嵐の夜に飛び立とう   作:月山ぜんまい

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 69、パン屋

   69、パン屋

 

 午後になって、今度はマリオ爺と出掛けることになった。

 

 服装は、町で浮かない物が良いと指定されているので、タキシードから普通の町着に着替える。

 

 目立ちたくないとかで、ピートもお留守番だ。皆が構いたがって昼食を食べ過ぎ、へそ天でお昼寝中なので丁度良かった。

 私は、マリオ爺と外食するので宿では食べずにお出かけだ。一応お土産を約束している。

 

 表側は、地元のファミリーに見張られていると言って裏から出る。見張りが付けられるのは普通のことらしい。誰も気にしていない。昨日みたいな殺気のこもった視線も無い。

 

 「どこへ行くんだ?」

 

 何故かマリオの口が固く、まだ肝心の目的地を聞かされていない。

 

 「ちょっと其処までだ、ハッベルには馴染みの店が何ヵ所か有っての、旨いもんを食わせるから付き合ってくれ」

 

 マリオ爺が、親指を立てて裏路地の先を示し、歩き始める。

 

 「そうか、楽しみにさせて貰おう」

 

 何やら企んでいる様子だけど、旨いものが食べられるなら無問題。

 

 マリオ爺は好かれているので、内緒で護衛が付いて来るかと思ったけど誰も来ない。

 

 その事を口にすると笑われた。

 

 「あんたが付いてるのに他に護衛なんか要るもんかよ、家の兵隊全部集めたよりあんたの方が強いのに、これ以上誰を付けるって?」

 

 意外に私の強さに関しては共有されているらしい。そう言えば、出がけにレオン君が絡んで来た時もベテラン勢は大して気にしてなかった。

 

 

 目抜き通りを抜け、ごちゃごちゃした下町のような地元民の生活空間に入り込んで行く。

 

 「ここだ」

 

 マリオ爺が先ず入ったのは、夜は酔っ払いどもの巣窟になりそうな小さな店だ。

 

 店内にはカウンターのみで、でかい鍋が一つ火にかけてある。ふちのギリギリまで濃い色の汁がゆるゆると煮たって、もつ煮込みの複雑な香りがしている。

 

 「おうジジイ、煮込み二つだ」

 

 百年前から爺さんをやっているような年寄りが、返事もせずにどんぶりに煮込みと匙を入れてカウンターに置く。

 

 「・・・酒は?」

 

 店の爺さんが、藪にらみで訊いてきた。

 

 私は保存の悪い酒を飲みたくないし、マリオ爺はドクターストップで飲めないので、代わりにお茶を貰う。

 

 茶葉?をけちったお茶は、色つきの白湯のようなものだった。

 

 お茶は酷かったが煮込みは絶品で、一口食べた私が驚愕して顔を上げると、店の爺さんが視界の隅でにやりと笑っていた。

 

 

 煮込み屋の後は屋台で甘辛い串焼きを食べ、あんずジャムのクレープと栗入りの揚げ菓子をはしごして、最後だと連れてこられたのがパン屋だった。

 

 ただのパン屋だ。

 

 如何にも地元民の為に有るような、小麦の焼ける匂いの染み付いた古い店。店内には大きな薪のパン焼き窯と作業テーブルと、パンを並べる棚の他は接客用のカウンターしかない。

 

 店名は、『ルイージのパン店』。

 

 「親父、居るか?」

 

 マリオ爺は気負うこともなく、ズカズカと店内に入って行く。

 

 「はい・・・」

 

 脇のドアが開いて、気弱そうな若い男が出てきた。パン職人らしく、革のエプロンを着けている。

 

 「・・・えっ、と、どちらさんで?」

 

 いつもは常連しか来ないのだろう。見慣れない二人連れに怪訝な顔をする。

 

 「ほう、お前さんルイージの息子のアレクか?でかくなったなぁ!」

 

 マリオ爺が、男の疑問を無視して感慨深げに言う。どうやら思ったより古い付き合いのようだ。

 

 「・・・その声は船乗りのマリオさんか?久しぶりだのう」

 

 奥から、如何にもパン屋が似合いそうな優しそうな爺さんが一人、続いて出て来た。

 足腰に問題が有るのか、歩く時にぎくしゃくと身体を揺らしている。

 

 船乗り?

