283プロ短編集   作:Garbage

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小糸ちゃん誕生日おめでとう!

ということで小糸ちゃんと283プロの先輩アイドルの絡みを妄想した一作です。
今でこそホーム画面ではあんな状態ですが、そのうちこんな形で他のアイドルたちとも絡めるようになって欲しい限りです。


Happy Birthday!(to Koito)

 

 

 

 

 みなさんこんにちは。私は福丸 小糸と言います。幼馴染の透ちゃん……浅倉 透ちゃんがプロデューサーさんにスカウトされたことで同じ幼馴染の樋口 円香ちゃん、市川 雛菜ちゃんと一緒に透ちゃんの後を追う形で283プロのアイドルになり、『noctil(ノクチル)』というユニットでアイドルとして活動しています。

 私たちnoctilはデビューしたての頃こそ生配信の番組でミスをしたり、営業先の花火大会で誰からも見向きをされなかったりと大変な思いをしましたが、今では街を歩いていると握手を求められるくらいには知られるようになりました。まだまだ一人前のアイドル、とは自信を持って言えないけれど、日々の努力と頑張りが報われつつあるんじゃないかな、と思っています。

 しかし、そう思えていたのもついさっきまで。私はこの後取って食べられるかもしれません。

 

「……」

「ふふー」

「ぴぃっ……!」

 

 透ちゃんたちはそれぞれ個別の仕事、プロデューサーさんも渋滞に巻き込まれてしまって事務所に帰ってくるのが遅れてしまうという連絡があり、はづきさんも先輩ユニット『アルストロメリア』さんのレッスンに参加している、中一人でプロデューサーさんの帰りを待っていた私の両隣には二人の先輩アイドルの子が座っています。

 

「……なあ、そんなに怯えなくていいから。リラックスしてていいんだぞ?」

「ぴぃっ! す……すいません……」

 

 右隣に座ってスポーツ雑誌を読んでいるのは『効果後クライマックスガールズ』の西城 樹里さん。私の一つ上で透ちゃんたちと同じ学年の高校2年生です。

 金色のショートヘアーに鋭い目つき、そして強い口調。その立ち振る舞いからして間違いなく不良です。私とは違う世界に住んでいる人です。正直怖くてしょうがないです。

 

「あー、樹里怖がられてる~」

「うっせえ! てかお前もさっきから何にやついてるんだよ!」

「小糸にビビられてショックを受けている樹里が面白くて~」

 

 そして左隣に座って私と西城さんに対してニヤニヤと笑っているのは『L'Antica(アンティーカ)』の田中 摩美々さん。私より二つ上の高校3年生で、常に何か企んでいるような顔をしている変わった人です。

 紫色の髪の毛を結んだと思ったら次の日には下ろしてきたり、派手にアレンジした制服を着ているかと思えば見ているだけで目がチカチカするような服を着てきたりと西城さんとは違った意味で別の世界の住人であり、この人も違うベクトルで怖くてしょうがないんです。

 

「……なあ、アタシって本当に怖いのか?」

「ぴぃっ、そ、そんなこと……な、ないです……」

 

 嘘をつくのは気が引けるけど、ここで正直に怖いって言ったら何をされるかわかったものじゃありません。きっとこの場でジャンプさせられて鳴った小銭の音に反応して手持ちのお金を全部持っていかれてしまうんだと思います。

 この間私にチョコをくれた西城さんと同じ放課後クライマックスガールズの園田 智代子さんが見せてくれた漫画にもそう書いてありました。それで田中さんと二人で高校生が行っちゃいけないような場所に連れてかれてしまうんです。

 

「ふふ~、小糸はわかりやすいね~」

「ぴぃっ!」

「だーかーらー! そういうこと言うなっての! ごめんな、こいつこんなんだけど悪気はないから……」

 

 西城さんが言うように、仲のいい人同士ならいわゆる「イジリ」なんだと思います。実際L'Anticaの皆さんを見ていると、田中さんがこんな調子で年長者の月岡 恋鐘さんや三峰 結華さんをからかっているのがわかります。でも、そういう近しい間柄じゃない人にそんなことをされても私は……

