283プロ短編集   作:Garbage

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Happy Birthday!(to Tenka to Amana)

 

 

 

 

「千雪さん……明日、甜花につきあって……?」

 

 レッスンが終わった後、甜花はこっそり千雪さんに声をかける。なーちゃんがひとりのお仕事で、甜花と千雪さんが二人でのお仕事。甜花たちのお仕事が終わった後、甜花は千雪さんとどうしても二人で行きたいところがあった。

 

「どうしたの、甜花ちゃん?」

「あのね……千雪さんならわかると思うけど、明後日はクリスマス、それでいて甜花となーちゃんにとって特別な日……」

「ええ、二人の誕生日よね」

 

 甜花となーちゃんは双子だから、当然誕生日も一緒。12月25日が誕生日だから、クリスマスプレゼントと誕生日プレゼントが同じものにされちゃうのはちょっと嫌だったけど、今では事務所のみんなから大好きななーちゃんと一緒に誕生日を祝ってもらえるのはとっても嬉しい。

 

「甜花、いつもなーちゃんに助けてもらってるから……なーちゃんに感謝の意味も込めてプレゼントを買いたいな、って」

「まあ……」

「でも、甜花一人でなーちゃんのためにプレゼントを買えるかどうか不安で……だから、千雪さんにも見守ってほしいな、って……ダメ?」

「甜花ちゃん……!!」

 

 パァッ、と笑った千雪さんは甜花の手をぎゅっと握ってくる。うわぁ、千雪さんの手あったかい。

 

「喜んで協力させてもらうわ……!」

「にへへ……千雪さん、ありがとう……」

 

 

 

 

 

 

「それで、甘奈ちゃんの欲しいものってどんなものなのかしら?」

「えっとね、なーちゃんに直接聞いたわけじゃないんだけど……」

 

 家に二人でいる時、なーちゃんがじーっと見つめている雑誌があった。なーちゃんが読み終わった後にこっそりその雑誌を見てみると、しっかりしているなーちゃんらしくその商品のページの端っこに折り目がついていた。そのページにはブランド物の香水がいっぱい取り上げられていた。

 

「なーちゃん、このブランドの香水のページをドッグイヤーしてた……」

「あら、このブランドの香水……私が甘奈ちゃんに教えたものね」

「そ、そうなんだ……どんな匂いなの?」

 

 プレゼントする側としては、最初にどんなものかは知っておきたかった。甜花がいいと思ったものでも、必ずなーちゃんがいいと思うかはわからなかったから。プレゼントするなら、やっぱりなーちゃんが喜んでくれるものがいい。

 

「ごめんなさい、実は私もまだ持ってないの。興味はあるんだけど、中々手が出ない値段で……」

 

 そう言って申し訳なさそうにする千雪さん。でも高級ブランドの香水だから、手に入らないのはしょうがないよね。でも高いのは甜花、想定済み。正確な値段まではよく見ていなかったからわからないけど、甜花の欲しいあの最新のゲーム機よりかは安いはず。

 

「ひぃん……いい値段」

 

 でもそのブランドのお店に着いて実物を見てみて、甜花の見通しが甘かったことを思い知らされる。何なら甜花の欲しいゲーム機より高い……香水ってこんな高いんだ。こんな高い香水を欲しがるなーちゃん、やっぱり甜花より大人の女の人の道を進んでる。

 

「大丈夫、甜花ちゃん? 全部は無理だけど、私もいくらか出せるから……」

 

 千雪さんはそう言ってくれるけど、その気遣いだけで十分。確かに甜花のおさいふ的には千雪さんやプロデューサーさん、パパやママに助け舟を求めるのがいいかもしれないけど、ここで甜花がアイドルとして自分で働いて稼いだお金でなーちゃんに感謝の気持ちを伝えるから意味がある。最新のゲーム機は、最悪いつでも買おうと思えば買える。けど、今年のクリスマスは、今年のなーちゃんの誕生日は一回しか来てくれない。

 

「甜花ちゃん……きっと、甘奈ちゃんにもその気持ちは伝わると思うわ!」

「にへへ……甜花、お姉ちゃんしてる?」

 

 目当ての香水を手に入れ、甜花は思わず胸を張る。でも、やっぱりゲーム機を買うお金がなくなっちゃったのは……ちょっとつらい。

 

「なーちゃん、起きてる……?」

 

 千雪さんと別れ、家に帰った甜花は日付が変わり、甜花となーちゃんの誕生日になった夜中になーちゃんの部屋に入る。早寝早起きで生活リズムをしっかりと守っているなーちゃんはベッドですやすやと眠っていた。やっぱりなーちゃんは寝顔もかわいい。そんななーちゃんを起こさないように、そっとなーちゃんの部屋に入った甜花はなーちゃんの枕元に綺麗にラッピングされたプレゼントを置く。甜花サンタから、いつも頑張っているなーちゃんにクリスマスプレゼント。

 

 

 

 

 

 

 

「な、なんで……?」

 

 次の日の朝。なーちゃんにプレゼントを贈れたことで安心しきっていた甜花は驚きを隠せなかった。甜花の部屋の枕元にすっごく大きなプレゼントが置いてあったから。小宮さんならともかく甜花、もうサンタさんにプレゼントをもらう歳じゃないのに。

 

「ひぃん、これ……甜花の欲しかったゲーム機……」

 

 甜花があぜんとしていると、甜花の部屋がノックされる。ドアの前からは入ってもいいかな、となーちゃんの声が聞こえる。甜花がいいよ、というと少し照れ臭そうにしたなーちゃんが入ってきた。

 

「おはよ、甜花ちゃん。あ、あのね……それね……」

「もしかして、なーちゃんが……?」

「うん、甜花ちゃん、そのゲーム機欲しがってたから……プロデューサーさんに協力してもらったんだ」

 

 甜花が千雪さんにアドバイスを求めていた裏で、なーちゃんはプロデューサーさんにアドバイスを求めていた。しかも甜花が動き出すよりもずっと早くなーちゃんは今日この日のために動いてくれていたんだ。

 

「テレビのニュースで品切れ、って言っていたからプロデューサーさんに手伝ってもらって予約できるお店を探してもらったんだ。それで昨日は仕事の後にプロデューサーさんに付き合ってもらって……」

「つ、つまりなーちゃんはプロデューサーさんとクリスマスイヴにデート……」

「ち、ち、違うからね!? あ、甘奈はそういう意味じゃなくて……」

 

 同じタイミングでしどろもどろになる甜花となーちゃん。同じ形でサプライズをしようと思っちゃうのはやっぱり甜花となーちゃんが双子の姉妹ってことなのかな。

 

「そ、それよりも甜花ちゃん! 甘奈の枕元に置いてくれたプレゼント……」

「甜花も千雪さんに手伝ってもらって……」

「そうだったんだ……甘奈たち、色々な人に支えてもらってるんだね……」

 

 甜花となーちゃんは互いにそっくりな顔を見合わせてにへへ、と笑っていた。ゲーム機や香水も嬉しいけど、甜花となーちゃんを助けてくれる千雪さんやプロデューサーさん、色々な人との出会いこそが、甜花となーちゃんに贈られたクリスマスプレゼントにして、誕生日プレゼントなんだね。甜花となーちゃんがいつまでアイドルとしてやっていけるかはわからないけれど、そんなみんなの想いに応えるために頑張ろう、って思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




甜花ちゃん、なーちゃんお誕生日おめでとう。

書き終わってから思ったのですが、甜花ちゃんとなーちゃんって部屋別々でしたっけ。
同じ部屋だったらごめんなさい。担当アイドルと共にここで死にます(あこ冬死
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