魔法の杖ってドロップアイテムだけじゃないの?   作:星火 悠瑠璃

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 こんばんは、悠瑠璃です。

 お酒(1缶)を飲んだら、15年分ほどの自己嫌悪で明け方まで眠れず、視力検査で右目の視力が異常に弱っていることになりました。それでも私は酔ってないです()
 あの時、が積もり積もって、至らぬ自分、友人でいたかった元同級生、そういうことで4時間瞼を閉じ続けるだけの時間が過ぎましたが、でも不思議と朝すっきりしていました。
 今更やってみたところで無駄じゃないか、どうせならあの時から、初めておけばよかった。

 それでも、出来ることは今日のことだけなのですよね。だとしてもやっぱり、小1の私の間抜けな横っ面にドロップキックしてきたい。「お前が目の前でスルーした門に今更飛び込むのって結構勇気居るんだぞ」って。


 さて、「進みたい研究室に凸する心構え」と「課題」と「キャラの絵を描こうとして挫折」それから「ライザ2」で時間が溶けました。申し訳ございません。

 では、場面もあまり進みませんが、数人続投の登場人物(名前未定も)おりますゆえ。

 ごゆるりと。

P.S. A_3様 高評価ありがとうございます。


#3 友人のお店

 毎日の人通りの多さを示す踏み固められた路も、この雪解けの時期には矢張り何処か泥っぽくなります。

 ソラを背負っている間に付いたのであろう、左右横一筋ずつの土汚れを見て、泥除けを着けたままで良かったと一安心しました。もしこちらに一泊することになった場合、着替えなんて持ち歩けるものではありませんので。

 

 冬の間に農筋が多少は落ちたといえども、別に何もしなかったわけではありませんでしたから、疲れもあまり感じていません。ソラ、しっかり食べてますか。(女性的な)肉付きの良さは背負った際に分かりましたが、そういう女性的な部位にのみ栄養が偏る体質とか言いませんよね。いろんな意味で心配になります。

 

 その後も軽い散策に留め、共通の井戸で水を組んでから戻りました。料理人と看板娘である二人は決して非力ではないのですが、農家の娘(実務)の筋肉とは比べるまでもありません。力仕事くらいは手伝います。

 

「お帰り。何か食べていくといい。」

 

 なおこの言葉の間に「水を持ってきてくれてありがとう、特に買い物もしてないみたいだね。素材の代金分の値引きとお駄賃がわりに何か…」という部分が省略されているというか、うまく言えてないから略している、と出会った頃に娘のソラに翻訳されていました。流石に商談などではゆっくりでもちゃんと言うのだそうですが、身内だと慣れない言葉の大半を略してしまう癖が出てしまうそうです。

 

「ありがとうございます。」

 

「えぇー、でもちょっとお昼には早くない?」

 

 いつもの流れとはいえ、お昼ご飯をいただけるとのことなのでありがたくいただくことにしましょう。なお、ここで断ると帰りに馬車の中で、そこらへんで買った屋台メシを食べることになります。馬車の揺れで食べ辛いのはいうまでもありませんが、特殊な器具を必要としない料理が大半なので材料さえあれば家で作れるというなんともいえない気持ちになります。

 

「ついさっき新しいパスタの仕込みが終わったんだが。」

 

「お父さん。お腹減った!」「是非お願いします。」

 

 揃って食い気味に詰め寄ったものですから、ちょっと苦笑いです。ただ新作パスタというと、私が以前零した前世で女性人気のあったパスタのことなのでは、と思ったものですから、つい。

 

 この世界のイタリア、に属する国がどういう時代なのかはわかりませんが、その昔ここよりも南東の方で現地民から習った小麦粉を使った食事として、店主が手打ちで作るパスタは絶品です。特に冬や夏の盛りの保存食としての乾燥パスタではなく、一部の時期しかお目にかかれない打ったその日にだけ食すことのできる生パスタは前世の専門店にも劣りません。

 

 泥除けは店の裏手で干してもらえることになり、私たちは未だお昼時には少しばかり早いのを良いことにテーブルの一つに陣取って話すことにしました。

 

 お客さんは入り口側の4人掛けテーブルに座っている雑に茶髪を後ろで縛った女性。春先なのに暑そうに腕まくりしています。火を使う屋台で働いているのかもしれません。

 それから玄関にかけられたコートの持ち主であろう、旅商人っぽい細い体躯に揃えられた金髪の男性二人組。女性と通路を挟んで反対側のテーブルに座って何やら談笑中です。どちらも慣れた様子ですが…

 