 

「かんせーい。まみみ特製小糸の昇天ペガサス盛り~」

「ぴゃっ!!」

「うおっ!? いつの間に!!」

 

 そんなことを考えているうちに田中さんは私の髪の毛を解き、物凄い盛り方をしています。ヘアアレンジが得意な田中さんの手つきは流れるようで、髪型をアレンジされた私は今までの私とは別人―――なんて思えませんでした。

 

「も、もう! いい加減にしてくださいっ!!」

 

 心の中だけで叫ぶつもりだった言葉が声に出てしまいました。一度出た言葉はもう私の口の中に戻ることはありません。はっ、と我に返った私は身体がカチン、と固くなりました。背筋が凍るってこういうことを言うんでしょう。ごめんね。透ちゃん、円香ちゃん、雛菜ちゃん、そしてプロデューサーさん。もう私、アイドルを続けられなくなるかも―――

 

「ふふー、やっとまともに喋ってくれましたねー」

「えっ……」

「みんながみんなアタシや摩美々みたいに絡んでいけるわけじゃねーもんな。でも、みんなこんな感じで小糸と仲良くなりたがってるからさ」

 

 そう言ってニカッ、と太陽な笑みを見せる西城さん。その笑顔を見た瞬間、私はさっきまでの自分が恥ずかしくなってきました。田中さんも西城さんも、彼女たちなりに私のことを気遣ってくれていたんだ。

 

「ふええ……」

「なっ、なんで泣き出すんだよ!! アタシなんか変なこと言ったか!?」

「あー、樹里が小糸を泣かした~。プロデューサーに言ってやろー」

「そんな男子が女子を泣かしたみたいに言うなっ!」

 

 あたふたする西城さんと悪戯っぽく笑う田中さん。そんな二人を脇目にまるで子どものように泣きじゃくる私。いよいよ収拾がつかなくなってきた時、事務所のドアが勢いよく開かれました。

 

「お疲れ様ですっ!!!!」

「戻ったっすー!」

「あー、あさひ遅い~」

「果穂! このカオスな状況を何とかしてくれー!」

 

 やってきたのは放課後クライマックスガールズでセンターを務める小宮 果穂ちゃんと『ストレイライト』のセンターを務める芹沢 あさひちゃん。果穂ちゃんは小学6年生の12歳なのに私より15cmも背が高く、いつでも元気で溌溂として、あさひちゃんは中学2年生の14歳ながら驚異的なパフォーマンスで多くのファンを魅了する。二人とも私より年下とは思えない凄い子です。

 

「小糸さん! あたしのハンカチを使ってください!!」

「あ、ありが……」

「小糸ちゃん、小糸ちゃん!」

「えっ……」

 

 

 

 

 

―――ハッピーバースデー!!―――

 

 

 

 

 

 四人はそう言って何処からか取り出したクラッカーを引きました。パン、という音とたちこめる火薬の臭いに合わせた私はぴゃっ、と変な声を出してしまいました。

 そうです、今日は私がアイドルになってから初めての誕生日なんです。四人によると、プロデューサーさんから私の誕生日のことを聞いた果穂ちゃんとあさひちゃんが私のためにサプライズパーティーを計画してくれたんです。果穂ちゃんとあさひちゃんが私へのプレゼントを用意している間、時間の空いていた田中さんと西城さんが私を事務所に引き留める役を買ってくれたとのことでした。

 

「小糸! すまない、まさかこんなに遅れ―――」

 

 数時間ほど経って、遅れたことを謝りながらプロデューサーさんが事務所に入ってきました。果穂ちゃん、あさひちゃん、樹里ちゃん、摩美々ちゃん……他のアイドルのみんなに囲まれて笑っている私の顔を見たプロデューサーさんもまた笑顔を見せてくれました。

 

「ね、ねえあさひちゃん……これは?」

「これは、私が河原で見つけた石だよ! 私の宝物だから、小糸ちゃんにあげるね!」

「あ、ありがとう……」

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は咲耶メインで書きます。
今回みたいなほっこりは期待しないでください。
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