向こうで続きを書くかと思いますが、こちらでもゆるーくすすめます。
挿絵があります。カノコガ様という絵師よりいただきました!
だいぶ昔にですけど……
めがっさかわいいですし好き……
そちらもぜひご覧ください!
https://www.pixiv.net/artworks/34182425
私は、翼が欲しかった。
大空を突っ切って、風のように舞う……あの子達のように。
でも、私の魔力は微々たるものだった……。
だから、私は――――――
chapter1:翼を手に入れる夢
「ねぇ、聞いた? ガリア方面への反攻が決まったって」
ジャズ調の静かな曲がかかる穏やかなサロン。窓から見える空は藍色に染まり、星々が輝きだしている頃、私は少々うとうとと船を漕ぎつつ、気になる小説の続きをゆっくりと読みすすめていた。シャンデリアのあるきれいな内装でどことなく豪華ではある。しかし、暖房器具とかはむき出しで置かれており、内観はそれほど高尚なものでもないただのサロンであった。
そんな私の隣にいきなり座ると彼女はそう話しかけてきた。この子はシャロン。シャロン・ホーネット少尉。私の親友で、同じ士官候補生学校を卒業した仲だ。
彼女はそのまま新聞を近くの机の上に乱雑に投げ捨てると、背もたれに満遍なく背を預ける。
「そんなこと、もう私の耳にも届いてるわよ。正直、501統合戦闘航空団とやらが何とかしてくれそうな話だけどね」
私は思った感想をそのまま述べ、次のページをめくる。彼女はそれを聞いてフッと笑うと、溜息をつくように言った。
「巣を破壊しても残党がいるかもしれないじゃない。それの排除のために私たちがいるのよ」
「でも、解放されたら制空権取れたようなもんだし、上から爆弾落としゃいいじゃない」
「でも時間かかるじゃん。その間に……って、話がそれてるよぉ。私が言いたいのは、ついに私たちも戦場に行くってこと」
私は、はぁっとため息をつく。この話、どうやら本当のことのようで、私たちは空挺部隊として飛ぶらしい。私が所属している部隊は、リベリオン陸軍第101空挺師団第506パラシュート歩兵連隊第1大隊A中隊の第2小隊で、小隊長だ。ちなみに、シャロンも同じとこの第3小隊隊長だ。私達は陸戦ウィッチであり、地を駆けずり、地上のネウロイを撃滅し奪還をするのが任務である。正直なところ、戦場に出るということについては、どうにも、良い気がしない。
「ため息つきたいのもわかるけど、入隊した以上、やんないとね……」
「まぁ、お互い頑張りましょう」
「えぇ、そのつもりよ。あなたとなら、空を翔る英雄よりも強くなれる気がするわ」
「空をかける、か……」
そこでふと、私は思い出した。つい先程見た、自分の根幹にある翼を欲する夢。私は一度、空を目指したのだ。空軍に入り、ウィッチになって……だが、魔力が少ないために諦めざるを得なかった……。そんな、夢を……思い出した。
「ん? どうしたの?」
「……ん~、いや、なんでもないわ。そろそろ戻りましょう?」
私はそう言うと立ち上がり、兵舎の方へ向かう。後ろでシャロンが「やれやれ」とつぶやいたのが聞こえた。
☆
もうすでにシャワーも済まし、明日への準備もできた私たちは、各々に与えられたベッドに寝転がっていた。私は小さなライトを点け、「誰にでもできるぜ! 初心者のための兵法」というものを読んでいる。今後のことを考えると、小隊を率いるための動きを心得ておく必要があるだろう。気合を入れつつ、続きから読み始める。
すると、となりから声をかけられた。
「ねぇ、ロッティー。私たち、大丈夫……よね?」
シャロンだった。だが、先ほどまであったいつもの元気がない。話し声も少し弱っているように聞こえた。
「らしくないわね」
「心配にもなるわよ……きつい訓練にも耐えて、確かに強くなってる。―――でも、戦争は平等に人を殺すわ」
そう聞いて私は本を閉じ、シャロンの方を見た。掛け布団で顔の口元まで隠し不安そうな表情で天井を見つめていた。先にあった大撤退戦やヨーロッパの各惨劇はこのリベリオンにまで轟いている。その戦地へと赴くとならばそうなっては当然だろう。
「でも、何かあったわけじゃないでしょ?」
「うん、でも」
「えい」
「あぅ」
