「比企谷っ!!」
比企谷の胸に飛び込んだ。
やった!やった!遂に比企谷と…。
「比企谷~」
「わかったから、少し離れてくれ」
比企谷の胸から顔を離すと目があった。
…見つめあっている。
目と目が合う瞬間好きだと…ゲフンゲフン。これは、違う事務所の曲だ。
…こ、これは、私は目を閉じた方がいいのか?
ええい!ままよ!
「雰囲気作って目を閉じているところ悪いんだが…」
「な、なんだよ」
「俺の視線の先にニュージェネと戸塚が居るんだが…」
振り返ると、物陰から四人が覗いている。
「奈緒、いけ!」
「かみやん、大胆!」
「はわわわ、どうしましょう」
「八幡、がんばれ!」
アイツら…。
「なんか、ごめん」
「いや、大丈夫だ」
比企谷の方に向き直ったら、反対側の物陰にも人が…。
「いいなぁ、奈緒」
「意中の人とちゅーするんですね。うふふ」
「わかるわぁ」
加蓮に楓さんに瑞樹さん…。
「お、お前ら~!!」
私の雄叫びで、その場は終了。
大人組は打ち上げだそうだ。未成年組は後日簡単なパーティーをするとのこと。
帰りは比企谷に送ってもらうことになったのだが、イベント会場を出る時は後ろから生暖かい視線の嵐だった。
比企谷は基本は無口だ。こういう時も何もしゃべらない。私から話をしよう。
「プロデューサーに報告しないとな」
「え?それって大丈夫なのか?俺、消されない?」
「大丈夫だよ。子供になる薬を飲まされるだけだから」
「どこの黒ずくめの組織だよ」
「冗談は置いといて。ウチの事務所は恋愛禁止とかないから」
「そうなのか?」
「公序良俗に反しないようにすればな」
「まぁ、当たり前か」
もし恋愛禁止にされたら、辞めてやる。
「なぁ、少し遅いが、このあと暇か?」
「ん?空いてるぞ」
「じゃあ、なんだ、その…、少しウチに寄っていかないか?」
えっと、それは…。年頃の男女が一つ屋根の下ってことは、つまりアレだよな。
「い、いや、心の準備が…。べつに嫌な訳じゃないんだ。でも、まだ付き合い始めたばかりだし…」
「何言ってんだ?」
え?違うの?
「あ、バカ!そういうつもりで言ったんじゃねえよ。両親は仕事で居ないが、妹は受験勉強で居るはずだ」
「うぅ…」
は、恥ずかしい!!
「クリスマスケーキでも一緒に食わないかってことだよ。どうする?」
「そ、そういうことなら、お邪魔します」
何気に初・比企谷家なんだけどな。
「ただいま」
「お、お邪魔します…」
返事がない、ただの屍のようだ。
冗談は置いといて。
…え?比企谷妹居ないの?
