次回あたりから多分皆お待ちかね、シキ君の傷口に塩を塗る事になるよ!!
あれから二週間。犯人は未だ見つからず、我々は監視を継続している。
だが、そろそろ限界に近い。三日目くらいから既にあの二人に
「最近さぁ、シキに近くない?」
「一体どういう意図があるのかな⋯⋯かな??」
あの時は「ただロドスに暫く駐留するのが急に決まったから空いてるところに無理やりシフトねじ込んだ結果」という事で誤魔化せたが、そろそろ無理だ。最近二人が私を見る目が怖い。
「おいウェイ⋯⋯まだ見つからないのか!?」
「⋯⋯⋯⋯まだ見つからない⋯⋯⋯⋯」
「おい、そろそろ隠し通すのも限界なんだぞ!?特にペンギン急便のサンクタ族二人⋯⋯確実にヤバいって、そろそろバレるって」
「ああ、お前の言ってたあのポンコツ二人の話か⋯⋯⋯⋯クソっ⋯⋯⋯⋯とにかくどうにかしてくれ。また連絡する」
「あっ!!おい待て!!⋯⋯⋯⋯あのクソ上司ィ!!」
思わず壁を殴りつける。
「クソが⋯⋯タダでさえシキ本人が龍門を観光したりしてるから死ぬ程大変なのに⋯⋯」
確か今日はソラのライブでコンサートホールに行ってる筈だ。ついていけるはずもないから近くのビルの屋上で見張っているのだが。畜生こんなことなら私も見たかった!!
「あーもう!!*龍門スラング*!!」
「荒れてますね、隊長」
「荒れもするわ!!そろそろ限界だよ!!もう無理だろ!!あの二人のプレッシャーが怖いんだよ!!」
「Wがこちらの味方をしているのがまだ救いですね⋯⋯苦悩しているこちらを見て楽しんでいる、とも言えますが」
「うがああア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!あんのクソ野郎絶対に許さねえからな!!」
「まあまあ、落ち着いて下さい。ほら、もうライブが終わりますよ」
「ちっ⋯⋯⋯⋯はぁ、とりあえず探して遠くから追うしかないか⋯⋯⋯⋯」
絶対に今季のボーナスを倍にしてもらう、と心に決め、私はシキを探し出し後を追った。
第十話:『発覚』
「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙⋯⋯⋯⋯今日も推しが可愛かった⋯⋯⋯⋯可愛かったア゙ア゙ア゙ア゙ア゙⋯⋯⋯⋯」
両手に買い漁ったグッズを持ってロドスへの帰路を進んでいく。
しかし、一人だとここまでも寂しいものか。エクシアとモスティマは今日配達だしWは「趣味くらい一人で楽しんだ方が建設的って事くらいわかるわよ。気をつけて行ってらっしゃい」と送り出された。なんだアイツわかってるじゃん。俺の事理解し過ぎだろ。
だがオタクという生物は面倒くさいもので、出来れば語り合える人間が欲しくなるのだ。
「はぁ⋯⋯折角だから皆にお土産でも買って帰るかなぁ⋯⋯」
確か裏の方に鼠王がやってるキャンディ屋があったし子供達に買って帰って大人アピールしようそうしよう。
「⋯⋯ん?あれって⋯⋯⋯⋯」
そんなこんなで裏路地を歩いていると見覚えのある銀色の髪が視界に入る。
「おー、ラッピーじゃん!!お久!!」
「わお、久しぶりだねぇシキ!!とりあえず殺し愛わないかい?」
「すまんな、グッズ持ってるからロドス帰ってからで頼む」
「むぅ⋯⋯まあいいや、殺し愛してくれるなら」
「相変わらずだけどなんかイントネーションおかしくない?」
「ハハッ、気のせいだよ、うん」
ラップランドは二年前くらいに、戦場でたまたま出会ってからちょくちょく会っては殺し合いという名の模擬戦をしていた。ロドスに居ると聞いた時はマジでビックリしたが。
「それにしても君も好きだねえそういうの。別に否定はしないけどさ。そんなに両手いっぱいにモノを抱えたら不意打ちされた時どうするのさ」
「ああ、大丈夫。俺不意打ちとか効かないから」
「そういえばそんな才能あったね君。羨ましいよ全く」
「あはは⋯⋯割と訓練すれば出来ると思うよ?⋯⋯ところでラッピーここで何してんの?」
「ん?ああ、ちょっと調べ物をしていてね」
はて、ラッピーがそんなことするなんて珍しい。
「いや、一週間前くらいに面白いものを見てね⋯⋯ウェイと鼠王が夜の街で密会しているのをたまたま見てしまったのさ。それで盗み聞きしたら君の名前が出てきてね」
「⋯⋯⋯⋯俺の名前が?俺別に悪い事してねえよ?鼠王とはちょっと関わったことあるけど⋯⋯あれはあっちが悪いし」
別になんてことは無いのだが、昔あのマフィア共の一部が俺のポルノ販売していたから〆たら、何を勘違いしたのか「良くも家族に手ェ出したな生きて帰れると思うなよ(意訳)」と言われたので返り討ちにしただけなのだ。いやあ、魔眼をアーツと勘違いして「アーツを抑制する⋯⋯!!」とかドヤ顔で言っていたあいつの姿はお笑いものでした。
しかしこの街の指導者とは何も接点がないはずなんだけどな。
「ふーん、まあ詳しい事は本人に聞けばいいんじゃない?」
「え??」
その頃、龍門の裏路地にある鼠王の隠れ家にて。
「⋯⋯お前のネットワークでも見つからないのか?」