こちらを向いたシャロンの眉間を、人差し指で小突いた。シャロンは眉間を触りながら不思議そうにこちらを見る。
「心配したって始まらないし終わらないわ。まぁ、安心なさい。私だってついてるからさ」
「…………ほんと、ロッティーはすごいなぁ」
そうぼそりとシャロンはつぶやくと、えへへとはにかんだ。何が凄いかは分からないが、私は笑みを返すとライトを消す。そして仰向けに寝た。段々と暗い部屋に慣れた目に、何度も見た無機質な天井を映す。
「……明日は、ブリタニアか……」
「……いいお店があるといいわね」
「そうね……クスクス」
「……ふふふ」
私たちはそれから、最近できたお店の話や最近うちの隊に来たイケメンな扶桑の隊員とか、どうでもいい話を少し話して、就寝した。
音が、聞こえる。
そう、これは……この音は、ストライカーの音。
風を切る、プロペラの音。
激しく動く、エンジンの音。
理解した瞬間、私の目には蒼い空と雲の海が写り、それらは歓迎してくれるようにも見えた。
あぁ、私は飛んでいるのだ。
頭から生える狐の耳から、ストライカーを履いている足の先まで……全てに飛んでいるという感覚がある。
これが、私の望んだ空。
これが、私の望んだ翼。
これが、私の望んだ夢。
―――夢
「ふふ、いいものが見れたわ」
「何で、泣いてんのよ……?」
私は目元の違和感から眼をこすり、起床する。私は、夢を見ていた。その私に、もうそろそろでブリタニアだとシャロンが苦笑して教えてくれる。私は一つ、伸びをしてハンモックのようなベッドから降りる。窓から外を見ると、一面青色の世界が見えた。時折揺れる船体が、どことなく気持ち悪さを助長する。そう、私たちは今、船で移動をしているのだった。
「まぁ、いろいろあってね。そっちはもう用意できたの?」
「できてるわよ。後は上陸するだけ~。そっちはもちろん出来てな―――」
「出来てるわ」
「―――いでしょうから待つ……早いわね」
遮って、もうすでにまとめておいた荷物を手にし、シャロンの所まで行く。シャロンは遮られたからか頬をふくらませ、ジト目でこちらを睨んでいた。
「まぁ、元々荷物は少ないほうだし……さて、そろそろね」
「ええっと……そうね。んじゃ、甲板に行きましょう?」
現在0805時……集合時刻、0830時。余裕で間に合う時間である。が、0810時に甲板にてお茶会が開催されるとのこと。ブリタニアは平和でいいなぁ。と私は思った。心の余裕があるというかなんというか。ネウロイという怪物は海を渡らないため、ブリタニアの島国までは侵攻をしていないのだから、まぁ事実平和ではある。しかし、こちら(リベリオン)の方が断然平和であるが。
そうしているうちに、お茶会の席に着いた私たちの前で、ブリタニア紳士としてしっかり振舞う誰かが、名演説を繰り広げていてくれた。
「―――であるからして、皆様にはここで英気を養っていただこうと思います。では、お茶会を楽しんでください」
その合図により、静かでいて、ゆっくり休まるお茶会が始まった。各々がティーカップから香る茶葉の匂いを堪能し、菓子をつまんで話を楽しみ始めた。
「というよりも、もとからそうさせていただくつもりだわ」
そう言いながら私は紅茶をいただく。休めるときには休んでおくものだわ。案外美味しい紅茶に、少し心がおどるのを抑えてカップを置いた。すると、シャロンが見たことのない作られた表情で、いつもよりも声音を高くして言う。
「ふふ、お手厳しいこと」
「シャロン、そのキャラは似合ってないわよ」
「もぅ、人がせっかく気分を楽しんでるのにぃ……」
「ふふふ」
「……意地悪」
ぷくっと頬を膨らますシャロン。こういう可愛いところを見ると、なんだか意地悪をしちゃいたくなってしまうのだ。それを微笑ましく眺めつつ、私は隣のテーブルの方々の話を盗み聞きする。どうやら、ウィッチたちの話をしているようだった。
「例の部隊に依頼して、前線の偵察を頼んでいたが……どうやら、地上では激戦になる可能性が大きいそうだ」
そう言ったのは襟章から大佐クラスの人であった。近いし耳がいい私だけが聞こえるからいいけど、白昼から機密情報を話し合わないでよね。ここお茶会だし、凄く人いるし。あれは紅茶じゃなくて、度のきついお酒が入ってるんじゃないの?
