「奈緒ちゃん、雪ノ下さんが呼んでるんだけど」
「わかった。ありがとう」
学校での休み時間。雪ノ下姉と会った数日後だったので、それ関係だと思うんだけど…。もしかして、ピンチ?
と、とりあえず、平静を装って。
「どうかしたの?」
「こんにちは、神谷さん。姉が迷惑をかけたみたいね。ごめんなさい」
謝られた。
「ど、どうして、それを?」
「もう削除されているんだけど、ネットに『財前時子に論破される女子大生』って書き込みが写真付きで…。勿論、姉の顔にはモザイクがあったのだけど、見る人が見ればわかってしまうから」
SNS怖ぇ。私も気をつけないと。
「それで、家族会議になったのよ。その時、貴女に絡んだことを自白した次第よ。しばらく姉は大学以外は外出禁止だそうよ」
「そ、そうなんだ…」
「姉が余計なことを言っていたみたいだけど、私は実力で比企谷を振り向かせるから」
「私も負けるつもりはないからね」
「では、失礼するわ」
「じゃね」
ふぅ、とりあえずは大丈夫だな。一応、比企谷にも後で言っておこう。
んで、昼休みなんだけど…。
「なんで、雪ノ下さんと由比ヶ浜さんも居るの?」
「俺が聞きたいよ」
「わ、私は比企谷君に姉さんの件を報告に…」
「ゆきのんとお昼一緒に食べようとしたら、ここに居たから…」
素直に比企谷と食べたいと言えないかな、この二人は…。
「そういう神谷さんはどうなのかしら?」
「私?私は時々ここで比企谷とお昼食べてるから」
「え?」
「え?」
あれ?言ってなかったっけ?
「どうなのかしら?比企谷君」
「どういうことなの?ヒッキー」
「え?俺?」
「まぁまぁ二人とも。私が勝手に押し掛けてるだけだから」
あ、なんか睨まれた。
「比企谷君、明日からは部室に来なさい」
「そうだよ、ヒッキー」
「え?普通に嫌なんですけど。地味に遠いし」
とりあえず、ヤバそうだから話を逸らそう。
「なぁ、ご飯食べよう。お腹すいたよ」
「そうだ。俺はパンを食べて戸塚を眺めるという重大な使命があるんだ。早く食べよう」
「うわぁ」
「うへぇ」
なんか、二人が引いてる。比企谷はもうパン食べてるし。私も食べよう。
そういえば…。
「クリスマスイベントの準備って順調なのか?」
「ん?まぁ、なんとかな」
「貴方は暇を見つけては、鶴見さんと工作しているでしょう。ロリコンなのかしら?」
「鶴見さん?」
もしかして、また女子?
「ヒッキー、名前で呼ばれて喜んでたもんね」
「うぐっ!喜んでないからね」
「もしかして、どこかの女の子なの?」
「女の子というより女児ね」
「千葉村で一緒になった鶴見留美ちゃん。小学生だよ」
まさか…。
「ロリコン?」
「違う。お兄ちゃんスキルが働いただけだから」
「ふ~ん」
「と、とにかく、順調だ」
「それは良かった」
「神谷の方はどうなんだ?」
「バッチリだよ。期待してくれていいよ」
「ほう。じゃあ、期待しておくよ」
そんな話をして、昼休みは終わった。
「ねえ、ゆきのん。二人はもう付き合ってるのかな?」
「いえ、まだのはずよ」