「よし、今日はここまで」
「ありがとうございました」
「ありがとうございました」
「ありがとうございました」
「神谷!」
「はい」
「かなり良くなってきるな。この調子だぞ」
「はい、ありがとうございます」
オータムライブ直前。比企谷に見てもらうと思うと練習にも気合いが入る。
「奈緒~、今日は調子良さそうだったね」
「まあな」
「何か良いことあったの?」
「べ、別に…」
比企谷に『楽しみにしてる』って言われたら、がんばるでしょ。
「たぶん、比企谷君に何か良いこと言われたんだよ」
うっ!凛のヤツ、鋭い。
「三人で写真撮って、比企谷君に送ろう」
「凛、ナイスアイデア」
「加蓮も凛もやめてくれよ~」
「ええ~、いいじゃん」
「だって、汗かいてるし、トレーニングウェアだから可愛くないし…」
「もお、そういう奈緒も可愛い」
「離れろ加蓮」
「私も」
「凛も来るな~」
結局、写真を撮られ比企谷に送った。
【三人は仲が良いんだな。ますます楽しみになってきた】
比企谷からの返信を三人で確認して、改めて気合いが入った。
ライブ当日。
うぅ~、緊張するよ~。
「シューコちゃん、フレちゃんと遊んで~」
「こういう時は、ありすちゃんをからかうと面白いよ」
「た、橘です!」
「ほら、二人ともダメよ」
「奏ちゃん、こわ~い」
「堪忍な」
ダメだ、あの二人は自由人だ。逆に奏は落ち着いてるなぁ。文香さんもありすちゃんも顔が硬い。
「奈緒ちゃん、大丈夫?キャンディーあるけど食べる?」
「あ、ありがと」
唯も緊張しないのか?
「奈緒、加蓮はどうしたの?」
「外の空気吸ってくるって」
凛も落ち着いてるなぁ。
「ただいま」
「加蓮、大丈夫?」
「うん、なんとか」
「奈緒、顔が硬いよ」
「そ、そうか?」
凛が私に耳打ちをする。
「そんな顔じゃ、比企谷君がガッカリしちゃうよ」
「なっ!なななな何を!」
「うん、大丈夫そう」
あ、少し緊張がほぐれた。
「何?奈緒に何を言ったの?」
「奈緒が元気になる魔法の言葉」
「あぁ、なるほど」
加蓮も納得するな。
「行こう!Triad Primusのデビューだ!」
凛、格好いい!
「私達の全部、見せるよ」
加蓮も気合い入ってるな。
「よっしゃ!!」
…これが、アイドルのステージ。ファンの顔って、こんなに見えるんだ。
…私、ちゃんと歌えてる?振り付け間違えてない?ヤバイ!訳がわからなくなりそう。
…あ、比企谷。目があった気がする。そうだ、比企谷が見てくれてるんだ。私を見てくれてるんだ。やってやる!!比企谷にアイドル・神谷奈緒を見せてやれ!!
………。
私の初ステージが終わった。
「奈緒、加蓮、お疲れ様。凄く良かったよ」
「凛~、奈緒~、緊張したよ~」
「…私、ちゃんと出来てたかな?」
「奈緒?」
「私、緊張で訳がわからなくなりそうだったから…」
「そう?」
加蓮は気がついてなかったのか。
「でも、途中からスイッチ入ったというか…」
凛は気がついたのか。
「あ、わかった」
…加蓮?言わなくていいからな。
「客席に比企谷君、居たよね?」
「うん、居た。ずっと奈緒の方を見てた」
それ以上言うな。
「途中で比企谷君を見つけたからだ!」
「たぶんそうだね」
バレたぁ!!