そう思いつつ、紅茶を一口。すると、大佐の隣の方がその話を続ける。
「……対空砲火が激しくなる、と」
「それだけじゃない。カールスラントで鹵獲されたタイガーとか、そういったものを真似たタイガー級ネウロイもいる」
「……空は、大丈夫かね」
「ストライクウィッチーズは、ブリタニアの防衛で忙しい。まぁ、ブリタニアの空軍とか、いろいろ護衛はつくだろうさ。心配はないよ」
「しかし、我が子を行かすようで心配なんだわ」
「気持ちもわからなくはない。が、俺たちはそういう役だろ?」
「だが、ほかにも問題点の多い作戦であると思うのだが……」
どうやら、上陸作戦も空中強襲も激戦になるらしい。嫌な話だ。私は、はぁとため息をつき、また紅茶を一口いただく。そんな私を見かねてか、心配そうにこちらを伺うシャロン。
「どうしたのよ。なんだか困った顔をしているわ」
「……いいえ? なんでもないわ」
「ほんとにぃ?」
「本当よ」
そう言って話を切り上げる。先ほどの不機嫌ですよオーラよりも悪化し、ブーブーと文句を言うシャロン。私は少し笑うとほかのテーブルへと耳を傾けた。ちなみに、シャロンはまだプンプンと可愛い怒りをあらわにしている。
「ねぇ、あなたはカールスラント出身でしょ」
「え? そうですが」
どうやら、私たちの部下たちのようだ。片方はレベッカ・マーティンでカールスラント出身の方はカルステン・ベックマンという名前だ。
「これだから多国籍部隊はいいわ! ねぇ、カールスラントのどこの方出身なの? どんなところだった?」
「リュクサンブールの田舎町さ。冬は寒いところだったなぁ」
「へぇ~、景色は良かったんじゃないの?」
「よかったね。一面銀色で、子供の頃はよく兄貴と雪玉を投げ合ったっけ」
「ふふふ、仲のいい兄妹だったのね」
「ああ。……でも、軍に入隊を志願して、ダイナモ作戦時に……」
「え……あ、ごめんなさい」
「いや、いいんですよ。仕方のなかったことです」
なんだか重たい話になってるわね。と紅茶を一口。私もたまに部下の愚痴や相談に乗ったりしているが、今の話は初耳だった。まだ、知らないことが沢山ある。それを聞いて、記憶に止めておきたいというのも私の夢である。
そしてそのまま聴き続けていると、今度は扶桑の山崎 雪名(せつな)が現れた。
「なんの話をしているのさ」
「げ、雪名」
雪名の登場によってレベッカの顔色が変わる。雪名は持参していたセンスとやらを広げ、自身の口元を隠した。
「あら? 奇遇ね、レベッカさん」
「奇遇なわけないでしょ……なんでここにいらっしゃるので? 怖くなって祖国に帰ったと思っておりましたのに」
「ぐっ……そういうあなたはどうなのさ? 足がガタガタ震えて、飛ぼうにも飛べないとなったら困るのだけど?」
「ぐくっ……ちょっと表に出なさいな?」
「あら、ここが表ではないのか? それで、こんなところで何をするつもり?」
「むきー! あなたという人はいつもいつも突っかかってきて!」
「あんたもそうじゃないの! というより、最初に突っかかってきたのはあんたの方よ!」
がやがや、騒がしくなってきたわね。そう思いつつまた一口……と思ったら、カップの中が空になってしまっていた。さて、おかわりをいただきましょうか。近くを通ったメイドさんに紅茶のおかわりを頼む。
その間にまた、ほかのテーブルを見た。
「ねぇねぇ、それはなんの本なの?」
「……」
片方は元気よく質問をするコレット・バルテレモンという子で、寡黙な方はジーナ・ボルジェーゼ。コレットは確かガリア出身で、ジーナはロマーニャ出身だ。
コレットはむーっと頬を膨らませ、それでも質問を続けた。それに観念したのか、ジーナはひとつため息をして本をぱたりと閉じ、表紙を見せた。
「三つの蘭のミステリー……?」
「……そう」
「ミステリー小説が好きなの?」
「……む、割と」
「へぇ~! すごいなぁ……私、推理ものとかよくわかんないし……」
「……いろんな小説を読んでいけば、理解できるようになる」
「むぅ……うん! 頑張ってみる!」
少しだけだが、ジーナが笑ったように見えた。普段、ジーナは笑ったりとか悲しんだりとか、そういった感情を表に出さないのだ。それをあの子は……案外といいペアなのかもしれない。
そう思いつつ、入れ終わっていた紅茶を一口。うん、美味しい。……ふとシャロンを見ると、「うーん、やっぱり私はコーヒーのがいいかも……」とつぶやいていた。
「ねぇ、シャロン」
「んぇ? 何?」
「……ふふ」
「い、いきなりだったから変になっただけよ! 笑わないでよ、もぅ」
「ごめんなさい。で、さっき言いかけたことだけど、このあと基地に向かって、荷物を置いてそれからすぐ訓練なのよね?」
「ええ、そうよ。全く、船で来てるんだから少し休みが欲しいものだわ」
こちらもむーっと頬を膨らませる。でも、これは子供のおねだり特権だから、なんというか可愛さで少し負けているきがする。言ってしまえばまた怒られることだし、心の奥底にしまっておこう。
さて、これから忙しくなるなぁ。私はそう思いつつ、紅茶を飲まずに自室に戻ることにした。
「どこ行くの?」
「ちょっと忘れ物を取りに行くわ」
忘れ物、というより……忘れられない、でももう見ることのないあの時の空の記憶を……
その後、居眠りを注意されたのは言うまでもない。
じつはあらすじにはああ書いていましたが、まだストライクウィッチーズはブリタニア防衛戦です。
開放はまだだ……!
まだ私自身わかっていない部分が多いので、こういった資料ではこういう動きもあったよ~等の報告を頂けると幸いです。
又、私の拙い文章の中には誤字脱字誤文や間違った表現があるかもしれません。もしあれば、これも報告していただけると幸いです。