「お前、何言っちゃてるの?それから、離れてくれ」
「ヤダ」
「何で急にそうなるんだよ」
「急にじゃないよ」
「わ、わかった!神谷の友達がその辺の影から…」
「居ないよ」
「明日になったら『比企谷なんかに告白するはずないじゃん。プークスクス』とか」
「ない!どこの駄女神だよ」
「じゃ、じゃあ…」
失礼なヤツだなぁ。
「私がそんなことすると思うのかよ」
「…思いません」
まったく…。
「少し…歩きながら話さないか?」
「わかった」
竹林の中を比企谷と二人で歩く。
「あの…腕を離してくれませんか?」
「イヤだ」
私は比企谷の腕を取っている。なんだか、逃げてしまいそうな気がしたからだ。
「ねぇ、なんであんなこと言ったの?」
「あんなこと?」
「私が騙して告白してるみたいなこと」
「まぁ、過去のトラウマってヤツだ」
比企谷の過去?
「中学の頃にな、告白したらフラれて、次の日にはクラス全員に知られていてバカにされたりとか、ラブレターで呼び出された場所に言ったら『誰がお前なんかに告白するかよ』とか騙されたりな」
なんで、そんなことが出来るの?
「ねぇ、ソイツら名前教えて」
「怖いよ。何すんだよ」
「ちょっと闇討ち」
「すんなよ!!」
「冗談だよ。でも、ヒドイヤツらだね」
「まぁ、昔のことだよ」
そう言いながらも、比企谷の顔は少し辛そうだ。
「神谷はなんで俺のことを…す、す、す、好きになったんだ?」
顔真っ赤だよ。
「比企谷のことを知ったのは入学式の日」
「え?」
「私、比企谷が事故にあったのを目撃したんだ。あの時は、ごめんなさい」
「なんで神谷が謝るんだ?」
「救急車呼んだり、助けにいけなかったから…。あの時、一歩も動けなくなっちゃったんだ」
「まぁ、交通事故なんか見たらそうなるかもな」
「それもあるけど、大きな理由は別なんだ」
「他に何があるんだよ」
「…一目惚れ」
顔が熱い。
「あの時の比企谷が格好良くて…格好良すぎて呆然としちゃったんだ…」
「そ、そうか…」
「その後、比企谷を探したんだけど、なかなか見つからなくて…」
「ふっ、俺の潜伏スキルをナメるなよ」
「なにそれ?それで、一年の文化祭の時に見つけた。その時は凄く嬉しかった。それに私も読んでるラノベを比企谷も読んでたから」
「…」
「それから、色々と話したりしてるうちに、どんどん好きになって…。面倒臭そうに受け答えするのも、シャイなところも…全部好き」
「お、おう…」
「文化祭や今日のことみたいに、まわりを助けちゃうところも
…」
「俺は別に助けたワケじゃねぇよ」
「そうやって、誇らないのも好き」
「お前、『好き好き』言い過ぎ。勘違いして告白してフラれちゃうだろ」
「だから、私はwelcomeだって」
「…そうでした」
「比企谷のやり方を否定する人もいるし、理解出来ない人もいる。私は比企谷のやり方を理解して受け止めてあけたい。だから、比企谷とたくさん話がしたい。そしてもっと好きになりたい」
「わかった。ありとな、神谷」
伝わったかな?
「気持ちは嬉しいがすぐに返事は出来ない…」
「そっか…」
雪ノ下さんや由比ヶ浜さんのこともあるのかな?
「ここまで好意を真っ直ぐぶつけられたことがなくてな。神谷のことは信じるが、俺自身が信じられないんだ…。心の暗い部分が『騙されてるぞ』『弄ばれるだけだ』と言ってるんだ」
かなり根深いトラウマなんだ。こんな時は、私と比企谷らしい言葉を…。
「『お前が信じる俺を信じろ』だっけ?」
「お前はどこの、兄貴だよ」
「へへへっ」
「ふっ、そうだな」
比企谷が笑顔になった。
「私達らしい名言だろ?」
「そうだな、『カミヤの兄貴』」
「それだと、神谷明みたいじゃん!!それに私は女だ!!」
私達らしいや。