 

 シュマで港人足の大元締めだったことは隠しているのか。

 

 「わははは、五年ぶりだ!」

 

 マリオ爺とルイージさんが、抱き合って旧交を温めている。

 

 互いに家と家業の商売の話。やんちゃな孫の話。初孫が産まれる話。子供の愚痴。寒さが堪える季節の話を経て、健康の話になる。

 

 「・・・そうか、腰をなぁ」

 

 ルイージさんが数か月前に仕事中に腰を痛めて、それ以来まともに働けなくなった事を残念そうに漏らした。

 

 「親父も、腰に良さそうなことは色々やってみたんだけど・・・膏薬(こうやく)は臭いが在るから店ではダメだって嫌がるし」

 

 息子のアレクさんが、自分が一人で店の事が出来れば良いのだけど、今は親父さんが居ないと難しいと項垂れている。いつもは店を手伝っているアレクさんの奥さんが、現在妊娠中で動けないらしい。

 

 「・・・なあ先生、ワシからの紹介ってことでお願い出来ねえか?」

 

 チラチラ此方を気にしていたマリオ爺が、ルイージさんの治療の依頼をしてきた。隠し事の出来ない顔が、切羽詰まっている。どうも、最初から其の為に此処に連れてきたようである。

 

 「・・・構わないよ、それじゃあ治療が出来る場所に移ろうか」

 

 ホッとした顔のマリオ爺が、善は急げとばかりに寝台か長椅子の場所は何処だと二人から聞き出す。

 

 「・・・この先生はとても優秀な治療師でな、ワシも命を救われた程の腕前よぉ」

 

 長椅子の有る奥へと先に立って進みながら、マリオ爺がドヤ顔で私の自慢をしている。

 

 「・・・え?・・・あの」

 

 「治療?・・・今から?」

 

 押しの弱い二人をまあまあと宥めて、マリオ爺が治療を了承させ、何が何やらと混乱しているルイージさんを居間の長椅子にうつ伏せにさせる。

 

 さて、私の出番だ。

 

 ばさりとコートを払って威儀を正し、治療師として患者に対する。

 

 「私の治療法は『気脈術』と言う。針と『気』を複合した治療術になる。後遺症は無いが治療にはかなりの痛みを伴う可能性が有る。それでも治療を受けたいかね?」

 

 インフォームド・コンセントの存在する時代ではないけど、私は患者には出来るだけ事前に説明をして同意を求めることにしている。

 

 「気?・・・と針でですか・・・」 

 

 視線を泳がせるルイージさんに、マリオ爺が強く頷く。

 

 「・・・先生は本物だ」

 

 ルイージさんは、不安げな息子と自信ありげなマリオ爺と自然体の私を見て、覚悟を決めたらしい。

 

 「は、はい、しょぼくれたただのパン屋のジジイですが、息子夫婦と産まれてくる孫のためにも店を守らなくちゃ成りません。

 何とか後少しの間だけでも動くようにしてもらえれば、その後は身体がどうなろうと構いませんので・・・」

 

 思ったより、気合いの入った答えが返ってきた。

 

 「・・・一応、こいつを咥えててくれ」

 

 見た感じ善人に見えるルイージさんに、舌を噛まないよう手近な布を噛ませ、頭部にも目隠し代わりの厚布を被せる。

 

 シュマでのジジババの治療のように、気長に何日も時間をかけてするわけにはいかない。

 つまり、念能力を使うことになり、即ち例によって光るのだ。未だ理由不明、解決不能の謎案件である。

 

 暫し観察したところ、『左目(スコルピオ)』の≪観測≫のタグによると、背骨の椎間板ヘルニアっぽい。

 治療に集中するからと言って、マリオ爺とアレクさんを追い出し、『あり得ざる小さな世界(フォーチュン・イン・ザ・ポケット)』から取り出したアルコールで消毒。同じく取り出したケース内の銀の長針で『気脈術』を試してみて、即事治癒が難しい事を確める。

