case1 猫耳の獣人の場合星2
止まれなくなったあたしはその日からずっと彼を求めた。二人きりになったタイミングで口づけを交わし、隠れてずっと愛を囁いた。
「好きよ…あたしにはあんたしかいないの」
ペコリーヌは王宮、ちび助は決まった時にしか居ない。だからあたしが望めば常に彼の側にいれる。ただ弁えてもいる。出掛けたい彼を束縛したり、誰かと居るときには手をださない。
誰かに気がつかれた時にあたしは元の位置に戻ってしまう。
いつか来る未来を可能な限り遅らせる。誰かに責められて離されるまであたしはあの温もりに縋り付いていたい。
あたしは所詮、敗北者だ。
case2 猫の願いは儚い
「き、キャルちゃん?」
夢の終わりは唐突に来る。ドアの前で立っているペコリーヌ。裸のあたしと半裸の彼はソファーで絡み合っていた。
「……邪魔しないでよ。見たらわかるでしょ」
見せ付けるように彼にキスをする。これが最後になるのかな。
「キャルちゃん!」
パン!
ペコリーヌの方を見た瞬間に頬を叩かれた。見えた顔には涙が浮かんでいた。
「あんたには関係ないはずよ」
「あります!私もゆうきくんの事が好きなんです!」
「あたしも好きなの!だからこうしてる!あんたはこんなこと何一つした事ないでしょ!」
「関係ありません!そんな肉体関係なんていつでも結べます!キャルちゃんが少し早かっただけで私が諦める理由になりません!」
「ならこいつに聞いてみましょうよ!誰がいいのか!」
ああ引き金を引いた。これで終わりだ。ありがとう、あたしの夢に付き合ってくれて。
キャルが好きだよ。
息が詰まる。彼と目が合うと彼は笑っていた。
「なんで…あんたはペコ…っ」
言い切る前に唇を塞がれる。あの時とは逆に舌を入れられてされるがままになる。
ごめんね、ペコリーヌ。約束は守れない。
「っ!!」
バタン!
ペコリーヌがドアを閉めて出ていく。取り残されたあたし達に奇妙な空気が流れる。
「なんであたしなの?ペコリーヌやちび助の方があんたには似合ってる。あたしは…あたしはあんたに選ばれたらダメなのに」
彼は困った顔をする。
ギュウ
抱きよせられる。彼の胸元に耳が当たり彼の鼓動が聞こえる。
「本当にあたしでいい?ペコリーヌみたいに地位も料理もできなくて、コロ助みたいに家事もできないのよ?それなのにあたしでいいの?」
彼は何も答えない。それでも抱きしめる力は強くなっている。
「信じるわよ?あたしバカだから一回信じたらずっと信じるからね!裏切らないでよ?」
彼は答えない。抱きしめていた手が離れて、あたしの顔を上に向ける。彼の顔は真剣だった。
彼の答えはキスだった。
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