 あとは周りを見て食べ方を真似しながら、物珍しげにパスタを口に運ぶ銀髪の女性。私の泥除けと同目的なのだと思える黒いマント? ローブ? いや、あれ袖を通してない外套ですね。まぁ、番長スタイルの方、旅人でしょうか、案外都から来た方かも知れませんね。そういう方は初めて来た場合は、遠い街ほど上着などを店に預けたくないらしい、とソラが言ってました。

 

 この近隣の建物自体、街の成り立ちからある程度時間が経った時期に一括でいろんな建物を作った時期に出来たらしく、煉瓦などで出来たどこも似通った見た目です。ですが、このお店は入って左奥にバーカウンターのような調理スペースがあり、右側の壁に沿って長い椅子が置かれ、その前に丸テーブルと椅子を並べた「飲み屋」と「大衆食堂」を混ぜたような内装です。

 

 まぁ、大衆食堂ではないので、奥といっても4人掛けテーブル4つとバーカウンター側にも1つテーブルがある程度で結構小さいです。それでもお店としては現代と比較しても大きいですね。私たちが座ったのが向かって右奥、つまりカウンターのバックヤード側出入り口前です。

 

 私たちが席に着くのと同時にお昼の一つ前を告げる鐘が鳴りました。これの次から商会などの窓口のある施設などがお昼休みになり、その前後で食事処が休憩を入れることが一般的です。

 このお店は午前は客入りが少ないですが、昼過ぎの15時ちょっと前に当たる時間が休憩時間で、私がバイトした時にはたまたま来ていたお客さん共々おやつを食べました。丁度街の祭りで繁忙期かつ、何かのイベントで人が引いていた時間が重なったこともありますが、ソラ曰く

 

 いつもこんな感じ、とのことです。

 

 そういえば、この街の特産としてビートがありましたね。私の村とは別方向で私の村よりももう少し離れているそうですが、その村のビートを一括で買い上げているそうなので、この街では特産品の砂糖を作る職業で多くの人間が働く工場もどきがあるとか。

 

 そういったことを考えながら、次の新商品に使えそうな素材について話しているとすぐに料理が運ばれてきました。

 

「お待遠、このあと仕事があるからソラに合わせてニンニクは少なめだが、少し辛めに仕上げてみた。」

 

 テーブルに置かれたのは大皿に盛られた緑と赤と白のコントラストが目を引く、グリーンパスタのトマトパスタでした。私が持ち込んだ瓶詰めの乾燥野菜を砕いた物、それをパスタに練り込んだ緑。赤はトマト、白は仕上げに振りかけられたチーズ。

 

『いただきます。』

 

 これまでの看板メニューとは違い、自家製の細めのスパゲッティーニは新たにフェットチーネの平麺に、ニンニクや香辛料ではなく野菜とチーズが全面に押し出された、重労働者以外もターゲットにした品です。

 一口含んでみるとトマトの酸味、その次にチーズの少しクセのある塩味が口の中に広がりました。ですが、決して舌に残ることはなく、あっさりとした味わいです。

 あれ、でもこのチーズ、街では珍しいですけど、食べたことがあるような。

 

「もしかして、ヤクのチーズ、ですか?」

 

「よく分かったな。つい一昨年から卸し始めた上に、春先に少ししか降ろされないからマイナーだと聞いていたんだが。」

 

「縁があって知り合った方から分けていただいて、癖が強くて家族には不評だったのですが、この主張の強さはこう活かせばよかったのですね。」

 

 噛むほど野菜の味が出るフェットチーネに舌鼓を打ちながら、饒舌になった彼の話を聞くに。

 どうやら街に卸しているヤクのチーズは酒の肴や珍味としては売れているようですが、一般的な牛などのチーズに比べると食べ慣れないなどの理由であまり売れ行きは良く無く、そも牛飼の遊牧民がヤクの遊牧民との交易で手に入れたものを牛車で売りにくるものだそうで、それなりに高い値段ゆえに牛乳のチーズとのミックスでしか満足に提供できない見込みだそうです。

 

 あまり長く饒舌に話しすぎたために喉が痛くなったそうで、彼は店の奥に戻って行きました。きっと今頃お水を飲み続けていることでしょう。ヨーロッパの硬水を大量に飲んでも壊さないお腹、アジアンテイストでもしっかり体はこっち系なのだな、とどうでもいいことを思いました。

 

 ところで、その牛飼さん、多分私の知り合いですね。

 娘さんが牛一頭と共々迷子になって村に来たのが出会いで、ちゃんと親御さんがいらっしゃり、それが切欠となって村の先にあった街でも外貨を得るようになった筈です。今でも私より年下の娘さんが遊びに来て近況を教えてくれます。その時に冬に山から降りてきたヤク飼い、彼らと交易で手に入れたというチーズを分けてもらいました。

 