 『気脈術』で短期治療するのは患者に負担が掛かりすぎる。ブルート御大のように体力が在れば未だ何とかなるけど、下手をすると寿命を縮め兼ねない。あの時は、テコでも動かない見物人と言うか見張りが大勢居て、目立つ念能力は使えなかった。

 

 今回は、やはり『肝臓(アクエリアス)』の権能≪再生≫の『早出し(ファストムーブ)』を使うしか無さそうだ。

 

 私はそっと、癖の有る他者専用再生能力を発動する。

 

 『車輪は回り因果は巡る(アライメント・ヒーリング)』。

 

 どこからともなく現れた光の粒子が、ルイージさんの身体の周りと手を翳した背骨周辺を乱舞する。尚、例によってこの光は治療とは全く何の関係も無い。

 

 ルイージさんは見た目通りの善人だったらしく、『車輪は回り因果は巡る(アライメント・ヒーリング)』の副次作用による『悪人には激痛を伴う』が適用されず、何ともない様子だ。

 

 程なく視界のタグのヘルニア表記が無くなり、健康体のタグに換わる。

 

 「治癒完了」

 

 道具を片付け、目隠しを取っていつの間にか眠っていたルイージさんを起こす。

 

 「す、すいません、あんまりぽかぽかして気持ち良いもんで、久しぶりにぐっすり眠っちまいまして」

 

 どうやら、このところ腰の痛みで満足に眠れていなかったらしい。

 

 「おお、腰が、腰が動く!痛くない!」

 

 感動しきりのルイージさんと喜ぶアレクさんから大量の美味しいパンを貰って足早に店を出る。

 

 ルイージさんの治癒も、余り人には広めないよう口止めしておいた。

 ただの『気脈術』ならともかく、『車輪は回り因果は巡る(アライメント・ヒーリング)』を使った時は、どんな迷惑が掛かるか解らないので、互いに繋がりを辿られない方が良いのだ。そのために、なるべく人に気がつかれないよう店から早めに立ち去った。

 

 ルイージさんの治癒費は大した額じゃないからと、マリオ爺にツケておいた。

 初孫の産まれるルイージさんに、ご祝儀なのだそうだ。実際、マリオ爺の立場からすれば、私の治癒費など大した額ではない。

 

 

 「向こうは知らないのかい?」

 

 店を出た後も名残惜しそうなマリオ爺に、彼を単なる船乗りだと思っているらしいルイージさんの事を尋ねる。

 

 「ああ、ただのたまに会う船乗りとパン屋と言うだけの繋がりだ」

 

 マリオ爺が諦観と満足の混じりあった笑みを浮かべる。

 

 「でも、血の繋がった兄弟なんだろう」

 

 隣を歩きながら、核心を突いてみる。相談もなく治癒をさせられたのだから、事情を聞く権利位は有るだろう。

 

 「何で・・・いや、先生なら当然か」

 

 驚き、足を止めたマリオ爺が自分で勝手に納得して何度か頷き、追い付いてくる。

 

 「お察しの通り、奴は、いやルイージはワシの血の繋がった本当の弟だ」

 

 やっぱり。

 

 マリオとルイージが兄弟じゃない訳無いもんな。

 

 【マリオの肉親(弟)】のタグ付いてたし。

 

 「・・・ワシら兄弟は元々この街の出身でなぁ・・・」

 

 マリオ爺の話によると、船乗りだった親父が戻らず、母親も程なく病死して未だ幼い二人は孤児院に預けられたそうだ。

 

 やがて幼い弟はパン屋に貰われてゆき、兄の事を忘れて成長する。兄は後に船乗りになって、回り回ってシュマで先々代の元締めに見初められ、娘の婿になって後を継ぐ事になる。

 

 「兄弟だとバレると、ワシの立場を利用しようとするものが現れんとも限らんかったからなぁ。弟に迷惑はかけられん」

 

 今回は、馴染みのパン屋の親父が身体を悪くしたらしいと噂で聞いて、『席次戦』見物に(かこ)つけて、何とかミカゲ()を連れて行ってルイージ()を治療して貰おうと思っていたらしい。

