魔眼持ちの方舟生活   作:タキオンのモルモット

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主人公は最低じゃないんです。ただ一夜の関係とアイドルに癒しを感じてるだけです。


第一話:付き合ってないから風俗もデリヘルもセーフ

龍門のラブホテルの一室で俺は目を覚ました。

 

「⋯⋯そうだ⋯⋯今日はソラちゃんのライブ当日だったな⋯⋯」

 

隣で寝ているデリヘル嬢を起こさないように顔を洗って完全に目を覚ます。

 

完全に荷造りをして準備完了。と言ったところでデリ嬢が目覚めた。

 

「あら、早いのね。昨日何回も激しくシたのに」

 

「推しのライブだ、遅刻する訳には行かないさ」

 

「⋯⋯推しのライブ前日にデリヘルはセーフなの?」

 

「万が一、億が一、ありえないけども推しで性的興奮を覚えて勃たないためにも性的欲求は解消しなけりゃならないだろ?推しに不快な思いをさせてしまわないように細心の注意を払った結果さ!!」

 

「⋯⋯貴方、顔は女の子っぽいけど別に悪い子じゃないからそのドルオタ根性さえなければもっとモテると思うよ?」

 

「あー⋯⋯うん、当分恋とかはいいや⋯⋯」

 

うん、もう当分要らない。初恋の人が俺の盗撮写真を持ってた時点で暫く恋とかしたくなくなった。性欲解消は一回コッキリの関係で済む風俗かセフレでいい。恋人とか要らない。

 

「まあいいや、はいお代。後これは個人的なチップね」

 

「はあい♥またのご利用お待ちしてまーす♥」

 

そんなこんなで、俺はベストコンディションで推しであるソラちゃんのライブに足を運んだ。

 

 

 

物販のグッズを制覇し、勝ち取った最前列の座席に向かう。というか最前列じゃないと見えない。身長的に。

 

なんでこんなに身長伸びないんだ。もう20歳過ぎてるのに。

 

そんな事を思いながらしっかりコスチュームを纏いトイレを済ませ席に着く。

 

────そしてライブが始まった。

 

「皆〜!!今日は私のライブに来てくれてありがと〜!!」

 

「うおおおおぉ!!ソラちゃああああああああぁぁぁん!!」

 

「今日も可愛いよおおおおおおおおおおおお!!」

 

会場全体が完成に揺れる。揺れる。

 

そんな大声を自分も出したその瞬間────

 

 

 

ほんの一瞬、一瞬だけソラちゃんがフリーズした。しかも何故か俺を見ながら。

 

(⋯⋯!?あ、明らかに俺を見てる⋯⋯!!なにか気に障ることをしてしまったのか⋯⋯!?いや表情からするに⋯⋯驚いてる?なんで?)

 

そんな思考を巡らせた次の瞬間────3つの殺気。

 

1つはステージ袖から、もう1つは非常口の近くから、俺に向けられた殺気。

 

ステージ袖は見えなかったものの、非常口にチラリと目をやると────

 

「⋯⋯⋯⋯シキ?」

 

憤怒と驚愕の表情を浮かべているモスティマの姿が────

 

(なんで居る!?!?!?)

 

そう思いながら咄嗟に目を逸らした瞬間────ステージ袖に赤い髪とその上に天使の輪っか⋯⋯⋯⋯

 

(エクシア!!!!!!!!お前も居るんかい!!!!!!!!)

 

叫ばなかった自分を褒めて欲しい。驚きながらも推しのライブを壊さなかった俺は国民栄誉賞貰ってもいいと思う。

 

それくらいビビった。ちびるかと思った。

 

だがそれだけだ────!!推しのライブでただちょっと危ない同郷の者共を見ただけでコールをやめていい理由にはならない!!全ては後で考える!!

 

そう自分に言い聞かせ歌に合わせてコールを開始する

 

 

⋯⋯ちょっと待て、殺気が3つ?

