つ、遂に始まった【シンデレラの舞踏会】。
みんな、キレイな衣装を纏っている。
「緊張しているんですか?」
楓さん…。
「そりゃ緊張するわよ」
瑞樹さん…。
オープニングが終わった二人がステージ裏に戻ってきた。
「ええ、少し…」
確かに、少し緊張している。こんな大きなイベントなんだから。
「もしかしたら、違う理由で緊張してるのかしら?」
瑞樹さん?
「瑞樹さん、それはどんな理由ですか?」
楓さんも聞かないで!
「きっと、噂の彼氏が来るのよ」
「いや、まだ彼氏じゃないですよ」
「『まだ』なんだ」
あう!
「それは…その…」
「奈緒ちゃん、可愛い♪」
「連れて帰りたいですね」
凄いナデナデされてる!!
「楓さん、準備するわよ」
「瑞樹の姉御、ワシらもじゃ」
奏と巴が二人を迎えにきた。
た、助かった…。
私も最初のステージの準備しないとな。
………
……
…
どのステージに行っても、客席には比企谷が居てくれる。最初の緊張が嘘みたいだ。
「奈緒、お疲れ」
「加蓮、大丈夫か?バテてないか?」
「奈緒は加蓮のお母さんみたいだね」
「凛は心配じゃないのか?」
「私は奈緒の方が心配かな」
「どうしてだ?」
「だって、ライブ終わったら、もう一回告白するんでしょ?」
あっ!こいつらには言ったんだっけ…。
「大丈夫だよ。このライブ見たら比企谷君だって惚れちゃうよ」
「そうだよ。奈緒」
「あ、いや、その…」
今は、それより…。
「その為にも、最高のTriad Primusを見せるよ」
「わかってるよ、凛」
凛も加蓮も…。
「だあ!もう!やってやるよ!」
「あ、奈緒が叫んでる」
「大きな声出すなよ」
「誰のせいだ!」
この二人には敵わない。最高の仲間だ。
「加蓮、ニュージェネに最高のバトン渡すよ」
「もちろん」
「奈緒、加蓮、ありがとう」
「凛、さっきのMasque:Radeに負けないステージにするぞ」
「わかってる」
「奈緒も凛も…」
二人が笑顔になった。私もたぶん笑顔だ。
「さぁ、行こうか!」
ステージに立つと凄い歓声。青いサイリュウムが波みたいで綺麗だ。
あ、比企谷だ。隣に戸塚君も居る。ウインクでもしてやるか、えい♪
…ふふ、ビックリした顔してる。戸塚君になんか言われてる。
ヤバイ!最高に楽しいステージだ!
『歌って踊って、よく比企谷に気がついてウインクとか出来るな』って?気にするなよ、これがご都合主義だよ。って、誰に言ってるんだ私!!
………
……
…
ライブのプログラムはすべて終了した。最高に気持ち良かった。すべて出しきった感じだ。
…っと、あとひとつやることがあった。
ステージ裏の通路に来ている。
「よう。なんつーの、…すげぇ良かった」
「ありがとな、比企谷」
「俺がこんなところに来てよかったのか?ていうか、ここまで誘導してくれた人、すげぇ怖かった」
あぁ、シンデレラプロジェクトのプロデューサーだからなぁ…。
「大丈夫だよ。それに人も来ないし」
凛と加蓮に見張りをしてもらってるからな。
「私がウインクしたのわかったか?」
「やっぱり、俺を見つけたからか。戸塚に冷やかされた…」
「うん。私の気持ち…」
よし!言うぞ!
「あ、あのさ、比企谷…」
「ちょ、ちょっと待ってくれ」
え?なんで?
「俺から先に言わせてくれないか?」
な、なんか、比企谷の落ち着きがなくなってる。
「その、なんだ、神谷は俺の大事な友達で味方でいてくれるって言ってくれた」
「うん…」
「そこまで言ってくれている神谷になにもかえせていない」
「そ、そんなことは…」
私は比企谷の隣にいれたらいいんだ。
「俺は何ももっていないから…、その…かえせるものが俺自身しかない」
え?それって…。
「神谷は俺のこと好きって言ってくれた」
「うん」
「神谷にかえすのは、今の俺自身じゃダメか?」
「比企谷っ!」
思わず比企谷に抱きついてしまった。
「それって、比企谷も私のことが好きで付き合ってくれるってことだよね?」
「お、おう…。はっきり言うなよ、恥ずかしい」
「そんなまわりくどい言い方しないでよ」
真顔で比企谷が私を見ている。
「神谷奈緒、俺は何もお前のことが好きだ。付き合ってくれ」
「はい、私も比企谷のことが好き。お付き合いしてください」
~~~~~~~~~~
次回、最終話。
…たぶん。