修学旅行から数日経った昼休みのベストプレイス。
「カバー曲?」
「そうそう。『君の知らない物語』を歌わせてもらうんだ」
「すげぇな、名曲じゃねぇか。原作もアニメも好きだぞ」
「私もなんだ 」
そんな他愛もない話をしている。重要なのはここからだ。
「なぁ比企谷」
「ん?」
「その後はどうだ?」
「何がだ?」
とぼけやがって。
「嘘告白の件だよ」
「だ、大丈夫だじょ」
噛んでるし、目が泳いでる。『だじょ』ってなんたよ。
「で、本当のところは?」
「うぐっ!陰口とイヤミを言われることが少し…かな」
はぁ、やっぱり…。F組ってバカなの?
「それと、ごらく部はどうなんだ?」
「だから奉仕部な。確かに、ゆるゆりしてる時あるけど」
え?そうなの?ちょっと見てみたい、ノンケだけど。
「で?どうなの?」
「…ギクシャクしてます」
「まぁ、そうだよなぁ」
とりあえず、F組をなんとかしないとなぁ…。
あっ! そうだ。
「比企谷、明日の昼休みは教室で待っててくれないか?」
「イヤな予感しかないんだけと…」
「大丈夫だよ、なっ♪」
「はぁ、わかったよ」
やってやるぞ…。
「おう、神谷が悪い顔してる…」
翌日。ヒラメいた作戦を脳内でシュミレーションして、昼休みにF組へ。
あ、いたいた。
「よっす、比企谷」
「お、おう。デカイ声で呼ぶなよ」
「昼飯食べようぜ」
「はいよ」
席を立とうとする比企谷を止める。
「いやいや、ここで」
「は?何言ってるの、お前」
「いいじゃん、別に」
名前も知らないモブ君から椅子を借りる。
「と、とりあえず、パン買ってくるから…」
「ほい、比企谷の分」
巾着に入った弁当を渡す。
「へ?俺の分」
「そう。私の手作り」
「いやいやいや、作ってもらう理由がない」
「ん?まぁ、世話になってるお礼かな?」
「いや、しかし…」
「食べてくれないのか?」
上目遣いで見つめる。
「わ、わかったよ」
効果は抜群だ!!ウチの事務所のキュート系の娘達直伝だからな。
机でお弁当の包みをあけていると、話しかけてくる男子が二名。
「そんなヤツじゃなくて、俺たちと食べようぜ」
かかった!
「そんなヤツ?比企谷のこと?」
「そうそう」
「なんで?」
「こいつ、戸部が告白しようとしたのを横取りしたんだぜ」
予定通りの解答ありがとう。
「比企谷が告白?あははははははっ!ないない」
「な、なんでそんなこと言えるんだよ」
「だって、比企谷は私にゾッコンだからな。それこそデビューライブに来てくれたぐらいに」
私がチケット渡したんだけどね。
「な、比企谷」
比企谷に目配せをする。
「え?あ?おう」
「そんなことはない!俺達は実際にこの目で見たんだからな」
「どういう状況だったの?」
「戸部が海老名さんを呼び出して、告白しようとしたら、コイツが急に出てきて…」
アホだコイツら、名前まで出した。
「ふ~ん。たぶん、何か理由があったんだと思うけどね。それで、海老名さんはなんて言ったの?」
「『今は誰とも付き合うつもりはない』だったかな…」
「それで、戸部君だっけ?何か言ったの?」
「そんなこと聞いたら何も言えないだろ」
「じゃあ、戸部君の想いはその程度ってことだよ」
「え?」
「まず、友達に見守られないと告白出来ないこと。それと、『誰とも付き合うつもりはない』って聞いたなら、『振り向かせてみせる』ぐらいこと言わないと」
「そ、それは…」
「それくらいにしないか?」
出たよ、エセ・イケメンの葉山君。