 

2つはあいつらとしてもう1つは────なんだこれ会場全体に向けられて⋯⋯

 

そこまで考えた瞬間、モスティマの居た非常口の真逆が爆発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レユニオンの部隊長は腹を立てていた。

 

今回ばかりはレユニオンの思想ではなく、個人的な恨みである。

 

「────このライブにィ!!転売ヤーがいる!!」

 

その友達は非感染者で感染者である自分にも優しくしてくれるいい人だったのだ。

 

────しかし彼は殺害された。

 

殺害された彼はソラというアイドルのライブのプレミアムチケットをで手に入れていた。なんならブルーレイで発売されたそのライブのDVDで自分もファンになった程だ。

 

そんな彼は、ある日殺害された。そして彼の手元にある筈のソラちゃんのライブのプレミアムチケットが消えていたという。

 

────そして後日、彼はその転売ヤーを特定した。

 

その転売ヤーはどうやらその界隈では有名らしく、なんでも「一体何割の人間が自分が高額転売したチケットでこのライブに来ているのか」を想像し悦に浸るのが趣味という話を聞いた彼は更に激怒した。

 

だがしかし、個人の力では限界がある。

 

そこで彼は考えた────

 

『そうだ、レユニオンお得意の解放運動って事にしてライブやってる会場のちょっと遠くで扇動して一人離脱した後ソイツだけを襲撃してやろう』

 

と。

 

そして計画をねっていた。が、ここで最悪な事が起きた。

 

「あら、面白そうじゃない。ワタシも連れてって貰おうかしら」

 

幹部のWに見つかり挙句の果てに『ライブそのものを襲撃する』と部下との間で食い違いが発生。

 

推しのライブは潰したくない。しかしここで中止にしたらしたで幹部に何されるかわかったもんじゃない。下手したら死ぬかもしれない。

 

その結果────彼は自身の命をとった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんよぉぉおおおおおお!!ソラちああああああああぁぁぁん!!こうするしか⋯⋯こうするしかなかったんだああああああああぁぁぁ!!」

 

そう絶叫しながら近くの女を人質にとったレユニオン部隊長はその女の首元にナイフを突きつけた。

 

「ま、マネージャー!!」

 

どうやらソラのマネージャーだったようだ。マネージャーを心配したか涙目になるソラを見て部隊長は本当に申し訳なさそうな顔をした。

 

「クソっ!!レユニオン!!一体何が目的なんだ⋯⋯!?」

 

舞台袖からペンギン急便の面々が出てきた。そこにはモスティマとエクシアの2人もいる。

 

(あいつらペンギン急便所属だったのか⋯⋯トランスポーターしてるとは聞いたけど⋯⋯)

 

そんな事を考えながらボーッと犯人の方を見る。赤メッシュの女は何もせずただじっ⋯⋯と此方を、というか俺を見ている。なんか目が合った気がしたので営業スマイルを浮かべたら顔を背けられた。解せない。というかあいつよく見たらイェラグ近くの雪山で助けてくれた傭兵じゃないか。なんだっけ、仮面ライダーと同じ名前⋯⋯そうそう、WだW。

 

そんな風に女を見てたら殺気がまた2つほど飛んできた。なんでアイツらに殺気向けられなきゃならないんだ?

 

と、余計なことを考えていると人質をとった部隊長は徐ろにマイクを舞台袖から持ってきて、スイッチを入れるとこう叫んだ。

 

 

 

 

 

「俺達の要求はただ一つ!!転売ヤー「クラウド」を俺の目の前に転がすんだ!!30分以内に来なかった場合!!この会場に仕掛けられた爆弾を1つずつ爆発していく!!誰かが逃げても爆発させる!!以上だ!!」

 

 

 

 

 

 

「⋯⋯は?」

「はぁ?」

「「えっ???」」

「「部隊長!?何言ってんすか!?」」

 

上から順にW、俺、ペンギン急便の者共、そしてレユニオン部隊である。

 

「ちなみに今から五分間だけソラちゃんだけは逃げる時間を与えます!!」

 

「「「本気で何言ってんだ部隊長!?」」」

 

そりゃそうだ。レユニオンからしたらビックネームの人質を逃がしてるんだから。それだけで突入されたりする確率は高くなるだろう。

 

「うるせえ!!元といえばお前らが勝手に勘違いしてこの会場襲撃するとか言い始めたんじゃねえか!!」

 

「え、何⋯⋯そんな理由だったの⋯⋯?いやまあ別にいいけど⋯⋯」

 

幹部ですら呆れ顔とかどうなってんだこの組織。

 

