この話をするなら、比企谷は席をはずしてもらった方がいいな。
「比企谷、悪いんだけど席をはずしてもらえないかな?」
「え?何?ハブられるの?」
「ヒッキー、ごめんね。ちょっとデリケートな話なんだ」
「比企谷君、今日は帰って結構よ」
「俺の悪口でも言うの?」
「違うわ。貴方にもちゃんと話すから…。ごめんなさいね」
うわぁ、雪ノ下さん、凄いいい笑顔だ。女の私も見惚れそうだよ。
「お、おう、わかった」
何、赤くなってんだよ、比企谷。
あっ、そうだ。
「比企谷、帰る前にひとついい?」
「ん?」
「卯月が会いたいって言ってた」
「あの島村卯月が?」
「そう。凛と未央が話したらしい」
「面倒くせぇ」
「時間が出来たら頼む」
「前向きに検討して善処する」
「やらない返事だ」
「どっちかというと、そっちの時間次第じゃねぇのか?」
「まあ、そうだな」
「タイミングが合えばな」
「了解。じゃなあ」
「おう」
比企谷が出て行くと二人がこっちを見てた。
「ん?何?」
「本当に仲が良いのね」
「…羨ましい」
「まぁ、最初は壁あったけどな」
「その…」
雪ノ下さんがモジモジしながから聞いてきた。
「比企谷君とはいつから…」
「最初に見たのは入学式の日」
「え?ヒッキー、その日は事故に…」
「うん。その事故を目撃した時に一目惚れした。しばらくして比企谷を探したんだけど、なかなか見つけられなくてね。一年の文化祭の時にやっと会って話が出来たんだ」
二人の顔が曇ったな。
「その…、事故の時にヒッキーが庇った犬…、ウチの犬…なんだ…」
「えっ!」
「比企谷君をはねた車はウチのなの…。その時は私も後ろに乗っていたわ」
「ええっ!!なにそれ!!」
あの事故の当事者三人で部活やってるなんて…。
「そのことは比企谷は知ってるの?」
「ええ、彼も知ってるし、蟠りもないわ」
「そ、それならいいんだけど…」
いいのかよ、私。
「んで、二人はいつから比企谷を?」
「私はサブレ…ウチの犬を助けてくれた時…かな?気がついたら、目で追ってた」
「私は文化祭の時くらいから意識しはじめたわ。決定的だったのは修学旅行の時のあの行動…」
あぁ、嘘告白ね。
「二人は告白はしたの?」
「…まだよ」
「私も…あはは」
ここまで話してくれたんだ。私も言わなきゃだな。
「私はしたよ、告白」
「えっ!」
「えっ!」
「京都のあの竹林で比企谷を見つけた時にね」
勢い余ってだけど。
「そ、それで、へ、返事は…」
雪ノ下さん、動揺し過ぎ。
「…保留。比企谷、黒歴史やトラウマがあるみたいでさ」
「そ、そうなのね…」
「よ、よかった…」
「私は想いを伝えた。二人はまだ。これは決定的な差だよ」
諦めてくれたらラッキーかな。
「あら?私に勝負を挑むつもり?いいわ、受けてたつわよ」
あれ?雪ノ下さん?
「いや、挑んでないから」
「私も負けないモン」
由比ヶ浜さんまで、火がついちゃったよ。
やっぱり諦めてはくれないか。
「私は年末のライブを成功させて、もう一回告白する。恨みっこなしだからね」
「ええ、いいわよ。それまでに私と比企谷君が恋人になってるわよ」
「わ、私と付き合ってるかもよ」
「ふふふっ」
「あははっ」
「くくくっ」
なんか、ライバルと仲良くなっちゃったけど…。まぁ、いいか。
「ところで、神谷さん」
「なに?」
「その…高垣楓さんの、サインとかってもらえるのかしら…」
へ?
「ゆきのんズルい。私、川島瑞樹がいい」
二人とも、ウチの事務所に推しが居るのね…。