神谷奈緒は総武高生   作:おたふみ

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37話

つ、遂に始まった【シンデレラの舞踏会】。

みんな、キレイな衣装を纏っている。

 

「緊張しているんですか?」

 

楓さん…。

 

「そりゃ緊張するわよ」

 

瑞樹さん…。

 

オープニングが終わった二人がステージ裏に戻ってきた。

 

「ええ、少し…」

 

確かに、少し緊張している。こんな大きなイベントなんだから。

 

「もしかしたら、違う理由で緊張してるのかしら?」

 

瑞樹さん?

 

「瑞樹さん、それはどんな理由ですか?」

 

楓さんも聞かないで!

 

「きっと、噂の彼氏が来るのよ」

 

「いや、まだ彼氏じゃないですよ」

 

「『まだ』なんだ」

 

あう!

 

「それは…その…」

 

「奈緒ちゃん、可愛い♪」

「連れて帰りたいですね」

 

凄いナデナデされてる!!

 

「楓さん、準備するわよ」

「瑞樹の姉御、ワシらもじゃ」

 

奏と巴が二人を迎えにきた。

た、助かった…。

 

私も最初のステージの準備しないとな。

 

………

……

 

 

 

どのステージに行っても、客席には比企谷が居てくれる。最初の緊張が嘘みたいだ。

 

 

「奈緒、お疲れ」

 

「加蓮、大丈夫か?バテてないか?」

 

「奈緒は加蓮のお母さんみたいだね」

 

「凛は心配じゃないのか?」

 

「私は奈緒の方が心配かな」

 

「どうしてだ?」

 

「だって、ライブ終わったら、もう一回告白するんでしょ?」

 

あっ!こいつらには言ったんだっけ…。

 

「大丈夫だよ。このライブ見たら比企谷君だって惚れちゃうよ」

 

「そうだよ。奈緒」

 

「あ、いや、その…」

 

今は、それより…。

 

「その為にも、最高のTriad Primusを見せるよ」

 

「わかってるよ、凛」

 

凛も加蓮も…。

 

「だあ!もう!やってやるよ!」

 

「あ、奈緒が叫んでる」

 

「大きな声出すなよ」

 

「誰のせいだ!」

 

この二人には敵わない。最高の仲間だ。

 

「加蓮、ニュージェネに最高のバトン渡すよ」

 

「もちろん」

 

「奈緒、加蓮、ありがとう」

 

「凛、さっきのMasque:Radeに負けないステージにするぞ」

 

「わかってる」

 

「奈緒も凛も…」

 

二人が笑顔になった。私もたぶん笑顔だ。

 

「さぁ、行こうか!」

 

 

ステージに立つと凄い歓声。青いサイリュウムが波みたいで綺麗だ。

 

あ、比企谷だ。隣に戸塚君も居る。ウインクでもしてやるか、えい♪

 

…ふふ、ビックリした顔してる。戸塚君になんか言われてる。

 

ヤバイ!最高に楽しいステージだ!

 

『歌って踊って、よく比企谷に気がついてウインクとか出来るな』って?気にするなよ、これがご都合主義だよ。って、誰に言ってるんだ私!!

 

………

……

 

ライブのプログラムはすべて終了した。最高に気持ち良かった。すべて出しきった感じだ。

 

 

 

…っと、あとひとつやることがあった。

 

 

ステージ裏の通路に来ている。

 

「よう。なんつーの、…すげぇ良かった」

 

「ありがとな、比企谷」

 

「俺がこんなところに来てよかったのか?ていうか、ここまで誘導してくれた人、すげぇ怖かった」

 

あぁ、シンデレラプロジェクトのプロデューサーだからなぁ…。

 

「大丈夫だよ。それに人も来ないし」

 

凛と加蓮に見張りをしてもらってるからな。

 

「私がウインクしたのわかったか?」

 

「やっぱり、俺を見つけたからか。戸塚に冷やかされた…」

 

「うん。私の気持ち…」

 

よし!言うぞ!

 

「あ、あのさ、比企谷…」

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ」

 

え?なんで?

 

「俺から先に言わせてくれないか?」

 

な、なんか、比企谷の落ち着きがなくなってる。

 

「その、なんだ、神谷は俺の大事な友達で味方でいてくれるって言ってくれた」

 

「うん…」

 

「そこまで言ってくれている神谷になにもかえせていない」

 

「そ、そんなことは…」

 

私は比企谷の隣にいれたらいいんだ。

 

「俺は何ももっていないから…、その…かえせるものが俺自身しかない」

 

え?それって…。

 

「神谷は俺のこと好きって言ってくれた」

 

「うん」

 

「神谷にかえすのは、今の俺自身じゃダメか?」

 

「比企谷っ!」

 

思わず比企谷に抱きついてしまった。

 

「それって、比企谷も私のことが好きで付き合ってくれるってことだよね?」

 

「お、おう…。はっきり言うなよ、恥ずかしい」

 

「そんなまわりくどい言い方しないでよ」

 

真顔で比企谷が私を見ている。

 

「神谷奈緒、俺は何もお前のことが好きだ。付き合ってくれ」

 

「はい、私も比企谷のことが好き。お付き合いしてください」

 

 

 

 

 

 

 










~~~~~~~~~~

次回、最終話。
…たぶん。

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