「俺の友人はなぁ!!ソラちゃんのライブのプレミアムチケットを転売する為だけに殺されたんだ!!それに1ファンとしてそいつを許す訳にはいかない!!さぁ!!早く転売ヤー「クラウド」をここにつき出せ!!」

 

 

もう無茶苦茶である。何でこんな事になったんだろうか。

 

と、ペンギン急便が頭を抱えていた時だった。

 

 

「へい、ちょい待ちなレユニオン」

 

シキが、動いた。

 

 

 

 

 

 

「なんだお前は!?」

 

「自己紹介がまだだったな、俺の名前はシキ。フリーのトランスポーターをしている。お前にひとつ聞きたいことがあるんだ。質問いいか?」

 

「な、なんだ⋯⋯?」

 

「お前クラウドを自分で襲撃するつもりだった、と言っていたが、顔とかも特定してるのか?」

 

「あ、あぁ、写真もあるとも⋯⋯!!」

 

モスティマとエクシアはその時点で、何をするつもりなのか、わかってしまった。

 

それは昔、自分達を襲った災厄のような技。例えどこに居ても、どんな場所にいても関係ない。顔さえバレたらタダでは済まない防御不可の攻撃。

 

その写真を見て、目を閉じた後。彼は見つけたと言わんばかりに、ニヤリと笑い、ただ一言呟いた。

 

「────凶れ」

 

 

 

 

 

次の瞬間、絶叫が舞台袖から聞こえてきた。

 

舞台袖から転がってきた男はスタッフの格好をしていたが、その男の右腕はまるで絞り切った後の雑巾のようにねじ曲がっている。

 

「なーるほど?スタッフの1人として紛れ込んでいたわけか。」

 

その男は紛れもなく、写真に映っていた男。

 

「ほら、こいつが目的なんだろ?さっさと撤退してくれや」

 

そう言って無造作にそれを掴んだ後、ポイ、と無造作にレユニオンの前に転がした。

 

部隊長は涙を流しながらただ一言「ありがとう」と告げると人質を離し、その男の身柄を担いで爆弾で空いた穴へ消えていった。

 

その他のレユニオンは動けなかった。

 

2人を除いたペンギン急便も、避難途中の観客ですらピタリとその歩を止めた。

 

────今何が起きた?

 

その疑問だけが、皆の頭を占めていた。

 

唯一Wだけが歓喜の笑みを浮かべている。

 

「⋯⋯おいおい、撤退してくれないのかい?撤退してくれないのなら⋯⋯さっきの男と同じ様な目にあって貰うことになるんだけど」

 

恐怖でレユニオンの呼吸が止まる。

 

が、しかしだ。相手はたった1人。ペンギン急便の面子が後ろにいるものの、射程外。

 

────いける

 

そう判断したのか叫び声を上げてレユニオンの下っ端2人が突撃していった。

 

Wの静止の声が響くが、もう間に合うわけが無い。

 

────その攻撃の発動条件は、彼の視界にいる事だからだ。

 

 

 

 

 

「────凶れ」

 

右目と左目が妖しく赤と緑に光る。その瞬間────

 

右の魔眼からは右回転、左の魔眼からは左回転。

 

ねじれていく。

 

2人の右手と左手が嫌な音を立てながら凶っていく。

────絶叫、悲鳴が響く。

 

それは止まることなく、やがて彼らの右手と左手が触れ合い

 

そのまま回転がかかっていく。

 

そして彼らの腕は、凶りながら、まるでDNAの様に混ざっていく。

 

そして気づいた時には────

 

彼らの腕は、文字通り絡まっていた。

 

 

「これぞ魔眼殺法「ねじり鉢巻」!!⋯⋯やっぱだせぇなこの名前⋯⋯本当にあの変態組織はろくな技名考えねえんだから⋯⋯」

 

腑抜けたようなセリフとは裏腹に、突撃しなかったレユニオンは、ただ恐れていた。

 

「な、なんだよあれ⋯⋯あ、アーツじゃない⋯⋯!?」

 

「な、何が起きてるんだ⋯⋯!!」

 

「腕が⋯⋯腕があああああああああぁぁぁ!!」

「俺の腕⋯⋯つぶれ、ちゃったぁ⋯⋯アハ、は」

 