「す、すまん、二人きりっぽいんだが…。帰るか?」
「だ、大丈夫だ。シャワーも浴びたし、今日は可愛い下着だから」
「しないからね」
「あ、うん」
「で、どうする?すぐに帰ってくるみたいだ」
携帯を見ながら比企谷が言ってる。LINEでもしたのかな。それはそれで、ちょっと残念だけどな。
「お邪魔するよ」
「あいよ」
リビングに通されて、座らされる。
「コーヒーと紅茶、どっちにする?」
「コーヒーで」
出されたコーヒーとケーキを頂く。
「ケーキは手作りなのか?」
「おう、雪ノ下に教えてもらった」
「比企谷の手作り!!」
「ああ」
そう思いながら、もう一口。
はぁ、うまぁ…。
すると、玄関から『ただいま』の声が。
リビングの扉が開いた。
「お兄ちゃん、お客さ…」
最初が肝心。まずはご挨拶。
「はじめまして、か…」
「か、か、か、か…」
妹ちゃんが固まってる。
「掛布さん?」
「比企谷、お前いくつだよ。何年前のCMだよ」
「か、神谷奈緒っ!!」
「はい、はじめまして。神谷奈緒です」
「小町、年上を呼び捨てするなんて、失礼だぞ」
「あ、すいません。それで、神谷奈緒さんは、何故ウチに?」
「あぁ、神谷と付き合うことになったから」
「よろしくお願いしますね」
「えええええ!!!」
そりゃそうなるよな。
「小町、近所迷惑だよ」
「いやいやいや、お兄ちゃん。普通そうなるよ。だってアイドルだよ。あのお兄ちゃんがアイドルと付き合うなんて…」
「アイドルになる前から、比企谷のこと知ってたからね」
「奈緒さん。いえ、お義姉ちゃん。そのあたり詳しく教えてください」
「お、お義姉ちゃん!!」
「時間も遅いからほどほどにな」
その後、妹ちゃんに付き合うまでの経緯を説明した。その中で、比企谷が雪ノ下さんと由比ヶ浜さん、それと何故か生徒会長から告白され断ったことを聞いた。
その後も比企谷との交際は順調。周りには秘密ではあるが、楽しい高校生活を送ることが出来た。
大学も比企谷と同じところへ進み、ちゃんと卒業出来た。アイドル?そっちも順調だ。
そして、大学を卒業して数ヶ月後。事務所の一室に集められた三人のアイドル。
「奈緒ちゃん、姫菜ちゃんは元気ッスか?」
「おう、元気だぞ。また比奈先生とコミケ参加したいってさ」
荒木比奈。
「わ、私は売り子参加は勘弁してくださいね。さすがにバレて大変なことになるのは懲り懲りです」
安部菜々さん。
「二人は企画書は読んだか?」
「読んだッスよ。なんか楽しそうッスね」
「菜々も楽しめそうな予感がします。ピピッ♪」
曲名『オタク is LOVE!』。なんだこりゃ!!
「新卒採用したプロデューサーがだした企画らしいッスよ」
「比奈先生と菜々さんはわかるとして、私もオタバレしてたのかよ…」
「まぁまぁ奈緒ちゃん、こういう企画は楽しみましょうよ。MVの撮影は中野ブロードウェイですって」
中野ブロードウェイか。比企谷との初デートで行ったな。
「そうですね」
そんな話をしていると、部屋の扉が開いた。
「集まってるか?」
そこに来たのは…。
「このユニットを担当する比企谷だ。よろしく頼む」
「お、お前は!!!」
「神谷、騒ぐな」
思わず比企谷に詰め寄る。
「就職先を教えてくれないと思ったらこういうことか!!」
「ま、サプライズだな」
「自分は知ってたッスけどね」
「菜々も聞いてました」
「知らなかったのは、私だけかよ!!」
「とりあえず、荒木と安部さんは先にレッスンルームへ行ってください」
「了解ッス」
「菜々って呼んでください!!」
そう言って二人は先に出ていった。
「八幡のイジワル」
「悪かったよ、奈緒」
名前呼び?交際期間考えろよ。って、誰に言ってるんだ?
「でも、なんでこのユニットなんだ?」
いや、楽しそうだけどな。
「少し私情を挟ませてもらった」
「私と仕事したかったのか?」
「そうだな」
珍しく、あっさり認めた。
「それに、中野ブロードウェイは奈緒との初デートの場所だろ」
覚えていてくれたんだ。
「八幡!!」
おもいっきり抱きついた。
「黙ってたこと、許してくれるか?」
「もちろん。て、いうかお釣がくるぐらいだよ」
「そっか」
「よしっ!八幡の初プロデュース、成功させるぞ!」
「そうか、頼むぞ。じゃあ、レッスンルームに…」
横を向いた隙に頬にキスをした。
「お、お前…」
「ありがとう。大好きだよ」
私はこれから先も八幡と一緒に進んで行くだろう。仕事でもプライベートでも。
私のこの恋は間違いじゃなかった。
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意外と長くなりましたが、これで完結です。
お付き合い、ありがとうございました。
次のクロスオーバーかif後日談でも、よろしくお願いします。