空挺ウィッチは今日も辛い   作:黒助さん

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第二話

 約10ヶ月、部隊編成の為にブリタニア上陸を遅れたが、私達はその間もしっかり訓練を積んでいた。

 まず、実戦の訓練。ネウロイを挟撃する為にどう動くか、中隊長と副中隊長である私が決め、二手に別れてT字路を制圧する。これについて来られないものはおらず、皆しっかりと指示通りに動いてくれていた。

 これなら大丈夫ね。と思っていたのだが、パラシュート降下の際、何秒も飛ぶのに戸惑うものが出てきた為、また再編成をする事となる。部隊から外され、違う部隊に移るときの彼女たちの表情は、まるで九死に一生を得た様な助かった顔であった。

 彼女達は出て行く時、とてもいい返事であったのを私は覚えている。

 そして、各国から集められた多国籍部隊の再編成が完了したのは約三ヶ月前。そこで訓練をして、やっとブリタニアまでに至る。

 ここでは最終調整として、実践的な訓練ばかりする事となる。もちろん、基礎訓練は欠かさないが。

 

 

 

 

「さて、まずはみんなの相棒を紹介するわね!」

 

 一際テンションの高いこの人はヨランデ・カルゼン=ブラッカー大尉。私達A中隊の中隊長である。この人にはいろいろと恩があるので、頭が上がらない。

 カールスラントのリベリオン陸軍の中隊長はリベリオンのどこを探してもこの人しかいないと思う。……ま、調べていないから憶測ではあるが。

 閑話休題

 

「まず、私たちは多国籍部隊であ~る! そのため、各国それぞれに合った期待がベストだと言われている。そこで、各国で使われている機体をみんなに提供します!」

 

『おおおぉ』

 

 そう言いながらヨランデ大尉が覆い被さった布を勢いよく取ると、みんながざわつき始める。まぁ、無理もない。向こうでの訓練では、全員が使いすぎてボロボロになった空挺ストライカーユニット、M22通称「ローカスト」だけしか使われていなかった。そして、今目の前に扶桑、リベリオン、ブリタニア、オラーシャの空挺ストライカーがあるため、自分のあったものを選ぶ必要があるからだ。ちなみに、ローカストと名づけたのはブリタニアの人たちで、それが私たちにも移ってしまっただけである。

 

「ねぇ、ロッティーは何にするの?」

 

 隣にいたシャロンが話しかける。

 

「私はローカストで行くわ。他のを履いて試していくうちに感覚を忘れちゃいそうだもの。で、シャロンはどうなの?」

「まぁ、私もそうするんだけどね」

 

 そうシャロンは言うと前を向く。私も前を向くと、ヨランデ大尉がむすっとした顔で全員を見ていた。どうやら、話の途中でざわついたのが原因のようだ。そして、皆が話をやめると大尉は一つ咳払いをし、続きを言い始めた。

 

「んんっ……で、全員の装着を二分で済ましなさい。そんで整列、いいね!?」

『イエス・マム!』

 

 大尉の掛け声とともに、皆が一斉に動き出す。用意されていた機体を一人一人履いて、金属の擦れる音が良く聞こえた。私も、皆とともに機体のもとへと向かい、その前に立つ。

 そして、私は履く前にその機体を撫でた。この子とは長い付き合いになりそうな気がする……そう感じたからだ。

 

「……君は、君の名は……ファルコン。……よろしくね? ファルコン」

 

 そう言って、私は勢い良く塀を超えるような形で飛ぶと、ファルコンを履いた。我ながら器用に履いたなと思いつつ、体勢を立て直す。すると、固定台が自動で分離し、地に足をつけることができた。二、三歩動いてストライカーを確かめると、私は急いで隊列に戻った。

 

「さぁて、みんな揃ったね。それじゃあ訓練開始! 今日も同じメニューだよ!」

 

 みんなが揃ったところでヨランデ大尉はそう言った。すると、みんなが一斉に動き出す。

 まずは走り込みだ。と私が言うと、みんなが私の後ろに付いて、始まるのを今か今かと待っていた。そして、私は指示を出し、動きはじめた。

 私は、いつもと変わった景色を楽しみながら道を走る。後ろを振り向くと、全員が真剣な顔をしていた。まぁ、私は元々体力のある方なので、こういった真面目なみんなを見ると、面白くて笑ってしまう。

 

「さて、みんな! ペース上げるわよ!」

「良いわねぇ、許可するよ!」

 

『えええええ!?』

 

「……あ、悪魔……」

 

 シャロンが何か呟いたので私は満遍の笑みをしてこう言った。

 

「何か言ったかしら?」

 

 

      ☆

 

 

 そして、訓練が終わった。私達は与えられた部屋で休むことにした。

 

「ねぇ、ロッティー?」

「ん? どうしたの?」

 

 シャロンはラジオをつけて、こちらのベットに座る。しかし、その声音は少し震えていた。

 私は、どこか不安げで、しかしニヤけているシャロンが不思議であった。

 

「す、好きになった事……ある?」

「? ……何を?」

 

 とても目が泳いでいる。何だろう……少し面白い。でも、話の意図が掴めないでいた。シャロンも、「えーっと、えーっと」と言いながら、言葉を選んでいるようだ。

 