阿鼻叫喚、もはや統率はとれず、ただただ混乱するレユニオン。

 

そしてその瞬間を逃すほど、ペンギン急便も後ろからこっそりと近づいていたロドスも甘くはない。観客は全員避難した。

 

「行くぞ皆!!」

 

テキサスの号令で、戦闘が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

必然といえば必然か、シキとWの戦闘が始まった。

 

「よっ、久しぶり仮面ライダー!!」

 

「違う、違う違うそうじゃない!!確かにWだけども!!」

 

なんて軽口を叩きながら爆弾を一つ一つ切り裂いていく。爆弾はちっとも爆発せず、しかしシキの攻撃も届かない。完全なる泥試合。

 

軽口を叩きながら親しい仲のように喋る二人に青いアーツとゴム弾が飛んできた。

 

「ってなんで俺ごとこうげきしたんですかねえ!!」

 

まあ当然エクシアとモスティマな訳だけれども。

 

「ねえ、シキ。その女誰?随分親しいようだけど⋯⋯?なんでレユニオンの、それも女と親しくしてるの?」

 

二人の目が黒く濁ってる。おかしいな、我が幼なじみはこんなに怖かったっけ?

 

「いやまあほかの戦場で会った時に命を助けられてから出会ったらギリギリまで殺しあって遊ぶ仲⋯⋯?」

 

嘘は言ってない。イェラグで戦ってた時にこいつの爆弾によって雪崩が起き、巻き込まれた時になんと助けてくれたのだ。

 

以来、変に仲良くなって戦場だったり他の場所で互いに出会った瞬間殺し合いを初めて死ぬ寸前まで戦って勝った方が負けた方を適当におぶって安全な所まで行って飯を作るまでがいつもの流れになっている。

 

改めて聞くと不思議な関係だ。というか大体俺が負けるのに殺されないんだよね。なんでかは知らんけど。

 

「⋯⋯ふうん?嘘はついてないみたいだね⋯⋯」

 

 

 

 

 

 

 

 

「まあシキの童貞は私が奪ったけどね?」

 

「「は?」」

 

は???




主人公:本名シキ。絶対にコードネームは名乗らない。ダサいから。推しで性的興奮を覚える事を絶対の罪としており、ライブ前日には必ず風俗かデリヘルを呼んで性欲処理する事を徹底している。別に女が嫌いという訳では無い。むしろ女好きな方。ただ初恋の人(エクシアの姉)が自分のポルノ写真持ってたせいで恋愛はトラウマになってる。

W:以前殺しあった後雪山で遭難した時、気まぐれでシキを助けた。その時ムラムラして童貞を奪った。以来勝つ度に何回もシてる。

エクシア&モスティマ:4年間探した幼なじみが風俗通ってたりセフレ(自称)が出来てたり同僚を推してたりして病んだ。なんならソラがデビューした当初から追ってたと聞かされて気づかなかった自分の不甲斐なさに更に病んだ。

ソラ:身を呈して守ってくれたシキに若干ときめいたがその瞬間同僚2人から殺意を向けられビクビクしてる。尚シキに対する第一印象は「ちょっと大袈裟だけど自分の事をずっと応援してくれるいい人」。

テキサス:ぶっちゃけ同僚2人が悪いとわかってるのでシキの味方だしソラがときめいてるのもしっかり見てたのでソラの味方。後はソラがあの2人のようにならない様にしっかり監視する所存。

クロワッサン:今日は配達で欠席

レユニオン部隊長:この事件の後に自首した。その顔はすごく晴れやかだったと言う。尚ロドスを警察組織と間違えて自首した結果、治療の名目でこっそり保護された。

クラウド:この後龍門スラムの一角にて遺体として発見された。そこには何人もの別々の人間に暴行された形跡が残っていたらしい。

エンペラー:ソラの雇用に関する規約を同僚2人のせいで守れなくなりそうで胃に穴が空いた。

次回予告

「へ、変態だー!!」
「オリジムシは食いもんじゃねえだろ!!」
「待てよ⋯⋯毒を取り除けばいけるか?」
「なんで私達をミテクレナイノ?」
「シキさんって優しいんだね!!」

次回:ロドスの人々
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