神谷奈緒は総武高生   作:おたふみ

16 / 40
16話

「よ~し、今日のレッスンはここまで」

 

「ありがとうございました」

「ありがとうございました」

「ありがとうございました」

 

レッスンが日々厳しくなっていく。

 

「加蓮、大丈夫か?」

 

「大丈夫。ポテト食べた~い」

 

「大丈夫そうだな。凛はさすがって感じだな」

 

「そう?普通だよ」

 

私と加蓮はヘロヘロなのに、凛はケロッとしている。先にデビューしてるからだろうか。

 

「明日はレッスンないけど、凛と奈緒はどうするの?」

 

「私は店番かな」

 

凛の家は花屋をやってるらしい。

 

「私は本屋にラノベと漫画を見に行くよ」

 

実は、さっき比企谷からLINEが来て、部活が休みになったから、本屋に誘われたんだ♪

 

「もしかして、比企谷君と?」

 

「ば、バカ、ち、ちちちち違うよ」

 

「奈緒はわかりやすいよね、ニヤニヤしちゃって」

 

ううう…。

 

「加蓮、その話詳しくきかせて」

 

凛が食いついた!!加蓮も説明しなくていいから…。

 

「へ~、そうなんだ」

 

なんか生暖かい目で見られてる。

 

「この前なんか、文化祭で一緒に撮った写真見てニヤニヤしてたんだから」

 

「ふ~ん」

 

殺してくれ~!!

 

「明日は、その比企谷君とデートなんだ?」

 

「違うって言ってるだろ!!」

 

「ふ~ん」

「へ~」

 

完全に疑ってる…。

 

なんとか、加蓮と凛の追及を逃れて、その日は帰宅。

 

翌日の放課後、校門を出た所で比企谷と待ち合わせ。

 

「よっす、お待たせ」

 

「おう」

 

「そこは『俺も今来たところだ(イケボ)』って言うところだろ」

 

「どこの『宮野真守』だよ。どっから出したんだよ、その声。ほら行くぞ」

 

「行くか」

 

しばらく歩くと比企谷が後ろを気にしていた。

 

「比企谷、どうか…」

 

「シィッ。つけられてるっぽい。振り向くなよ」

 

「う、うん」

 

「俺の噂も完全に消えたわけじゃねぇからな」

 

「だ、大丈夫なのかよ…」

 

「とりあえず、そこの角を曲がったら隠れるぞ。それで様子を見る」

 

「わかった」

 

角を曲がり二人で物陰に隠れた。

 

「あれ?いない」

「どこ行ったんだ?」

 

私がよく知ってる二人がいた。

 

「凛!加蓮!」

 

「奈緒!」

「奈緒!」

 

「なにやってんだよ…」

 

私が呆れていると、比企谷が聞いてきた。

 

「神谷の知り合いか?って、渋谷凛!!」

 

「この二人は…」

 

って言いかけたら加蓮が比企谷に抱きついた!!なんでっ!!

 

「八幡!会いたかった!」

 

「いいっ!」

 

え?え?え?

 

「比企谷と加蓮て知り合いだったのか?」

 

「し、しらん」

「初対面だよ」

 

「じゃあ、なんで…」

 

「奈緒が驚くと思って。比企谷君に会いたかったのは本当だよ」

 

「いや、俺が驚くから…。とりあえず離れて」

 

「加蓮、離れろ」

 

加蓮を比企谷は引き剥がす。

 

「比企谷君って、見た目よりたくましいね」

 

「知ってるよ!プールでみたから!」

 

「じゃあ、私も…」

 

「凛までやらなくていい!」

 

比企谷に抱きつこうとする凛を止める。…まったくもう。

 

「神谷…」

 

「何?」

 

「苦労してんだな」

 

「うん」

 

「ここで立ち話もなんだ。サイゼでも入るか?」

 

まぁ、比企谷ならそうだよな。

 

「サイゼリア?」

 

凛、ダメだ!

