文化祭も残すは体育館のステージのみ。私は体育館の外で片付けをしていた。
ん?あれは委員長?こんな時間に校舎の方に行くなんて…。
比企谷のクラスの葉山君たちの演奏が終わった。あとは地域賞とかの発表と閉幕の挨拶か。あっという間だったなぁ。
あれ?また演奏が始まった。アンコールなんてやるの?
…あれは、比企谷。
「お~い、比企谷!」
「あ、神谷!ちょうど良かった」
「どうしたんだ?アンコール始まったみたいだけど」
「相模、見なかったか?」
「委員長?さっき校舎に行ったよ」
「OK、わかった」
そう言って校舎に向いた…。と、思ったら振り返った。
「神谷、写真撮ってくれてありがとな」
「へ?」
「あれ、よく撮れたぞ」
「そっか、良かっ…」
「さんきゅー、神谷。愛してる」
「なっ////」
比企谷は走って校舎にはいっていった。
『愛してる』『愛してる』『愛してる』(イケボ)
「バカ~!!!」
後で、問いたださないとな。
あと、私も愛してる…。やっぱ無理ぃぃぃぃ!!
ん?…何これ?由比ヶ浜さんの歌声?そんなのプログラムにない。
委員長、戻ってきた。なんか泣いてるし。なんで葉山君と一緒なんだ?比企谷が探してたはずなのに。と思ったら比企谷が戻ってきた。
「神谷」
「あ、比企谷」
なんか、悲しそうっていうか、つらそうな顔してる。
「比企谷、何があったんだ?」
「俺が最低のこと言って相模を泣かせた。それだけだ」
え?なんで?
「何でそうなるんだ?」
「いいんだ。それで相模がエンディングに間に合ったんだから」
「でも…」
「ほら、体育館入ろうぜ」
それ以降、比企谷は何も言わなかった。
振替休日を挟んで、文化祭後の最初の登校日。教室に入るとクラスメイトが話しかけてきた。
「奈緒ちゃん、聞いた?」
「何を?」
「F組のヒキタニ?が、エンディングセレモニーの前に委員長泣かせたって」
え?なんで委員長が比企谷に泣かされたの知ってるの?
「相当な罵声浴びせたらしくて、そこに葉山君が助けに入ってステージに連れて行ったらしいよ」
なんでそんなことになってるんだ?
「ほら、奈緒ちゃんもたまにアイツと話してるから、気を付けた方が…」
バンッ!!
私は机を思いっきり叩いた。
「比企谷は理由もなくそんなことするヤツじゃない!!」
そう言って、比企谷のクラスへ向かった。
「比企谷!!」
つっぷして寝ていた比企谷が顔をあげた。
「神谷か。俺にかかわ…」
「何、あの噂は!!」
「あの時も言ったが事実だ」
そう言って、そっぽを向いた。
「そうだよ。ウチはヒキタニにヒドイこと言われたせいでエンディングセレモニーは大変だったんだから」
委員長の相模さん…。なんでヘラヘラ笑っていられるの?
「ヒキタニと一緒に居たら、貴女も泣かされるよ」
イライラする。
「…比企谷」
「え?なに?」
「ヒキタニじゃない!比企谷だ!総武に通ってるのに読めないの?それともワザと?ワザと言ってるならイジメだよね?」
「そ、それは葉山君がそう呼んでたから…」
葉山君?教室の後ろで薄っぺらい笑みを浮かべてる。気持ち悪い。
「そ、そんなことより!コイツに泣かされたのは事実だし!」
「じゃあ、聞くけどさ、葉山君たちが演奏してる時にどこに行ってたの?」
「そ、それは…」
「あの時間に相模さんが校舎に入るのを私は見てたの。どこで比企谷に泣かされたの?」
「…お、屋上」
「屋上は立ち入り禁止だよね?私も鍵が壊れてるのは知ってるけど」
「…」
「困ったら黙り?なんでエンディング間近の時間に屋上に居たの?」
「神谷さんだっけ?相模さんも困ってるから、そのへんで…」
貼り付けたような笑顔の葉山君が声をかけてきた。
「葉山君…」
何、助けを求めてるのコイツ!