 

 「何でも言ってくれ、できる限りの礼はする」

 

 全部喋って気が楽になったのか、マリオ爺にいつもの気楽な調子が戻っている。

 

 「フム・・・では頑丈な鋼鉄製の筒が一本必要なのだが、心当たりは有るかい?」

 

 ふと、この街ならシュマよりも物が豊富だと思い付いて、マリオ爺の伝を当てにする。

 

 「鋼鉄の筒?」

 

 マリオ爺は怪訝そうだ。

 

 「太さは兎も角、内径二センチは欲しい」

 

 大口径はロマンだし、念能力者を相手にするならその程度の攻撃力は必須だろう。

 バズーカ砲弾を片手で受け止めるような化物も居るのだ。豆鉄砲では牽制にもならない。

 

 "周"と強化系のオーラである程度まで頑丈に出来るから、鉄製ならほどほどの品でも何とかなる。無論、良品に越したことは無い。

 

 「・・・よくわからんが、古馴染みの鍛冶屋が一人居る、そこへ行って聞いてみるとしよう」

 

 表通りまで出て辻馬車を拾い、中洲を通って川の東側の街に入る。

 

 「街の東側には商人より職人が多いんだ」

 

 マリオ爺が、街の東側は地主や自作農家等古くからの住人が多いと教えてくれる。

 昨日武術道場を覗きに来た場所の側を通る。

 もしかすると土地に根差した人が多いから、外敵に抵抗するための武術が好まれているのかもしれない。豊かで生活に余裕があるから、武術を学ぶ暇が有るとも言える。

 

 「ここだ」

 

 目の前には大きな鍛冶工房が在り、開きっぱなしの扉の奥から幾つもの槌音と鍛冶場の熱気が漏れている。

 

 「居るか、ガルバン!」

 

 例によって恐れを知らぬコミュ強の振る舞いで、マリオ爺はずかずかと工房に突入して行く。

 

 入ってすぐは小さな店舗になっていて、広い建屋の殆どは鍛冶場になっているようだ。

 

 どうやら、武器を主に製作している工房らしい。壁のラックにはナイフにカトラス。剣や槍、矛、戦斧、果ては(すい)や大剣まで並べてある。錘と言うのは大陸系の武術で使われる鈍器(メイス)の事だ。

 

 武術の盛んな土地柄も有るにしても、兵士の主要武器はマスケット銃に移行して久しい筈なのに、未だこういった武器の需要は無くならないらしい。

 

 以前、私が勢いで言った台詞だけど、本当にこの世界の達人なら銃くらい普通に躱すのかもしれない。

 合気道の開祖、植芝盛平氏は銃弾を避ける事ができたそうだ。もしかすると、この空気にプロテインが混ざってるようなハンターハンター世界の漫画時空なら、そんな達人が量産されていてもおかしくないのかもしれない。

 

 「おう、誰かと思ったら『鉄床(かなとこ)のマリオ』じゃねえか、まだ生きてたのかよ!」

 

 奥の工房から鍛冶用の皮製前掛けを付けた白髭のじいさんが現れた。年期の入った鍛冶師らしく、赤ら顔で腕が太い。

 

 

 「(はがね)の筒だぁ?そんなもん何に使うんだ?」

 

 (ののし)り合いのような挨拶の後、マリオ爺が探し物を告げると、ガルバン師はちょっと嫌そうな顔をした。

 

 「欲しがってるのは、こっちの先生だ」

 

 マリオ爺が、珍しげに店内を見回している私を示す。

 

 「先生?えらく若いのに学者かなんかなのか?」

 

 頓珍漢な会話になってきたので適当に話を纏め、筒は振り回すので道具としての強度が必要なのだと説明する。他の素材だと強度が足りないと。

 

 「振り回すったって・・・」

 

 ガルバン師は半信半疑だ。

 

 「先生は武術の達人で、『針』と『気』による治療も為される」

 

 見た目通りの子供だと思わんことだ。とマリオ爺が追加で説明する。

 

 「太さは三から六センチメートル、内径二センチ位、長さは最低でも一メートル以上は欲しい」

 

 イメージしかないので、要望には幅がある。加工は≪消滅≫を使って削れば良いだけなので、大きい分には問題ない。

 

 「よくわからんが、そっちの若いのが注文するのか?・・・しかし、又かよ・・・出来なくはないが、出来上がりはすごい重さになるぞ?」

 

 又?

