに消えてしまう)を具現化する能力者が居た。

 

 発展能力の≪召喚≫は、予定としてはずっと先、≪消滅≫の能力が極まって隙が無くなった後。

 対象を消し飛ばす先がある程度選べるようになって、更に異空間的な物を操作出来る様になった頃に、アイテムボックスやストレージ的に使えないかと考えた能力。

 残念ながら、モフモフを呼び出す素敵能力ではない(涙)。

 

 名前は七月だから『キャンサー』。

 

 蟹座、世界を泡のごとく破壊する巨大な蟹が、その鋏で因果を断ち切るイメージ。

 某聖者がステゴロで戦う作品でも、蟹座は即死能力持ちだったが、普通にかわされたり生き延びられたりしていた。

 能力の使用後は、復活の余地が無いように、存在抹消、魂初期化、安らかにあの世へ行っていただこう。

 

 強力な能力だが、強力過ぎて自爆が心配。

 念獣には、その辺り、冷静さと慎重さが求められる。

 

 

 ・・・十八時間後。

 

  『右手(キャンサー)』完成。

 

 ・・・・・ぷっくっくっく、蟹って普通穴住まいだよな、私とおんなじ・・・・くっくっ、・・・いかん、疲れて何か変なテンションになってきた。

 

 ではな、来月までさらばだ念獣達よ、数が増えたんだから、ローテーション組んで休みながら身体の世話を頼む。

 どうやら、基礎能力『我らは一人』の共有効果で他の念獣も『腎臓(カプリコーン)』が権能≪生存≫で生命維持に頑張っているのを手助けすることが出来るらしい。

 概念は詳しく伝わって来たが、細かい事は実はよく解らない。

 要するに、いー感じに、いー塩梅にするらしい。

 うむ、何の問題もない。

 丸投げ上等!

 ふっ、その為の念獣達ですから(ドや)。

 

 そんじゃみんな、おやすみ。

 

 

 

 

 おはよっ・・くっ・・・はぁ!やっべえ。

 

 起きた時、クラっと来たわ、一瞬死ぬかと思った。

 

 ・・・改めて、おはよう諸君、今ちょっと死にかけたような気がしたが、通常運転で行こう。

 念獣達から問題無いとのお知らせだ。

 意識が飛びかけたのは仮死状態からの部分復活に揺らぎが出始めたからだそうだ。

 

 意味はよく解らんが、ヤバさは伝わって来る。

 でも、まだ行けるそうだ。

 

 念獣達も覚悟完了。

 

 もうダメかも、と思った所からが本番です。

 

 八体目、部位は『心臓』。

 

 名前は八月だから『レオ』獅子座。

 揺るぎ無く、雄々しき獅子の心を備えた獣王の、尽きる事無き活力のイメージ。

 文字通りのライオンハート。

 

 能力は≪強化≫、発展能力は≪進化≫。

 

 ≪強化≫は、六性図(念の基本系統六種の相関図)にも記されているありふれた能力だが、その応用性と有用性、ガチ度の高さは計り知れない。

 特に、強化系以外の系統を持った者には垂涎の能力である。

 

 原作の主人公をはじめ、更にその師、ハンターのトップ、敵方まで登場は多岐にわたる。

 

 ただ基礎能力を磨くだけで、それが必殺技と言えるほど強くなる。

 強化系統は、脳筋系主人公にぴったりの分かりやすく使いやすい能力だ。

 もっともハンターハンターの世界で、主人公補正無しにそんなキャラだと、すぐ死にそうだが。

 

 ともかく、在ると便利なのは間違いない。

 

 この、念獣が使う≪強化≫は、系統を示すものでは無く(念獣に系統は存在しないと思われる)、後付けされた能力としての≪強化≫でその機能は他の念獣達の権能と変わらない。

 

 ちなみに、念獣達それぞれが持つ権能は、『我らは一人』の共有効果で、本人と言うか本念獣だけでなく、主人である自分を含めて全身全念獣が限界は在るが使用することが出来る。

 その割合は一対一、当の念獣が一とそれ以外の部位全部が同量の一を分け合う形となっている。

 一見、五分五分で分けているように見えるが、元々一しかない能力を、互いの共有能力を介して二に見せているだけなので、当の念獣を含めて、二の能力を一度に一ヶ所で使う事は出来ない。

 念獣が成長し権能の効果が高くなれば、もちろん双方共使える力は高まるが、制限は変わらない。

 

 発展能力の≪進化≫は、自分、念獣達を含めて能力、発展能力が成長を続け極まった時、現状を越えて更に成長するための能力。

 今のところ、そんなに強く成れるとは全く思えないが、異世界転生によく在る成長限界突破系スキルとして、一つは成長系を入れたかった。

 

 まあほらあれだ、親知らずが生えなくなったり、太りやすい体質やアレルギーに効果が在ると嬉しいな・・・という感じだ。

 

 

 ・・・・・十九時間後。

 

 『心臓(レオ)』完成。

 

 ・・・疲れた・・・

 

 いろいろ溜まってきて・・・いや、後は・・・頼む、おやすみ。

 

 

 

 

 

 

 

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