嵐の夜に飛び立とう   作:月山ぜんまい

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2021年8月22日一部修正
2022年3月15日改稿


 7、“発“発動、九月~十月

   7、“発“発動、九月~十月

 

 おはよう諸君、いよいよ季節は秋に変わった、多分。

 南半球である可能性も・・・いやあの世界、星なのか?

 

 ・・・・・出れば解るか。

 

 出られなきゃ、関係無いし・・・。

 

 ダルさは在るが、まだ行ける。

 念獣達の応援貰って、さて行こう、九体目は『髪』。

 あんまり想像したくないが、本当は頭皮ごと無くなっているらしい。

 ハゲに非ず。

 『髪』だけだとバラけそうだし、都合が良いので、周辺組織扱いでまとめて『髪』で括る。

 

 与える能力は≪結界≫、発展能力はちょっとひねって≪奇怪≫。

 

 九月なので、名前は『バルゴ』、乙女座。

 

 『髪』、それは女子力と情念の塊。

 その強さは折り紙つきで、昔は馬の手綱や舟の引綱何かにも使われてたらしい。

 

 魅力の表現手段でもある。

 

 男心他、あらゆるものを繋ぎ止めるパワフルさと、霊感に裏打ちされた直感力で、守るべきものを守る、狂気と強靭さを秘めた、女性の持つあらゆる力の結晶のイメージ。

 ちょっと盛りすぎか?

 

 あと、普段の見た目は手弱女のイメージで。剛毛、天パはノーサンキュー。

 

 どうでもよいが、九月は実は、元の世界での私の生まれ月(盛りすぎは仕様)。

 なので、他の星座より多少詳しい。

 乙女座のサインというかマークが女性の髪の毛を図案化した物だと聞いた事がある。つまり、『バルゴ』の名前は、『髪』にぴったりマッチする。

 

 『バルゴ』は『髪』であるが、他の念獣達と同じように私の意志で自在に動かせる。この辺りは言ってみれば、よく在る能力だ。操作系も在るしね。

 当然、強化系でワイヤーの如く硬くしなやかに、細い髪の毛で切断攻撃、どれも定番だろう。

 

 『バルゴ』が念獣である以上この辺りの事は、ほっとけばいずれ出来る様になると思う。基礎能力の『自分を磨け』も付いてるし。

 

 そんなわけで、与える権能は、もっと切実なものにした。

 ≪結界≫は、言わば頭髪による最終防衛ライン。その機能は『危機感知』と『自動防衛』に特化している。

 簡単に言うと、狙撃、不意打ち、奇襲対策だ。

 こちらの警戒をすり抜けた攻撃を、≪結界≫に備わった『危機感知』で、問答無用で知覚し、『自動防衛』で反射的に動いた髪の毛が、とりあえずノータイムで叩き落とす。

 後先考えない。無音で背後に立ったら、反射的に攻撃してしまう、すご腕スナイパーの様に、条件反射でまず初撃を止める。

 

 だいたいにおいて、初見殺しは初撃がキモ。

 こいつを止めて、追撃までに他の念獣達の能力で逃げる。

 

 ブレんよ・・・・ここから出られたら私、誰にも見つからない様に逃げ回って、隠れ住むんだ。

 

 いつか、誰にも負けないほど強くなるまで。

 

 発展能力の≪奇怪≫は、ある程度強くなった後に発揮されるはずの能力。

 

 このままいけば、おそらく多数の能力を身につける私が、全ての能力を隠し続けるのは、ちょっと難しいと思う。

 

 この身体の敵討ちは、する予定だし、クルタ族だとバレるかもしれん。

 

 相手が私を念能力者として警戒した時、それが私の主なメインの“発“だと誤誘導される様な、派手でインパクトのある()()()が欲しいのだ。

 

 それになるのが、『バルゴ』であり、≪奇怪≫だ。

 

 能力は、

 長さが変化する。

 切り離されても暫く活動してから消える。

 気配を操り、強めたり弱めたりする。

 の三つ。

 

 順に、間合いのコントロール、抜け毛対策、視線誘導。

 どれも重要、なるべく逃げたいし、隠れたい、痕跡も残したく無い。

 原作に髪の毛食って相手を鑑定する変態とか居たけど、口にした瞬間、形状記憶合金のようにピンと真っ直ぐになったら、それだけで大惨事。

 

 変態行為だし、慈悲は無い。

 

 

 戦闘中の見た目が、まんまロン毛磯巾着。

 

 メデューサ?バッカルコーン?