 夏は高地へ、冬は麓へ、きっと山地に住まう家畜を飼う人々は居場所が二つ以上あるのでしょう。

 

 私は、この街に居場所があるのかな。

 

 旅人も帰り着く場所があるのかな。

 

 あの村の家を出ることになったら、私に、居場所はあるのかな。

 

「どうしたの?」

 

「いえ、チーズをお裾分けして下さった子は元気かな、と。」

 

 迷子になった頃は未だ牛の背に乗れるくらいだったのに、毎年会う毎に背が伸びてどんどん美人になっていくのですから、良い子の成長は見ていて楽しいものですね。えぇ、私が接しやすい良い子に限りますが。

 

「えぇー、また女ぁ?」

 

 ソラの浮気にうんざりする女房のような言い方に店内にいた全員が吹き出しました。無論、私も外套を羽織った女性も例外ではありません。

 

「10歳の子に欲情はしませんよ。」

 

「つまり、あと5年したら食べちゃいたいと。」

 

「その頃には彼女が連れていた牛は食べ時ですかね。」

 

 手慣れた会話ですが、初見の方には少しインパクトが強かったようです。ちょっと肩を震わせた異郷の女性が戻ってきていたソラのお父さんへ問いかけました。

 

「て、店主? あちらの少女達は、その、そういう?」

 

「私は寛容なだけです。否定も推進もしません。ただそれだけです。あと、ソラは酔っ払いの相手で男を見飽きているだけですよ。」

 

 戻ってきていた店主への小声での問いかけに私が返すと、彼女はこちらに振り返りました。その時初めて彼女が顔を赤らめていることに気づきました。中身三十路とはいえ10代より初心とは、いえ、それは人それぞれですね。要らぬ邪推などはするべきではないでしょう。

 

「あ、いや、済まない。聞き耳を立てるつもりはなかったのだが、新作パスタの話というのが気になってな。」

 

「それなら、値段も量も半額のハーフサイズ(※皿の使用料が固定値だとその使用量分は店が得する計算)がおすすめですよ! 皆さんもどうですか?」

 

 一瞬で私の気さくな友人から、看板娘の顔に変わったソラが宣伝を始めました。この商売上手さでこの店は成り立っている気がしてきました。店主が口下手な分、うまくやりくり出来る人間の重要性が際立ちます。アコギな商売に向いてそうです。いえ、私は何も言ってませんとも。

 

「あ、あぁ、ではそれを。」

 

「先と同じくガーリックは少なめで?」

 

「あぁ、それで頼む。」

 

 他の方も出来上がったばかりの新メニューを頼んでみるとのことで、ソラは私たちの食器を持って立ち上がりました。

 

「ってことで、私は仕事に戻るね。リュシーはどうする?」

 

「! 君が仕事に戻る切っ掛けは私だろう。なら、料理が出来上がるまでは私が話し相手になろう。」

 

 既にこちらの席まで来てしまっていた彼女を無碍にすることも出来ず、私は全くもって面識のない彼女と話すことになりました。

 

 

 ところでこの場合私に非はないですよね、ソラ?




 ソラとは基本戯れてるだけです。私に百合を書く才能が生えて、尚且つマルチエンディング構想を実現できる実力が身につかない内は、です。実際の女子高生とかってもっとキツイ下ネタで会話してるんでしょうか。友人作りに疎かった私には縁のない話でして。
(それなら尚のこともっと色んな知識とか体験しとくべきだったという自己嫌悪が前書きです。
 私より年下の方? バカ騒ぎして馴れ合うだけなら70億もいるんだから誰でも同じものですが、2000を超える年月の間に人の一生では選びきれないだけの学問が生まれています。本当に辛い時に支えてくれるのは貴方自身が選んできたという事実ですから、目の前の選択から眼を逸らさない、その方がいいですよ。その過程で知りえた人とならきっと無二のバカ騒ぎになりますし。20年に後悔した私の感想です。)


 キャラも見た目のイメージも変えてはいますが、今回登場した牛飼い娘ちゃんと初心な異郷の女性は、確実に私の好きなキャラクターに引っ張られている自信があって辛いです。そのうちキャラクタを乗っ取られてしまわないように、彼女たちの物語を独立させてあげないと(こんにゃくの意思)


 次回「都から来た女(仮)」
 何処かで聞いたタイトルに引っ張られてますね。こんな感じに元ネタから大きく変えていても、どこかで引っ張られてしまわないように善処します。(前回の後書きにて挙げた3つのうちの二つの繋ぎの回でもあり、設定説明の回です。天使なシスターさんを忘れたわけではありません。)


 色々と至らぬ私ではありますが、一欠けらでも貴方様にとって意味があったのなら幸いです。
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