「⋯⋯そういう小僧の密偵でもまだ見つからんか」
二人は既に疲弊しきっていた。特に鼠王は昔、シキにトラウマを刻まれているため割とマジ目に憔悴していた。
そんな中、ウェイの携帯端末が鳴り響く。表示されている連絡先はチェン。
「すまない失礼⋯⋯私だ、どうしたチェン」
『お前⋯⋯バレたぞ』
「は?」
『だから、シキに自力で突き止められたぞお前ら』
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯えっ」
『どうやらシキの知り合いのループス族がお前らの密会を見てたらしいぞ。それでバレた。あ、言っておくけど「バレないように監視しつつ、できるだけシキをお前らに近づけさせない」ってオーダーは一応達成してたからな。これはお前の怠慢だろう。目撃されたお前が悪い。以上。それじゃあ今月のボーナス上乗せしておけよ?んじゃ』
「おい!!ちょっと待て!!⋯⋯くそ!!」
「どうした?」
「まずいぞ!!シキとやらにここがバレた!!」
「なにィ!?ま、まずい!!早く逃げないと⋯⋯⋯⋯」
「なーにーがーそんなにまずいんですかねぇ?」
「「ヒェッ⋯⋯⋯⋯」」
────暫くお待ちください────
「一応はじめましてですね、元ラテラーノ教皇、シキと言います。よろしくね、ウェイさん」
「あ、ああ⋯⋯よ、宜しく⋯⋯」
「んでもって⋯⋯鼠王さんよぉ、久しぶりだな、元気にしてたか?」
「⋯⋯たった今悪くなったよクソガキめ⋯⋯」
「相変わらずだな、あんたも⋯⋯で、お前らが隠してたのはこれか」
ラッピーに指定された場所に突撃したところ、本当に二人が居たので逃がすまい、と窓をラッピーに封鎖してもらい、俺が魔眼を使ってドアを歪ませ開けなくした。
そこで観念した鼠王から事のあらましを聞いて今に至る訳だが⋯⋯。
「別に隠すことねえじゃん。あの時はお前らが話を聞かずに襲ってきたから返り討ちにしただけだからな?」
「あんな体験させておいてんな事言われても信じられるかバカタレ」
「バカはお前らだよ⋯⋯まあいいや、んでウェイさんに関しては考えすぎです。チェンから聞きましたけど俺そこまで危険人物じゃないです⋯⋯と言っても信じてくれなさそうですね」
「当たり前だ、一国の代表者としてはお前は超一級の危険人物だ」
「はっはっは、まあそこは仕方ないですわ。寧ろそんな過大評価を頂けて嬉しい限りですよ」
いやあ、本当におかしな話だ。皆が思ってるほど俺は強くないと思うんだけどな。
「で、警戒と勘違いを重ねた結果、二人で結託して調べてたのになんの足取りも掴めなかった、と」
「忌々しいことにな」
「ふーん⋯⋯⋯⋯ところで売り捌かれてた俺のDVDは?」
「これだが⋯⋯」
「どーれどれ、一体どの年代のやつなんだか⋯⋯」
「今更だけど年代ってなんなのさ⋯⋯」
「俺が知りたい」
いや、本当に俺が知りたい。因みに俺が教皇という名の神の使いになってから5ヶ月後に売られたのがプレミアついてたりする。特に式典の時に何故かスカートのような服を着せられた時なんかは⋯⋯なんでも『シキ君が嫌がりながらもスカート履くの最高にえろい』とかなんとか書かれていた記憶がある。
「大体一国が少年のポルノで荒稼ぎとかその時点で頭おかしいんだよ⋯⋯よく売れると思ったな、そしてよく売れたな。ある意味感心するぜ⋯⋯」
「感心していい事じゃないよ、それ」
いやまあ確かにそうなんだけど。さて中身はどんなもんか⋯⋯⋯⋯⋯⋯
「⋯⋯⋯⋯これは────」
「?どうしたんだいシキ。随分と顔色が悪いようだけど⋯⋯⋯⋯」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯っはー⋯⋯⋯⋯あーそうかそうか⋯⋯」
「⋯⋯シキ?」
「この映像は、俺がラテラーノを壊滅した日に、販売しようとしていた所を抑えた⋯⋯出回ることの無かったモノだ」
「⋯⋯つまりそれは、当時そのポルノを売り捌いていた何者かで、且つ生存している人物?」
「⋯⋯⋯⋯だろうなー、それでまあ多分だけど⋯⋯」
「これ多分裏で売り捌いてるの母さんだわ」
鼠王&ウェイ:シキを必要以上に恐れていた。因みにそのせいでウェイはホシグマとチェンにボーナスを支払う事となって頭を抱えた。
ラップランド:ラッピーと呼ばれる事に抵抗がないくらいにはシキとの関係性が深い。殺し愛なんて言ってる通り、戦闘狂の本能としてシキを追い求めている⋯⋯⋯⋯はず。
シキ:ライブで盛り上がっていたところを全て台無しにされた気分。
次回:『親子喧嘩』
正直今回のじゃまだ生ぬるかった?
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もっと傷口に塩塗っていい。
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丁度いい
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もっと優しくしてあげて