 

 触手系、待った無し。

 

 考えると自分でもちょっと引くが、能力を発揮する様は、かなり奇天烈でユニークな感じになるだろう。

 

 目立つ事請け合い。

 

 オマケに、『我らは一人』の共有能力で、他の念獣達の能力も使える。

 

 ・・・・・まあ弱くは、ならない。

 

 実際の戦闘でも、かなり行ける。と思う。

 戦闘経験なんて無いけど、そこは、オタク知識と妄想でカバー。

 

 

 さて・・・念獣作成!

 

 

 ・・・・・二十一時間後。

 

 

 『(バルゴ)』、完成。

 

 

 ・・・あ、そういやぁ一歩も動かないって言う制約と誓約があった。引っ掛かるか判らんが、髪の毛の長さと動きに気を付けてくれ。あんまり派手だと・・・

 

 と、思ったら、『(バルゴ)』から、織り込み済みだとお知らせがあった。

 

 しかも、『心臓(レオ)』の時に、鼓動しないよう伝え忘れたのも(これも制約と誓約)、先に誕生したメンバーがフォローしてくれていたらしい。

 

 ・・・どうも、すんません。

 

 主人の威厳とかそういうのが、既に息して無いが、・・・・まぁいいか、念獣達含めて、ある意味どれも私だ。

 

 スペック高くて記憶力が有っても、思い出そうとしなければ、意味が無い。

 どうせ、こちとら元引きこもりの高校中退だ。ポンコツなのは元々の仕様。

 しかし、へこんでも、肩をすくめる事すら出来ない。きびしいね。

 

 世界は苛酷で、状況は最悪が続くが、これがアタリマエなら慣れもする。

 いい加減疲れとかストレスとか限界。

 

 ユルく行こう。

 

 ・・・壊れてきてンナー。

 

 

 そんじゃ、おやすみ・・・よゐこ達。

 

 

 

 

 

 おはよう諸君、十体目だ。

 つまり十ぎゃつな・・・・。

 

 ・・・・・ちょっと落ち着こう。

 

 ・・・・・(意識の中で、丸っこくてフカフカの念獣達を纏めてギュッと抱き締める)

 

 ※注)画面は、妄想中のものです。

 

 

 ・・・・・三分経過。

 

 

 よし行こう、十体目、十月だ。

 

 十体目は『右目』、名前は『ライブラ』。

 天秤座、この世の罪科と慈悲を量る、天命を左右する古代の神器のイメージ。

 

 能力は≪魔眼≫と≪天眼≫。

 

 二つとも初期能力として、最初から与えられる。そして、そのどちらにも発展能力は設定しない。

 

 発展能力を用意しないのは、『ライブラ』が初めてで、たぶん唯一になる。

 

 発展能力は元々、与えた権能が成長していって、その成長先として希求されていたものだ。

 

 だが、視覚に関してはいるが、全く方向違いの能力を同時に二つ成長させるのは、負担が大きい。キャパもあるしね。

 

 だから基本能力のみ、発展先は求めない。成長は、求めるが。

 

 残念だが、念獣に無理はさせられない。

    

 オタク的にも、眼に関して、欲しい能力は数多い。

 絞りに絞って左目に索敵系と本命、この右目にどうしても欲しい残り二つを纏めて並列付与した。

 

 一体だけ仲間外れになってしまったが、勘弁して欲しい。ちょっととんがってる(ピーキー)(だが)、どっちも替えの利かない、いい能力だ。

 

 両能力共、発動に少しの条件付けをして、僅かだが使用キャパを減らし、並列育成の負担を緩くしている。

 

 それでも他の念獣達と比べて、成長が多少ゆっくりになるのは否めない。

 しかし、得る能力は結構えぐい、問題ないだろう。

 

 

 ≪魔眼≫の能力は、意識の占有。

 

 縛りは、対象の限定。

 

 

 発動条件は、()()と『緋の眼』状態で目を合わせた時、相手が『緋の眼』を、より正確には『緋の眼』の()()を欲する時にのみ、発動する(限定)。

 

 相手が私の右目に注視するよう、ちょっとした細工もしてみた。

 