「私は……ずっと好きで、大切なのはあるよ」

「え!? い、一体ど―――」

「空よ」

「んな人……空? 空ってあの……?」

 

 頭に疑問符を浮かべながら、人差し指で上を指すシャロンに、私はこくりと頷いた。すると、シャロンは少しその状態のまま固まると、深い溜息をして俯いた。

 

「あのねぇ……likeじゃなくてloveの方なのよ?」

「知ってるわよ。だから、私は空を愛してる」

「……はぁ」

 

 今度は額に手を当てて宙を仰いだ。何かおかしいのかしら?私はそう疑問を持ちながらシャロンの様子を見た。何故か周りを気にした後、耳元で囁くように告げた。

 

「誰かを好きになる、こ……恋人にしたいとか思う人はいるの?ってことよ」

 

 そう聞いて、私はシャロンの顔を見た。赤面で、恋する乙女のような表情。可愛い、とつい言ってしまいそうな顔に、私は思わず少し笑ってしまった。

 

「……ふふ、そこまでしなくても良いことじゃない。答えだけど、私には居ないわ」

「居ないの? 本当に?」

「本当よ。あなたはどうなの? ねぇシャロン?」

「…………」

 

 自分自身、口元がニヤけているのが分かる。が、敢えて私はそれを見せつけた。シャロンは尚も赤面状態で、こちらを恨めしそうに睨んでいる。可愛いなぁ……主に弄ると。

 数分間その様な状態が続き、やっとシャロンは口を開いた。

 

「……こ、告白されちゃって……」

「告白!?」

 

 不覚にも、私は驚いてしまった。ここら辺ではあまり男の隊員はいないからである。一体どこで……まさか、どこかのお店で一般の人に……? 私は、混乱から冷静な判断ができない状態のまま、話を続ける。

 

「ど、どこの誰よ? 話なさいシャロン」

「……初めて見たかもしれない。ロッティーがここまで慌てるの……」

「い、良いから話なさいよ」

「ロッティー、可愛い♪」

 

 ぐ、くぅぅ。先程の礼と言わんばかりにニヤけるシャロン。私は呻くような声が出た。してやられたわ。私は目をつむり、一回落ち着いてシャロンの話を聴く。

 

「……で、どこの誰なの?」

「……昨日話していた、あの男の子なの」

「え?  あ、あの扶桑の……」

「……うん」

 

 ズキリ。何か、胸を刺す痛みが走った。それは一体何なのか……私は、分からないまま話を続けた。

 要約すると、どうやらシャロンは、昨日話していた、最近私達の所に来たイケメン君に、告白をされた様なのだと。そして、どう返事をすべきか悩み、考える時間を頂き逃げてきた……らしい。

 だから、どう応えるべきなのか私に相談した、ということらしい。

 

「な、何か、無い?」

「何か、ねぇ……」

 

 そういわれても、どう答えるべきなのか~等は私がわかるわけがない。私は少し考えて、シャロンに質問をしてみた。

 

「ねぇシャロン、あなたはどう思っているの?」

「ど、どうって……正直、良く分からないわ。初めてだし……」

 

 シャロンの顔はまた赤く染まる。その内、煙でも出るんじゃないの?と思う私がいた。

 

「嫌いでもないし……胸がドキドキするし、顔を直視できないし、いつも必ず噂を聞くようにしていたし……」

「……あー、最後のは冗談としてとっといて……それは恋じゃないの?」

「そ、そう、なの?」

 

 私が答えると、シャロンは驚いた表情で聞き返してきた。私が「きっとそうよ」と肯定すると、シャロンはまるでパズルの最後の一ピースが揃ったような感覚を覚えたような表情をする。どうやら、本当に彼のことが好きらしいわね。私はそう、確信をもてた。

 

「で、どうするの?」

「ど、どうするって……」

「返事。彼に恋して、彼も貴女が好きなのよ? お互いがお互いを好きになってる。違うかしら?」

「……ううん」

 

 シャロンは小さく首を振った。両想いであるとしっかり自覚したからだ。なら、後は背中を押すだけ。私には、それしか出来ない。少しだけ、彼が羨ましくなった。何故かは、分からない。

 

「じゃあ、今の内に行きなさい」

「ぅえ? で、でも」

「思い立ったら即実行、よ。いつまでも逃げていたら終わらないから、逃げたらすぐに戻りなさい」

「あぅ」

「戻って、そして伝えなさいよ。貴女の気持ちを」

 

 そう言いつつ、私はシャロンの背を押し、ドアまで歩かせた。

 

「後は貴女がどうするか、よ?」

「…………ありがとう、ロッティー」

 

 シャロンは少しの間考えると、覚悟を決め、その扉を自分の意志で開いた。私は微笑んで彼女を見送る。

 無事、凱旋するだろう。だけど……何故だろう。こんなにも……寂しいと思うのは……。

 ひとり、バラード調の曲が流れるこの部屋で、立ちつくしながら……私はそう、感取した。

 




まだ私自身わかっていない部分が多いので、こういった資料ではこういう動きもあったよ~等の報告を頂けると幸いです。

又、私の拙い文章の中には誤字脱字誤文や間違った表現があるかもしれません。もしあれば、これも報告していただけると幸いです。
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