「よ~し、今日のレッスンはここまで」
「ありがとうございました」
「ありがとうございました」
「ありがとうございました」
レッスンが日々厳しくなっていく。
「加蓮、大丈夫か?」
「大丈夫。ポテト食べた~い」
「大丈夫そうだな。凛はさすがって感じだな」
「そう?普通だよ」
私と加蓮はヘロヘロなのに、凛はケロッとしている。先にデビューしてるからだろうか。
「明日はレッスンないけど、凛と奈緒はどうするの?」
「私は店番かな」
凛の家は花屋をやってるらしい。
「私は本屋にラノベと漫画を見に行くよ」
実は、さっき比企谷からLINEが来て、部活が休みになったから、本屋に誘われたんだ♪
「もしかして、比企谷君と?」
「ば、バカ、ち、ちちちち違うよ」
「奈緒はわかりやすいよね、ニヤニヤしちゃって」
ううう…。
「加蓮、その話詳しくきかせて」
凛が食いついた!!加蓮も説明しなくていいから…。
「へ~、そうなんだ」
なんか生暖かい目で見られてる。
「この前なんか、文化祭で一緒に撮った写真見てニヤニヤしてたんだから」
「ふ~ん」
殺してくれ~!!
「明日は、その比企谷君とデートなんだ?」
「違うって言ってるだろ!!」
「ふ~ん」
「へ~」
完全に疑ってる…。
なんとか、加蓮と凛の追及を逃れて、その日は帰宅。
翌日の放課後、校門を出た所で比企谷と待ち合わせ。
「よっす、お待たせ」
「おう」
「そこは『俺も今来たところだ(イケボ)』って言うところだろ」
「どこの『宮野真守』だよ。どっから出したんだよ、その声。ほら行くぞ」
「行くか」
しばらく歩くと比企谷が後ろを気にしていた。
「比企谷、どうか…」
「シィッ。つけられてるっぽい。振り向くなよ」
「う、うん」
「俺の噂も完全に消えたわけじゃねぇからな」
「だ、大丈夫なのかよ…」
「とりあえず、そこの角を曲がったら隠れるぞ。それで様子を見る」
「わかった」
角を曲がり二人で物陰に隠れた。
「あれ?いない」
「どこ行ったんだ?」
私がよく知ってる二人がいた。
「凛!加蓮!」
「奈緒!」
「奈緒!」
「なにやってんだよ…」
私が呆れていると、比企谷が聞いてきた。
「神谷の知り合いか?って、渋谷凛!!」
「この二人は…」
って言いかけたら加蓮が比企谷に抱きついた!!なんでっ!!
「八幡!会いたかった!」
「いいっ!」
え?え?え?
「比企谷と加蓮て知り合いだったのか?」
「し、しらん」
「初対面だよ」
「じゃあ、なんで…」
「奈緒が驚くと思って。比企谷君に会いたかったのは本当だよ」
「いや、俺が驚くから…。とりあえず離れて」
「加蓮、離れろ」
加蓮を比企谷は引き剥がす。
「比企谷君って、見た目よりたくましいね」
「知ってるよ!プールでみたから!」
「じゃあ、私も…」
「凛までやらなくていい!」
比企谷に抱きつこうとする凛を止める。…まったくもう。
「神谷…」
「何?」
「苦労してんだな」
「うん」
「ここで立ち話もなんだ。サイゼでも入るか?」
まぁ、比企谷ならそうだよな。
「サイゼリア?」
凛、ダメだ!
「ふっ、違うな。サイゼリ『ア』ではないサイゼリ『ヤ』だ」
「へ、へ~」
凛が引いてる。
「ポテトあるならいいや」
加蓮、それもダメ!
「ふっ、甘いな。フライドポテトはないぞ」
「ええ~、ないの」
「ポテトのグリルならある」
「じゃあそれで」
「よし、決まりだ」
え?私の意見は?ない?デスヨネ。
サイゼに着き、各々がドリンクバーで飲み物を調達して席に座る。
比企谷のコーヒーのガムシロとミルクの量に二人が引いてる…。
「改めて、自己紹介するね。私は北条加蓮。Triad Primus(トライアドプリムス)のリーダーだよ」
「いつからだよ!!」
「私は渋谷凛。Triad Primusのキャプテン」
「なんだよそれ!!」
「そして、ツッコミ担当の神谷と」
「なんでだよ!!」
「お~」
「お~」
「お~」
しまった!!
「比企谷君、わかってるね。私のことは『加蓮』て呼んで」
「私も『凛』で」
「なんで私よりフレンドリーに呼ばれるんだよ!」
「まぁまぁ神谷、落ち着け」
まったく、この二人は…。
「女子を名前で呼ぶのはハードル高いから、名字呼び捨てで勘弁してくれ。俺は神谷の同級生で比企谷八幡だ」
「じゃあ、私は『八幡』で」
「私も」
「お前ら~!!」
「奈緒だって、名前で呼んだことあるんでしょ?プールで」
あっ、バカ。
「何それ、聞きたい」
ほら、凛が食いついた…。
「神谷、話したのか?」
「ごめん、比企谷」
「プールで奈緒がナンパされた時にね」
「うんうん」
比企谷が真っ赤になっている。
「こ、殺してくれ」
「私も…」
しばらくの間、比企谷からは学校での私の様子、凛と加蓮がレッスンでの私の様子などを話していた。
何この羞恥プレイ。
ひとしきり話すと凛と加蓮が姿勢を正した。
「奈緒、比企谷君、今日は後をつけるようなことをして、ごめんなさい」
「ごめんなさい」
「え?」
「どうしたんだよ急に」
「いや、うやむやになるとアレだから、忘れないうちに謝ろうかと…」
「俺は気にしていない。むしろ、美少女三人と楽しく話が出来てご褒美まである」
「私も大丈夫だ」
「でも、なんでこんなことしたんだ?」
「昨日、二人で話をしていて、本当はヤバイ人だったらどうしようって…」
「そう考え出したら止まらなくなっちゃって…」
二人は私を心配してくれていたんだ。
「で、実際はどうだった?大したことないだろ?」
「そんなことない」
「比企谷君なら奈緒のことを任せられる」
「奈緒のことを、よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
「お前ら私のかあちゃんか!!」
「いやいや、こちらこそ神谷のことよろしくお願いします」
「お前は私のとうちゃんか!!」
盛大な私のツッコミの後、解散になる。
「比企谷君、オータムライブは来るんでしょ?」
「そのつもりだ」
「じゃあ、その時に会えるのを楽しみにしてるね」
「逆だろ。俺の方が楽しみだ」
「じゃあ奈緒、またレッスンでね」
「おう」
「比企谷君もまたね」
「またな」
凛と加蓮が帰っていった。
「神谷、いい仲間に会えたな」
「私もそう思うよ。今日のはやり過ぎだけどな」
「許してやれよ」
「逆に二人を比企谷に紹介する手間が省けたよ」
「それで、本屋はどうする?だいぶ遅くなったが」
あっ!ダメじゃん!