 効果は、その欲しがる欲望の強さに応じて意識の表層に常に私の『緋の眼』の事が浮かび、上手く意識の外に追い出す事が出来なくなる。基本それだけ。

 これによって、人間の心の基本的性質として、欲心は思い出す度に、ゆっくりと増してゆく。

 

 話は変わるが、昔、会社にいた、仕事が出来て人望もある四十代の課長が、不倫相手の二十歳そこそこの派遣の女性と別れ話でもめ、ストーカー騒ぎになったことがある。

 この時ストーカー化したのは、女性ではなく、不惑を過ぎて家庭も社会的地位もある課長の方だった。

 結局、課長は傷害事件まで起こし、会社はクビ、家庭は離婚、全てを失った。

 女性はPTSDを発症し、会社を辞め、実家のある東北へと帰った。

 

 執着は、時に毒よりも毒の様に人に干渉し人を破滅させる。

 

 能力的には、欲に紐付けた幻覚とも言えない思い出し機能が、『緋の眼』を示すだけ、放出系と特質系が主で、操作系に先に支配されていても、意識と欲が残っている限り、逃げられない(操作系の早い者勝ちを限定回避)。

 

 使う相手は選ぶつもりだが、能力が成長すれば、媒体越しにも行けるだろう。

 

 能力の目的は、選別と逃走防止。

 

 生きた人間の眼球を抉り取ろうとするような奴は、速やかに死ぬべきだ。

 

 うん、全体的に、頭おかしい様な気もするが、想定通りなら、そういう世界だから仕方がない。

 

 逃げ回るには邪魔な能力だが、もし私が強く成れれば、いろいろ役に立つだろう。

 

 ・・・曲がりなりにも、意識に接触するのだから、動揺してたり隙だらけだったら、催眠状態にしたり幻覚見せたりできると面白いかも。

 こっちは単純な操作系になるから、誰かの影響下に在れば無効化されるし、決まったら嬉しい程度のオマケ能力かな。

 ・・・こちらの方が()()ッポイな。

 

 

 もう一つの≪天眼≫の能力は、未来視。

 

 縛りは、自分の視界の一時的混濁。

 

 

 こっちは簡単、古典的と言っていいほど有名でありふれた能力。

 

 勿論、将来の危機をキャッチして教えてくれたら嬉しいが、例え数秒でも未来の危険が先に判れば、逃走にも生存にも大いに役に立つ。

 

 瞼を閉じても『緋の眼』時なら発動可能で、慣れるまでは常時発動にして・・・・あ、いや、『(バルゴ)』の、≪結界≫の権能に含まれる、危機感知の能力と連動させればいいのか。

 

 問題解決。

 

 なお、デメリットとして、使用すると強制的に眼が()()、視界が利かなくなる(一時的混濁)。まばたき数回分の間。

 

 便利な能力だが、頼り過ぎると読まれやすくなる、規格外の相手には通用しないと考えよう。

 この世界、規格外の相手が結構ごろごろいるんだよなぁ。初見殺しも、勘だけで避けたりするし。

 

 ・・・ま、見付からなきゃ関係ない。

 

 彼等はそう、別の世界の人達だから。

 

 修羅の国の。

 

 私は、ちょこちょこっと、嫌なやつぶっ殺したら、何処か平和な世界の片隅で、まったりのんびり暮らそう(希望的観測)。

 

 来るべき平和を目指して、念獣作成。

 

 ・・・・・二十時間後。

 

 『右目(ライブラ)』完成。

 

 

 念獣達よ、後は頼む・・・。

 

 ・・・なんか、『右目(ライブラ)』がちょっと痒いんだが。

 

  ・・・・・え?幻覚で?

 

 マジか・・・『右目(ライブラ)』の幻覚を見せる能力で仮想空間を作って、念獣達みんなで能力のテストや確認、簡単な訓練をするそうだ。私が仮死状態で寝てる間・・・。

 痒さは、まだ慣れてない『右目(ライブラ)』に、アクセスが集中したせいらしい。

 

 いや、私けっこう死にそうなんだが、余裕あるなぁ。

 

 ・・・なんか、テレビゲームに群がる昔の子供か!って、ツッコミたくなるわ。

 

 ふっ・・・ちょっと力抜けたな。

 

 あんまり『右目(ライブラ)』に、負担かけんなよ、皆の衆。

 

 そんじゃ、また来月、おやすみ。

 

 

 

 

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