蒼の咆哮   作:修行者‪α‬

7 / 10
11/5 あらすじも含め、目に付いた部分の一人称表記などを原作に寄せたり統一しました。

序章はこれにて終幕。短めです。


07. そして

「へへ・・・・・・」

首から下げたパズルを大事そうに抱えて遊戯は学校の廊下を歩いていた。

昨日の夜の記憶は曖昧で、パズルを完成させたあとのことはほとんど覚えていない。多分そのまま寝てしまったのだろうと思う。

双六から渡されたお金があるとはいえ、牛尾に会うのは憂鬱で学校に向かう足取りは重かったのだが・・・・・・なんでも彼は昨夜の内に急病で病院に運ばれたとか。少々気にかかるものの、金を払わずに済みそうなのは幸運だった。

「よっ遊戯」

あと少しで教室に辿り着くところで彼は横から声をかけられた。振り向けばそこには壁に背中を預けた状態でこちらを見ている城之内の姿。

「あ、城之内くん!」

本田と共に倒れていたのを見てから、傷の具合は大丈夫だろうかと気になっていた遊戯は安堵したように息を吐いた。ガーゼで覆った箇所があったり、かすり傷はあるようだが、おおむね健康そうである。

「オメー傷は大丈夫かよ・・・・・・?」

などと考えていれば、向こうも同じようなことを思っていたらしい。城之内は声を潜めて遊戯を見た。

「うん、ボクは大丈夫。城之内くんこそ大丈夫だった?」

「へん、オレを誰だと思ってんだ?全然平気だぜこんなモン!」

勝気に眉を上げて城之内は得意そうに笑う。そして、明後日の方を見て口を開いた。

「・・・・・・遊戯よぉ、オレはおまえにならって宝物持つことにしたぜ──見てぇか?」

遊戯にとっての宝物はこの黄金のパズルだ。城之内にとっての宝とは一体なんだろう。気になった遊戯は大きく頷いたのだが・・・・・・。

「ははは、残念・・・・・・。実はオレの宝も『見えるもんだけど見えねぇモン』だから見せられねぇのよ」

見えるけれど見えないもの・・・・・・?

完成する前のパズルがそうだった。城之内もパズルを始めたのだろうか、などと見当違いの方向に思考が行き始めたその時。

城之内は遊戯に向き直った。

 

「──それは『友情』さ!オレとおまえは互いに見えっけどよ・・・・・・友情ってやつは見えねーだろ!!」

 

眩しいほどの笑顔にぴたりと遊戯は固まる。

思いもしなかった言葉だ。そして、ずっと彼が求めていたものでもあった。

「──・・・・・・うん!!」

目尻に涙を嬉し涙を浮かばせて、彼は返事を返す。

 

授業が始まると言って、今更顔を出した照れを隠して走り出した城之内を遊戯が追いかけていく。

 

「コラーッ城之内ィ武藤ォ!!廊下は走るなー!!」

「すんませぇん!!」

「ごめんなさぁい!!」

 

「あんたたち朝からなーにやってんの!」

窓から顔を出した杏子の声も、またそのあとに続く。

 

隣の教室でそれらを耳にした明日佳は思わずくすりと笑みを零した。

 

 

 

少しだけ前より変化した。

 

そんな、日常の一幕。

 

 

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