実行委員が活動を初めて数日、レッスンで作業に参加出来ない日もあるけど、順調だと思われた。この日までは…。
「ね、ね、比企谷」
「おう神谷、お疲れ」
「なんか、人少なくない?」
「あぁ、神谷はレッスンの日だったか。実行委員長様がクラスにも参加して楽しめだとよ。OGにのせられてな」
何それ、意味わかんない。
「こんなんじゃ文化祭までに間に合わないよ」
「そうだな」
「比企谷はそれでいいのかよ!」
「別に…」
「わ、私は嫌だ…」
比企谷と一緒に楽しみたかった。
「それに、デビュー出来たら来年の文化祭には…」
「…そうか」
それだけ言って比企谷は作業に戻った。
比企谷は黙々と仕事をこなしていた。それもかなりのスピードで。それに雪ノ下さんも凄い…。途中で葉山君が来てなんか手伝ってたけど、どうして女子の多くは葉山君が格好いいなんて言ってるんだろう?軽薄そうな笑い方なんて気持ち悪いだけなのに。比企谷の方が断然いい!!
な~んてことを考えながら私も目の前の仕事を片付けていく。
数日後、副委員長の雪ノ下さんが体調を崩して休んだ。比企谷がお見舞いに行ってしまった…。胸が苦しくなった。私も体調崩したら、お見舞いに来てくれるかな…。
雪ノ下さんも復帰し、文化祭のスローガン決めの為に文実全員参加の日。
「うす」
「よっす、比企谷」
ちょっと聞いてみようかな。
「なあ、比企谷。私がさ、体ちょ…」
「神谷は倒れるなよ」
え?
「なんだ、ほら、心配…だから…な」
頬を掻きながらポツリと言ってくれた。
「わかった。比企谷も無理すんなよ」
「俺は大丈夫だ。むしろ、サボるまである」
「嘘つき」
私の言葉を聞いて、ニヤリと口角を上げた。いつもの比企谷だ。
「神谷、文化祭楽しもう」
そう言って自分の席に着いた。
スローガンを決める会議が始まり、様々な案が出たが、委員長のは何?『絆』だって?私より出席率の低い人となんか絆なんか感じないよ。むしろ、比企谷との絆を深めたいまである。うん、比企谷っぽい。
そんなことを考えていたら、比企谷が発言した。
【人~よく見たら片方楽してる文化祭~】
ププッ!何それ、最高♪なんかOGは大爆笑してるし、雪ノ下さんも顔は隠してるけど肩が震えてる。
あれ?委員長とか数人、比企谷を睨んでる。睨んでる連中はあんまり見ない顔だ。言われても仕方ないのに。でも、比企谷は大丈夫なのかな?
翌日の昼休み、比企谷に聞いてみた。
「あれが人を集めるのに一番効果的だった」
「他に方法はなかったのかな?」
「なぁ、神谷。人を団結させるには何が必要だと思う?」
「えっと…、カリスマ性のあるリーダーとか?」
「間違いではないが、時間もないし相模には無理だ」
「それであの発言?」
「そうだ。集団をまとめる時に必要な敵を作った。適度に打倒可能な」
確かに…。出席して文化祭さえ成功させればある意味アイツらにとっては勝ちだ。
「でも、それじゃあ比企谷が…」
「神谷、文化祭成功させような」
言いかけた時に先にそう言われてしまった。私があんなこと言ったから…。ごめん、比企谷。
私に出来ることは…。
「比企谷!」
「お、おう、何だ?」
「私は比企谷の味方だからな!!」
「お、おう、わかった。ありがとう」
なんか比企谷の顔が赤い。
「か、神谷、近いし、…その、手を…」
だぁぁぁぁ、感情的になって比企谷の手を握ってしまった!!
「ま、まったく比企谷は手を握ったくらいで、お子様だなぁ」
「お前も顔真っ赤だぞ」
うぐっ!