「邪魔しないで!何?相模さんが困ってるからだって?エンディングが始まる時間に屋上に居た相模さんは悪くないって言うの?比企谷だけが一方的に悪いってこと?葉山君だってその場に居たんじゃないの?」
「そ、それは…」
「う、ウチはヒキタ…比企谷に底辺の人間だって言われた比企谷と同じで」
比企谷が底辺だって?
「それは違う。底辺なのは相模さん、貴女だけだよ」
「そ、そんな…」
「神谷さんもそんなこと言わなくてもいいじゃないか」
そっか…、比企谷はきっと…。
「比企谷に泣かされて王子様の葉山君に助けてもらってエンディングセレモニーに出て、悲劇のヒロイン気取りかよ!!それで比企谷の悪口言って!!逃げ出したクセに!!アンタのせいでバラバラになりかけた実行委員会を支えてたのは誰だよ!!比企谷は記録雑務以外の仕事もたくさんしてたよ!雪ノ下さんだって倒れるまで仕事してたよ!!アンタはその時何してたんだよ!!」
「神谷、もういい」
「比企谷…私…は…比企谷が…」
「お前…泣いてるのか…」
あれ?なんで私泣いてるんだ。泣くな!泣くな!泣いちゃダメだ!
「なんだ!この騒ぎは!」
平塚先生が教室に入ってきた。
「神谷…君は泣いているのか…」
「すいません。泣くつもりなんて…」
「川崎、事情を説明してもらえるか?」
川崎さん?が平塚先生に今あったことを説明した。
「うむ、事情はわかった。しばらく自習にする。神谷、君は私と来なさい」
「はい」
教室の外に出て扉を閉めると平塚先生に抱きしめられた。
「ありがとう神谷。比企谷のことをわかってやってくれて」
「先生…私…一生懸命頑張ってた比企谷が悪く言われるのが許せなくて…。比企谷が頑張ってたのをみんなに知ってほしくて…」
「そうか」
「アイツはなんでもないようにしてるけど、きっとアイツだって…」
「そうだな」
「私は比企谷の味方でいるって決めたから、だから…」
私は平塚先生の胸でたくさん泣いた。
「先生、すいませんでした」
「気にするな。なぁ、神谷」
「はい」
「比企谷は誤解されやすい」
「はい」
「これからも、比企谷の味方でいてくれ」
「はい!」
「うむ、いい返事だ。比企谷は君がデビューするのは知っているのかね?」
「はい。一番に伝えました」
「ふむ、君はもしかして比企谷のことを…」
「先生、それ以上は…」
「いや、すまんすまん。いやぁ青春だな」
「は、はあ」
「担任には私から言っておく。相模にも後程説教をするから、教室に戻りたまえ」
「はい。ありがとうございました」
いい先生だなぁ、なんで結婚出来ないんだろう。
教室に戻り、噂の誤解を解く。相模さんがエンディングに遅れそうになって呼び戻す時に口論になった…ということにしておこう。
授業が終わり、教室を出ると比企谷が廊下に居た。
「よう」
「よ、よう…。今朝はごめん…」
「い、いや、こっちこそ、ありがとな。平塚先生に説教されたらしくてな、相模に謝られたよ」
「うん」
「なぁ、そのうち暇な日とかあるか?」
「え?」
「またラノベ見に本屋行こう…な」
「わかった」
「じゃあ、俺は部活行くから」
「私はレッスン行くよ」
駆け足で比企谷を追い抜く。あの時の仕返ししてやる!
「誘ってくれて、さんきゅー。愛してるよ、比企谷」
「なっ///」
言ってやったぞ!
ざまあみろ!ざまあみろ!ざまあみろ!
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屋上には参加しませんでした。屋上への乱入を期待されてた方には、申し訳ないです。