 

「ふっ、違うな。サイゼリ『ア』ではないサイゼリ『ヤ』だ」

 

「へ、へ~」

 

凛が引いてる。

 

「ポテトあるならいいや」

 

加蓮、それもダメ!

 

「ふっ、甘いな。フライドポテトはないぞ」

 

「ええ~、ないの」

 

「ポテトのグリルならある」

 

「じゃあそれで」

 

「よし、決まりだ」

 

え?私の意見は?ない?デスヨネ。

 

サイゼに着き、各々がドリンクバーで飲み物を調達して席に座る。

 

比企谷のコーヒーのガムシロとミルクの量に二人が引いてる…。

 

「改めて、自己紹介するね。私は北条加蓮。Triad Primus(トライアドプリムス)のリーダーだよ」

 

「いつからだよ!!」

 

「私は渋谷凛。Triad Primusのキャプテン」

 

「なんだよそれ!!」

 

「そして、ツッコミ担当の神谷と」

 

「なんでだよ!!」

 

「お~」

「お~」

「お~」

 

しまった!!

 

「比企谷君、わかってるね。私のことは『加蓮』て呼んで」

 

「私も『凛』で」

 

「なんで私よりフレンドリーに呼ばれるんだよ!」

 

「まぁまぁ神谷、落ち着け」

 

まったく、この二人は…。

 

「女子を名前で呼ぶのはハードル高いから、名字呼び捨てで勘弁してくれ。俺は神谷の同級生で比企谷八幡だ」

 

「じゃあ、私は『八幡』で」

 

「私も」

 

「お前ら~!!」

 

「奈緒だって、名前で呼んだことあるんでしょ?プールで」

 

あっ、バカ。

 

「何それ、聞きたい」

 

ほら、凛が食いついた…。

 

「神谷、話したのか?」

 

「ごめん、比企谷」

 

「プールで奈緒がナンパされた時にね」

 

「うんうん」

 

比企谷が真っ赤になっている。

 

「こ、殺してくれ」

 

「私も…」

 

しばらくの間、比企谷からは学校での私の様子、凛と加蓮がレッスンでの私の様子などを話していた。

 

何この羞恥プレイ。

 

ひとしきり話すと凛と加蓮が姿勢を正した。

 

「奈緒、比企谷君、今日は後をつけるようなことをして、ごめんなさい」

「ごめんなさい」

 

「え?」

「どうしたんだよ急に」

 

「いや、うやむやになるとアレだから、忘れないうちに謝ろうかと…」

 

「俺は気にしていない。むしろ、美少女三人と楽しく話が出来てご褒美まである」

 

「私も大丈夫だ」

 

「でも、なんでこんなことしたんだ?」

 

「昨日、二人で話をしていて、本当はヤバイ人だったらどうしようって…」

 

「そう考え出したら止まらなくなっちゃって…」

 

二人は私を心配してくれていたんだ。

 

「で、実際はどうだった?大したことないだろ?」

 

「そんなことない」

 

「比企谷君なら奈緒のことを任せられる」

 

「奈緒のことを、よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」

 

「お前ら私のかあちゃんか!!」

 

「いやいや、こちらこそ神谷のことよろしくお願いします」

 

「お前は私のとうちゃんか!!」

 

盛大な私のツッコミの後、解散になる。

 

「比企谷君、オータムライブは来るんでしょ?」

 

「そのつもりだ」

 

「じゃあ、その時に会えるのを楽しみにしてるね」

 

「逆だろ。俺の方が楽しみだ」

 

「じゃあ奈緒、またレッスンでね」

 

「おう」

 

「比企谷君もまたね」

 

「またな」

 

凛と加蓮が帰っていった。

 

「神谷、いい仲間に会えたな」

 

「私もそう思うよ。今日のはやり過ぎだけどな」

 

「許してやれよ」

 

「逆に二人を比企谷に紹介する手間が省けたよ」

 

「それで、本屋はどうする?だいぶ遅くなったが」

 

あっ!ダメじゃん!

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。