 

 「重い分には構わない、それより急ぎなんだ。出来合いで今其れらしい物は無いか?」

 

 期待しているのは、()まで総鋼造(そうはがねづく)りの棍棒とか槍とかだ。

 中をくり貫くのは簡単だし、最低限銃身さえ出来れば、爆発を起こす薬室は丈夫そうな鉄塊から削り出して繋げても良い。私の念獣達は細かい作業が得意なので、頼めば金属に螺子切りする事も容易に出来る。森じゃあ蓋付きの水筒とかを石で造ったりしてたし。後は、多少試行錯誤するための予備素材も欲しい。

 

 「・・・あるには在るんだが」

 

 ガルバン師が弟子二人に抱えて持って来させたのは二メートルもある太い長柄錘(ながえすい)だった。

 

 何でも、武術家の注文主が槍使いの女に勝つために特注で造らせた長柄錘だそうだ。

 

 ああ察し。

 

 円柱でなく五センチは有る八角形の柄の先に、同じく八角形のしかし柄の太さの三倍サイズは有る三十センチ程の(打撃部)が着いている。立てると、形だけならまるで街灯柱のようだ。

 

 質の良い鋼鉄製で只でさえ重いのに、中に鉛を詰めたパイプが通してある。そこも含めて注文通りだったのに、注文主が重すぎて扱えず、キャンセルになった曰く付きの品だそうだ。

 

 「しめて六十キロ以上有る。馬鹿な注文の戒めに飾っとこうかとも思ったんだが、苦労して造ったなかなかの傑作だし、相応に金も手間も掛かっとる。端を切って鉛を溶かし出せば筒としても使えん事はないだろう」

 

 製法は秘密らしい。でも、いつになく細かい≪観測≫のタグによると、鋼鉄のパイプに鋼鉄の板を螺旋状に何枚も巻き付けて強度を出して居るらしい。しかも、錘まで一体成型で同時に製作されている。

 これに"周"をかければ、念能力者のパワーで打ち合っても壊れることはそう無いだろう。

 確か戦国時代の日本の火縄銃もこんな造りかたをしていたと何かで見た記憶がある。これなら錘の部分で薬室も一緒に造れそうだ。

 

 買いだな。

 

 「面白そうだ、それを貰おう」

 

 処分価格で金貨八枚をマリオ爺が支払い、不良在庫の大錘(だいすい)は私の物になった。

 

 宿に配達すると言うのを断って片手で持ち上げて見せると、ギョッとしていた。おまけで製作練習用に総鉄製の棍か槍が無いか聞くと、奥から一メートル程の握りと装飾のある鉄棒が三本出てきた。鉄鞭(てつべん)と言うらしい。其れは私が金を出した。こちらは少し細くて大体四センチ位の丸棒。一本十から十五キロ位。一緒に持ち帰ると言って肩に担ぐと最早驚きを通り越して、こいつは何なんだとばかりに私ではなくマリオ爺の方を説明してほしそうに見ている。

 

 なぜかマリオ爺は其の反応を見て、終始どや顔でニヤニヤしていた。

 

 年寄りどもの間で妙な遊びが流行ってる気がする。ともあれ、これで素材は揃った。シュマに戻って時間が有るときにでも懸案だった遠距離対策用銃器の試作に入ろう。

 

 尚、マリオ爺にはよそ見をしていてもらい、荷物は路地裏で『あり得ざる小さな世界(フォーチュン・イン・ザ・ポケット)』の中にしまって、知り合いに預けたと言っておいた。

 

 これで、マリオ爺の用事も済んだ。後は、夜からブルート御大の用事が入っているだけだ。

 

 

 ルイージのお土産のパンは、夜食と明日の朝食になる予定である。

 

 

 

 

 

 




 煮込みの味付けは塩だけ。
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